信託法 第84条(信託財産と固有財産等とに属する共有物の分割の特例)
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受託者が二人以上ある信託における第十九条の規定の適用については、同条第一項中「場合には」とあるのは「場合において、当該信託財産に係る信託に受託者が二人以上あるときは」と、同項第二号中「受託者」とあるのは「固有財産に共有持分が属する受託者」と、同項第三号中「受託者の」とあるのは「固有財産に共有持分が属する受託者の」と、同条第二項中「受託者」とあるのは「固有財産に共有持分が属する受託者」と、同条第三項中「場合には」とあるのは「場合において、当該信託財産に係る信託又は他の信託財産に係る信託に受託者が二人以上あるときは」と、同項第三号中「受託者の」とあるのは「各信託財産の共有持分が属する受託者の」と、「受託者が決する」とあるのは「受託者の協議による」と、同条第四項中「第二号」とあるのは「第二号又は第三号」とする。
この条文の基本情報
信託財産と固有財産等とに属する共有物の分割の特例とは何ですか?
定義信託財産と固有財産等とに属する共有物の分割の特例とは、信託法第84条に定められた規定で、「受託者が二人以上ある信託における第十九条の規定の適用については、同条第一項中「場合には」とあるのは「場合において、当該信託財産に係る信託に受託者が二人以上あると…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第84条(信託財産と固有財産等とに属する共有物の分割の特例)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第84条の条文原文は「受託者が二人以上ある信託における第十九条の規定の適用については、同条第一項中「場合には」とあるのは「場合において、当該信託財産に係る信託に受託者が二人以上あると…」で始まります。
- 信託法第84条は第六節 受託者が二人以上ある信託の特例に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第84条の前の条は信託法第83条です。
- 信託法第84条の次の条は信託法第85条です。
- 信託法第84条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第84条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第84条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/84
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法84条は、受託者が複数いる信託で共有物を分割する際、協議の当事者を固有財産に共有持分を持つ受託者と受益者に限定し、19条の分割ルールを読み替える規定である。
Q · 共同受託者が二人いる家族信託で、信託の土地と受託者個人の持分を分けるときは誰が話し合うの?
持分を持つ受託者と受益者の二者で協議する
信託法84条は19条1項2号の「受託者」を「固有財産に共有持分が属する受託者」と読み替えます。そのため、共有物分割の協議は、自分個人の持分を持つ受託者と受益者との間で行われ、もう一人の共同受託者は条文上その協議の当事者ではありません。協議がまとまらない場合は、持分を持つ受託者または受益者が裁判所に分割を請求できます(19条2項の読替え)。受託者が単独で分割を決める方法は、受益者の利益を害しないことが明らかか、正当な理由がある場合に限られます。
解説
家族信託では「兄弟二人を受託者にしておけば、お互いが見張り役になる」と考える人が多い。ただ、同じ土地の持分が信託財産と受託者個人の財産に分かれて混ざっていると、その読みは外れる。信託法84条は、19条の共有物分割ルールを受託者が複数いる信託向けに読み替える条文である。協議の当事者は「固有財産に共有持分が属する受託者」(自分個人の持分を持っている受託者)と受益者に絞られる。分割で得をするかもしれない本人が交渉の席に座り、もう一人の受託者は条文上その協議の当事者ではない。受益者の親が認知症で協議できなくなれば、実務上は成年後見人を立てるか、契約で置いた受益者代理人(受益者に代わって権利を行使する人)に頼るか、信託契約にあらかじめ分割方法を書いておくしかない。協議がまとまらないとき裁判所に分割を求められるのも、条文上はその持分を持つ受託者と受益者側である。共同受託が自動的に監視の仕組みになると考えていた人ほど、契約書を作り直す必要がある。
法的な位置づけ
信託法84条は、受託者が二人以上ある信託において、信託財産と固有財産または他の信託財産とが共有関係にある場合の分割方法を定める19条を読み替える規定である。協議・分割の決定・裁判上の分割請求の主体を共有持分が属する受託者に特定し、複数の信託財産間の分割では受託者の協議を要件とする。
よくある質問 AI による整理
Q1信託法84条とは?
受託者が二人以上いる信託について、共有物分割を定める19条を読み替える規定です。協議や裁判上の請求の主体を、固有財産に共有持分を持つ受託者に特定します。
Q2信託財産と固有財産の共有とはどういう状態?
