要点刑法 230 条の 2 は、名誉毀損が公共の利害に関し、公益目的でなされ、真実だと証明された場合は罰しないと定める。真実と信じる相当の理由があれば足りる。
Q · ネットに本当のことを書いて名誉毀損で訴えられたら、真実なら無罪になるの?
真実だけでは不十分、公共性と公益目的も要る
刑法 230 条の 2 により、名誉毀損でも、(1) 公共の利害に関する事実であり、(2) 専ら公益を図る目的でなされ、(3) 真実であると証明されたときは罰されません。三つすべてが揃って初めて免責されます。さらに最高裁は、真実性の証明に失敗しても、確実な資料・根拠に照らして真実と信じる相当の理由があれば故意が阻却され処罰されないとしています(最大判昭和 44.6.25)。したがって争点は『100% 真実か』より『書く前にどれだけ裏を取ったか』『私怨でないか』に移ります。
ネットの口コミに「あの店、賞味期限切れの食材を出している」と書いた。店から名誉毀損で告訴された。多くの人はここで青ざめ、慌てて投稿を消して示談金の話を始める。だが刑法 230条の2 を握っていれば、立っている地面が変わる。たとえ他人の社会的評価を下げる事実を公表しても、(1) その事実が公共の利害に関すること、(2) 目的が専ら公益を図ることにあったこと、(3) その事実が真実だと証明できること、この三つを満たせば罰されない。さらに決定的なのは、最高裁が「真実だと証明しきれなくても、真実と信じる相当の理由があれば罰しない」と判断している点だ(最大判昭和 44.6.25)。つまり、きちんと裏取りをして公益のために書いたなら、結果的に細部が誤っていても守られる余地が残る。名誉毀損は『書いた瞬間アウト』ではない。ここに反撃の足場が三段で組まれている。
刑法 230 条の 2 は、名誉毀損罪の処罰を排除する特例を定める規定である。摘示した事実が公共の利害に関し、目的が専ら公益を図るためであり、かつ真実であることが証明された場合に、行為者を罰しないものとする。表現の自由と個人の名誉保護を調整する機能を担う。
刑法 230 条の 2 の免責三要件は、①公共の利害に関する事実、②専ら公益を図る目的、③真実であることの証明です。三つすべてを満たして初めて処罰を免れます。
社会一般の正当な関心の対象となる事実を指します。政治家の汚職や企業の不正が典型で、私生活上の事柄でも社会的活動への評価に関われば該当しうると判例は述べています。
公共の利益のために公表したという動機を指します。私怨や嫌がらせ、営業妨害が主たる目的だと、内容が真実でも公益目的が否定され免責されません。
民事の名誉毀損(民法 709 条)では個人間で数十万円、報道機関相手やネット拡散で数百万円となる例もあります。刑事の 230 条の 2 免責とは別軌道で算定されます。
まず投稿の根拠資料(写真・録音・書面・証言)を時系列で保全し、公共性・公益目的・真実性の三要件に乗るか整理します。動機が私怨と取られない説明も準備します。
具体的事実を摘示して社会的評価を下げれば名誉毀損になりえます。ただし内容が真実で公益目的なら 230 条の 2 で免責されます。証拠を残してから投稿するのが安全です。
名誉毀損罪は親告罪です(刑法 232 条)。告訴は犯人を知った日から 6 か月以内(刑訴法 235 条)。期間を過ぎると公訴提起できません。
名誉毀損罪(刑法 230 条)は具体的事実の摘示が必要、侮辱罪(刑法 231 条)は事実摘示なしの侮辱です。230 条の 2 の真実性免責は事実摘示がある名誉毀損にのみ働きます。
真実だけでは足りません。230条の2 は『公共の利害に関する事実』であり『専ら公益を図る目的』だったことも要件にしています(同条 1 項)。私的な恨みや嫌がらせ目的だと、内容が真実でも免責されません。業界裏話ヒント:検察や裁判所が真っ先に見るのは『動機』です。過去の感情的なやり取りや報復をうかがわせる投稿履歴があると、公益目的が否定されやすい。だから争点は『真実か』より『なぜ書いたか』に移る。投稿前から、公益のための告発だと示せる文脈を残しておくのが実務の鉄則
一発アウトではありません。最高裁は、真実性の証明に失敗しても、確実な資料・根拠に照らして真実と信じる相当の理由があれば故意が否定され処罰されない、と判断しています(最大判昭和 44.6.25)。業界裏話ヒント:この『相当の理由』があるかは、取材源の信頼性・裏取りの数・公表前の確認努力で判断される。複数の独立した情報源に当たり、本人に確認を試みた記録があるかどうかが分かれ目。伝聞ひとつで飛びついた場合は相当の理由なしとされやすい
230条の2 第2項が、公訴提起に至っていない人の犯罪行為に関する事実を『公共の利害に関する事実とみなす』と定めています。だから公共性の要件はクリアしやすく、あとは公益目的と真実性(または相当の理由)の問題になります。業界裏話ヒント:第2項があるおかげで、報道機関は逮捕前の事件を扱える。ただし『犯罪行為に関する事実』に限られ、無関係なプライバシー(家族・病歴・私生活)まで免責されるわけではない。書く範囲を犯罪事実そのものに絞れるかが、プロとアマの差になる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規定の性質 | 免責(処罰阻却)の特例 | — |
| 事実の摘示 | 真実な事実の摘示が免責の前提 | — |
| 免責の可否 | 三要件充足で不処罰 | — |
| 親告罪 | —(230 条の免責規定) | — |
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