信託法 第228条(欠損が生じた場合の責任)
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- 受託者が受益者に対する信託財産に係る給付をした場合において、当該給付をした日後最初に到来する第二百二十二条第四項の時期に欠損額(貸借対照表上の負債の額が資産の額を上回る場合において、当該負債の額から当該資産の額を控除して得た額をいう。以下この項において同じ。)が生じたときは、次の各号に掲げる者は、連帯して(第二号に掲げる受益者にあっては、現に受けた個別の給付額の限度で連帯して)、当該各号に定める義務を負う。ただし、受託者がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。
- 一受託者その欠損額(当該欠損額が給付額を超える場合にあっては、当該給付額)に相当する金銭の信託財産に対するてん補の義務
- 二当該給付を受けた受益者欠損額(当該欠損額が現に受けた個別の給付額を超える場合にあっては、当該給付額)に相当する金銭の受託者に対する支払の義務
- 2.受託者が前項第一号に定める義務の全部又は一部を履行した場合には、同項第二号に掲げる受益者は、当該履行された金額に同号の給付額の同項第一号の給付額に対する割合を乗じて得た金額の限度で同項第二号に定める義務を免れ、受益者が同号に定める義務の全部又は一部を履行した場合には、受託者は、当該履行された金額の限度で同項第一号に定める義務を免れる。
- 3.第一項(第二号に係る部分に限る。)の規定により受益者から受託者に対し支払われた金銭は、信託財産に帰属する。
- 4.第一項に規定する義務は、総受益者の同意がなければ、免除することができない。
- 5.第一項本文に規定する場合において、同項第一号の義務を負う他の受託者があるときは、これらの者は、連帯債務者とする。
- 6.第四十五条の規定は、第一項の規定による請求に係る訴えについて準用する。
この条文の基本情報
欠損が生じた場合の責任とは何ですか?
定義欠損が生じた場合の責任とは、信託法第228条に定められた規定で、「受託者が受益者に対する信託財産に係る給付をした場合において、当該給付をした日後最初に到来する第二百二十二条第四項の時期に欠損額(貸借対照表上の負債の額が資産の額…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第228条(欠損が生じた場合の責任)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第228条の条文原文は「受託者が受益者に対する信託財産に係る給付をした場合において、当該給付をした日後最初に到来する第二百二十二条第四項の時期に欠損額(貸借対照表上の負債の額が資産の額…」で始まります。
- 信託法第228条は第二節 計算等の特例に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第228条の前の条は信託法第227条です。
- 信託法第228条の次の条は信託法第229条です。
- 信託法第228条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第228条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第228条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/228
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法228条は、限定責任信託で給付後最初の決算期に欠損が出た場合、受託者と給付を受けた受益者に連帯して欠損てん補・支払義務を課す。受託者の無過失証明で免責。
Q · 限定責任信託の配当を受け取った後に決算で赤字が出たら、配当は返さないといけないの?
原則返す義務あり。受託者の無過失証明があれば免れる
信託法228条により、給付をした日の後に最初に到来する222条4項の時期に欠損額が生じた場合、給付を受けた受益者は、欠損額と現に受けた個別の給付額のうち小さい方を上限として、受託者と連帯して支払義務を負います。給付可能額の範囲内で行われた適法な給付にも適用されます。ただし受託者が職務上の注意を怠らなかったことを証明した場合は、受託者・受益者ともに責任を負いません。
解説
限定責任信託の受託者は、信託が負った借金を自分の財布で払わなくてよい。債権者が差し押さえられるのは信託財産だけである(217条)。法はこの特権と引き換えに、配当の出口に二つ目の鍵をかけた。一つ目は、給付可能額を超える配当の禁止である(225条、226条)。二つ目が本条だ。ルールの範囲内で配った配当でも、配った日の後に最初に来る決算期(222条4項)に貸借対照表が債務超過(負債が資産を上回る状態)になっていれば、受託者は欠損額を信託財産に埋め戻さなければならない。配当を受けた受益者も、受け取った額を上限に、受託者と連帯して払い戻す義務を負う。上限は欠損額と給付額のうち小さい方である。免れる道は一つしかない。受託者が「職務上の注意を怠らなかった」と自分で証明することだ。証明できない限り、責任は受託者の側に残る。受け取った配当は、次の決算を越えるまで確定したあなたのお金ではない。配る側も受け取る側も、決算期をまたぐまで帳簿から目を離せない
法的な位置づけ
信託法第228条は、限定責任信託における欠損てん補責任を定める規定であり、受益者への給付後最初に到来する決算期に貸借対照表上の欠損額が生じた場合、受託者には欠損額と給付額のいずれか小さい額の信託財産へのてん補義務を、給付を受けた受益者には個別給付額を限度とする支払義務を連帯して課す。受託者の無過失証明により免責される。
手順
- 1.給付決定時の判断記録を作成する 受託者は、給付を決める日に資産評価の根拠、市況の検討内容、給付可能額の計算過程を書面で残す。228条1項ただし書の「注意を怠らなかったこと」の証明材料になる
- 2.受益者ごとの給付明細を保存する 給付ごとに、どの受益者にいくら支払ったかを記録する。受益者の責任上限(個別の給付額)と2項の割合計算の基礎になる
- 3.給付後最初の決算期に欠損の有無を判定する 給付をした日の後に最初に到来する222条4項の時期に貸借対照表を作成し、負債が資産を上回っていないかを確認する。欠損があれば欠損額を算出する
- 4.責任額を算定し、てん補・支払を処理する 受託者は欠損額と給付額の小さい方、受益者は欠損額と個別給付額の小さい方を上限として責任額を確定する。一方が支払えば他方の義務は2項に従い減少する
- 5.免除する場合は総受益者の同意を取り付ける 責任を免除するには総受益者の同意が必要(228条4項)。一人でも欠ければ免除できないため、全受益者から書面で同意を取得する
よくある質問 AI による整理
Q1欠損てん補責任とは何ですか?
