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出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 収録時点 令和8年7月4日読了 7 分7 分7 分

信託法 第83条(信託事務の処理に係る債務の負担関係)

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  1. 受託者が二人以上ある信託において、信託事務を処理するに当たって各受託者が第三者に対し債務を負担した場合には、各受託者は、連帯債務者とする。
  2. 2.前項の規定にかかわらず、信託行為に受託者の職務の分掌に関する定めがある場合において、ある受託者がその定めに従い信託事務を処理するに当たって第三者に対し債務を負担したときは、他の受託者は、信託財産に属する財産のみをもってこれを履行する責任を負う。ただし、当該第三者が、その債務の負担の原因である行為の当時、当該行為が信託事務の処理としてされたこと及び受託者が二人以上ある信託であることを知っていた場合であって、信託行為に受託者の職務の分掌に関する定めがあることを知らず、かつ、知らなかったことにつき過失がなかったときは、当該他の受託者は、これをもって当該第三者に対抗することができない。

この条文の基本情報

信託事務の処理に係る債務の負担関係とは何ですか?

定義信託事務の処理に係る債務の負担関係とは、信託法第83条に定められた規定で、「受託者が二人以上ある信託において、信託事務を処理するに当たって各受託者が第三者に対し債務を負担した場合には、各受託者は、連帯債務者とする。」と規定しています。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 信託法第83条(信託事務の処理に係る債務の負担関係)は、日本の信託法に含まれる条文です。
  2. 信託法第83条の条文原文は「受託者が二人以上ある信託において、信託事務を処理するに当たって各受託者が第三者に対し債務を負担した場合には、各受託者は、連帯債務者とする。」で始まります。
  3. 信託法第83条は第六節 受託者が二人以上ある信託の特例に置かれています。
  4. 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
  5. 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
  6. 信託法第83条の前の条は信託法第82条です。
  7. 信託法第83条の次の条は信託法第84条です。
  8. 信託法第83条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式信託法(平成十八年法律第百八号)第83条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108
  • 本サイト収録信託法(平成十八年法律第百八号)第83条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/83

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点信託法83条は、受託者が複数いる信託で信託事務のため第三者に負った債務を全受託者の連帯債務とする。職務分掌の定めがあれば担当外の受託者は信託財産の限度で責任を負う。

Q · 家族信託で共同受託者になったら、もう一人の受託者が発注した工事代金まで払わされるの?

分掌の定めがなければ連帯で全額請求されうる

信託法83条1項により、受託者が二人以上いる信託で信託事務のために負った債務は、受託者全員の連帯債務になります。そのため、自分が発注していない工事代金でも、固有財産から全額を請求されることがあります。ただし同条2項により、信託行為に職務分掌の定めがあり、その定めに従って他の受託者が負った債務であれば、責任は信託財産の限度にとどまります。もっとも、信託であることと受託者が複数いることを知りながら、分掌の定めを知らず、知らなかったことに過失もない相手には、この限定を主張できません。

解説

親の財産を兄弟二人で管理する家族信託では、「公平だから」という理由で長男と次男の二人を受託者にする家庭が少なくない。だが信託法83条1項の扱いは厳しい。受託者が二人以上いる信託で、信託事務を処理するために誰かが第三者に負った債務は、受託者全員の連帯債務になる。つまり、次男が信託事務として発注した屋根の修繕代金を、長男が自分の預金や給料から全額払うよう請求されることがありうる。「信託の借金は信託財産から払えば済む」という思い込みは通用しない。逃げ道は2項にある。信託契約に職務分掌(受託者の間で誰が何を担当するかという役割分担)を書き込んでおけば、担当者がその範囲で負った債務について、ほかの受託者は信託財産の限度でしか責任を負わない。ただし取引相手が、信託であることと受託者が複数いることを知っていながら、分掌の定めは知らず、知らなかったことに過失もなかった場合、この防御は使えない。分掌を契約書に書くこと、それを相手に示すこと。二つがそろって、はじめて自分の財布が守られる。

法的な位置づけ

信託法83条は、受託者が二人以上ある信託において、信託事務の処理として各受託者が第三者に負担した債務を受託者全員の連帯債務とする規定である。信託行為に職務分掌の定めがあり、ある受託者がその定めに従って債務を負担した場合、他の受託者の責任は信託財産に属する財産の限度に限定される。ただし、一定の善意無過失の第三者にはこの限定を対抗できない。

手順

  1. 1.信託契約案の受託者欄と分掌条項を確認する 信託契約書の文案が届いたら、受託者が何人いるかを確認し、受託者ごとの担当(不動産管理、金銭管理、借入れなど)を定める職務分掌の条項があるかを探す。共同受託なのに分掌条項がなければ、追加を依頼する
  2. 2.分掌条項を信託行為に書き込む 担当業務の範囲を具体的に書き分けた分掌条項を、信託契約などの信託行為の中に入れる。設定後に変更すると関係者全員の合意が必要になりやすいため、委託者の判断能力が十分なうちに確定させる
  3. 3.取引の都度、分掌の定めを相手に示す 工事の発注や管理委託など信託事務の契約では、肩書を「受託者」と明記し、分掌条項の写しを相手に交付する。受領した旨の記録(署名、メール返信など)を残し、2項ただし書の善意無過失を相手が主張しにくくする
  4. 4.借入れでは責任財産限定特約も検討する 信託口口座での借入れなど大きな債務では、分掌条項に加えて、金融機関と責任財産を信託財産に限る特約を結べないかを調印前に交渉する

よくある質問 AI による整理

Q1共同受託者とは何ですか?

