刑事訴訟法 第108条
クイックジャンプ
- 差押状又は捜索状は、検察官の指揮によつて、検察事務官又は司法警察職員がこれを執行する。ただし、裁判所が被告人の保護のため必要があると認めるときは、裁判長は、裁判所書記官又は司法警察職員にその執行を命ずることができる。
- 2.裁判所は、差押状又は捜索状の執行に関し、その執行をする者に対し書面で適当と認める指示をすることができる。
- 3.前項の指示は、合議体の構成員にこれをさせることができる。
- 4.第七十一条の規定は、差押状又は捜索状の執行について準用する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第108条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第108条の条文原文は「差押状又は捜索状は、検察官の指揮によつて、検察事務官又は司法警察職員がこれを執行する。ただし、裁判所が被告人の保護のため必要があると認めるときは、裁判長は、裁判…」で始まります。
- 刑事訴訟法第108条は第九章 押収及び捜索に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第108条の前の条は刑事訴訟法第107条です。
- 刑事訴訟法第108条の次の条は刑事訴訟法第109条です。
- 刑事訴訟法第108条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第108条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第108条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/108
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法108条は、公判段階の令状を原則検察官の指揮で検察事務官や司法警察職員が執行すると定める。裁判所は被告人保護のため書記官に執行を命じ、書面で指示できる。
Q · 公判中に裁判所が出した捜索・差押えの令状は、誰がどうやって執行するの?
原則は検察官の指揮、ただし裁判所が書記官に命じることもできる
刑事訴訟法108条により、公判段階の差押状・記録命令付差押状・捜索状は、原則として検察官の指揮の下で検察事務官または司法警察職員が執行します。ただし裁判所が被告人の保護のため必要と認めれば、裁判長は検察官の手を離れて裁判所書記官に執行を命じることができます(1項ただし書)。さらに裁判所は、執行する者に対し書面で執行範囲などの具体的な指示を出せます(2項)。誰の指揮で、どんな指示書付きで執行されているかは、その執行が適法かどうかを判断する最初の手がかりになります。
解説
ドラマで見る「ガサ入れ」のほとんどは、警察が捜査のために行うもの(218条)だ。だが裁判が始まった後は、裁判所自身が証拠を押さえに動くことがある。それを誰が、どう執行するかを定めるのが108条だ。原則は検察官の指揮で、検察事務官か司法警察職員が執行する。だが、見落とされがちな一行がある。裁判所が「被告人の保護のため必要」と認めれば、裁判長は検察官の手を離れ、裁判所書記官に執行を命じることができる。つまり、検察側に丸投げしない選択肢が法律上用意されている。さらに裁判所は、執行する者に対して書面で具体的な指示を出せる。どの範囲まで、どう押さえるか、その枠を裁判所が設定できるということだ。あなたの自宅や会社のサーバーに令状が来たとき、誰の指揮で、どんな指示書付きで来たのかは、その執行が適法かどうかを判断する最初の手がかりになる。
法的な位置づけ
刑事訴訟法108条は、公判係属中の裁判所が発する差押状・記録命令付差押状・捜索状の執行手続を定める規定である。執行は原則として検察官の指揮の下で検察事務官または司法警察職員が行うが、裁判所は被告人保護の必要に応じて書記官に執行を命じ、また執行者に対し書面で具体的な指示を与えることができる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.まず令状の呈示を求める 執行者が現れたら、令状の呈示を求める(刑訴110条)。被疑事件名、捜索する場所、押収する物が明示されているかを確認する
- 2.指揮系統と段階を確認する 捜査段階の令状(218条)か、公判中の裁判所令状(108条)かを見分け、誰の指揮で動いているか(検察官か裁判所書記官か)を確認する
- 3.裁判所の書面指示の範囲を確認する 108条2項の書面指示が付いていれば、その範囲を確認する。範囲外の押収には異議を述べ、その場でメモ・録音により記録を残す
- 4.立会いを確保し押収目録の交付を受ける 執行の全過程に立ち会い、終了後は押収目録の交付を必ず受ける。何が押収されたかを書面で確定させる
- 5.弁護士へ相談し違法執行は準抗告で争う 終了後すみやかに弁護士へ相談する。指揮系統・書面指示の範囲・管轄に違法があれば、準抗告(刑訴430条)で執行処分を争う
よくある質問 AI による整理
Q1令状の執行とは何ですか?
