戸籍法 第90条
クイックジャンプ
- 死刑の執行があつたときは、刑事施設の長は、遅滞なく刑事施設の所在地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。
- 2.前項の規定は、刑事施設に収容中死亡した者の引取人がない場合にこれを準用する。この場合には、報告書に診断書又は検案書を添付しなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 戸籍法第90条は、日本の戸籍法に含まれる条文です。
- 戸籍法第90条の条文原文は「死刑の執行があつたときは、刑事施設の長は、遅滞なく刑事施設の所在地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。」で始まります。
- 戸籍法第90条は第九節 死亡及び失踪に置かれています。
- 戸籍法の公布日は昭和22年12月22日です。
- 戸籍法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 戸籍法第90条の前の条は戸籍法第89条です。
- 戸籍法第90条の次の条は戸籍法第91条です。
- 戸籍法第90条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第90条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000224 - 本サイト収録
戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第90条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/322AC0000000224/90
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点戸籍法90条は、死刑の執行があったとき、刑事施設の長が遅滞なく所在地の市町村長に死亡を報告すると定める。引取人のない収容中の死亡にも準用され、その場合は診断書等の添付が必要。
Q · 死刑が執行されたら、戸籍の死亡記載は誰が手続きするの?
刑事施設の長が市町村長に死亡を報告する
戸籍法90条1項により、死刑の執行があったときは、刑事施設の長が遅滞なく刑事施設の所在地の市町村長に死亡の報告をします。家族の死亡届とは別に、官の側から死亡を記録するルートです。同条2項は、刑事施設に収容中に死亡した者の引取人がない場合にもこの規定を準用します。その場合に限り、報告書に診断書または検案書を添付する必要があります。
解説
死刑が執行された日、国は、法律上の死亡をどう届け出るのか。答えは、家族からの死亡届ではなく、刑事施設の長から市町村長への「報告」である。戸籍法90条1項は、死刑が執行されたときは、刑事施設の長が遅滞なく(正当な理由がない限り、すぐに)施設所在地の市町村長に死亡の報告をすると定めている。2項はこの仕組みを、刑事施設に収容中に死亡し、遺体を引き取る人がいない場合にも準用する。この場合に限って、報告書には診断書または検案書(医師が死亡を確認した書面)を付けなければならない。あなたが押さえておくべきなのは、戸籍には、家族が何もしなくても死亡が記録される別ルートがあるという点だ。家族と長く疎遠になっている受刑者が施設内で亡くなった場合、その死亡は戸籍を通じて静かに確定する。家族がそれを知るのは、何年も後になって相続の手続きに入ったときかもしれない。そのときには、相続放棄の期限や借金の承継といった問題が、すでにあなたの手元に来ている。
法的な位置づけ
戸籍法90条は、死刑の執行および刑事施設収容中の死亡について、死亡の報告義務を定める規定である。死刑の執行があったときは刑事施設の長が遅滞なく施設所在地の市町村長に死亡を報告し、収容中の死亡者に引取人がない場合もこれを準用し、その報告書には診断書または検案書の添付を要する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.死亡の事実と引取人の有無を確認する 刑事施設側は、死刑の執行または収容中の死亡があったら、死亡の日時と場所を確定する。収容中死亡の場合は、遺族等の引取人がいるかどうかを確認し、2項の準用対象かを判断する
- 2.死亡報告書を作成する 施設所在地の市町村長あての死亡報告書を作成する。引取人のない収容中死亡(2項)の場合は、医師の診断書または検案書を必ず添付する。死刑執行(1項)の報告には添付の定めはない
- 3.遅滞なく市町村長へ報告する 作成した報告書を、刑事施設の所在地の市町村長に遅滞なく送付する。報告先を死亡者の本籍地と取り違えないよう注意する
- 4.遺族側は戸籍の死亡記載を確認する 親族の死亡を知った遺族は、知った日を記録し、本籍地の市区町村で除籍謄本を取って死亡の記載を確認する。相続放棄を検討するなら、知った日から3か月以内に家庭裁判所へ申述する
よくある質問 AI による整理
Q1戸籍法90条とは何を定めた条文ですか?
