信託法 第71条(信託財産管理者の報酬等)
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- 信託財産管理者は、信託財産から裁判所が定める額の費用の前払及び報酬を受けることができる。
- 2.前項の規定による費用又は報酬の額を定める裁判をする場合には、信託財産管理者の陳述を聴かなければならない。
- 3.第一項の規定による費用又は報酬の額を定める裁判に対しては、信託財産管理者に限り、即時抗告をすることができる。
この条文の基本情報
信託財産管理者の報酬等とは何ですか?
定義信託財産管理者の報酬等とは、信託法第71条に定められた規定で、「信託財産管理者は、信託財産から裁判所が定める額の費用の前払及び報酬を受けることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第71条(信託財産管理者の報酬等)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第71条の条文原文は「信託財産管理者は、信託財産から裁判所が定める額の費用の前払及び報酬を受けることができる。」で始まります。
- 信託法第71条は第四款 信託財産管理者等に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第71条の前の条は信託法第70条です。
- 信託法第71条の次の条は信託法第72条です。
- 信託法第71条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第71条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第71条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/71
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法71条により、信託財産管理者は信託財産から裁判所が定める額の費用の前払と報酬を受けられる。額の裁判に即時抗告できるのは管理者本人に限られる。
Q · 信託財産管理者の報酬って、誰がどうやって決めて、どこから払われるの?
信託財産から支払われ、額は裁判所が決める
信託法71条1項により、信託財産管理者は信託財産から、裁判所が定める額の費用の前払と報酬を受けられます。額を決める裁判では管理者の陳述を聴く必要があり(同条2項)、その裁判に即時抗告できるのは管理者だけです(同条3項)。受益者は額を直接争えないため、新受託者の選任申立て(62条)などで管理期間を短くすることが、信託財産の目減りを抑える現実的な手段になります。
解説
家族信託で受託者を引き受けた長男が脳梗塞で倒れ、後見開始の審判を受けた。その時点で長男の受託者としての任務は終わる(信託法56条1項)。後継の受託者を決めていなければ、親の財産を動かせる人がいなくなる。利害関係人が申し立てると、裁判所は信託財産管理者(受託者の代わりに財産を預かる、裁判所が選ぶ管理人で、多くは弁護士)を選任する。本条により、その人の費用と報酬は信託財産から支払われる。額を決めるのは裁判所で、受益者との交渉では決まらない。さらに、額に不服を申し立てる即時抗告ができるのは管理者本人だけである。財産が減る側の受益者には、条文上この手段がない。報酬額を争える余地は手続上ほとんど残っていない。そのため、いちばん効く守り方は、管理者が必要になる状況そのものを契約の段階でなくしておくことである。
法的な位置づけ
信託法第71条は、受託者の任務終了後に信託財産管理命令によって選任された信託財産管理者の費用及び報酬に関する規定である。費用の前払と報酬は信託財産から支払われ、その額は裁判所が管理者の陳述を聴いたうえで定める。額を定める裁判に対する即時抗告権は、信託財産管理者に限って認められる。
よくある質問 AI による整理
Q1信託財産管理者とは何ですか?
受託者の任務が終わり新受託者が決まらないときに、裁判所の信託財産管理命令で選ばれ、信託財産を管理・処分する人です。弁護士が選ばれることが多いとされます。
Q2信託財産管理命令はどんなときに出されますか?
受託者の任務が終了し、新受託者が選任されていない場合などに、利害関係人の申立てにより裁判所が必要と認めたとき発令されます(信託法63条)。
Q3信託財産管理者は費用を前払でもらえますか?
もらえます。信託法71条1項は、裁判所が定める額の費用の前払を信託財産から受けられると定めています。立替えを前提としない設計です。
Q4報酬額を決める裁判で管理者は意見を言えますか?
言えます。裁判所は額を定める前に、信託財産管理者の陳述を聴かなければなりません(信託法71条2項)。業務記録を示す機会になります。
Q5信託財産が少ないとき管理者の報酬はどうなりますか?
条文上の支払元は信託財産です。換価できる財産が乏しい事案では、申立人が費用の予納を求められることがあるため、申立て前に裁判所へ確認するのが安全です。
Q6受託者が死亡した場合の管理人の報酬も同じですか?
同じ枠組みです。受託者死亡で選任される信託財産法人管理人には本条が準用され(信託法74条)、費用と報酬は信託財産から支払われます。
Q7信託財産管理者の任務はいつ終わりますか?
新受託者が就任し、信託事務の引継ぎが終わると管理は終了します(信託法72条)。新受託者の選任が遅れるほど管理期間は長くなります。
Q8受託者がいない状態が続くと信託はどうなりますか?
受託者が欠けて新受託者が就任しない状態が1年間継続すると、信託は終了します(信託法163条3号)。続けたいなら早めの選任申立てが必要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1管理者の報酬って、相場はいくらくらいなんですか?
法律に決まった額はなく、裁判所が信託財産の規模、管理の難しさ、期間を考えて決める(本条1項)。公表された一律の基準もない。実務のポイント:財産が少なく報酬の原資が足りない事案では、申立人が予納金を求められることがある。申立て前に裁判所書記官へ費用の見込みを問い合わせておけば、後から想定外の出費に驚かずに済む
Q2受益者なのに、報酬の額に文句を言えないって本当?
本当である。額を定める裁判に即時抗告できるのは、信託財産管理者に限られている(本条3項)。受益者が使えるのは、管理者の解任申立て(70条)や新受託者の選任申立て(62条)といった別の手段である。実務のポイント:報酬額を下げようと争うより、新受託者の候補を早く立てて管理期間を短くする方が、信託財産から出ていく総額を確実に減らせる
Q3後継受託者を決めておけば、管理者は来ないんですか?