限定責任信託で給付後の最初の決算期に負債が資産を上回った場合、受託者が欠損額を信託財産に埋め戻す責任です(信託法228条1項1号)。
Q2信託法228条の欠損額はどう計算する?
貸借対照表上の負債の額から資産の額を差し引いた額です。負債が資産を上回る場合にのみ欠損額が生じます。
Q3信託の欠損責任 いつの決算で判断される?
給付をした日の後に最初に到来する222条4項の時期です。その時点で欠損がなければ、本条の責任は生じません。
Q4受益者が払い戻したお金はどこに行く?
受益者から受託者に支払われた金銭は信託財産に帰属します(228条3項)。受託者個人の財産にはなりません。
Q5受託者が複数いる場合、欠損責任はどうなる?
同じてん補義務を負う他の受託者がいるときは、全員が連帯債務者になります(228条5項)。1人に全額を請求することもできます。
Q6信託 配当 返還 時効は何年?
本条固有の時効はなく、民法166条の一般の消滅時効(知った時から5年、行使できる時から10年)によると解されます。
Q7欠損責任を追及する訴訟の費用は誰が負担する?
228条6項が45条を準用しており、請求に係る訴訟の費用や弁護士報酬の相当額を信託財産から支払を受けられる余地があります。
Q8受託者が注意を怠らなかったと証明するには?
給付決定時の資産評価、市況の検討、給付可能額の計算過程などを記録で示す必要があります。事後に集めた資料では証明力が弱くなります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1配当って、ちゃんとルール通りもらったのに返せって言われることあるんですか?
あります。信託法228条は、給付可能額の範囲内で行われた配当にもかかります。配当日の後に最初に来る決算期に欠損が出れば、受け取った額を上限に受託者と連帯して支払う義務を負います。実務のポイント:受益者の義務は、受託者が注意を尽くしたと証明できれば消えます。払い戻しを求められたら、まず受託者にその証明ができるのかを確認する。受託者の記録の厚さが、あなたの払い戻し額を決めることになる
Q2受託者が払ったら、受益者の分も消えるんですか?
割合に応じて消えます。2項により、受託者がてん補した額に、受益者の給付額が全体の給付額に占める割合を掛けた額の限度で、受益者は義務を免れます。逆に受益者が払えば、その額だけ受託者の義務が減ります。実務のポイント:受益者が複数いるとき、誰がいくら受け取ったかの個別記録が曖昧だと計算が止まる。配当ごとの明細を保存している受益者ほど、交渉で強い立場に立てる
Q3受益者全員で話し合えば、この責任をなかったことにできますか?
