信託法 第201条(質権に関する受益権原簿の記載等)
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- 受益証券発行信託の受益権に質権を設定した者は、受益証券発行信託の受託者に対し、次に掲げる事項を受益権原簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
- 一質権者の氏名又は名称及び住所
- 二質権の目的である受益権
- 2.前項の規定は、無記名受益権については、適用しない。
この条文の基本情報
質権に関する受益権原簿の記載等とは何ですか?
定義質権に関する受益権原簿の記載等とは、信託法第201条に定められた規定で、「受益証券発行信託の受益権に質権を設定した者は、受益証券発行信託の受託者に対し、次に掲げる事項を受益権原簿に記載し、又は記録することを請求することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第201条(質権に関する受益権原簿の記載等)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第201条の条文原文は「受益証券発行信託の受益権に質権を設定した者は、受益証券発行信託の受託者に対し、次に掲げる事項を受益権原簿に記載し、又は記録することを請求することができる。」で始まります。
- 信託法第201条は第二節 受益権の譲渡等の特例に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第201条の前の条は信託法第200条です。
- 信託法第201条の次の条は信託法第202条です。
- 信託法第201条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第201条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第201条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/201
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法201条は、受益証券発行信託の受益権に質権を設定した者が、受託者に質権者の氏名・住所等を受益権原簿へ記載するよう請求できると定める。無記名受益権には適用されない。
Q · 受益権に質権を設定したら、原簿への記載は誰が受託者に頼むの?
質権を設定した側(受益者)が受託者に請求する
信託法201条1項により、受益証券発行信託の受益権に質権を設定した者が、受託者に対して質権者の氏名・住所と質権の目的である受益権を受益権原簿に記載するよう請求できます。お金を貸した質権者が単独で請求することは条文上予定されていないため、融資契約で設定者に記載請求の協力義務を課しておくのが実務です。なお、無記名受益権には本条は適用されません(同条2項)。
解説
条文の主語に、多くの人が読み落とす罠がある。原簿への記載を請求できるのは「質権を設定した者」、つまりお金を借りて受益権を担保に差し出した側(受益者)であり、お金を貸した質権者ではない。受益証券発行信託(受益権を株券のような証券にできる信託。上場 ETF や JDR〈日本版預託証券〉などで使われる仕組み)の受益権を担保に取った貸し手は、自分ひとりで受託者に「自分の名前を原簿に載せてくれ」とは言えないのである。では、なぜ載せる必要があるのか。原簿に質権者の氏名・住所と対象の受益権が記載されれば、受託者の帳簿上に担保関係が公式に残り、受託者は質権者の存在を前提に動かざるを得なくなる。裏を返すと、契約書に「設定者は登録請求に協力する」の一文がなければ、貸し手は借り手の協力を待つしかない。なお、無記名受益権は原簿に持ち主の名前が載らない構造なので、本条は適用されない(2項)。担保を取る側か差し出す側か、どちらに立つかで、この一文の読み方はまるで変わる。
法的な位置づけ
信託法201条は、受益証券発行信託の受益権を目的とする質権について、質権設定者が受託者に対し、質権者の氏名又は名称及び住所並びに質権の目的である受益権を受益権原簿に記載又は記録するよう請求できることを定める規定である。同条2項により、無記名受益権には適用されない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.受益権の形態を確認する 信託行為と受益証券を確認し、受益証券発行信託か、受益権が記名式か無記名式かを特定する。無記名式なら本条の原簿記載は使えないため、担保管理の方針を先に決める
- 2.融資契約に記載請求の協力条項を入れる 「設定者は質権設定後直ちに信託法201条の記載請求を行う」旨の条項と、質権者が請求書面を受託者に提出できる委任状の差入れを融資実行前に合意する
- 3.受益証券の交付を受け継続占有する 質権の効力発生のため受益証券の交付を受け(信託法199条)、対抗要件として継続して占有する(同200条)。保管場所と管理責任者を社内で明確にする
- 4.設定者から受託者へ記載請求を行わせる 設定者名義で、質権者の氏名又は名称・住所と質権の目的である受益権を記載した請求書面を受託者に提出し、受益権原簿への記載・記録を確認する
- 5.完済時に記載の抹消を処理する 被担保債務が完済され質権が消滅したら、受益証券の返還と原簿上の質権記載の抹消を受託者に求め、記載が残ったままにならないようにする
よくある質問 AI による整理
Q1受益権原簿とは何ですか?