一つの信託で受託者が二人以上いる場合の各受託者のことです。信託財産は合有となり、信託事務で負った債務は原則として全員の連帯債務になります(信託法79条・83条)。

Q2信託法83条の連帯債務とはどういう意味ですか?

債権者は受託者の誰に対しても、債務の全額を請求できるという意味です。自分が契約に関与していなくても、信託事務の処理として生じた債務であれば請求の対象になります。

Q3職務分掌の定めはどこに書けばいいですか?

信託契約書や遺言など、信託を設定する「信託行為」の中に書く必要があります。受託者同士の口約束や内部メモだけでは、83条2項の定めとして扱われません。

Q4共同受託者の責任は信託財産だけで済みますか?

原則として済みません。信託財産に加えて受託者の固有財産も引き当てになります。信託財産の限度に絞れるのは、職務分掌の定めに従って他の受託者が負った債務などに限られます。

Q5家族信託で兄弟を受託者にするのは危ない?

分掌の定めがないと、一方が信託事務で負った債務をもう一方も個人財産で連帯して負うことになります。受託者を二人にするなら、役割分担を契約で明確にしておくことが前提です。

Q6共同受託者が自分の個人的な借金を作ったら関係ある?

関係ありません。83条の対象は、信託事務を処理するために第三者に負担した債務だけです。受託者個人の私的な借入れは、ほかの受託者の責任とは無関係です。

Q7取引相手が分掌の定めを知らなかったらどうなる?

信託であることと受託者が複数いることを知りながら、分掌の定めを知らず、そのことに過失もなかった場合、担当外の受託者は信託財産の限度に限定する主張ができません(83条2項ただし書)。

Q8受託者を一人にすれば連帯責任の問題はなくなる?

受託者が一人なら83条の連帯は生じません。ただしその受託者が死亡や判断能力の低下に陥ると信託事務が止まるため、後継受託者や信託監督人の指定であわせて備える方法が考えられます。

この条文についての質問 AI による整理

Q1家族信託で兄と二人で受託者になったら、兄の借金まで背負うんですか?

兄が個人的に借りたお金は関係ない。83条が及ぶのは、信託事務を処理するために負った債務だけである。ただしその範囲では、分掌の定めがなければ連帯債務になる(1項)。分掌の定めがあれば、担当外の受託者は信託財産の限度で責任を負う(2項)。実務のポイント:雛形どおりの契約書では「受託者は共同して事務を行う」程度の記載で終わり、分掌条項が抜けていることがある。サイン前に条項を探しておきたい

Q2立て替えて払ったお金って戻ってきますか?

受託者は、信託事務のために支払った費用を信託財産から償還してもらえる(48条1項)。受益者との合意があれば、受益者から償還を受けることもできる(同条5項)。実務のポイント:信託財産が不動産ばかりで現金がほとんどない設計だと、償還を受ける権利があっても実際には回収できない。設定時に修繕や税金に備えた金銭も信託財産に入れておくかどうかで、受託者が負う実際のリスクは大きく変わる

Q3だったら受託者は一人にしておいたほうが安全ですか?

受託者が一人なら83条の連帯の問題は生じない。その代わり、その受託者が亡くなったり判断能力を失ったりすると、信託事務が止まるリスクがある。実務のポイント:実務では、共同受託ではなく「単独の受託者+後継受託者の指定+信託監督人(131条)」という組み合わせを提案する専門家も多い。家族の公平感を共同受託で表すのか、監督の仕組みで表すのか、設計段階で選べる

間違えやすい点 AI による整理

  • 「信託の債務は信託財産から払うものだ」と思われがちだが、受託者が信託事務で負った債務は、原則として信託財産だけでなく受託者の固有財産(受託者個人の財産)も引き当てになる(21条)。例外は限定責任信託や責任財産限定特約などに限られる。受託者が複数なら、そこに83条1項の連帯が加わる
  • 「誰が契約書にサインしたか」で責任が決まると考えること自体が誤りである。83条で問われるのは、信託事務の処理として負った債務か、職務分掌の定めがあるか、取引相手がそれを知っていたか、の三点だ。サインしていない共同受託者も連帯債務者になりうるし、分掌を守った担当外の受託者は信託財産の限度で済みうる
  • 分掌条項を入れれば安心だと知っている専門家でも、2項ただし書の重さを軽く見ていることがある。信託であることと受託者が複数いることを知っている相手が、分掌の定めを知らず、そのことに過失もなければ、担当外の受託者も個人責任を免れない。契約書に書くだけでは半分しか守れず、相手に示した証拠があってはじめて防御が完成する
比較の観点この条文ほかの条文
規律する場面信託法83条:複数受託者が信託事務で第三者に負った債務信託法21条:信託財産責任負担債務の範囲
信託法85条:複数受託者の損失てん補責任
責任の相手方取引相手など第三者信託財産に対して権利を持つ債権者全般
受益者など(任務懈怠による損失てん補)
責任の性質受託者全員の連帯債務(分掌があれば担当外は信託財産の限度)信託財産が引き当てになる債務の範囲を定める
任務懈怠をした受託者らの連帯責任
責任を限定する手段信託行為の職務分掌の定め+相手方への告知限定責任信託(216条)・責任財産限定特約
任務懈怠がないことの主張

