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出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 収録時点 令和8年7月4日読了 6 分6 分6 分

信託法 第95条(受益権の譲渡における受託者の抗弁)

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受託者は、前条第一項の通知又は承諾がされるまでに譲渡人に対し生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。

この条文の基本情報

受益権の譲渡における受託者の抗弁とは何ですか?

定義受益権の譲渡における受託者の抗弁とは、信託法第95条に定められた規定で、「受託者は、前条第一項の通知又は承諾がされるまでに譲渡人に対し生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。」と規定しています。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 信託法第95条(受益権の譲渡における受託者の抗弁)は、日本の信託法に含まれる条文です。
  2. 信託法第95条の条文原文は「受託者は、前条第一項の通知又は承諾がされるまでに譲渡人に対し生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。」で始まります。
  3. 信託法第95条は第一款 受益権の譲渡等に置かれています。
  4. 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
  5. 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
  6. 信託法第95条の前の条は信託法第94条です。
  7. 信託法第95条の次の条は信託法第95条の2です。
  8. 信託法第95条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式信託法(平成十八年法律第百八号)第95条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108
  • 本サイト収録信託法(平成十八年法律第百八号)第95条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/95

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点信託法95条は、受託者が受益権譲渡の通知又は承諾がされるまでに譲渡人に対し生じた弁済等の事由を、譲受人にも対抗できると定める規定である。

Q · 受益権を買ったのに、受託者から「前の持ち主にもう払った」と言われたら、受け入れるしかないの?

通知前の支払いなら有効。損は売主に請求して取り戻す

信託法95条により、受託者は、譲渡の通知または承諾(同法94条1項)がされるまでに譲渡人との間で生じた事由(弁済、合意による受益債権の変更、費用負担など)を譲受人にも主張できます。したがって通知前に売主へ支払われた配当は、受託者との関係では弁済済みとなります。ただし通知・承諾の後に生じた事由は対抗できません。通知前の支払い分は、二重に受け取った売主に対し、不当利得返還請求や売買契約上の補償条項で回収を求めることになります。

解説

信託の受益権を買うとき、手に入るのは真っさらな権利ではない。売主と受託者(財産を預かって管理・運用する人。信託銀行のほか、家族信託で親の財産を預かる子どもも含む)のあいだで積み上がった事情も、まとめて引き継ぐことになる。信託法95条によれば、受託者は「譲渡の通知を受けるか、譲渡を承諾するまで」に売主(譲渡人)との関係で生じた事由を、そのままあなた(譲受人)にも主張できる。たとえば、通知が届く前に売主へ配当を払い済みである、信託行為(信託契約など)にもとづいて売主が負担すべき費用がある、売主との合意で受益債権(受託者に給付を求める権利)が減額されている、といった事情である。受託者は譲渡に関わっていない。自分の知らない売買のせいで受託者の立場が悪くなるのはおかしい、というのがこの条文の考え方である。だから、どの時点で通知が届いたかで、あなたが受け取る中身が変わる。買う前に受託者へ照会し、決済したその日のうちに通知を届ける。この二つを知らずに受益権を買うのは、残高を確かめないまま通帳を買い取るのに近い。

法的な位置づけ

信託法95条は、受益権の譲渡における受託者の抗弁を定める規定であり、受託者は、前条1項の通知または承諾がされるまでに譲渡人に対して生じた事由(弁済、合意による受益債権の変更、費用償還に関する事由等)をもって譲受人に対抗できる旨を規定する。民法468条1項の債権譲渡における債務者の抗弁と同様の構造をとる。

手順

  1. 1.決済前に受託者へ抗弁の有無を照会 売買契約の締結後・決済前に、受託者に対して、売主への支払済み配当、売主との費用負担や受益債権変更の合意、信託行為上の制限の有無を書面で照会する
  2. 2.抗弁放棄書・抗弁不存在確認書を取得 受託者の承諾書とは別に、または承諾書の文言に加えて、受託者が売主に対する抗弁を主張しない旨の確認・放棄を明示してもらう。代金支払い前なら売主の協力も得やすい
  3. 3.決済当日に確定日付ある通知を受託者へ到達させる 信託法94条の通知を、売主名義で内容証明郵便など確定日付のある証書により決済当日に発送し、配当支払日より前に受託者へ到達させる
  4. 4.決済後に受け取った配当の引渡し義務を確保 通知到達前に売主へ支払われた配当に備え、売買契約に決済日以降の配当を買主へ引き渡す義務と表明保証・補償条項を入れておき、必要時はこれに基づき請求する

よくある質問 AI による整理

Q1信託受益権の譲渡とは何ですか?

