法令又は正当な業務による行為は、罰しない。
要点刑法 35 条は、法令又は正当な業務による行為を罰しないと定める。医療・報道・スポーツ・正当な争議行為などは違法性が阻却されるが、目的の正当性と手段の相当性が要件となる。
Q · お医者さんが手術で人の体にメスを入れても傷害罪にならないのは、なぜ?
刑法 35 条が正当業務行為の違法性を阻却するからです
刑法 35 条は「法令又は正当な業務による行為は、罰しない」と定めます。外科手術は形式的には傷害罪(刑法 204 条)の構成要件に該当しますが、医療という社会的に正当な業務行為であるため違法性が阻却され、処罰されません。ただし保護は無制限ではなく、目的の正当性・手段の相当性・必要性が問われます。同意のない施術や過剰な行為は 35 条の保護を受けられず、また手術過程に過失があれば業務上過失致死傷罪(刑法 211 条)が別途問題になります。
外科医が患者の腹をメスで切り開く。形式だけ見れば、この行為は傷害罪(刑法 204 条)の構成要件にぴたりと当てはまる。人の身体を傷つけているからだ。それでも医師は罰されない。その理由がこの 35 条にある。「法令又は正当な業務による行為は、罰しない」。外形上は犯罪の形をしていても、法律が認めた行為や、社会的に正当な職業上の行為であれば、違法性そのものが消える。これを違法性阻却(犯罪が成立するのに必要な「違法」という要素が外れること)という。問題は、何が「正当」なのかが条文に一切書かれていない点だ。ボクサーのパンチ、記者の取材、警備員の取り押さえ、労働組合のストライキ、医師の手術。境界線上の行為は無数にあり、どこまでが正当でどこからが犯罪かは、目的の正当性、手段の相当性、必要性で個別に判断される。あなたがその境界に立ったとき、35 条を知っているかどうかが、前科がつくかどうかを分ける。
刑法 35 条は正当行為による違法性阻却を定める規定であり、法令に基づく行為および社会的に正当な業務による行為は、たとえ犯罪の構成要件に該当しても違法性を欠き処罰されない旨を規律する。正当性の有無は、行為の目的の正当性、手段の相当性、行為の必要性を総合して個別具体的に判断される。
刑法 35 条が定める違法性阻却事由で、法令に基づく行為や社会的に正当な業務行為は、構成要件に該当しても違法性を欠き処罰されません。医療・スポーツ・報道などが典型例です。
犯罪の構成要件に該当しても違法性を否定する事情のことです。刑法では正当行為(35 条)、正当防衛(36 条)、緊急避難(37 条)が代表的な類型です。
正当行為(35 条)は法令や正当業務に基づく適法行為で、侵害がなくても成立します。正当防衛(36 条)は急迫不正の侵害への反撃で、攻撃という状況が前提です。
外科医の手術、ボクサーの打撃、記者の取材、弁護士の弁護活動、警備員による現行犯の取り押さえなどです。いずれも目的の正当性と手段の相当性が問われます。
現行犯逮捕(刑訴 213 条)に伴う法令行為として 35 条で違法性が阻却されえます。ただし取り押さえが過剰だった場合は阻却されず、傷害罪が成立しえます。
許されにくくなっています。民法の懲戒権は令和 4 年(2022 年)改正で削除され、児童虐待防止法も体罰を禁止しており、35 条で正当化される余地はほぼ残っていません。
報道目的の公益性と手段の相当性が認められれば、正当業務行為として 35 条で違法性が阻却されえます。手段が社会通念上相当な範囲を超えると保護されません。
ルールに従い社会的に相当な範囲のプレーであれば 35 条の正当業務行為として違法性が阻却されます。ルールを逸脱した故意の加害は傷害罪になりえます。
手術自体が正当業務行為として違法性を阻却されても、その過程に過失があれば業務上過失致死罪(刑法 211 条)が別問題として成立しえます。35 条が外すのは故意の傷害の違法性であって、過失責任まで免除するものではありません。業界裏話ヒント:医療事故では、刑事(過失)、民事(損害賠償)、行政(医師免許の処分)の三つが別々に進みます。刑事で不起訴でも民事で賠償が認められることは普通にある。一つの結果に三つの戦場があると知っておく
ルールに従い社会的に相当な範囲であれば、35 条の正当業務行為として違法性が阻却されるからです。ただし無制限ではなく、ルールを逸脱した故意の加害(リング外での暴行、凶器の使用)は阻却されず傷害罪になりえます。業界裏話ヒント:「相手が同意していたから」だけでは説明しきれません。被害者の同意とは別に、その競技自体が社会的に承認された業務であることが鍵。だから違法な賭け試合や私的な決闘は、同意があっても正当化されにくい
正当な争議行為であれば、労働組合法 1 条 2 項が刑法 35 条の適用を明示しており、威力業務妨害罪(刑法 234 条)などの違法性が阻却されます。ただし暴力を伴う行為は正当性を失います(労働組合法 1 条 2 項但書)。業界裏話ヒント:正当な争議行為かどうかは、目的(労働条件の維持改善か)、手段(暴力や財産破壊を伴わないか)、主体(組合の意思決定を経たか)で判断されます。山猫スト(組合の統制を外れた行動)や純粋な政治ストは、正当性を否定されやすい
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 性質 | 正当行為:法令・正当業務に基づく適法行為 | — |
| 前提状況 | 侵害や危難は不要、行為自体が適法 | — |
| 条文 | 刑法 35 条 | — |
| 効果 | 違法性阻却(不処罰) | — |
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