受益証券発行信託の受託者が作成する、受益者や受益権の内容を記録する帳簿です(信託法186条)。株式でいう株主名簿にあたる存在です。
Q2受益証券発行信託とは何ですか?
信託行為の定めにより受益権を受益証券という有価証券で表す信託です(信託法185条)。上場 ETF や JDR などで用いられています。
Q3受益権に質権を設定する方法は?
受益証券発行信託の受益権の質入れは、受益証券を質権者に交付することで効力が生じます(信託法199条)。原簿記載は別の手続です。
Q4受益権の質権を第三者に主張するには?
質権者が受益証券を継続して占有することが対抗要件です(信託法200条)。証券を設定者に戻すと対抗力を失うおそれがあります。
Q5信託法201条の請求は質権者でもできる?
条文上の請求権者は「質権を設定した者」です。質権者が動くには、設定者から委任を受けるなど契約上の手当てが必要になります。
Q6無記名受益権に質権を設定したら原簿に載せられる?
載せられません。信託法201条2項が無記名受益権を適用除外としており、証券の継続占有で担保を守ることになります。
Q7ETF を担保にお金を借りるときの注意点は?
対象が受益証券発行信託の受益権か、記名式か無記名式かを最初に確認します。担保化のルールは会社法でなく信託法が基本です。
Q8受益権の質権と株式の登録質は同じ?
構造はよく似ています。株式では会社法148条が株主名簿への記載請求を定め、受益権では信託法201条が同様の役割を果たします。
この条文についての質問 AI による整理
Q1お金を貸したのはこっちなのに、なんで自分で原簿登録の請求ができないんですか?
信託法201条1項が請求権者を「質権を設定した者」と定めているためである。受託者から見ると、原簿の記載を変更する根拠は受益者本人の意思表示にあり、第三者の一方的な申出で帳簿を書き換えさせない作りになっている。実務のポイント:実務では、融資契約に「設定者は直ちに記載請求を行う」という条項に加え、請求書面を貸し手が代わりに受託者へ提出できる委任状をあらかじめ取り付けておく手法が使われる。
Q2無記名の受益証券を担保にもらったんですが、それだと何もできないんですか?
原簿への記載の道は201条2項で閉ざされているが、担保そのものが無効になるわけではない。受益証券発行信託の受益権への質権は受益証券の交付で効力を生じ(199条)、証券を継続して占有することが第三者への対抗要件になる(200条)。実務のポイント:無記名式では証券の物理的な管理がすべてになる。金庫で保管するか保護預りにするか、誰が鍵を持つかを契約で決めておかないと、担保の実質が消えてしまう。
間違えやすい点 AI による整理
- 前提錯誤型:「質権者は原簿にどう登録すればいいか」という問いは、出発点から外れている。条文上、請求権者は質権を設定した側(受益者)である。貸し手が考えるべきなのは登録の手続ではなく、借り手に登録請求をさせる契約上の義務をどう組み込むかである。
- 深化型:原簿に記載されることが大事だとは知っていても、それが「すべての受益権で使える道具」ではないことまでは知られていない。無記名受益権は2項で明文で除外されており、その場合は受益証券の占有がほぼ唯一の守りになる。証券を設定者の手元に預けたままにする運用は、担保を自分から手放しているのに近い。
- 視角転換型:貸し手から見れば質権設定契約を結んだ時点で担保は確保できているが、受託者から見れば、原簿に載っていない質権者は帳簿上存在しない。受託者が誰に通知し誰を相手に処理するかは原簿で決まる。この認識の落差が、いざというときに貸し手の動き出しを遅らせる。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 信託法201条:質権の受益権原簿への記載請求 | 信託法199条:受益証券交付による質入れの効力発生 信託法200条:受益証券の継続占有による対抗要件 |
| 行為の主体 | 質権を設定した者(受益者) | 設定者が質権者に証券を交付 質権者が証券を占有し続ける |