受益者が受託者に対して持つ給付請求などの権利を第三者に移すことです。信託法93条で原則として譲渡でき、受託者への対抗には94条の通知または承諾が必要です。

Q2受益権譲渡の通知は誰が出しますか?

信託法94条1項により、譲渡人(売主)が受託者に通知するか、受託者が承諾する必要があります。買主が単独で通知しても対抗要件にはなりません。

Q3受託者が譲受人に主張できる抗弁には何がありますか?

通知・承諾前の売主への弁済、売主との合意による受益債権の減額・変更、信託行為に基づく制限や費用負担などが典型です(信託法95条)。

Q4通知の後に生じた事情も主張されますか?

原則として主張できません。95条の抗弁は通知・承諾までに生じた事由に限られます。ただし通知前の原因に基づく相殺などは解釈が分かれます。

Q5受益権を買う前に受託者へ確認すべきことは?

売主への未払い・支払済みの配当、売主との費用負担や受益債権変更の合意、信託行為上の譲渡制限の有無です。書面での回答をもらうのが安全です。

Q6受益権の二重譲渡ではどちらが優先しますか?

受託者以外の第三者との関係では、確定日付のある証書による通知または承諾を先に備えた譲受人が優先します(信託法94条2項)。

Q7受託者に抗弁を放棄してもらうことはできますか?

できます。受託者が抗弁を放棄する意思を明示すれば、その抗弁は主張されません。実務では決済前に抗弁不存在確認書や放棄条項付きの承諾書を取得します。

Q8不動産の信託受益権売買で信託法95条は関係しますか?

関係します。オフィスビル等の受益権売買では、前所有者と受託者の修繕費精算や配当支払が抗弁となり得るため、決済前の受託者照会が実務上の必須手順です。

この条文についての質問 AI による整理

Q1前の持ち主にもう払ったって受託者に言われたんですが、こっちが損するしかないんですか?

その支払いが譲渡の通知・承諾より前なら、受託者は95条で弁済済みを主張できる。ただし、損を最終的に負うのはあなたとは限らない。二重に受け取った売主に返還を求めればよく、不当利得や売買契約の補償条項が使える。実務のポイント:受益権の売買契約には、決済後に受け取った配当を引き渡す義務を定めた条項を入れるのが定石である。この一行がない契約書は、素人の作ったものと見られる

Q2受託者が承諾書にハンコを押したら、もう文句は言われないですよね?

そうとは限らない。承諾は94条の対抗要件を満たすだけで、95条の抗弁を自動的に消すものではない。民法の債権譲渡でも、平成29年(2017年)の改正で「異議をとどめない承諾」によって抗弁が切断される制度は廃止された。実務のポイント:実務では、承諾書とは別に「抗弁不存在確認書」をもらう。承諾書の文言に抗弁放棄を一文加えるだけで済む。決済の前なら受託者も応じやすい

Q3家族信託でも、受益権を売ったらこの条文が関係しますか?

関係する。家族信託の受託者が家族であっても、95条は同じように適用される。ただし、家族信託の契約書では受益権の譲渡を制限または禁止しているものが多い(信託法93条2項)。そもそも売れるかどうかを先に確認すべきである。実務のポイント:家族信託の契約書を作るとき、受益権の譲渡や質入れまで想定していないことがよくある。将来の売却や資金調達を考えるなら、作成の段階で譲渡条項を詰めておく

間違えやすい点 AI による整理

  • 「受益権を買えば、売主と受託者のあいだの過去のいきさつとは無関係になる」と考えがちだが、実際は逆である。通知・承諾までに売主との関係で生じた事由(弁済、合意による変更、費用負担など)は、受託者があなたにそのまま主張できる。過去は消えず、権利と一緒に移ってくる
  • 買主から見れば、取引の相手は売主だけである。しかし法律は、取引に関わっていない受託者の立場を基準にする。受託者は譲渡に同意して受益者を選んだわけではないので、譲渡のせいで不利になってはならない。買主は売主との契約書ばかり見て、受託者の帳簿を見ない。このずれのせいで、決済後に受益債権が目減りする
  • 「受託者が譲渡を承諾してくれたのだから、受託者は今後何も言えないはずだ」という問いの立て方自体が誤っている。承諾は94条の対抗要件(権利の移転を受託者に主張するための条件)を満たすにすぎず、承諾しただけで抗弁が消えるわけではないと解されている。抗弁をなくしたいなら、受託者に抗弁を放棄する旨を明示してもらう必要がある
比較の観点この条文ほかの条文
規律の対象信託法95条:受託者が譲受人に主張できる抗弁信託法94条:受益権譲渡の対抗要件(通知・承諾)
民法468条:債権譲渡における債務者の抗弁
基準時94条1項の通知または承諾がされるまで通知・承諾自体を定める(第三者には確定日付が必要)
対抗要件具備時まで
保護される者譲渡に関与しない受託者受託者と第三者(二重譲受人等)
譲渡に関与しない債務者
買主の防衛策決済当日の通知、抗弁放棄書の取得確定日付ある証書による通知・承諾を先に備える
早期の通知、債務者による抗弁放棄

