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出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 収録時点 令和8年7月4日読了 7 分7 分7 分

信託法 第80条(信託事務の処理の方法)

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  1. 受託者が二人以上ある信託においては、信託事務の処理については、受託者の過半数をもって決する。
  2. 2.前項の規定にかかわらず、保存行為については、各受託者が単独で決することができる。
  3. 3.前二項の規定により信託事務の処理について決定がされた場合には、各受託者は、当該決定に基づいて信託事務を執行することができる。
  4. 4.前三項の規定にかかわらず、信託行為に受託者の職務の分掌に関する定めがある場合には、各受託者は、その定めに従い、信託事務の処理について決し、これを執行する。
  5. 5.前二項の規定による信託事務の処理についての決定に基づく信託財産のためにする行為については、各受託者は、他の受託者を代理する権限を有する。
  6. 6.前各項の規定にかかわらず、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
  7. 7.受託者が二人以上ある信託においては、第三者の意思表示は、その一人に対してすれば足りる。ただし、受益者の意思表示については、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

この条文の基本情報

信託事務の処理の方法とは何ですか?

定義信託事務の処理の方法とは、信託法第80条に定められた規定で、「受託者が二人以上ある信託においては、信託事務の処理については、受託者の過半数をもって決する。」と規定しています。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 信託法第80条(信託事務の処理の方法)は、日本の信託法に含まれる条文です。
  2. 信託法第80条の条文原文は「受託者が二人以上ある信託においては、信託事務の処理については、受託者の過半数をもって決する。」で始まります。
  3. 信託法第80条は第六節 受託者が二人以上ある信託の特例に置かれています。
  4. 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
  5. 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
  6. 信託法第80条の前の条は信託法第79条です。
  7. 信託法第80条の次の条は信託法第81条です。
  8. 信託法第80条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式信託法(平成十八年法律第百八号)第80条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108
  • 本サイト収録信託法(平成十八年法律第百八号)第80条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/80

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点信託法80条は、受託者が二人以上いる信託では信託事務の処理を過半数で決すると定める。保存行為は単独で可能で、職務分掌や別段の定めがあればそれが優先する。

Q · 家族信託で受託者を兄弟二人にしたら、意見が割れたときどうなる?

定めがなければ二人とも同意しない限り決まらない

信託法80条1項は、受託者が二人以上いる場合、信託事務の処理を受託者の過半数で決すると定めます。二人の過半数は二人なので、一人が反対すれば決定できません。単独でできるのは保存行為だけです(2項)。信託契約に職務分掌の定め(4項)や別段の定め(6項)があればそれに従うため、膠着を避けるには契約締結前に分担や決定方法を書き込んでおくことが重要です。

解説

家族信託の設計図で「受託者は長男と次男の二人」という案が出たら、その場で手を止めてほしい。信託法80条1項は、受託者が二人以上いるとき、信託事務の処理は受託者の過半数で決めると定めている。二人の過半数は二人である。つまり兄弟受託者は、実際には全員一致でなければ何も決められない。弟がひとり首を横に振るだけで、親の介護費用のための実家売却は止まる。単独でできるのは保存行為(財産の現状を守るための最低限の行為。雨漏りの修理や時効の更新など)だけだ(2項)。この詰みを避ける手段も同じ条文の中にある。信託契約で職務分掌(受託者ごとの担当範囲の分担。例:不動産は長男、預金は次男)を決めれば、各自が担当分野を単独で決めて執行できる(4項)。別段の定めを置けば、「長男の判断を優先する」といった決め方も選べる(6項)。数の上で公平に見える「二人体制」が、実は一番動かない形でもある。それを知っていれば、署名の前に契約書へ一行を足すだけで済む。

法的な位置づけ

信託法80条は、受託者が二人以上ある信託における意思決定と執行の方法を定める規定である。信託事務の処理は受託者の過半数で決し、保存行為は各受託者が単独で決することができる。信託行為に職務分掌の定めがあれば各受託者が担当範囲を単独で決して執行し、別段の定めがあればそれに従う。

よくある質問 AI による整理

Q1共同受託者とは?

一つの信託で受託者が二人以上いる場合の各受託者のことです。信託財産は合有となり(信託法79条)、事務処理は原則として過半数で決します(80条1項)。

Q2家族信託 受託者 二人 デメリットは?

過半数が二人全員になるため、一人の反対で処分も管理方針も決められなくなります。職務分掌や別段の定めがなければ膠着しやすい形です。

Q3受託者が三人なら何人の賛成で決められる?

信託行為に別段の定めがなければ過半数、つまり二人の賛成で決められます(信託法80条1項)。決定後は各受託者が執行できます(3項)。

Q4共同受託者が一人で修繕を発注できる?

