信託法 第222条(帳簿等の作成等、報告及び保存の義務等の特例)
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- 限定責任信託における帳簿その他の書類又は電磁的記録の作成、内容の報告及び保存並びに閲覧及び謄写については、第三十七条及び第三十八条の規定にかかわらず、次項から第九項までに定めるところによる。
- 2.受託者は、法務省令で定めるところにより、限定責任信託の会計帳簿を作成しなければならない。
- 3.受託者は、限定責任信託の効力が生じた後速やかに、法務省令で定めるところにより、その効力が生じた日における限定責任信託の貸借対照表を作成しなければならない。
- 4.受託者は、毎年、法務省令で定める一定の時期において、法務省令で定めるところにより、限定責任信託の貸借対照表及び損益計算書並びにこれらの附属明細書その他の法務省令で定める書類又は電磁的記録を作成しなければならない。
- 5.受託者は、前項の書類又は電磁的記録を作成したときは、その内容について受益者(信託管理人が現に存する場合にあっては、信託管理人)に報告しなければならない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
- 6.受託者は、第二項の会計帳簿を作成した場合には、その作成の日から十年間(当該期間内に信託の清算の結了があったときは、その日までの間。次項において同じ。)、当該会計帳簿(書面に代えて電磁的記録を法務省令で定める方法により作成した場合にあっては当該電磁的記録、電磁的記録に代えて書面を作成した場合にあっては当該書面)を保存しなければならない。ただし、受益者(二人以上の受益者が現に存する場合にあってはそのすべての受益者、信託管理人が現に存する場合にあっては信託管理人。第八項において同じ。)に対し、当該書類若しくはその写しを交付し、又は当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供したときは、この限りでない。
- 7.受託者は、信託財産に属する財産の処分に係る契約書その他の信託事務の処理に関する書類又は電磁的記録を作成し、又は取得した場合には、その作成又は取得の日から十年間、当該書類又は電磁的記録(書類に代えて電磁的記録を法務省令で定める方法により作成した場合にあっては当該電磁的記録、電磁的記録に代えて書面を作成した場合にあっては当該書面)を保存しなければならない。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
- 8.受託者は、第三項の貸借対照表及び第四項の書類又は電磁的記録(以下この項及び第二百二十四条第二項第一号において「貸借対照表等」という。)を作成した場合には、信託の清算の結了の日までの間、当該貸借対照表等(書類に代えて電磁的記録を法務省令で定める方法により作成した場合にあっては当該電磁的記録、電磁的記録に代えて書面を作成した場合にあっては当該書面)を保存しなければならない。ただし、その作成の日から十年間を経過した後において、受益者に対し、当該書類若しくはその写しを交付し、又は当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供したときは、この限りでない。
- 9.限定責任信託における第三十八条の規定の適用については、同条第一項各号中「前条第一項又は第五項」とあるのは「第二百二十二条第二項又は第七項」と、同条第四項第一号及び第六項各号中「前条第二項」とあるのは「第二百二十二条第三項又は第四項」とする。
この条文の基本情報
帳簿等の作成等、報告及び保存の義務等の特例とは何ですか?
定義帳簿等の作成等、報告及び保存の義務等の特例とは、信託法第222条に定められた規定で、「限定責任信託における帳簿その他の書類又は電磁的記録の作成、内容の報告及び保存並びに閲覧及び謄写については、第三十七条及び第三十八条の規定にかかわらず、次項から第…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第222条(帳簿等の作成等、報告及び保存の義務等の特例)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第222条の条文原文は「限定責任信託における帳簿その他の書類又は電磁的記録の作成、内容の報告及び保存並びに閲覧及び謄写については、第三十七条及び第三十八条の規定にかかわらず、次項から第…」で始まります。
- 信託法第222条は第二節 計算等の特例に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第222条の前の条は信託法第221条です。
- 信託法第222条の次の条は信託法第223条です。
- 信託法第222条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第222条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第222条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/222
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法222条は、限定責任信託の受託者に会計帳簿と毎年の貸借対照表・損益計算書等の作成、受益者への報告、十年または清算結了までの保存を義務付ける。
Q · 限定責任信託の受託者は、帳簿や決算書類を必ず作らないといけないの?
