刑事訴訟法 第157条の2
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- 検察官は、証人が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのある事項についての尋問を予定している場合であつて、当該事項についての証言の重要性、関係する犯罪の軽重及び情状その他の事情を考慮し、必要と認めるときは、あらかじめ、裁判所に対し、当該証人尋問を次に掲げる条件により行うことを請求することができる。
- 一尋問に応じてした供述及びこれに基づいて得られた証拠は、証人が当該証人尋問においてした行為が第百六十一条又は刑法第百六十九条の罪に当たる場合に当該行為に係るこれらの罪に係る事件において用いるときを除き、証人の刑事事件において、これらを証人に不利益な証拠とすることができないこと。
- 二第百四十六条の規定にかかわらず、自己が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのある証言を拒むことができないこと。
- 2.裁判所は、前項の請求を受けたときは、その証人に尋問すべき事項に証人が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのある事項が含まれないと明らかに認められる場合を除き、当該証人尋問を同項各号に掲げる条件により行う旨の決定をするものとする。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第157条の2は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第157条の2の条文原文は「検察官は、証人が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのある事項についての尋問を予定している場合であつて、当該事項についての証言の重要性、関係する犯罪の軽重…」で始まります。
- 刑事訴訟法第157条の2は第十一章 証人尋問に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第157条の2の前の条は刑事訴訟法第157条です。
- 刑事訴訟法第157条の2の次の条は刑事訴訟法第157条の3です。
- 刑事訴訟法第157条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第157条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第157条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/157_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法157条の2は、検察官の請求で裁判所が決定すれば、証人が自己に不利益な証言を拒めなくなる刑事免責(使用免責)を定める。証言とその派生証拠は本人の事件で不利に使えない。
Q · 証人として呼ばれたら、自分に不利なことでも証言を拒めなくなるって本当?
免責決定が出れば拒めません。ただし証言は本人の事件で不利に使えません
刑事訴訟法157条の2により、検察官の請求で裁判所が刑事免責を決定すると、証人は自己に不利益な証言でも拒めなくなります(146条の証言拒絶権が外れる)。その代わり、その尋問でした供述とそれを基に得た証拠は、原則として証人自身の刑事事件で不利な証拠にできません(使用免責)。ただし免責は不起訴ではなく、別の独立した証拠で起訴される道は残ります。免責下で嘘をつけば偽証罪、拒み続ければ証言拒絶罪になります。
解説
証人として法廷に立つとき、自分が罪に問われそうな質問には「証言を拒みます」と言える、それが刑事訴訟法146条が保障する権利だ。ところが2018年6月、この盾を外す制度が静かに動き出した。検察官が裁判所に請求し、裁判所が決定すれば、あなたは自己に不利益な証言であっても拒めなくなる。その代わり、あなたがその尋問でした供述と、それを手がかりに集められた証拠は、あなた自身の刑事事件であなたに不利な証拠として使えない。これを使用免責と呼ぶ。注意すべきは、免責は「不起訴」ではないということ。別ルートで集まった証拠であなたを起訴することは妨げられない。さらに、免責下で嘘をつけば偽証罪、拒み続ければ証言拒絶罪になる。共犯者の口を割らせるための、検察官の合鍵がここにある。
法的な位置づけ
刑事訴訟法157条の2は刑事免責の一類型である使用免責を定める規定であり、検察官の請求を受けた裁判所の決定により、証人尋問でした供述およびこれに基づき得られた証拠を当該証人の刑事事件で不利益な証拠としないことと引き換えに、自己負罪を理由とする証言拒絶を認めないこととする制度である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.呼出状の性質を確認する 通知が「証人」としての呼出しか、自己の刑事責任に触れる事項を聞かれそうかをまず洗い出す。免責請求の対象になりうる立場かどうかを見極める
- 2.自己のための弁護人を確保する 証人に弁護人は付かないが、自己の刑事事件に関する相談は別枠でできる。免責の地雷(偽証罪・証言拒絶罪)を避けるため、尋問前に弁護人を確保する
- 3.免責請求の有無と範囲を確認する 検察官による免責請求(157条の2)が出ているか、出ていれば免責の範囲と尋問予定事項を弁護人と確認する。免責は不起訴ではない点を理解しておく
- 4.正確な記憶のみを述べる準備をする 免責下では嘘は偽証罪、理由なき拒否は証言拒絶罪になる。記憶があいまいな点は「記憶がない」と正確に述べる準備をし、推測で語らない
よくある質問 AI による整理
Q1刑事免責とは何ですか?