修繕などの保存行為であれば、他の受託者の同意なく単独で決して発注できます(信託法80条2項)。処分や大規模改修は保存行為に当たらない可能性があります。

Q5職務分掌とは何?信託契約にどう書く?

受託者ごとの担当範囲の分担です。例えば「不動産の管理・処分は受託者A、金銭の管理は受託者B」と信託契約に定めれば、各自が担当分野を単独で決して執行できます。

Q6共同受託者は互いに代理できる?

過半数の決定または職務分掌に基づく信託財産のための行為については、各受託者が他の受託者を代理する権限を持ちます(信託法80条5項)。

Q7信託法80条の別段の定めでできることは?

過半数決に代えて特定の受託者の判断を優先させる、全員一致を求めるなど、決定方法を信託行為で自由に設計できます(6項)。

Q8共同受託者への通知は全員に送る必要がある?

第三者からの意思表示は受託者の一人にすれば足ります(信託法80条7項本文)。受益者からの意思表示は、信託行為に別段の定めがあればそれに従います。

この条文についての質問 AI による整理

Q1受託者が二人で意見が割れたら、どうしようもないんですか?

契約に何も定めがなければ、二人の過半数は二人なので決定できない(80条1項)。打てる手は、保存行為なら単独で行う(2項)、関係者の合意で信託を変更する(149条)、裁判所に受託者の解任を申し立てる(58条)の三つ。実務のポイント:本当の解決策は設計段階にある。経験のある専門家は、受託者を一人にして後継受託者を指名する形を勧めることが多い

Q2兄が勝手に信託の土地を売る契約をしてきました。止められますか?

過半数の決定も職務分掌の根拠もなければ、受託者の権限を超えた行為になりうる。受益者は、相手方が権限違反を知っていたか重過失で知らなかった場合に取り消せる(27条。共同受託者の単独行為への当てはめは実務上、解釈が分かれている)。実務のポイント:登記が移る前なら差止め(44条)の方が圧倒的に効く。登記後に争うコストは桁が違う

Q3もう一人の受託者に「全部任せた」と言っておけば楽ですよね?

楽だが違法になりうる。信託行為に別段の定めがあるか、やむを得ない事由がある場合を除き、常務以外の決定を他の受託者に委ねることはできない(82条)。実務のポイント:任せた側も、相手の任務違反で生じた損失について連帯責任を問われうる(85条)。名前だけの受託者が一番危ない

Q4信託アパートの家賃減額の申し入れは、受託者全員に送るべきですか?

一人に届けば足りる(80条7項本文)。第三者からの意思表示は、受託者の一人に対して行えば全員に効力が及ぶ。ただし受益者からの意思表示は、信託行為に別段の定めがあればそれに従う(同項ただし書)。実務のポイント:管理窓口になっている受託者に、配達証明付きで送るのが確実である

間違えやすい点 AI による整理

  • 「受託者を二人にすれば、片方が暴走してもう片方が止められるから安全」と考える人は多い。止める力はたしかに働く。ただし二人体制では、正しい判断も一人が反対すれば止まる。暴走を防ぐ仕組みと、何も決まらなくなる仕組みは、同じ一つの構造である
  • 複数の受託者がいる場合に何が問題になるか、という問いの立て方そのものがずれている。法律上の焦点は「誰が正しいか」ではなく「誰が決める権限を持つか」だ。80条は内容の是非を判断しない。決め方の手順だけを決めている。だから揉める前に職務分掌や別段の定めで手順を設計した側が、内容の議論でも主導権を握る
  • 受託者の目には、もう一人の受託者は「相棒」に見える。法律から見ると、決定に基づく行為については互いに代理権を持ち合う関係であり(80条5項)、信託事務で負った債務は原則として連帯債務になる(83条)。相棒が勝手に結んだ契約の請求書が自分に届く。この落差を知らないまま受託者を引き受けるのは危うい
  • 「旧法時代の解説では全員一致が原則だった」という知識だけで止まっている人もいる。平成18年(2006年)の全部改正で原則は過半数決に変わった。古い本や古い契約書のひな形を流用すると、現行の初期設定とずれた前提で設計してしまう
比較の観点この条文ほかの条文
規律の対象信託法80条:共同受託者の意思決定と執行の方法信託法82条:他の受託者への決定の委託の制限
信託法83条:信託事務の処理で負担した債務の負担関係
原則ルール過半数で決する(保存行為は各自単独)常務以外の決定を他の受託者に委託することはできない
各受託者が連帯債務者となる
修正・例外職務分掌の定め(4項)、別段の定め(6項)が優先信託行為に別段の定めがある場合、やむを得ない事由がある場合
職務分掌の定めがある場合、他の受託者は原則として信託財産の範囲で責任を負う(2項)
設計上の意味決め方の初期設定。二人体制では実質全員一致になる「名前だけの受託者」を認めない歯止め
共同受託者の個人財産にまで責任が及ぶリスクの源