はい。作成と保存は必須で、報告だけ契約で調整できる
信託法222条により、限定責任信託の受託者は法務省令に従って会計帳簿を作り、効力発生日の貸借対照表と毎年の貸借対照表・損益計算書・附属明細書等を作成しなければなりません。受益者への報告は信託行為で変更できますが、作成義務と保存義務(帳簿・契約書類は十年、貸借対照表等は清算結了まで)は残ります。貸借対照表等に虚偽記載があると、受託者個人が第三者への賠償責任を負いうる点(224条2項1号)にも注意が必要です。
解説
限定責任信託の受託者は、信託のために負った債務について、自分の財布まで差し出さなくてよい(信託法217条)。普通の信託では、受託者は信託事務で負った債務を原則として自分の財産でも弁済しなければならない。その差を生む盾の代わりに課されるのが本条の会計義務である。効力発生日の貸借対照表(その日時点で何をいくら持ち、いくら借りているかの一覧)を速やかに作る。毎年、貸借対照表・損益計算書・附属明細書を作り、受益者に報告する。会計帳簿と契約書類は十年、貸借対照表等は清算が終わるまで保存する。普通の信託(37条)より一段重く、株式会社に近い規律だ。見落とされがちなのは、貸借対照表等に虚偽の記載をすると、受託者が第三者の損害を個人で賠償する責任を負いうる点である(224条2項1号)。帳簿の嘘は、そのまま盾に穴を開ける。
法的な位置づけ
信託法222条は、限定責任信託における帳簿等の作成・報告・保存および閲覧謄写に関する特則である。受託者は法務省令に従い、会計帳簿、効力発生日の貸借対照表、毎年の貸借対照表・損益計算書・附属明細書等を作成し、受益者に報告し、所定期間保存する義務を負う。通常の信託に関する37条・38条に代わって適用される。
手順
- 1.効力発生直後に開始貸借対照表を作る 限定責任信託の登記で効力が生じたら、速やかに効力発生日時点の資産・負債を洗い出し、信託計算規則に従って貸借対照表を作成する。後から遡って作ると評価根拠が曖昧になる
- 2.会計帳簿を日々記帳する 信託財産の入出金・取引を、受託者の固有財産と完全に分けて会計帳簿に記録する。賃料収入や修繕費などは証憑と紐付けて残す
- 3.毎年の計算書類を作成し受益者に報告する 法務省令で定める時期に貸借対照表・損益計算書・附属明細書等を作成し、受益者(信託管理人がいればその者)へ内容を報告する。信託行為で報告方法が変更されていないかも確認する
- 4.保存期限を台帳で管理する 会計帳簿と契約書類は作成・取得から十年、貸借対照表等は清算結了まで保存する。受益者全員への写し交付で保存義務を終えられる場面があるため、交付記録も残す
よくある質問 AI による整理
Q1限定責任信託とは何ですか?
受託者が信託のために負った債務について、自分の固有財産で責任を負わない信託です。登記により効力が生じ、その代わり本条の重い会計義務が課されます。
Q2限定責任信託の会計帳簿の保存期間はいつまで?
作成日から十年間です。ただし期間内に信託の清算が結了すれば、その日までで足ります(222条6項)。
Q3限定責任信託の貸借対照表はいつ作る?
効力が生じた後速やかに効力発生日の貸借対照表を作り、その後は毎年、法務省令で定める一定の時期に作成します(222条3項・4項)。
Q4信託計算規則とは何ですか?
