刑事訴訟法 第102条の2
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- 裁判所は、必要があるときは、電磁的記録提供命令(次の各号に掲げる者に対し、当該各号に定める方法により必要な電磁的記録を提供することを命ずる命令をいう。以下同じ。)をすることができる。
- 一電磁的記録を保管する者次のイ又はロに掲げる方法
- 一電磁的記録を記録媒体に記録させ又は移転させて当該記録媒体を提出させる方法
- 二電気通信回線を通じて電磁的記録を当該命令をする者の管理に係る記録媒体に記録させ又は移転させる方法
- 二電磁的記録を利用する権限を有する者(前号に掲げる者を除く。)同号イ又はロに掲げる方法(電磁的記録を記録媒体に記録させるものに限る。)
- 2.電磁的記録提供命令は、提供させるべき電磁的記録及び提供の方法を指定してするものとする。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第102条の2は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第102条の2の条文原文は「裁判所は、必要があるときは、電磁的記録提供命令(次の各号に掲げる者に対し、当該各号に定める方法により必要な電磁的記録を提供することを命ずる命令をいう。」で始まります。
- 刑事訴訟法第102条の2は第九章 押収及び捜索に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第102条の2の前の条は刑事訴訟法第102条です。
- 刑事訴訟法第102条の2の次の条は刑事訴訟法第103条です。
- 刑事訴訟法第102条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第102条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第102条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/102_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法102条の2は、裁判所が電磁的記録を保管する者または利用権限を有する者に対し、必要な電磁的記録の提供を命じられると定める。命令は対象記録と提供方法を指定して行う。
Q · 自分のパソコンにデータがなくても、裁判所からデータを出せと命令されることがあるの?
あります。アクセス権限があれば命令の名宛人になります
刑事訴訟法102条の2は、裁判所が電磁的記録提供命令を発することができると定めます。名宛人は第1項第1号の「電磁的記録を保管する者」だけでなく、第2号の「電磁的記録を利用する権限を有する者」も含まれます。つまり手元にデータがなくても、管理者アカウントや共有ドライブの権限を持っているだけで命令が届きます。ただし第2項により、命令は提供させるべき電磁的記録と提供の方法を指定して行う必要があり、「関係するもの全部」という包括的な命令は本条の建て付け上できません。命令書を受け取ったら、まず指定欄を読むことが出発点になります。
解説
捜査機関があなたのクラウドストレージの中身を手に入れる方法は、これまで「差押え」しかなかった。パソコンごと持って行かれ、Google や LINE のサーバに保管されたデータは令状を突きつけて取りに行く。刑事訴訟法102条の2が加えたのは、それとは別の入口である。裁判所が「電磁的記録提供命令」を出し、データを保管している者、あるいは保管はしていないが利用権限を持つ者に対して、必要な電磁的記録を自ら提供せよと命じる。押収されるのではなく、提供させられる。ここで注目すべきは第1項第2号だ。物理的にデータを持っていなくても、アクセス権限さえあれば命令の名宛人になりうる。会社の管理者アカウントを持つ情シス担当者、共有ドライブの編集権限を持つ社員、あなたが「自分は保管していない」と思っている立場でも、命令は届く。第2項は歯止めであり、提供すべき電磁的記録と提供方法を指定しなければならない。「全部出せ」という包括命令は、この条文の建て付け上できない。あなたが命令書を受け取ったとき、真っ先に読むべきは指定の範囲である。
法的な位置づけ
刑事訴訟法102条の2は電磁的記録提供命令を定める規定であり、裁判所が、電磁的記録を保管する者および当該記録を利用する権限を有する者に対して、指定した方法で必要な電磁的記録を提供するよう命じる処分を規律する。記録媒体の差押えが物理的な占有に着目するのに対し、本条は記録への到達可能性に着目し、提供させるべき記録と提供方法の指定を要件とする。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.命令書の指定欄を最初に読む 本文や事件の概要より先に、第2項に基づく「提供させるべき電磁的記録」と「提供の方法」の指定欄を逐語で読む。対象期間、対象者、データ種別、提供形式を紙に書き出し、範囲を線で囲む
- 2.自分の立場を保管者か利用権限者かで切り分ける 自社サーバに実データがあるのか、クラウド事業者のサーバにあり自分はアカウント権限を持つだけなのかを確認する。第1項第2号の利用権限者は記録媒体に記録させる方法に限られるため、提供の形が変わる
- 3.抽出作業に入る前に弁護人へ命令書を見せる 抽出してしまってから相談しても、渡す前に戻せる範囲は限られる。指定の特定性、押収拒絶権や守秘義務との関係、期限調整の要否を提供実行前に判断してもらう
- 4.指定が曖昧なら範囲の特定を書面で求める 「本件に関連する一切の電磁的記録」のような指定は、第2項の要求する特定を欠くと主張する足場になる。範囲の明確化を求めた書面を残すこと自体が、後日の過剰開示責任に対する防御材料になる
- 5.指定範囲だけを抽出し、工程を全部記録する 検索条件、期間、除外したデータ、抽出ツール、ハッシュ値、担当者、日時をログとして残す。どの文言に基づいて何を出したかの記録が、取引先や従業員に説明する唯一の材料になる
よくある質問 AI による整理
Q1電磁的記録提供命令とは何ですか?
