信託法 第223条(裁判所による提出命令)
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裁判所は、申立てにより又は職権で、訴訟の当事者に対し、前条第二項から第四項までの書類の全部又は一部の提出を命ずることができる。
この条文の基本情報
裁判所による提出命令とは何ですか?
定義裁判所による提出命令とは、信託法第223条に定められた規定で、「裁判所は、申立てにより又は職権で、訴訟の当事者に対し、前条第二項から第四項までの書類の全部又は一部の提出を命ずることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第223条(裁判所による提出命令)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第223条の条文原文は「裁判所は、申立てにより又は職権で、訴訟の当事者に対し、前条第二項から第四項までの書類の全部又は一部の提出を命ずることができる。」で始まります。
- 信託法第223条は第二節 計算等の特例に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第223条の前の条は信託法第222条です。
- 信託法第223条の次の条は信託法第224条です。
- 信託法第223条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第223条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第223条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/223
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法223条は、裁判所が申立てまたは職権で、限定責任信託の訴訟当事者に会計帳簿や貸借対照表等の全部または一部の提出を命じられると定める。訴訟係属中に限られる。
Q · 限定責任信託の受託者が帳簿を見せてくれないとき、裁判で出させることはできる?
できる。裁判所は申立てまたは職権で提出を命じられる
信託法223条により、裁判所は申立てにより又は職権で、訴訟の当事者に対し、限定責任信託の会計帳簿や貸借対照表・損益計算書・附属明細書等(222条2項〜4項の書類)の全部又は一部の提出を命じることができます。民事訴訟法220条の一般的な文書提出義務の類型を細かく立証しなくても命令が出せる特則と解されています。ただし訴訟の係属中に限られ、求める書類と期間を特定することが実務上の鍵になります。
解説
限定責任信託と取引した債権者は、受託者の個人財産に手を伸ばせない(信託法216条・217条)。回収の当てになるのは信託財産だけである。だからこそ、その信託財産がいまいくら残っていて、どこへ流れたのかを示す会計帳簿や貸借対照表・損益計算書が、訴訟では生命線になる。本条によって、裁判所は訴訟の当事者に、前条(222条)2項から4項に定める会計帳簿や計算書類の全部または一部を提出するよう命じられる。要点は二つある。申立てがなくても裁判所が職権(自分の判断)で命令を出せること。そして、民事訴訟法220条の提出義務のどの類型にあたるかを細かく争わなくても命令が出せる特則と解されていることだ(会社法434条と同じ構造)。相手が「帳簿は見せられない」と突っぱねても、あなたは裁判所を通じて帳簿を法廷に出させられる。逆に受託者の側に立つなら、保存義務のある帳簿はいつでも法廷に引き出されうる。その前提で日々の記帳をしておかなければならない。
法的な位置づけ
信託法223条は限定責任信託の計算書類等の提出命令を定める規定であり、裁判所が申立てにより又は職権で、訴訟の当事者に対し、同法222条2項から4項までに定める会計帳簿・貸借対照表・損益計算書等の全部又は一部の提出を命じうる旨を規定する。会社法434条と同様の構造をもつ、民事訴訟法上の文書提出命令の特則と解されている。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.相手が限定責任信託かを登記で確認 取引相手の信託が限定責任信託かどうかを、限定責任信託の登記事項で確かめる。名称に「限定責任信託」の文字が入っているかも確認する
- 2.求める書類と期間を特定 会計帳簿か、貸借対照表・損益計算書・附属明細書か、どの事業年度の分かを特定し、それで何を立証するのかを整理する。範囲を絞るほど命令が出やすい
- 3.訴訟提起後、早期に提出命令を申し立てる 訴訟係属中に、本条に基づく提出命令の申立書を裁判所へ提出する。受託者に帳簿を整える時間を与えないよう、早い段階で申し立てる
- 4.提出された数字を突き合わせる 提出された帳簿を、受益者への給付や受託者への支払と照合し、224条の受託者責任を追及できるか、虚偽記載がないかを検討する
よくある質問 AI による整理
Q1信託法223条とは?