信託法の委任を受けて、会計帳簿や貸借対照表などの作成方法を定める法務省令です。限定責任信託の書類は、この規則に従って作る必要があります。
Q5受託者が帳簿を作らないと違法?
本条の作成義務違反になります。信託財産に損失が出れば損失てん補責任(40条)を問われうるほか、有限責任の前提となる透明性も崩れます。
Q6限定責任信託の書類は電子保存できる?
できます。本条は書面に代えて電磁的記録で作成・保存することを認めています。保存方法は法務省令で定める方式に従う必要があります。
Q7清算が終わったら貸借対照表は捨てていい?
貸借対照表等の保存義務は清算結了の日までです。作成から十年経過後に受益者へ写しを交付した場合も、保存義務を免れます(8項)。
Q8限定責任信託の貸借対照表は誰が見られる?
受益者のほか、取引先などの利害関係人も受託者に閲覧・謄写を請求できます(38条6項を222条9項で読み替え)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1普通の信託と限定責任信託で、帳簿のルールってそんなに違うんですか?
違います。普通の信託は37条により帳簿と年次の財産状況開示資料を作りますが、限定責任信託では本条により、効力発生時の貸借対照表、附属明細書、清算結了までの貸借対照表等の保存が加わります。作成方法は法務省令(信託計算規則)に従います。実務のポイント:有限責任の手軽さだけで限定責任信託を勧める提案書は珍しくありません。毎年の会計作業を誰が担い、その報酬を誰が払うのか、見積もりに入っているかを最初に確かめてください
Q2受益者は兄弟だけなので、報告は省略していいですか?
信託行為(信託契約など)に別段の定めがあれば、5項の報告義務は変更できます。ただし書類を作成する義務(2項から4項)と保存する義務(6項から8項)は残ります。実務のポイント:家族間の信託でもめるのは、たいてい報告を省いていた信託です。義務がなくても年一回は写しを渡しておくほうが安全です。6項ただし書の交付にも当たりうるため、保存負担を軽くする手段にもなります
Q3限定責任信託と取引するとき、相手が信用できるか確かめる方法はありますか?
まず登記で限定責任信託であることと事務処理地を確認できます。そのうえで、利害関係人として貸借対照表等の閲覧・謄写を受託者に請求できます(38条6項を222条9項で読み替えて適用)。実務のポイント:受託者個人に請求できない取引では、信託財産の規模を確認しないまま与信を出すのは目隠しの融資と同じです。開示を渋る受託者は、それ自体が警告信号です
間違えやすい点 AI による整理
- 「限定責任信託なら何があっても個人の財産は安全」と思われがちだが、217条の盾は万能ではない。貸借対照表等の虚偽記載では、受託者が注意を怠らなかったことを自分で証明できない限り、第三者への個人責任を負いうる(224条2項1号)。盾の効き目は帳簿の正確さで決まる
- 帳簿義務があることは知っていても、その重さまでは知られていない。会計帳簿は十年、契約書類も十年、貸借対照表等は清算結了まで残さなければならない。しかも作成時期は「毎年」で、効力発生時の貸借対照表まで要る。家計簿の延長のつもりで始めると、三年目に作業量と責任の大きさに気付く
- 「受益者への報告を信託契約で外したから、帳簿も適当でいい」と考えるのは、問いの立て方が間違っている。信託行為で修正できるのは5項の報告義務だけだ。2項から4項の作成義務、6項から8項の保存義務は残る。報告を省いても、作る義務と残す義務は外れない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用場面 | 222条:限定責任信託 | 37条:通常の信託 224条:限定責任信託の受託者の第三者責任 |
| 作成すべき書類 | 会計帳簿、効力発生日の貸借対照表、毎年の貸借対照表・損益計算書・附属明細書等 | 帳簿等と毎年の財産状況開示資料 作成義務は定めない(虚偽記載の責任を定める) |
| 閲覧・謄写 | 38条を9項で読み替えて適用 | 38条がそのまま適用 規定なし |