死刑の執行があったときと、刑事施設に収容中に死亡した人の引取人がないときに、刑事施設の長が市町村長に死亡を報告する義務を定めた条文です。
Q2死亡の「報告」と「届出」の違いは?
届出は親族などの届出義務者が行う手続き(戸籍法86条・87条)です。報告は官公署が職務として行う手続きで、90条のほか89条(事変による死亡)や92条(本籍不明者の死亡)に定められています。
Q3死刑執行の報告先はどこの市町村長ですか?
刑事施設の所在地の市町村長です。死亡者の本籍地や住所地ではありません。記載はその後、本籍地の戸籍に反映されます。
Q4戸籍法90条の「遅滞なく」とは何日以内?
具体的な日数は定められていません。正当な理由のない遅れは許されないという意味で、死亡届の7日(戸籍法86条)のような期限の数字はありません。
Q5受刑者が施設内で死亡して引取人がいる場合は?
90条2項が準用されるのは引取人がない場合だけです。引取人がいる場合は、原則として通常の死亡届の仕組み(戸籍法86条・87条)で手続きを進めます。
Q6死刑執行の報告に診断書は必要ですか?
条文上、添付義務は定められていません。診断書または検案書の添付を明文で求めているのは、2項の引取人のない収容中死亡の場合だけです。
Q7刑務所で死亡した家族の相続放棄はいつまで?
自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です(民法915条1項)。死亡日ではなく知った日が基準なので、通知を受けた日の記録が重要です。
Q8施設内で死亡した親族の除籍謄本は取れますか?
取れます。報告に基づいて死亡が記載された戸籍も、通常の死亡と同じく除籍謄本として請求でき、相続登記などの添付書類として使えます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1刑務所で亡くなった父の死亡届って、私が出さないといけないんですか?
引取人がいない場合は、刑事施設の長が市町村長に死亡を報告します(戸籍法90条2項)。引取人がいる場合は、通常の死亡届の仕組み(86条・87条)で手続きを進めるのが原則です。実務のポイント:誰が戸籍の手続きをするかより大事なのは、あなたが死亡を知った日の記録です。相続放棄の3か月の起算点は死亡日ではなく「知った日」なので、施設からの通知の封筒や日付の入った書面は必ず取っておくこと
Q2死刑が執行されたことは、戸籍を見れば分かるものなんですか?
戸籍に記録されるのは死亡の事実や日時、場所などで、本条の報告に基づく記載が死因を示す仕組みにはなっていません。ただし、記載例の細かな運用は法務省の通達で決まっているため、実際の表示は確認が必要です。実務のポイント:家族の名誉への影響を気にする人は多いのですが、戸籍謄本だけで執行の事実が広く知られるとは考えにくい。心配なら、取り寄せた謄本の記載を自分の目で確かめてから判断すること
間違えやすい点 AI による整理
- 「死亡届は家族が出すもの。家族が出さなければ戸籍上は生きたままになる」と思われがちである。しかし戸籍法は、死刑の執行、刑事施設内での引取人のない死亡、水難や火災などの事変による死亡(89条)といった場面で、官公署からの報告によって死亡を記録するルートを用意している。家族の沈黙が戸籍を止めるわけではない
- 「国の施設で亡くなったのだから、あとの手続きは全部国がやってくれる」という安心は半分しか当たっていない。国が引き受けるのは戸籍への報告や、引取人がいない場合の遺体の処置までである。相続の承認か放棄か、故人名義の口座や借金の処理を代わりに決める人はいない。国が報告を終えたところから、家族の側の期限が進み始める
- 「死刑の場合も、通常の死亡と同じように診断書が付いているはずだ」という前提は条文と食い違う。診断書または検案書の添付を明文で求めているのは2項(収容中の死亡で引取人がない場合)だけであり、1項の死刑執行の報告には添付の定めがない。死刑執行の場合、死亡は刑の執行手続そのものの中で確認されるからである
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手続きの種類 | 戸籍法90条:刑事施設の長による死亡の報告 | 戸籍法89条:事変の取調べをした官公署による死亡の報告 戸籍法86条:届出義務者による死亡届 |