信託行為で定めた後継者が就任を承諾すれば、信託財産管理命令(63条)が出されることは通常ない。定めがない場合でも、委託者と受益者の合意で新受託者を選べる(62条1項)。実務のポイント:家族信託では親が委託者と受益者を兼ねることが多い。その親が認知症になると、この合意ができず、裁判所を通すしかなくなる。後継受託者を二人書いておくかどうかで、結果が大きく変わる
間違えやすい点 AI による整理
- 「管理者の報酬は誰が払うのか」と心配する申立人や受益者は多いが、その問いの立て方がずれている。払うのは信託財産そのもの(本条1項)で、受益者が受け取るはずだった価値が目減りする形で、結局は全員が負担する。考えるべきは誰が払うかではなく、管理者をどれだけの期間置くかである
- 裁判所が額を決めるので安心だと考えるのは、半分しか正しくない。報酬を一方的につり上げられることは防げるが、管理期間が延びれば報酬は積み上がっていく。新受託者の選任(62条)が遅れるほど、裁判所が妥当と認めた額で信託財産が削られ続ける
- 受益者から見れば、自分の財産から払われる報酬である。しかし手続上、額の決定は裁判所と管理者の間で完結しており、即時抗告権は管理者に限られる(本条3項)。報酬額に不満があっても、争う窓口はそこにはない。使えるのは、管理者の解任申立て(70条)や新受託者の選任申立てという別の手段である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律対象 | 信託法71条:信託財産管理者の費用の前払と報酬 | 信託法74条:受託者死亡時の信託財産法人管理人(本条を準用) 信託法54条:受託者自身の信託報酬 |
| 額の決め方 | 管理者の陳述を聴いたうえで裁判所が定める | 準用により同じく裁判所が定める 信託行為の定め(または商法512条の適用)による |
| 支払元 | 信託財産 | 信託財産(法人化された信託財産) 信託財産 |
| 受益者が取れる手段 | 額への即時抗告は不可。解任申立て(70条)・新受託者選任申立て(62条) | 準用により同様の構造 信託行為の内容と受託者の義務違反を通じて争う |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は受託者変更時に法院が新受託者を選任し必要な処分をする構造。管理人報酬の決定手続を日本ほど細かく条文化しているかは要確認
韓国も2011年全部改正で信託財産管理人制度を整備しており、日本法と同種の事項を規律する
フランスのフィデュシーでは、受託者の義務違反等の場合に裁判所へ暫定管理人の選任を求められる
米国統一信託法典は受託者欠缺時の後任選任と、受託者の合理的報酬を別条で定める。州ごとの採用状況は異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 認知症の母のために組んだ家族信託で、受託者の兄が倒れて後見開始となり、後継受託者の定めもなかったら、どうなる? 賃貸アパートの家賃を受け取る人も、修繕を発注する人もいなくなる。裁判所が選んだ管理者が入り、その費用と報酬は母の信託財産から支払われていく
- あなたは弁護士で、信託財産管理者に選ばれた。信託財産は郊外の土地と預金30万円だけで、固定資産税を払えば報酬の原資はほとんど残らない。条文上は費用の前払を受けられるが、財源がなければ実際には受け取れない。就任前に、換価できる財産があるか、申立人が費用を予納しているかを確認しておく必要がある
- 信託の収支報告を見た受益者の妹は、管理者報酬がまとまった額で引かれていることに気付いた。だが、その額に即時抗告できるのは管理者本人だけである。
- 受託者がいない状態が始まってから、まもなく1年になる。新受託者が就任しないまま1年続くと、信託そのものが終了する(信託法163条3号)。信託を続けたいなら、残り数か月で新受託者の候補を立てて選任申立てを済ませなければならない
- 報酬決定の告知を受けた管理者のあなたは、業務量に比べて額が低すぎると感じた。即時抗告の期間は短く、数日迷っているうちに過ぎてしまう。業務記録を添えて争うなら、告知を受けた当日から書面の準備を始めるべきである
取るべき行動
被害を受けた側:1. 管理命令が出たら、管理者が誰かと、信託財産の目録の内容を把握する2. 報酬額そのものは争えないので、新受託者の候補を立てて選任申立て(62条)を急ぎ、管理期間を短くする3. 管理者の職務に重大な問題があれば、解任の申立て(70条)を検討する4. 受託者がいない状態が1年続くと信託は終了する(163条3号)。続けるか終わらせるかの方針を、家族で早めに決めておく
訴えられた側:1. 就任時に、信託財産で換価できるものがあるか、申立人が費用を予納しているかを確認し、費用の前払を早めに申し出る2. 業務の時間と内容を日ごとに記録しておき、報酬決定の前に陳述を聴かれる機会(本条2項)に具体的に示す3. 決定額が相当でなければ、期間内に即時抗告する(本条3項) 4. 新受託者への引継ぎ(72条)に備えて、記録を整理しておく
時効(請求できる期限):報酬と費用の額を定める裁判に対する即時抗告は、非訟事件手続法の期間に従う。終局決定であれば告知を受けた日から2週間(同法67条)、それ以外の裁判であれば1週間(同法81条)で、本件の決定がどちらに当たるかは実務上確認が必要である。また、受託者が欠けて新受託者が就任しない状態が1年続くと、信託は終了する(信託法163条3号)(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 現行信託法の制定で設けられた規定。旧信託法の制度との対応関係と、その後の改正(非訟事件手続法の制定に伴う整備を含む)の有無は、人による検証が必要
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法の全部改正(平成18年法律第108号)により、信託財産管理命令制度とあわせて設けられた規定。その後の改正の有無は e-Gov の改正履歴で要確認
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