信託法 第226条(受益者に対する信託財産に係る給付に関する責任)
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- 受託者が前条の規定に違反して受益者に対する信託財産に係る給付をした場合には、次の各号に掲げる者は、連帯して(第二号に掲げる受益者にあっては、現に受けた個別の給付額の限度で連帯して)、当該各号に定める義務を負う。ただし、受託者がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。
- 一受託者当該給付の帳簿価額(以下この節において「給付額」という。)に相当する金銭の信託財産に対するてん補の義務
- 二当該給付を受けた受益者現に受けた個別の給付額に相当する金銭の受託者に対する支払の義務
- 2.受託者が前項第一号に定める義務の全部又は一部を履行した場合には、同項第二号に掲げる受益者は、当該履行された金額に同号の給付額の同項第一号の給付額に対する割合を乗じて得た金額の限度で同項第二号に定める義務を免れ、受益者が同号に定める義務の全部又は一部を履行した場合には、受託者は、当該履行された金額の限度で同項第一号に定める義務を免れる。
- 3.第一項(第二号に係る部分に限る。)の規定により受益者から受託者に対し支払われた金銭は、信託財産に帰属する。
- 4.第一項に規定する義務は、免除することができない。ただし、当該給付をした日における給付可能額を限度として当該義務を免除することについて総受益者の同意がある場合は、この限りでない。
- 5.第一項本文に規定する場合において、同項第一号の義務を負う他の受託者があるときは、これらの者は、連帯債務者とする。
- 6.第四十五条の規定は、第一項の規定による請求に係る訴えについて準用する。
この条文の基本情報
受益者に対する信託財産に係る給付に関する責任とは何ですか?
定義受益者に対する信託財産に係る給付に関する責任とは、信託法第226条に定められた規定で、「受託者が前条の規定に違反して受益者に対する信託財産に係る給付をした場合には、次の各号に掲げる者は、連帯して(第二号に掲げる受益者にあっては、現に受けた個別の給付…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第226条(受益者に対する信託財産に係る給付に関する責任)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第226条の条文原文は「受託者が前条の規定に違反して受益者に対する信託財産に係る給付をした場合には、次の各号に掲げる者は、連帯して(第二号に掲げる受益者にあっては、現に受けた個別の給付…」で始まります。
- 信託法第226条は第二節 計算等の特例に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第226条の前の条は信託法第225条です。
- 信託法第226条の次の条は信託法第227条です。
- 信託法第226条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第226条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第226条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/226
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法226条は、限定責任信託で給付可能額を超えて給付した受託者と、それを受け取った受益者に、連帯して返還する義務を課す。受益者の負担は受領額が上限となる。
Q · 限定責任信託で上限を超えて分配されたお金は、誰が返すの?
受託者と受益者が連帯して返す。受益者は受領額が上限
信託法226条1項により、給付可能額を超えて給付した受託者は、給付の帳簿価額に相当する金銭を信託財産にてん補する義務を負います。給付を受けた受益者も、現に受けた額を限度として受託者と連帯して支払義務を負い、支払われた金銭は信託財産に帰属します(3項)。受託者は注意を怠らなかったことを自ら証明すれば免責されます。義務の免除は、給付日の給付可能額の範囲で総受益者が同意した場合に限られます(4項)。
解説
限定責任信託の受託者は、信託の債権者に対して信託財産の範囲でしか責任を負わない(信託法216条)。その特権の代わりに課されるのが、受益者への給付は「給付可能額」までという上限である(225条)。この上限を超えて配った瞬間に効いてくるのが本条だ。払いすぎた受託者は、その給付の帳簿価額の全額を信託財産に戻す義務を負う。受け取った受益者も、自分が受け取った額を上限に受託者と連帯して支払う義務を負う。ポイントは二つある。第一に、受託者の側が「職務上の注意を怠らなかった」と自分で証明しない限り、責任から逃れられない。立証の負担は受託者に移されている。第二に、この義務は受益者全員が同意しても、原則として免除できない。免除できるのは、給付した日の給付可能額の範囲内に限られる。上限を超えた部分は、信託の債権者の引当てになるはずだった財産である。受益者どうしの話し合いで消してよいお金ではない。配当を受け取る側も、配る側と同じ帳簿の上に立っていることになる。
法的な位置づけ
信託法226条は、限定責任信託において給付可能額を超える給付がされた場合の責任を定める規定である。受託者は給付の帳簿価額に相当する金銭を信託財産にてん補する義務を負い、給付を受けた受益者は現に受けた額の限度で受託者と連帯して支払義務を負う。受託者は無過失を証明すれば責任を免れ、義務の免除は給付可能額の範囲に限られる。
よくある質問 AI による整理
Q1限定責任信託とは何ですか?