総受益者の同意があれば免除できます(228条4項)。逆に言えば、一人でも反対すれば免除できません。実務のポイント:受益者が全員合意しても、信託の債権者が損をする構図は残ります。免除の効力そのものとは別に、債権者を害する目的の合意と見られれば、詐害行為取消権(民法424条)などで争われるリスクがないか、別途検討しておくべきである
間違えやすい点 AI による整理
- 「給付可能額の範囲内で配当したのだから適法で、後から責任を問われることはない」と考えがちだが、本条は適法な配当にもかかる。配った時点で適法かどうかを問うのは225条と226条で、本条が見るのは配った後の最初の決算期の結果である。問われる段階が違う
- 受益者は「自分は受け取っただけで、経営判断には関わっていない」と考える。受託者の目から見ればその通りだが、条文から見れば、受け取った額の限度で受託者と連帯して払い戻す当事者である。本条には、事情を知らなかった受益者を外す規定がない(226条の責任について受託者の求償を制限する227条とは構造が違う)。この落差が、配当を生活費に使い切った受益者を追い詰める
- 受託者の免責は「過失がなかったこと」を誰かが立証すれば足りると思われがちだが、深刻さを見誤っている。証明するのは受託者自身であり、証明できなければ責任が残る。しかも受託者が免責されれば受益者の義務も同時に消えるので、受託者がどれだけ記録を残していたかが、受益者の財布まで左右する
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の性質 | 信託法228条:給付後の決算結果による事後責任 | 信託法226条:給付制限に違反した給付のてん補責任 信託法225条:給付可能額を超える給付の禁止(事前規制) |
| 判断の基準時 | 給付日の後に最初に到来する222条4項の時期 | 給付をした時点 給付をする時点 |
| 対象となる給付 | 給付可能額の範囲内の適法な給付も含む | 給付可能額を超えてされた給付 給付可能額を超える給付 |
| 受益者の立場 | 個別の給付額を限度に受託者と連帯。善意の受益者を外す規定なし | 給付を受けた受益者も支払義務を負い、善意の受益者への受託者の求償は227条で制限 禁止規定であり、受益者の責任は226条で処理 |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾信託法には限定責任信託制度がなく、本条に直接対応する規定はない。会社の違法な盈餘分派の返還(公司法第233条)が機能的に近い参考となる
韓国は2011年の信託法全部改正で有限責任信託を導入しており、給付制限を含む同種の規律を置くが、条文単位の対応は要確認
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 太陽光発電の限定責任信託から、受益者のあなたに年200万円の配当が入った。三か月後に大型パネルが台風で全損し、決算期の貸借対照表は150万円の債務超過。受託者が注意を尽くしたと証明できなければ、あなたは150万円を上限に、受託者と連帯して払い戻しを求められうる
- 受託者として配当を決めたのはあなただ。市況の悪化は分かっていたが、「今期は給付可能額の範囲内だから大丈夫」と判断した。決算で欠損が出た瞬間、欠損額に相当する金銭を信託財産へ埋め戻す義務が、あなた個人にのしかかる
- 配当を受け取った後に信託が傾いたら、受け取った分を全部返さないといけないのか? 違う。返す上限は欠損額と、あなたが実際に受け取った額のうち小さい方である
- 決算日まであと10日。受託者のあなたは、今期の配当判断に使った資産評価の資料と、市況についての検討メモがフォルダに残っているか確認していない。その記録が、免責を証明できるかどうかの唯一の材料になる
- 受益者の一人が「欠損の責任なんて免除してしまおう」と言い出した。本条4項によれば、総受益者の同意がなければ免除できない。一人でも反対すれば、話はそこで終わる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 信託の債権者や他の受益者として欠損で不利益を受けたら、まず222条に基づく貸借対照表と給付の記録を確認する2. 給付日と、その後最初に来た決算期での欠損額を特定し、本条のてん補請求が成り立つか整理する3. 受託者に注意義務違反をうかがわせる資料(市況の警告を無視した記録など)を集める4. 訴えが必要なら、6項が準用する45条により、勝訴すれば弁護士費用などの相当額を請求できる余地がある。誰が請求権者になるかは事案によって解釈が分かれうるので、信託に詳しい弁護士に確認する
訴えられた側:1. 受託者なら、配当決定時の資産評価・市況分析・給付可能額計算の資料を直ちに保全する。これが注意を怠らなかったことの証明材料になる2. 責任額が欠損額と給付額の小さい方に限られることを確認する3. 受益者なら、自分が実際に受け取った個別の給付額を上限として主張し、受託者がすでに払った分は2項により割合に応じて減額されることを確認する4. 免除には総受益者の同意が必要(4項)なので、和解の道を探るなら全受益者との調整が前提になる
時効(請求できる期限):本条固有の時効はない。一般の消滅時効(民法166条:権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年)が適用されると解される。責任発生の基準時は、給付日の後に最初に来る222条4項の決算期である(最新の改正状況をご確認ください)
学説
制度趣旨の理解:受託者の有限責任と引き換えに信託債権者の引当財産を確保するため、給付時の財源規制(225条・226条)に加え、事後の決算結果に基づく責任を置いたものと理解される。会社法465条と同趣旨の設計とされる
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 限定責任信託制度の創設に伴い新設されたものと解される。その後の改正の有無は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法全部改正(平成18年法律第108号)により限定責任信託制度が創設され、その計算等の特則の一つとして新設。その後の改正の有無は要確認
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