同じ土地などの持分の一部が信託財産に、残りが受託者個人の財産に属している状態です。相続した持分と家族信託で預かった持分が並ぶ場面で生じます。
Q3家族信託 共有物分割 誰が決める?
まず信託契約の定めに従います(19条1項1号)。定めがなければ、共有持分を持つ受託者と受益者の協議で決めます。受託者だけで決められる場面は厳しく限定されています。
Q4共同受託者 分割 同意 必要?
84条の読替え後の19条1項2号では、持分を持たない共同受託者は協議の当事者ではありません。全員の同意を求めたい場合は、信託契約にその旨を定めておく必要があります。
Q5信託 共有物分割 裁判所 請求できる人は?
協議が調わない場合、固有財産に共有持分が属する受託者または受益者が、民法258条1項による分割請求をすることができます(19条2項の読替え)。
Q6複数の信託が同じ不動産を共有しているときの分割は?
各信託の受託者のいずれかが二人以上の場合、受託者側で分割を決めるには各信託財産の共有持分が属する受託者の協議が必要です。不調なら受益者が裁判所に請求できます。
Q7受託者が自分に有利に分割したら違法?
受益者の利益を害しないことが明らかか、正当な理由がない限り、単独決定は許されません。違反すれば損失てん補責任(40条)を負い、加担した共同受託者は連帯責任(85条)です。
Q8信託法19条と84条の関係は?
19条が共有物分割の原則規定で、84条は受託者が複数いる信託の場合の読替規定です。84条単独では意味が通らず、必ず19条と合わせて読む必要があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1兄と私が共同受託者なのに、兄が母とだけ話して土地の分け方を決めていいんですか?
84条で読み替えた19条1項2号では、協議の当事者は個人の持分を持つ受託者(兄)と受益者(母)であり、条文上あなたはその協議の当事者ではありません。分割が受益者に不利な内容なら、受益者は差止め(44条)や損失てん補(40条)を求めることができます。実務のポイント:信託契約に「分割には受託者全員の同意を要する」と書いておけば、それが1号の「信託行為で定めた方法」として機能します。契約書の段階で入れておかないと、後から追加するのは難しくなります
Q2母が認知症になったら、もう土地を分けられないんですか?
協議の相手方は受益者なので、本人に判断能力がなければ、実務上は成年後見人や契約で置いた受益者代理人が関与することになります。協議ができない場合は、受託者または受益者側が裁判所に分割を請求できます(19条2項)。実務のポイント:信託管理人は受益者が存在しない場合のための制度で、認知症の受益者のためには使えません。この違いを知らずに契約を作っている例は意外に多くあります
Q3裁判所に分割をお願いしたら、どうやって分けられるんですか?
19条2項による裁判上の分割では、民法258条の考え方に沿って、土地をそのまま分ける方法、一方が持分を買い取って代金を払う方法、競売して代金を分ける方法などが検討されると解されています。実務のポイント:競売になると市場価格より安く売れることが多く、信託側にも個人側にも損が出ます。裁判をちらつかせる段階で、協議でまとめるほうが経済的に得だと双方に計算させるのが実務上の進め方です
間違えやすい点 AI による整理
- 「共同受託者が全員で話し合って分割を決める」と思われがちだが、84条で読み替えた19条1項2号の協議の当事者は、個人の持分を持つ受託者と受益者だけである。共同受託者が何人いても、協議の場に呼ばれる受託者の数は自動的には増えない
- 「どう分ければ公平か」から考え始めるのは順序が逆である。最初に確認すべきは、信託契約に分割方法の定めがあるか(19条1項1号)どうかだ。分割の条項が空欄の契約では、後の協議も裁判も、結局は当事者の力関係と時間の勝負になる
- 受託者が自分で分割を決められる場面があることは知られているが、条件の厳しさは知られていない。受益者の利益を害しないことが明らかか、正当な理由がある場合に限られ、これを外れれば損失てん補責任(40条)を負う。共同受託者が加担していれば連帯責任(85条)になる。親族間の「なんとなくの了解」はこの条件を満たさない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の性格 | 信託法84条:受託者が複数いる信託向けの19条読替規定 | 信託法19条:信託財産と固有財産等の共有物分割の原則規定 信託法80条:複数受託者の信託事務処理の決定方法(原則過半数) |
| 協議・決定の主体 | 固有財産に共有持分が属する受託者と受益者 | 受託者と受益者(受託者は一人を想定) 受託者全員の過半数(信託行為で別段の定め可) |
| 協議不調時 | 持分を持つ受託者または受益者が裁判所に請求、複数信託間では受益者が請求 | 受託者または受益者が民法258条1項の請求 裁判上の請求の規定はなく、決定方法の問題として処理 |