裁判所が発した差押状・捜索状などに基づき、実際に証拠を押さえる行為です。刑事訴訟法108条は、公判段階の令状を誰の指揮で誰が執行するかを定めています。
Q2差押状は誰が執行するのですか?
公判段階では原則として検察官の指揮で、検察事務官または司法警察職員が執行します(刑訴108条1項)。ただし裁判所が書記官に命じる場合もあります。
Q3公判中の捜索は捜査段階と何が違いますか?
捜査段階は警察・検察が令状請求から執行まで主導しますが(218条)、公判段階は裁判所自身が令状を発し、その執行を命じる主体になります(108条)。
Q4記録命令付差押状はクラウド事業者にも届きますか?
届きます。データを保管する事業者などに特定の電磁的記録を作成・提出させる令状で、108条はその執行手続も束ねています(2011年新設、99条の2)。
Q5裁判所の管轄区域外でも令状は執行できますか?
できます。108条4項が71条を準用しており、管轄区域外での執行が認められます。東京の裁判所の令状が大阪の拠点で執行されることもあります。
Q6令状の執行に不服がある場合はどうすればいいですか?
押収など執行処分への不服は、準抗告(刑訴429条・430条)で争えます。処分を知った後すみやかに行う必要があるため、執行直後に弁護士へ相談してください。
Q7裁判所書記官が執行を行うことはありますか?
あります。裁判所が被告人の保護のため必要と認めれば、裁判長は検察官ではなく裁判所書記官に執行を命じることができます(108条1項ただし書)。
Q8違法な執行があった場合、証拠は排除されますか?
指揮系統や書面指示の範囲を超えた執行は、違法収集証拠として排除を争う材料になります。執行の適法性は公判での証拠調べ前が勝負どころです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1家宅捜索を拒否したらどうなりますか?
令状に基づく執行は拒否できません。執行のため必要な処分として、施錠の解錠などが認められています(刑訴111条)。物理的に妨害すれば公務執行妨害罪(刑法95条)に問われます。実務のポイント:拒否はできなくても、令状の呈示を求める権利(110条)と、押収範囲が令状や書面指示の記載内に収まっているかを確認・記録する権利はある。『拒否』ではなく『範囲の確認と記録』に労力を割くのが、実務的に正しい動き方です
Q2記録命令付差押状って、普通の差押えと何が違うんですか?
通常の差押えは物(サーバーやパソコンそのもの)を持っていきますが、記録命令付差押状は、データを保管する事業者などに特定の電磁的記録を作成・印刷して提出させる令状です(2011年新設、刑訴99条の2)。実務のポイント:機器そのものを差し押さえられると業務が止まるが、記録命令付なら必要なデータだけが対象になる。『機器の差押えではなく記録命令で足りるはず』と主張できる場面があり、事業者側の防御の余地になります
間違えやすい点 AI による整理
- 「捜索や差押えは警察がやるもの」という前提そのものが、半分しか当たっていない。捜査段階は確かに警察・検察が主導するが、公判が始まれば裁判所自身が令状を出し、その執行を命じる主体になる。問いを『誰が証拠を押さえるのか』ではなく『今は捜査段階か、公判段階か』に立て直さないと、目の前にいる人間の権限を見誤る
- 裁判所が令状の執行に「書面で指示できる」ことは、条文を読めば分かる。だが見落とされるのは、その指示が執行の適法性を縛る基準になるという深刻さだ。指示の範囲を超えた執行は、違法収集証拠として排除を争う材料になる。指示書の存在を知っているかどうかで、後の証拠排除の主張ができるかが変わってくる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 発付・執行の段階 | 108条:公判係属中、裁判所が発した令状の執行 | 218条:捜査段階、捜査機関が請求・執行する令状 71条:管轄区域外での執行(108条4項が準用) |
| 指揮・執行主体 | 原則検察官の指揮、例外で裁判所書記官(108条1項ただし書) | 検察官・検察事務官・司法警察職員が主導 本条の執行者が区域外でも執行可能 |
| 争う観点 | 指揮系統・書面指示の範囲・管轄の適法性を準抗告で | 令状請求の理由・必要性、捜査の適法性 区域外執行の準用要件の充足 |