受託者が信託債権者に対し、信託財産の範囲でしか責任を負わない信託です。信託行為で定め、登記をすることで成立します(信託法216条)。
Q2給付可能額とは何ですか?
限定責任信託で受益者に給付できる上限額です。純資産額などを基礎に算定され、これを超える給付は信託法225条で禁止されています。
Q3受託者が複数いる場合、超過給付の責任はどうなりますか?
てん補義務を負う受託者が他にもいれば、全員が連帯債務者となります(226条5項)。決裁に関与していないという主張だけでは責任を免れません。
Q4受益者が返したお金はどこに入りますか?
受益者が受託者に支払った金銭は、受託者個人ではなく信託財産に帰属します(226条3項)。信託債権者の引当財産が元に戻る仕組みです。
Q5超過給付の返還請求に時効はありますか?
本条に特別の期間制限はなく、民法166条の一般消滅時効が適用されると解されます。知った時から5年、行使できる時から10年が目安です。
Q6上限超過を知らなかった受益者も返還しないといけない?
本条の支払義務は受益者の善意・悪意を問いません。ただし善意の受益者は、てん補した受託者からの求償について228条の制限を主張できる余地があります。
Q7家族信託にも信託法226条は適用されますか?
限定責任信託として定め登記した信託に限られます。一般的な家族信託の多くは限定責任信託ではないため、本条は直接には及びません。
Q8超過給付の責任追及訴訟の弁護士費用は誰が負担?
226条6項が45条を準用するため、受益者が責任追及訴訟で勝訴すれば、弁護士報酬の相当額などを信託財産に請求できる余地があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1分配金をもらっただけで、計算したのは受託者なのに、返さなきゃいけないんですか?
返す義務があります。本条1項2号により、受益者は現に受けた個別の給付額を上限として、受託者と連帯して支払う義務を負います。支払われたお金は受託者個人ではなく信託財産に入ります(3項)。実務のポイント:受託者が先に一部をてん補していれば、その割合に応じて受益者の負担は自動的に軽くなります(2項)。請求を受けたら、まず受託者がすでにいくら戻しているかを確認するのが第一手です
Q2受益者みんなで「返さなくていい」と決めれば済む話じゃないの?
済みません。本条4項は、この義務を原則として免除できないと定めています。例外は、給付した日の給付可能額を限度として総受益者が同意した場合だけです。上限を超えた部分は信託債権者の引当てなので、受益者の内輪の合意では消せません。実務のポイント:通常の受託者責任は受益者が免除できる(42条)ため、同じ感覚で免除の合意書を作ってしまう例があります。上限超過分については、その合意書は効力を持ちません
Q3受託者として、どうすれば責任を免れられますか?