| 無記名受益権 | 適用されない(2項) | 証券交付で質入れ可能 継続占有が担保保全の中心になる |
| 怠った場合の影響 | 受託者の帳簿上に質権者の記録が残らない | 質入れの効力が生じない 受託者その他の第三者に質権を対抗できない |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の信託法には受益証券発行信託に相当する一般的な制度がなく、受益権・有価証券の担保化は民法の権利質権の規定で処理されるのが基本
韓国も2011年の信託法全部改正で受益証券発行信託を導入しており、日本法と近い構造をもつ。具体的な条番号は要確認
ドイツでは権利質・有価証券質として扱われ、受託者の帳簿への記載請求という形の制度は一般的ではない
米国では投資財産への担保権は control(支配)の取得による完全化が中心で、登録名簿への記載請求という構造とは発想が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 受益証券発行信託の受益権を担保に事業資金を貸した。融資契約には質権設定の条項はあるのに、原簿記載への協力義務が書かれていない。借り手の業績が傾き始めた今、借り手に連絡しても返事がない。原簿記載の請求権は借り手の側にあり、貸し手のほうからは動けない。
- 借り手であるあなたが、受益権を担保に差し出したあと別の金融機関にも同じ受益権を担保として使おうとしている。原簿に先の質権者の名前が載っていれば、後の金融機関は審査の段階で気づく。原簿の記載は、あなたの「二重担保」の誘惑を事実上封じる装置になる。
- 貸し手の法務担当として、あと3営業日で融資実行という段階になって、担保の受益権が無記名式だと判明したらどうなる? 本条2項により原簿記載の請求自体ができないため、受益証券を手元で継続して占有するよう、担保の管理方法を急いで組み直すことになる。
取るべき行動
被害を受けた側:担保が実効性を持たないかもしれない貸し手側の打ち手。1. 受益権が記名式か無記名式か、受益証券が発行されているかを信託行為と受益証券で確認する。2. 記名式なら、設定者に本条の記載請求をするよう書面で求め、契約上の協力義務があればその条項を根拠に示す。3. 受益証券は自分で継続して占有する(信託法200条の対抗要件)。4. 設定者が応じない場合は、期限の利益喪失条項に当たるかどうかを弁護士と検討する。
訴えられた側:担保を差し出した設定者の側。1. 原簿記載を求められたら、契約上の義務の範囲を確認したうえで応じるのが原則であり、拒み続けると契約違反として期限の利益を失うリスクがある。2. 記載された事項は受託者の帳簿に残るので、追加の借入れ先には担保の状況を正直に開示する。3. 債務を完済したら、質権の消滅と原簿上の記載の抹消を必ずセットで処理し、記載が残ったままにしない。
時効(請求できる期限):本条の記載請求に特定の期限や時効はない。被担保債権には一般の消滅時効(民法166条、権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年)が適用される(最新の改正状況をご確認ください)。実務上は、融資実行と同時か直後に記載を済ませることが求められる。
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正(平成19年〈2007年〉施行) 受益証券発行信託の制度創設に伴い新設された。株式の登録質(会社法148条)に倣い、受益権原簿への質権記載請求の制度を設けた。その後の改正の有無は人による確認が必要である
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法全部改正(平成18年法律第108号)で受益証券発行信託の制度が創設され、株式の登録質に倣って受益権原簿への質権記載請求の規定が設けられた。施行は平成19年(2007年)。
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