他国ではどう定めているか 4 か国
扣押は法官・検察官が自ら実施するほか、検察事務官・司法警察官・司法警察に執行を命じうる点で、指揮・執行を分ける日本と構造が近い
押収・捜索令状は検事の指揮により司法警察官吏が執行するとし、検察官指揮を原則とする点で日本108条と類似する
捜索は原則裁判官が命じ、裁判の執行は検察が担う。執行主体を法定する発想は共通するが、令状執行の指揮構造の細部は異なる
令状は法執行官(law enforcement officer)が執行し、執行範囲・時間帯・返還手続が詳細に規律される。司法のコントロールを手続で担保する点に共通性がある
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、ある朝あなたの会社に捜査員が現れ、サーバーごと運び出そうとしたら? その令状が捜査段階(218条)のものか、公判中の裁判所令状(108条)かで、誰の指揮で動いているかが変わる。指揮系統を確認することが、執行範囲を争う最初の一歩になる
- クラウド事業者に記録命令付差押状が届いた。特定の電磁的記録を作成して提出させる令状で、執行者には裁判所の書面指示が付いていることがある。その範囲を超える要求に応じる義務はないが、確認できる時間は執行の、その場しかない
- 公判の途中、裁判所が被告人保護のため、検察官ではなく書記官に執行を命じた。検察任せにすべきでないと裁判所が判断した合図だ
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず令状の呈示を求める(110条)。被疑事件名、捜索する場所、押収する物が明示されているか確認する。2. 108条の観点では『誰の指揮か』も重要、捜査段階の令状(218条)か、公判中の裁判所令状かを見る。3. 裁判所の書面指示が付いていれば、その範囲を確認し、範囲外の押収には異議を述べ、その場でメモ・録音で記録する。4. 立会いを確保し、押収目録の交付を必ず受ける。5. 終了後すみやかに弁護士へ相談、違法執行があれば準抗告(430条)で争う
訴えられた側:1. 公判中に裁判所が令状を発した場合、弁護人を通じて執行の必要性と範囲を争う。2. 被告人保護の観点から、検察官指揮ではなく書記官による執行を求める余地がある(108条1項ただし書)。3. 押収物が公判で証拠として出てきたら、執行手続の適法性(指揮系統・書面指示の範囲・管轄)を一つずつ検証し、違法収集証拠排除の主張を組み立てる。4. 執行処分への不服は準抗告で
時効(請求できる期限):令状の執行という処分自体に固有の出訴期間はないが、執行や押収処分に対する不服申立て(準抗告、刑訴429条・430条)は、処分を知った後すみやかに行う必要がある。違法収集証拠排除の主張は、公判での証拠調べ前までが勝負。具体的な扱いは事案により異なるため、執行直後に弁護士へ相談すること(最新の手続状況をご確認ください)
学説
通説:108条1項本文は公判段階の令状執行を原則検察官の指揮に委ねるが、同項ただし書は中立的な裁判所が執行を直接コントロールする余地を残したものと理解される。2項の書面指示は執行の適法性を画する基準として機能し、その範囲を超えた執行は違法評価を受けうるとされる。
改正沿革 AI による整理
- 平成23年(2011年) 情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部改正(サイバー犯罪対策)により、新設された『記録命令付差押状』を本条の執行対象に追加。電磁的記録の証拠収集手続が本条の射程に組み込まれた
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法の制定に伴い、公判段階の令状執行に関する規定として整備。検察官指揮を原則としつつ被告人保護のための書記官執行と書面指示の仕組みを置いた
- 2.平成23年(2011年) 改正:情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部改正により新設された記録命令付差押状を本条の執行対象に追加。電磁的記録の証拠収集手続が本条の射程に組み込まれた
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める