| 対象となる死亡 | 死刑の執行、引取人のない刑事施設収容中の死亡 | 水難・火災その他の事変による死亡 死亡一般 |
| 報告・届出先 | 刑事施設の所在地の市町村長 | 原則として死亡地の市町村長 届出地の規定による市町村長 |
| 期限・添付書類 | 遅滞なく。2項の場合のみ診断書または検案書を添付 | 条文上の報告義務(日数の定めなし) 死亡の事実を知った日から7日以内(国外死亡は3か月以内)。診断書または検案書を添付 |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾では死亡について死亡登記を行う。受刑者の死亡時の処理は監獄行刑法の規律に委ねられ、日本のような刑事施設の長による戸籍報告の条文構造とは異なる
韓国も死刑執行や在所中の死亡について、刑務所長が所在地の市・邑・面の長に死亡を報告する仕組みを持ち、日本と構造が近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 何十年も音信不通だった兄が刑務所で亡くなっていた。そのことを知ったのは、役所から固定資産税の相続人代表者の指定を求める書類が届いたときだった。戸籍にはもう死亡の記載がある。兄に借金があったかもしれない。相続放棄の3か月は、死亡の日ではなく、あなたが相続人になったことを知った日から始まる。今日がその初日かもしれない
- 刑事施設の職員であるあなたの担当する被収容者が、病院に移される前に施設内で亡くなった。遺族に連絡したが、引き取りを断られた。報告書に検案書を付けずに市町村へ送れば、受理の段階で差し戻される。2項の添付義務を知らない新任職員がつまずく典型的な場面だ
- 家族が受刑中に亡くなったのに、誰も死亡届を出していない。これで戸籍は放置されたままになるのか? 引取人がいなければ、施設の長が報告する義務を負う。戸籍は動いている
取るべき行動
被害を受けた側:親族が刑事施設で亡くなった側の立場として:1. 施設からの通知で死亡日時と死因を確認し、通知書面を保存する2. 市区町村で除籍謄本を取り、戸籍に死亡が記載されているか確かめる3. 故人に借金がありそうなら、信用情報機関への照会などで財産と負債を調べる4. 相続放棄を考えるなら、知った日から3か月以内に家庭裁判所へ申述する。調査が間に合わなければ期間伸長の申立てもできる
訴えられた側:報告義務を負う刑事施設側の立場として:1. 死刑の執行または収容中の死亡があったら、遅滞なく施設所在地の市町村長に報告する2. 引取人がない収容中の死亡では、診断書または検案書の添付を忘れない3. 遺族への通知と、引取人がない場合の遺体の処置は刑事収容施設法の定めに従い、戸籍報告とは別に記録を残す4. 報告の遅れや記載の誤りは、遺族の相続手続きに直結する
時効(請求できる期限):本条の報告に具体的な日数の定めはなく、「遅滞なく」とされている。遺族が自分で死亡届を出す場合は、死亡の事実を知った日から7日以内(国外で死亡した場合は3か月以内、戸籍法86条1項)。相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内(民法915条1項)
改正沿革 AI による整理
- 平成17年(2005年)から平成18年(2006年)ごろの刑事施設関連法整備(要確認) 旧「監獄」法制から刑事施設法制への移行に伴い、報告義務者の文言が「監獄の長」から「刑事施設の長」に改正されたとみられる。改正年と改正法令名は人的検証が必要
改正の年表
- 1.昭和22年(1947年) 新設:現行戸籍法(昭和22年法律第224号)の制定。死刑執行等の場合の死亡報告が規定された。その後の刑事施設法制の整備に伴う文言改正の年次と法令名は要確認
- 戸籍法 第86条通常の死亡届と7日の届出期間
- 戸籍法 第87条死亡届の届出義務者の順位
- 戸籍法 第89条事変による死亡の官公署報告
- 戸籍法 第92条本籍不明者等の死亡の警察官報告
- 刑事訴訟法 第475条死刑執行は法務大臣の命令による
- 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律 第177条引取人のない死体の埋葬・火葬(現行効力を要確認)
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める