他国ではどう定めているか 4 か国

台湾
信託法第20条(民法第294条〜第299条の準用)

台湾は受益権譲渡に民法の債権譲渡規定を包括準用し、民法第299条により受託者は通知前に譲渡人に生じた事由を譲受人に対抗できる。日本のように信託法内に独立条文を置かない点が異なる

韓国
신탁법 제65조

韓国は2011年の信託法全面改正で受益権譲渡の対抗要件と受託者の抗弁を規定し、日本の94条・95条とほぼ同型の構造をとる

ドイツ
BGB § 404

ドイツには信託法典がなく、Treuhand は契約法理で処理される。受益的請求権の譲渡では債権譲渡の一般規定により債務者の抗弁が維持される

アメリカ
UCC § 9-404

米国の信託法は州法の判例法・Uniform Trust Code が中心で、受益権譲渡時の受託者の抗弁を正面から定める統一規定はない。債権譲渡一般では UCC § 9-404が譲受人に対する抗弁を規律する

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • 私募ファンドからオフィスビルの信託受益権を数億円で取得した。数か月後、受託者の信託銀行から「前所有者との合意に基づき、修繕費の精算分を受益債権から差し引く」と通知が届く。合意が通知より前に成立していれば、受託者はこれをあなたにも主張できる。物件デューデリジェンスで建物ばかり見て、受託者と前所有者のあいだの合意書を取り寄せていなかったら、ここで初めて気づくことになる
  • 家族信託で、兄が自分の受益権を知人に売った。管理を任されている弟(受託者)は、売却を知らないまま兄に今期分の収益を渡していた。買った知人から「その分は自分に払え」と言われたら、どうなる? 通知が届く前の支払いなので、弟は兄への支払い済みを知人にも主張できる。二重に払う必要はない
  • あなたは小規模な信託会社の担当者である。受益権の譲受人を名乗る会社から、満額の支払いを求める内容証明が届いた。社内の記録には、通知が届く前に旧受益者と結んだ費用負担の合意が残っている。その合意書が、あなたの反論の根拠になる
  • 受益権売買の決済は終わった。ところが売主側が受託者への通知を「来週まとめて出す」と言っている。受託者の次の配当支払日は3日後に迫っている。通知が届く前に売主へ支払われれば、受託者は弁済済みをあなたに主張できる。その配当を取り戻すには、売主を追いかけるしかない

取るべき行動

被害を受けた側:1. 受託者が主張する抗弁を書面で特定してもらい、その事由が94条の通知・承諾より前に生じたかどうかを、日付の証拠で確認する2. 通知より後に生じた事由であれば、95条の範囲外として争う3. 通知より前の事由なら、受託者ではなく売主に対して、売買契約の表明保証違反や契約不適合を理由に補償を求める4. 次の取引からは、決済前に抗弁放棄書をもらい、決済当日に確定日付のある通知を出すことを標準手順にする

訴えられた側:1. 受託者として、譲渡通知・承諾を受けた日時を受付記録で確定させる2. その日時より前の弁済、費用負担の合意、信託行為の定めにもとづく制限などを、証拠付きで一覧にする3. 譲受人に対して、95条にもとづく抗弁を書面で回答する4. 相殺のように、通知より前の原因から通知の後に生じた事由については解釈が分かれるため、主張の根拠を慎重に組み立てる5. 譲受人と売主の二重請求に備え、支払いを一時保留する方法として供託ができるかどうかも検討する

時効(請求できる期限):95条自体に固有の期間制限はない。抗弁として主張できるかどうかの分かれ目は「94条1項の通知が受託者に届いた時、または受託者が承諾した時」である。受益債権の行使には一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される(信託法102条の特則の有無もあわせて確認すること)

学説

通説:信託法95条は民法468条1項と同趣旨で、受託者の地位を譲渡によって悪化させない規定と解される。受託者の承諾は対抗要件にとどまり、抗弁を切断するには受託者による抗弁放棄の意思表示が必要とされる

解釈が分かれる論点:通知・承諾前に原因が存在し、通知後に生じた事由(相殺など)を受託者が主張できるかは、民法469条の類推の可否を含め見解が分かれる

改正沿革 AI による整理

改正の年表

  1. 1.平成18年(2006年) 新設:旧信託法(大正11年法律第62号)を全面改正した信託法の制定により、受益権の譲渡性(93条)、対抗要件(94条)とあわせて、受託者の抗弁の規律が明文化された

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出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

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