| 虚偽記載の帰結 | 224条2項1号の個人責任につながる | 一般の任務違反として処理 注意を怠らなかったことを受託者が証明しない限り第三者に賠償 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾には限定責任信託制度がなく、通常の信託の帳簿作成・財産目録・収支計算表の作成と閲覧請求の規定が対応する
韓国は2011年の全部改正で유한책임신탁を導入し、日本と同様に有限責任と会計規律を組み合わせている
中国は受託者に信託事務の完全な記録の保存と、定期的な報告を求める。限定責任信託に当たる類型は設けていない
米国では受託者の情報提供・報告義務として規律され、受益者への定期報告が中心となる。州ごとに採用状況が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 父の賃貸アパート事業を限定責任信託にして、あなたが受託者に就いた。「自分の財産は守られる」と聞いて安心していたが、決算期が来ても損益計算書を作っていない。ここで守られているのは、法務省令どおりに帳簿を付けている受託者だけである
- あなたは限定責任信託と取引するリフォーム会社の経理担当だ。相手の受託者個人には請求できないと聞き、信託財産だけで本当に払えるのか不安になった。利害関係人として、貸借対照表の閲覧を受託者に請求できる(38条6項、222条9項による読替え)
- 受益者である兄から、二年前の物件売却の契約書を見せろと言われたら、どうなる? 受託者のあなたは作成・取得から十年間の保存義務を負っている。捨てていたら、説明責任の土台ごと失う
- 取引先に見せる貸借対照表で、未払金を少し小さく書いた。数か月後に信託財産が足りなくなり、債権者はあなたの個人資産に照準を合わせる。虚偽記載についての受託者個人の責任である
- 信託の清算が来月結了する。清算が終わるまで保存義務のある貸借対照表等を、事務所移転のどさくさで処分しようとしている。残り三十日で、受益者全員への写しの交付を済ませたか確認しなければならない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 限定責任信託の債権者で回収が危ういなら、まず受託者に貸借対照表等の閲覧・謄写を請求する(38条6項、222条9項)2. 記載と実態の食い違い(隠れた負債、過大な資産評価)を、取引記録と突き合わせて洗い出す3. 虚偽記載の疑いが濃ければ、受託者個人に対する損害賠償請求(224条2項1号)を弁護士と組み立てる4. 訴訟になったら、会計帳簿の提出命令(223条)を裁判所に申し立てることも検討する
訴えられた側:1. 会計帳簿、効力発生時の貸借対照表、年次書類が欠けていないか直ちに点検し、欠落部分は資料に基づいて補完する(日付を遡らせた改ざんは逆効果)2. 虚偽記載を指摘されたら、作成時に注意を怠らなかったことを示す資料(税理士とのやり取り、検証記録)を集める。立証責任は受託者側にある(224条2項ただし書)3. 受益者への報告義務を外す定めが信託行為にあるかを確認する4. 保存義務のある期間内の書類は、廃棄せず電子化して残す
時効(請求できる期限):保存期間:会計帳簿は作成日から10年、ただし期間内に清算が結了すればその日まで(6項)。契約書等の信託事務書類は作成・取得日から10年(7項)。貸借対照表等は清算結了日まで(8項)。効力発生時の貸借対照表は効力発生後「速やかに」作成する。受託者への損害賠償請求に本条固有の時効はなく、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される
学説
立法趣旨の一般的理解:限定責任信託では信託債権者の引当てが信託財産に限られるため、会社法が有限責任の株式会社に計算書類の作成・保存を求めるのと同様に、受託者に会計帳簿と貸借対照表等の作成・保存を義務付け、財務の透明性を確保する趣旨とされる
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 限定責任信託制度の創設に伴い新設。平成19年(2007年)9月30日施行。その後の改正の有無は要検証
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法全部改正により限定責任信託制度とともに新設。平成19年(2007年)9月30日施行
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