限定責任信託の会計帳簿や計算書類について、裁判所が申立てまたは職権で訴訟当事者に提出を命じられると定めた規定です。
Q2限定責任信託とは何ですか?
受託者が信託のために負った債務について、信託財産の範囲でのみ責任を負う信託です。登記が必要で、名称に「限定責任信託」の文字を用います。
Q3信託の帳簿は誰が見られる?
信託法38条で受益者等に閲覧等請求権が認められますが、範囲は立場で異なります。訴訟になれば223条の提出命令という別ルートもあります。
Q4提出命令の対象になる書類は?
222条2項から4項の書類、つまり会計帳簿と、貸借対照表・損益計算書・附属明細書などの計算書類です。全部または一部を指定できます。
Q5職権で提出命令が出るのはどんな時?
本条は申立てがなくても裁判所の判断で命令を出せると定めます。信託財産の状況が争点で、帳簿が一方当事者に偏在している場面が典型です。
Q6信託の帳簿の保存期間は?
信託法222条により、会計帳簿や計算書類には作成時などから10年間の保存義務があります。最新の改正状況は e-Gov で確認してください。
Q7訴訟前に帳簿の提出を求められる?
本条は「訴訟の当事者」に対する命令なので、訴訟係属中に限られます。訴訟前は38条の閲覧請求や証拠保全手続を検討することになります。
Q8営業秘密を理由に提出を拒めますか?
本条の命令は「全部又は一部」と範囲を絞れる設計です。秘密部分の除外や黒塗りの必要性を具体的に主張し、範囲を限定してもらうのが現実的です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1相手の帳簿を出させたいんですが、普通の文書提出命令と何が違うんですか?
民事訴訟法220条の文書提出命令を使うには、求める文書が同条の提出義務のどれかにあたることを主張し、立証しなければならない。本条は、限定責任信託の会計帳簿と計算書類については、その立証を経なくても裁判所が提出を命じられる特則と解されている(会社法434条と同じ構造)。実務のポイント:申立書で「全部」を求めるより、期間と勘定科目を絞って「一部」を求める方が通りやすく、相手の抵抗も弱い。本条もわざわざ「全部又は一部」と書いている
Q2命令が出ても相手が出さなかったら、どうなるんですか?
民事訴訟法224条によれば、当事者が文書提出命令に従わないとき、裁判所は相手方が主張する文書の記載を真実と認めることができる。この規定が本条の命令にそのまま及ぶかは、実務上、解釈が分かれている。ただ、提出しなかったこと自体が弁論の全趣旨として不利に評価されるのは避けがたい。実務のポイント:受託者が帳簿を作っていなかった場合、それ自体が信託法上の過料の対象になりうる(最新の改正状況をご確認ください)
間違えやすい点 AI による整理
- 信託の中身は受託者と受益者だけの秘密だと思われがちだが、限定責任信託は違う。債権者を守るために計算書類の作成と保存が法律で義務づけられており(222条)、訴訟になれば本条によって提出を命じられうる。有限責任の代わりに透明性を差し出す仕組みである
- 提出命令が出ることは知っていても、命令に従わなかった場合の重みまで知っている人は少ない。民事訴訟法224条の真実擬制(提出しない側に不利なかたちで、相手が主張する文書の内容を真実と認める扱い)が本条の命令にそのまま及ぶかは、実務上、解釈が分かれている。それでも、提出しなければ裁判官の心証が大きく悪くなることは避けられない
- 「帳簿を見たいなら、まず閲覧請求をしてから」と順番を考える人がいるが、その問いの立て方がずれている。38条の閲覧等請求で見られる範囲は請求する人の立場によって違い、会計帳簿そのものまで見られるのは基本的に受益者である。債権者が帳簿の中身に迫るなら、訴訟の中で本条を使う方が近道になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 請求できる人 | 信託法223条:訴訟の相手方の申立て、または裁判所の職権 | 信託法38条:受益者等(立場により閲覧範囲が異なる) 民事訴訟法220条:訴訟当事者(申立てが必要) |
| 使える場面 | 訴訟係属中のみ | 訴訟外でも請求可能 訴訟係属中のみ |
| 要件の重さ | 提出義務の類型立証を要しない特則と解される | 請求者の資格と請求理由の明示が必要 220条各号の提出義務に該当することの主張立証が必要 |