他国ではどう定めているか 4 か国

台湾
中華民国信託法第28条

台湾は旧日本法と同様に共同処理を原則とし、経常事務・保存行為を除き受託人全員で行う。意見が一致しない場合は受益人全員の同意を要し、それも割れれば裁判所に裁定を求める。日本の現行法より膠着しやすい設計である

韓国
신탁법 제50조

韓国も受託者が複数の場合は信託財産を合有とし、信託事務は共同処理を原則とする。日本旧法の系譜を色濃く残している

中国
信托法 第31条・第32条

中国も共同処理が原則で、信託文書が分担を定めればそれに従う。意見不一致時は信託文書、定めがなければ委託者・受益者等が決定する

アメリカ
Uniform Trust Code § 703

米国統一信託法典は、全員一致に至らない共同受託者は多数決で行動できるとし、日本の現行法と同じ方向にある。州ごとの採用状況は異なる

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • 父の認知症が進み、施設入居の一時金800万円が必要になった。信託財産である実家を売りたい長男に対し、共同受託者の次男は「思い出の家だから」と反対している。二人の過半数は二人。契約に別段の定めがなければ、売買契約書には誰の判断で判子を押せばいいのか、という問いにすら答えが出ない
  • 台風で信託不動産のアパートの屋根が飛び、入居者から雨漏りの苦情が来た。もう一人の受託者は海外出張中で連絡がつかない。待つ必要はない。修繕は保存行為なので、あなた一人の判断で業者に発注できる(80条2項)
  • もし共同受託者の兄が、あなたに相談しないまま信託口口座から300万円を引き出して株を買っていたら、どうなる? 過半数の決定も職務分掌の根拠もない行為なら、権限を超えた行為として争える。受益者である母が差止めを求めることもできる(44条)
  • あなたは信託財産であるアパートの入居者で、契約を解約したい。受託者は三人いるが、通知は管理を担当している一人に届けば足りる(80条7項本文)。三人全員に内容証明を送る必要はない
  • 信託契約の調印は来週。司法書士の案には受託者として兄弟二人の名前が並んでいるが、職務分掌の条項はない。調印前の今なら一行で直せる。調印後に直すには、変更の合意を取り直さなければならない

取るべき行動

被害を受けた側:1. 共同受託者が単独で処分や出金をしたら、まず信託契約で職務分掌や別段の定めを確認し、その行為に権限の根拠があるかを洗い出す2. 信託口口座の取引履歴、登記事項証明書、契約書の写しを確保する3. 受益者に事情を伝え、著しい損害のおそれがあれば差止請求(44条)を検討する4. 損失が生じていれば損失てん補責任(40条)を追及する。複数の受託者が任務に違反した場合は連帯責任になる(85条)

訴えられた側:1. 自分の行為が保存行為(2項)か、職務分掌の担当範囲内(4項)か、過半数の決定(1項)に基づくかを整理する2. 決定の根拠となるメール、LINE、議事メモを保存する。口頭の了承だけでは後から争われやすい3. 根拠が弱い場合は、他の受託者から追認を得るか、受益者の同意書を取り付ける4. 膠着が続くなら、受託者の辞任(57条)や、裁判所への受託者解任の申立て(58条)という出口も視野に入れる

時効(請求できる期限):本条に特定の期間制限はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。受託者の損失てん補責任の時効には信託法43条の特則がある(最新の改正状況をご確認ください)

学説

立案趣旨に沿った一般的理解:旧法の共同処理原則は信託事務の停滞を招くとの批判があり、現行法は過半数決を原則としつつ、職務分掌や別段の定めにより委託者が監視と機動性の配分を設計できる任意規定的構造を採ったと理解されている。

改正沿革 AI による整理

  • 平成18年(2006年)信託法全部改正(平成19年9月30日施行) 旧信託法24条2項の共同処理原則(受託者全員で処理する)を改め、過半数決を原則とした。あわせて保存行為の単独処理、職務分掌、相互代理権、第三者の意思表示の受領に関する規律を整備した

改正の年表

  1. 1.大正11年(1922年) 新設:旧信託法24条で、受託者が数人ある場合の信託財産の合有と、信託事務の共同処理(受託者全員で処理する)を原則として定めた
  2. 2.平成18年(2006年) 改正:信託法全部改正(平成19年9月30日施行)により現行80条を新設。共同処理原則を過半数決に改め、保存行為の単独処理、職務分掌、相互代理権、第三者の意思表示の受領について規律を整備した

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出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

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