本条1項ただし書により、職務を行うについて注意を怠らなかったことを受託者自身が証明すれば責任を負いません。立証責任は受託者側にあります。実務のポイント:実務で効くのは、給付判断の時点で作った計算資料と、税理士・公認会計士への照会記録です。後から作った説明資料は信用されにくい。分配のたびに、計算の根拠と承認の記録を日付つきで残しておくことが、最も安い保険になります
間違えやすい点 AI による整理
- 「家族信託で受け取っている生活費にもこの条文が関わる」と心配する人がいるが、問いの立て方がずれている。本条の対象は、信託行為で限定責任信託と定め、その登記をした信託(216条)に限られる。一般的な家族信託の多くは限定責任信託ではなく、本条の給付制限は直接には及ばない。まず自分の信託が登記上どちらなのかを確認するのが先である
- 「受託者がミスしたのだから、責任を負うのは受託者だけ」と思われがちだが、法律の視点では、受け取った受益者も受領額の範囲で連帯して支払義務を負う。受益者から見れば正当な配当でも、債権者から見れば守られるべき引当財産の流出である。この視点の差が、数年後の返還請求として表面化する
- 受託者の「うっかり」は免責されないことまでは知っていても、どこまで重いかは知られていない。本条は、受託者が自ら「注意を怠らなかった」と証明しない限り責任を負う構造になっている。被害を受けた側が受託者の過失を立証する通常の損害賠償とは逆で、計算書類の保存が甘い受託者ほど防御できない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 責任が生じる場面 | 信託法226条:給付時点で給付可能額を超えていた | 信託法227条:給付後、期末に欠損が生じた 信託法228条:226条の責任が生じた後の求償・債権者からの請求 |
| 責任を負う者 | 受託者(てん補)と給付を受けた受益者(受領額限度)が連帯 | 受託者が欠損額のてん補責任を負う 善意の受益者は受託者の求償に応じる義務を負わない場面がある |
| 免責・免除 | 無過失の証明で免責。免除は給付可能額の範囲で総受益者の同意がある場合のみ | 無過失の証明で免責。免除は総受益者の同意が要件 求償の制限であり、226条の対信託財産の義務そのものは消えない |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の信託法には限定責任信託制度がない。違法な盈余分派について債権者が退還を請求できる会社法の規律が、同種の問題を扱う対照先となる
韓国も2011年の信託法全面改正で有限責任信託を導入しており、受益者への給付制限を設けている
ドイツには同種の信託制度はないが、株式会社の禁止された給付を受けた株主の返還義務が、受益者の支払義務に近い発想をとる
米国では違法な分配について取締役が会社に責任を負い、事情を知って受領した株主への求償を認める設計が一般的
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 不動産の収益を受益者に配る限定責任信託で、管理会社が今期の賃料収入をそのまま全額分配した。修繕積立と未払いの工事代金を差し引けば、給付可能額はその半分程度しかなかった。受託者は超過分の全額を、受益者も自分が受け取った分を上限に、信託財産へ戻す義務を負う
- 受託者が給付可能額を超えて給付してしまったと気づいたら、受け取った受益者はどこまで返す必要がある? 答えは「自分が現に受けた額」までである。ただし受託者が先に一部を戻していれば、その分に応じて按分した額だけ負担が軽くなる(本条2項)
- あなたが受託者で、信託の決算書を確認したら過去の分配が上限を超えていた。受益者からは「全員で免除に同意するから黙っていよう」と言われた。給付可能額を超えた部分は、総受益者が同意しても免除できない(本条4項)
- 受益者の一人が信託債権者の代理人から通知を受けた。期限は二週間後で、昨年受け取った分配金の返還を求める内容である。まず「給付可能額」の計算根拠を確認し、自分が受け取った額との関係を整理しないと、反論の材料すら揃わない
- 受託者が二名いる事業信託で、一方が独断で超過給付を実行した。もう一方の受託者も同項1号の義務を負うなら、二人は連帯債務者になる(本条5項)。「自分は決裁していない」という言い分だけでは足りない
取るべき行動
被害を受けた側:信託債権者または他の受益者として超過給付を疑うなら、1. 受託者に帳簿と計算書類の閲覧を求め、給付日時点の給付可能額を特定する2. 給付額との差額を数値化する3. 受託者には信託財産へのてん補を、受領した受益者には受領額の支払を請求する。受益者が訴える場合、勝訴すれば弁護士報酬の相当額を信託財産に請求できる余地がある(本条6項による45条の準用)
訴えられた側:受託者なら、給付判断の当時の計算資料、会計専門家の意見、承認手続の記録を揃え、「注意を怠らなかった」ことの立証を準備する。受益者なら、まず自分の現実の受領額を確定し、受託者がすでにてん補した額による按分軽減(2項)を主張する。善意であれば、受託者からの求償について228条の制限が使えないかも検討する。免除の合意は給付可能額の範囲でしか効かない点に注意
時効(請求できる期限):特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。権利行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年が目安で、通常は給付日が起算の出発点になる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
一般的理解:本条は会社法462条の違法配当責任と同型の設計とされる。受託者に無過失の立証責任を負わせ、免除を給付可能額の範囲に限ることで、有限責任の特権が信託債権者を害する手段となることを防ぐと理解されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法制定 信託法の全面改正(新法制定)に伴い限定責任信託制度が導入され、給付制限違反の責任を定める本条が設けられた。施行後の文言改正の有無は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法(平成18年法律第108号)の制定により限定責任信託制度が導入され、給付制限(225条)違反の責任を定める本条が設けられた。平成19年(2007年)9月30日施行。その後の文言改正の有無は要確認。
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