要点刑法2条は、通貨偽造や公文書偽造など日本の国家的法益を害する罪について、犯人の国籍や犯行場所を問わず日本の刑法を適用すると定める。対象は閉じた列挙に限られる。
Q · 外国人が海外で日本円を偽造したら、日本の法律で裁けるの?
裁けます。刑法2条が国籍も場所も問わず適用します
刑法2条は保護主義に基づき、通貨偽造(148条)や公文書偽造(155条)など日本の国家的法益を直接害する罪については、犯人の国籍や犯行場所を一切問わず日本の刑法を適用します。日本に来たことのない外国人が母国で一万円札を偽造しても対象です。ただし対象は条文に並ぶ閉じた列挙に限られ、殺人や窃盗のように列挙外の罪は外国人の国外犯を本条では裁けません。また適用『できる』ことと、実際に身柄を確保して裁けることは別問題で、相手が外国にいれば逃亡犯罪人引渡しの手続が必要です。
海外のある印刷工場で、日本円の一万円札が大量に刷られていたとする。犯人は日本に一度も来たことのない外国人。普通に考えれば「日本の法律は日本の中だけ」のはずだ。ところが刑法2条が、その常識をひっくり返す。この条文は、内乱・外患・通貨偽造・公文書偽造・有価証券偽造・支払用カード偽造・印章偽造といった、日本という国家の根幹を直接傷つける犯罪については、誰が、世界のどこでやろうと、日本の刑法を適用すると宣言している。国籍も犯行場所も問わない。これを保護主義(自国の重大利益を守るための適用ルール)と呼ぶ。属地主義(1条、日本国内の犯罪)でも属人主義(3条、日本人の海外犯罪)でもない、第三の網だ。あなたが知っておくべきは、この網にかかる犯罪が閉じた列挙であること。ここに載っていない罪は、外国人が海外でやっても日本では裁けない。逆に載っている罪は、地球の裏側でも日本の手が届く。
刑法2条は国外犯のうち保護主義に基づく適用範囲を定める規定であり、内乱・外患・通貨偽造・文書偽造・有価証券偽造・支払用カード電磁的記録不正作出・印章偽造など国家的法益を害する罪を限定列挙し、これらについては行為者の国籍および犯行地を問わず日本刑法を適用する旨を規律する。属地主義および属人主義に対する特則として機能する。
日本国外で行われた犯罪を指します。刑法は属地主義(1条)を原則としつつ、2条・3条・4条で一定の国外犯にも適用が及びます。2条は国家的法益を害する罪を国籍を問わず処罰します。
自国の重大な利益を守るため、犯人の国籍や犯行地を問わず自国法を適用する考え方です。刑法2条が通貨偽造や内乱などの罪に採用しています。属地主義・属人主義に並ぶ第三の適用根拠です。
1条は日本国内の犯罪に適用する属地主義、2条は国家的法益を害する罪を国外でも適用する保護主義です。1条は犯行場所を基準とし、2条は犯罪の性質を基準とします。
原則は裁けませんが、刑法2条が列挙する通貨偽造・文書偽造などの罪なら、外国人が海外で行っても日本の刑法を適用できます。列挙外の罪は対象外です。
日本円の偽造(刑法148条)は2条の列挙対象で、海外で外国人が行っても日本の刑法で処罰できます。国境は適用の壁になりません。
支払用カード電磁的記録不正作出(163条の2以下)は2条の列挙対象です。海外で行っても日本の刑法の適用が及びます。
裁けません。殺人は2条の列挙にありません。2条は国家的法益を害する罪に限られ、個人的法益の罪は対象外です。被害者が日本人なら3条の2を検討します。
2条は保護主義で国家的法益を害する罪が対象、4条の2は条約に基づく国外犯(普遍主義)で、条約上日本が処罰義務を負う罪が対象です。根拠が国益か条約かで異なります。
あります。2条が並べているのは通貨偽造(148条)や公文書偽造(155条)など、日本という国家の信用や秩序を直接壊す犯罪だけ。被害者が個人ではなく国家システムそのものだから、犯人の国籍や場所を問わず日本が手を出す。これを保護主義といいます。業界裏話ヒント:殺人や強盗は2条のリストに『ない』。だから外国人が海外で日本人以外を殺しても2条では裁けません。何が載って何が載っていないかが全てで、この線引きこそ国外犯処罰の急所です
いいえ。2条は『日本の刑法を適用できる』という規定で、身柄を確保できるかは全くの別問題です。相手が外国にいれば、逃亡犯罪人引渡法や国際捜査共助の手続を経なければ手は届きません。業界裏話ヒント:適用『できる』ことと実際に『裁ける』ことの間には、引渡条約の有無という巨大な溝があります。条約のない国に逃げ込まれると、リストに載っていても事実上手が出せないことが多い。法の射程図と執行の現実図は、別々に読む必要があります
戦前あった『皇室に対する罪』(不敬罪など)が、1947年(昭和22年)の刑法改正で国外犯リストから外され、その跡地が『削除』の二文字として残っています。条番号の体系を維持するため、空欄を詰めずに削除と記すのが日本の立法慣行です。業界裏話ヒント:条文中の『削除』は単なる空白ではなく、その時代に何が罰せられ、何が罰せられなくなったかの歴史記録。削除条文を読むと、その法律が経てきた価値観の転換が見えてきます
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 適用の根拠 | 刑法2条:保護主義(国家的法益の防衛) | — |
| 判断基準 | 犯罪が国家的法益を害する列挙対象か | — |
| 国籍要件 | 不問(外国人でも適用) | — |
| 対象犯罪の範囲 | 条文の閉じた列挙のみ | — |
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