| 違反時の責任 | 40条の損失てん補責任、共同受託者の加担は85条で連帯 | 40条の損失てん補責任 任務違反として40条・85条の責任 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾信託法は受託者が複数の場合に信託財産を公同共有とする。信託財産と受託者個人財産の共有物分割について、日本の19条・84条のような協議当事者の読替規定は置かれておらず、民法の共有物分割の一般規定に委ねられる部分が大きい
韓国信託法も受託者が複数の場合の信託財産を合有とする。日本と同様に共同受託の規律を持つが、本条に相当する読替規定の有無は個別確認が必要
米国統一信託法典は共同受託者の多数決と相互監視義務を定める。共有物分割の協議当事者を特定する技術的な規定は置かず、受託者の忠実義務の問題として処理される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 父の相続で実家の土地の持分2分の1を個人で受け継いだ長男が、母の残り2分の1を信託で預かる受託者になった。次男も共同受託者である。売却に備えて土地を分けたいとき、誰と誰が話し合えばいいのか? 84条で読み替えると、協議は長男と受益者である母との間で行う。次男は条文上その協議の当事者ではない
- 共同受託者の一人であるあなたは、自分の持分と信託の持分が混ざった土地を分けるにあたり、道路に面した使いやすい区画を個人側に取りたくなった。受託者側だけで決める方法(19条1項3号)は、受益者の利益を害しないことが明らかか、正当な理由がある場合に限られる。この線を越えると40条の損失てん補責任を負い、共同受託者も任務違反に加担していれば85条により連帯責任となる
- 母の認知症が進み、来月には意思確認が難しくなると主治医に言われた。協議で分けるなら今しかない。
- 同じ賃貸ビルの持分を二つの信託がそれぞれ持っており、片方の信託は兄弟二人が受託者である。受託者側で分割を決めるには、各信託の持分が属する受託者の協議が必要になる。まとまらなければ、各信託の受益者が裁判所に分割を請求できる(19条4項の読替え)
取るべき行動
被害を受けた側:受益者、または協議から外れた家族の立場の場合:1. 登記簿で、問題の不動産の持分が信託財産と受託者個人のどちらに属しているかを確認する2. 信託契約に分割方法の定めがあるかを確認する(19条1項1号) 3. 個人の持分を持つ受託者が自分に有利な分割を進めようとしているなら、受益者として差止め(44条)を求めるか、受益者の利益を害しないことの説明を書面で求める4. 協議がまとまらなければ、受益者側から裁判所に分割を請求する(19条2項)
訴えられた側:個人の持分を持つ受託者の立場の場合:1. 自分だけで分割を決める(同項3号)前に、受益者の利益を害しないことを示す資料(評価書、分割後の価値比較)を用意する2. 可能な限り受益者との協議(2号)の形をとり、合意を書面で残す3. 受益者の判断能力に不安があれば、成年後見人や受益者代理人の関与を早めに検討する4. 共同受託者にも経緯を共有しておき、後から任務違反の連帯責任(85条)を問われる火種を残さない
時効(請求できる期限):特定の時効はない。共有物分割を求める権利そのものは共有関係が続く限り時効で消えないと解されている。ただし、分割に伴って生じる金銭債権には一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。受託者の損失てん補責任(信託法40条)については、43条に期間制限の特則がある(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法制定 旧信託法(大正11年)を全面的に見直した新信託法の制定に伴い、19条の共有物分割規定を複数受託者の信託向けに読み替える規定として置かれた。平成19年(2007年)9月30日施行
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:旧信託法(大正11年法律第62号)を全面的に見直した新信託法の制定に伴い、受託者が二人以上ある信託における19条の読替規定として新設。平成19年(2007年)9月30日施行
- 信託法 第19条読替えの対象となる共有物分割の原則規定
- 信託法 第79条複数受託者の信託財産は合有
- 信託法 第80条複数受託者の職務執行の決定方法
- 信託法 第40条任務違反による損失てん補責任
- 信託法 第85条複数受託者の任務違反の連帯責任
- 民法 第256条共有物分割請求の一般原則
- 民法 第258条裁判による共有物分割の方法
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