他国ではどう定めているか 4 か国

台湾
信託法第29条

台湾法も、受託者が複数いる場合に信託事務の処理で負担した債務について連帯清償責任を定める。職務分掌による責任限定の明文の扱いは日本法と比較して確認を要する

韓国
신탁법 제51조

韓国の2011年全部改正信託法も、共同受託者が信託事務の処理について第三者に負担した債務の連帯責任を定めており、日本の新信託法と構造が近い

中国
信托法 第32条

中国信託法も、共同受託者が信託事務の処理によって第三者に負った債務について連帯して弁済責任を負うと定める

アメリカ
Uniform Trust Code § 703・§ 1010

米国では共同受託者の職務の分担や委任を § 703が定め、受託者の個人責任の限定を § 1010が扱う。州ごとに採択状況が異なる

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • 兄が受託者として主導し、信託不動産の外壁工事を800万円で発注した。あなたは詳細を知らないまま、代金が未払いになった。業者はあなたの個人口座にも請求できるのだろうか? 信託契約に職務分掌の定めがなければ、83条1項により兄と連帯して全額を請求されうる。「自分はハンコを押していない」は反論にならない
  • あなたは不動産管理担当の受託者として管理会社と契約した。信託契約には分掌条項があるが、管理会社には何も伝えていない。相手が信託であることと受託者が二人いることを知りながら、分掌を知らず、知らなかったことに過失もなければ、共同受託者の妹は個人財産で責任を負う立場から抜けられない。妹を守れるかどうかは、契約時の説明一つにかかっていた
  • 信託口口座での借入れ。金銭消費貸借契約の調印は来週金曜である。それまでに信託契約を変更して分掌条項を入れるか、融資契約に責任財産限定特約を盛り込むか、どちらも間に合わなければ、受託者全員が個人財産を引き当てにした連帯債務を背負って署名することになる
  • 大学時代の友人から「父の家族信託で、兄と一緒に受託者になってほしいと言われた。名前を貸すだけでいいらしい」と相談された。名前だけ、という受託者は法律上存在しない。引き受ける前に分掌条項の有無を確認するよう、あなたは三分で説明できる
  • 共同受託の商事信託でも構図は同じである。分掌条項の一行が、各受託者の固有財産にリスクが及ぶかどうかを分ける

取るべき行動

被害を受けた側:取引相手として代金を回収できない場合:1. 契約書や発注書から、相手が信託事務として契約したこと、受託者が複数いることを確認する2. 信託契約の写しや信託目録で、分掌の定めがあるかを調べる3. 定めがなければ受託者全員に連帯債務として全額を請求し、各自の固有財産も視野に入れる4. 定めがあっても、契約当時それを知らず過失もなかったなら、2項ただし書により担当外の受託者の個人責任を主張する。当時のやり取りの記録を保全しておく

訴えられた側:共同受託者として請求を受けた場合:1. 信託契約の分掌条項を確認し、その債務が他の受託者の担当範囲で生じたものかを特定する2. 担当外であれば、信託財産の限度でしか責任を負わないと主張する(2項)3. 相手が分掌を知っていた、または知りえたことを示す説明メールや契約書の添付資料を集める4. 支払った場合は信託財産からの費用償還(48条)や、他の受託者への求償を検討する。受託者間の負担割合については解釈が分かれうるので、専門家に確認する

時効(請求できる期限):特定の時効はなく、一般消滅時効(民法166条:権利を行使できることを知った時から5年、権利を行使できる時から10年)が適用される。起算点は通常、代金などの弁済期である

改正沿革 AI による整理

  • 平成18年(2006年)信託法全部改正 旧信託法(大正11年法律第62号)に代わる新信託法の制定に伴って置かれた規定で、職務分掌の定めがある場合の責任限定(2項)が明文化された。旧法の対応規定との対照、および制定後の改正の有無は人による検証が必要

改正の年表

  1. 1.平成18年(2006年) 新設:旧信託法(大正11年法律第62号)を全面的に改めた新信託法(平成18年法律第108号)の制定に伴い置かれた。職務分掌の定めがある場合の責任限定と、善意無過失の第三者の保護(2項ただし書)が明文化された

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信託法の全文を見る所属する編章節を開く:第六節 受託者が二人以上ある信託の特例

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

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