裁判所が、データを保管する者や利用権限を有する者に対し、指定した方法で必要な電磁的記録を提供するよう命じる処分です。刑事訴訟法102条の2が根拠で、記録媒体を持ち去る差押えとは別の入口にあたります。
Q2誰が電磁的記録提供命令の名宛人になりますか?
第1項第1号の電磁的記録を保管する者と、第2号の当該記録を利用する権限を有する者です。被疑者に限られず、クラウド事業者、勤務先、業務委託先など事件と無関係な第三者も名宛人になり得ます。
Q3電磁的記録提供命令に期限はありますか?
本条自体に一律の期間の定めはなく、提供の期限は命令における指定に従います。指定期限が作業量に対して短い場合は、提供を実行する前に弁護人を通じて調整を申し入れるのが実務上の対応です。
Q4提供する範囲はどこまでですか?
第2項により、命令は提供させるべき電磁的記録と提供の方法を指定して行われます。したがって応じるべき範囲は指定欄が決めます。指定を超えた任意提供は命令の保護が及ばない領域になります。
Q5会社の従業員個人が名宛人になることはありますか?
あり得ます。第1項第2号は利用する権限を有する者を独立の名宛人として掲げるため、管理者アカウントや共有ドライブの編集権限を持つ担当者個人が対象になる場面があります。権限設定がそのまま地位を決めます。
Q6業務上の秘密を理由に提供を拒めますか?
刑事訴訟法105条は、医師・弁護士等が業務上委託を受けて保管する物について押収を拒絶できる旨を定めています。電磁的記録の提供を求められた場合も、この趣旨をどう及ぼすかが実務上の争点になります。
Q7海外のクラウドに保存されたデータも対象になりますか?
名宛人が日本国内でその記録を利用する権限を有していれば、記録の物理的所在が国外でも命令が届き得ます。ただし所在国の法制度や事業者の対応方針と衝突する場面があり、事前に弁護人と整理が必要です。
Q8提供命令に応じることが個人情報保護法違反になりませんか?
個人情報の保護に関する法律27条は、法令に基づく場合を本人同意なき第三者提供の例外としています。裁判所の命令に基づき指定範囲内で提供する限り、この例外の枠内で処理される整理になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1自分は容疑者じゃないのに、なんで裁判所からこんな命令が来るんですか?
本条は名宛人を被疑者に限定していない。電磁的記録を保管する者、または利用権限を有する者であれば、事件と無関係な第三者でも名宛人になる。クラウド事業者、勤務先、業務委託先が典型である。実務のポイント:第三者が名宛人になる案件では、捜査機関側も範囲の交渉に応じる余地を持っていることが多い。命令書が届いた時点で「全部出すか、拒否するか」の二択だと思い込む人が多いが、実務では範囲の確認と調整という第三の道が動いている
Q2命令を無視したらどうなりますか?
裁判所の命令である以上、応じないことには手続上の不利益が生じ、記録媒体そのものの差押えなど、より広い範囲を巻き込む処分へ移行しうる。結果として、提供命令に応じた場合より多くの情報が押収される事態になりかねない。実務のポイント:拒否は「守った」ことにならない場合が多い。範囲を絞って提供する方が、差押えで丸ごと持って行かれるより開示範囲が小さくなる。この損得計算を弁護人と最初にやる
Q3会社のデータを出したことで、取引先から責任を問われませんか?