| 対象書類 | 222条2〜4項の会計帳簿・計算書類等 | 信託財産に係る帳簿その他の書類等 あらゆる文書(除外事由あり) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾には限定責任信託に対応する制度がなく、帳簿の提出は民事訴訟法の一般的な文書提出命令で処理する。不提出の場合、相手方の主張する事実を真実と認めうる規定がある
韓国商法は、裁判所が申立てまたは職権で商業帳簿の提出を命じうると定めており、日本の商業帳簿提出命令と同じ系譜にある
ドイツ商法は訴訟中に申立てまたは職権で当事者の商業帳簿の提出を命じうるとし、日本の帳簿提出命令の源流にあたる
米国はディスカバリー制度により当事者間で広く文書開示を求められ、裁判所の職権命令より当事者主導の開示が中心となる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 限定責任信託の受託者を訴えた裁判で、相手が「会計帳簿は営業秘密だ」と言って提出を拒んだら、どうなる? あなたは本条に基づき、裁判所に提出命令を申し立てられる。裁判所は申立てがなくても職権で命じることができる。
- 自己信託で事業を切り出し、受託者になったのはあなたである。取引先から損害賠償を求められ、裁判所から計算書類の提出を命じられた。提出までに残された時間はあと2週間。数か月分の記帳が止まっていた場合、いまから整えても「後付けで作った書類」と見られる危険がある。日々の記帳だけが本当の防御になる。
- 受益者が受託者に損失のてん補を求める訴訟。帳簿は受託者だけが握っている。情報が一方に偏ったこの状態を正すのが本条である。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相手が限定責任信託かどうかを登記で確かめる(名称に「限定責任信託」の文字が入る) 2. 求める書類を特定する:会計帳簿なのか、貸借対照表・損益計算書・附属明細書なのか、どの事業年度の分か3. 訴訟を起こしたら、早い段階で本条に基づく提出命令を申し立てる4. 出てきた数字を受益者への給付や受託者への支払と突き合わせ、224条の受託者責任を追及できるかも検討する
訴えられた側:1. 222条どおりに記帳され、保存されているかをすぐに点検する2. 営業秘密や第三者の個人情報を含む部分は、一部だけの提出や黒塗りが必要な理由を具体的に主張する3. 命令に不服があるときは、即時抗告ができるかを弁護士と確認する(本条の命令に民事訴訟法223条7項が適用されるかは要確認) 4. 提出を拒めば心証を大きく損なうため、出せる範囲を早めに出す方が得策なことが多い
時効(請求できる期限):本条そのものに特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。提出の対象となる帳簿等には、作成時などから10年間の保存義務がある(信託法222条、最新の改正状況をご確認ください)。提出命令は訴訟が係属している間にしか使えず、口頭弁論が終結する前に申し立てる必要がある
学説
実務上の一般的理解:本条は会社法434条と同じ構造をもつ特則であり、民事訴訟法220条各号の提出義務の該当性を個別に立証しなくても、裁判所が限定責任信託の帳簿等の提出を命じうると解されている。民訴法224条の不提出効果がそのまま及ぶかは見解が分かれる。
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 限定責任信託制度の創設とともに新設された。会社法434条にならい、計算書類等の提出命令を定めた。その後に改正があったかは人による確認が必要
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法全部改正で限定責任信託制度が創設されたことに伴い、会社法434条にならって計算書類等の提出命令として新設された。その後の改正の有無は要確認
- 信託法 第222条提出対象書類の作成・保存義務
- 信託法 第216条限定責任信託の成立要件
- 信託法 第217条債権者の引当てを信託財産に限定
- 信託法 第224条受託者の第三者に対する損害賠償責任
- 信託法 第38条受益者等の帳簿閲覧等請求権
- 民事訴訟法 第220条一般の文書提出義務、本条はその特則
- 民事訴訟法 第224条不提出の効果(本条への適用は要確認)
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