裁判所の命令に基づく提供であれば、指定された範囲内での開示について責任を問われる可能性は低い。ただし指定範囲を超えて任意に提供した部分は、命令の保護が及ばず、契約上の守秘義務違反となる余地が残る。実務のポイント:だからこそ第2項の指定が実務上の生命線になる。命令書のどの文言に基づいて何を出したかを記録しておくと、後に取引先へ説明するときの唯一の防御材料になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「データを持っていなければ関係ない」という前提そのものが誤っている。第1項第2号は保管者ではない者、つまり利用権限を有するにすぎない者を独立の名宛人として掲げる。アカウントの権限設定という、法律とは無縁に見える IT 上の状態が、そのまま刑事手続上の地位を決める
- 提供命令は差押えより軽い、任意の協力依頼のようなものだと受け取られやすい。だが裁判所が発する命令である以上、応じないことには手続上の不利益が伴い、他の強制処分への移行を招く。「軽い方が来た」ではなく「別の形で強制力が及んでいる」と捉えるのが正確である
- あなたの視点では「求められた資料を誠実に出した」だが、法的な視点では「指定範囲を超えて第三者の情報を任意に開示した」となりうる。この落差が、後日あなた自身が顧客や従業員から責任を問われる原因になる。誠実さと過剰提供は、法律上まったく別のものである
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 捜査機関の到達方法 | 102条の2:裁判所が提供を命じ、名宛人が自ら記録を出す | 99条・218条:差押えにより記録媒体そのものを取得する 197条:通信履歴等の消去を差し控えるよう保全を要請する |
| 名宛人の負担 | 指定範囲を解釈し抽出する作業負担が名宛人側に生じる | 媒体ごと持ち去られるため業務停止リスクが大きい 保存を続けるだけで、提供自体は求められない段階 |
| 範囲を決めるのは誰か | 第2項の指定が枠を決め、その内側の切り出しは名宛人が行う | 令状記載と捜査機関の執行が範囲を決める 要請対象として示された通信履歴等の範囲 |
| 拒んだ場合の展開 | 手続上の不利益が生じ、より広い強制処分へ移行し得る | 既に強制処分であり、執行そのものは拒めない 保全されないまま記録が消え、証拠が失われる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は記録媒体の扣押と、調取票による通信紀錄の調取を分けて規律する。データ保有者への提供命令という単独の類型は日本ほど明確でなく、扣押と調取の枠組みで処理される
韓国は情報保存媒体の押収について、原則として範囲を定めて出力・複製する方式を条文上明示する。範囲の限定を条文レベルで要求する点で、日本の第2項の指定と発想が近い
ドイツは占有者に対する提出義務を一般規定として置き、通信データの取得は別途要件を加重する。提出義務違反には秩序罰等の担保手段が条文上用意されている
米国はサービスプロバイダに対する開示命令を類型化し、取得する情報の種類ごとに要件を段階化する。データの物理的所在が国外でも管理権に着目する点は本条第1項第2号と発想が重なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 勤務先に捜索が入り、あなたは情シス担当という理由で電磁的記録提供命令の名宛人になった。サーバは社内にない、データは海外のクラウドにある。それでもあなたは管理者アカウントを持っている。第1項第2号の「利用する権限を有する者」とは、まさにこの立場である
- 取引先の不正会計事件で、あなたの会社は被疑者ですらない。第三者として命令が届く。指定されたのは「2025年4月から9月までの、A 社担当者との間の電子メール」。範囲外のデータまで一括で吐き出すと、あなたが他の顧客に対して負う守秘義務に自分から穴を開けることになる
- もし命令書の指定が曖昧で、「本件に関連する一切の電磁的記録」と書かれていたら? 第2項は提供させるべき記録と方法の指定を要求している。指定が特定を欠くと主張して争う足場は、条文そのものの中にある
- 個人事業主のあなたに命令が届いた。提供期限は指定日まで残り5日。データ量は数百 GB、抽出作業には外部業者が要る。弁護士に相談し、範囲の限定や期限の調整を申し入れるか、そのまま全部渡すかを、この5日で決めなければならない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 自分のデータが第三者への提供命令によって捜査機関に渡る可能性を把握する。クラウド事業者や勤務先が名宛人になれば、あなたに通知が来ないまま提供されることがある2. 自分が保管を委ねている事業者の捜査対応方針を契約書と利用規約で確認する3. 提供された記録の中に事件と無関係な私的情報が含まれていた場合、証拠としての取扱いや還付について弁護人を通じて申し入れる
訴えられた側:1. 命令書の第2項に基づく指定、つまり対象記録の範囲と提供方法を逐語で確認し、範囲外のデータを混ぜて提供しない2. 弁護人に相談する前に抽出・提出しない。提出後の回収は事実上不可能3. 自分が保管者なのか利用権限者にすぎないのかを整理し、権限の実態と異なる名宛人指定であれば、その旨を書面で明らかにする4. 提供作業の全工程を記録に残す。どの範囲をどの方法で抽出したかの記録が、後の争点で自分を守る
時効(請求できる期限):本条自体に特定の期間制限の定めはなく、提供期限は命令における指定に従う。関連する電磁的記録の保全要請には期間の上限が定められている(刑事訴訟法197条3項以下、最新の改正状況をご確認ください)。命令の適法性を争う場合、実務上は提供実行前に動く必要がある
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