検察官の請求で裁判所が決定し、証人の証言とその派生証拠を本人の事件で不利に使わない代わりに、自己負罪を理由とする証言拒絶を認めない制度です。刑事訴訟法157条の2が定めます。
Q2使用免責と行為免責の違いは?
使用免責は証言と派生証拠を本人に不利に使えないだけで起訴は可能です。行為免責は行為自体を不問にし起訴できません。日本が157条の2で採用したのは使用免責です。
Q3刑事免責はいつから使える制度ですか?
平成28年(2016年)改正で新設され、平成30年(2018年6月1日)に施行されました。それ以前の日本には法律上の免責制度はありませんでした。
Q4刑事免責は誰が請求できますか?
検察官のみが請求でき、裁判所が決定します。証人本人や弁護側から請求することはできません。共犯構造の解明に必要と認めるときに使われます。
Q5免責証人が嘘の証言をするとどうなりますか?
免責下でも虚偽の証言をすれば偽証罪(刑法169条)が成立します。免責は証言を本人に不利に使わない約束であって、嘘を許すものではありません。
Q6免責決定が出た後に証言を拒否できますか?
できません。拒めば証言拒絶罪(刑訴法161条)が成立します。146条の証言拒絶権が外れるため、嘘も拒否もできない状態に置かれます。
Q7刑事免責の適用例は多いですか?
極めて限られています。2018年の導入以来慎重に運用され、免責証人の証言だけで有罪が決まることは少なく、裏付け証拠との整合性が重視されます。
Q8免責された証人に弁護人はつきますか?
証人としての立場に弁護人は付きませんが、自己の刑事責任に関する相談は別枠で弁護人に依頼できます。呼出状の段階で確保するのが安全です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1免責されたら、もう自分は罪に問われないってことですか?
いいえ、これは使用免責で、その尋問でした証言とそれを基に集めた証拠を、あなた自身の事件で不利な証拠にできないという意味です(157条の2第1項一号)。別の独立証拠で起訴されることは妨げられません。実務のポイント:「免責=不起訴」と誤解して軽い気持ちで証言する人がいる。免責は「この証言とその派生証拠」に限られる、その線引きを尋問前に弁護士と詰めるかが分かれ目だ
Q2免責が付いたら、もう証言を拒否できないんですか?
そのとおり、146条の証言拒絶権は裁判所の決定で外されます(157条の2第1項二号)。免責を受けるか否かをあなたが選ぶことはできず、決定が出れば従うほかありません。実務のポイント:ここで嘘をつけば偽証罪(刑法169条)、理由なく拒めば証言拒絶罪(刑訴法161条)。「拒めず嘘もつけない」状態に置かれる以上、何をどこまで聞かれるか事前に把握する弁護人が決定的だ
Q3免責で証言した共犯者の話、そのまま信じていいんですか?
そこが争点です。免責証人は自分の罪を軽くするため、責任を他人に押し付ける誘因を持ちます。だから弁護側は反対尋問でその信用性を徹底的に崩します。実務のポイント:この制度は2018年の導入以来、適用例が極めて限られている。それだけ慎重に運用される証拠だということ。免責証人の証言だけで有罪が決まることは少なく、裏付け証拠との整合性が勝負どころになる
間違えやすい点 AI による整理
- 「断れるのか」と多くの人が問うが、その問い自体が的を外している。裁判所が免責の決定をすれば、あなたは免責を受けることも、証言することも拒めない。受けるか否かを選ぶ余地は最初から無い。立てるべき問いは「免責の範囲はどこまでか、何を聞かれるのか」だ
- 「免責されたなら自分は罪に問われない」と安心する人がいる。だがこれは使用免責であって不起訴ではない。あなたから見れば免罪に見えても、法律から見れば「この証言とそれを基に得た証拠だけは不利に使えない」という限定にすぎない。別の独立した証拠で起訴される道は開いたまま、この落差があなたを油断させる
- 「証言は拒める」という146条の権利を知っている人は多い。だが、その権利が法律によって外せること、そして外された後に嘘をつけば偽証罪(刑法169条)、拒み続ければ証言拒絶罪(刑訴法161条)になることまで知っている人は少ない。権利の存在を知っているだけでは、いざというとき身を守れない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 機能 | 157条の2:免責と引き換えに自己負罪証言を強制 | 146条:自己負罪証言を拒める権利(証言拒絶権) 157条の3:尋問開始後の免責請求の手続 |
| 請求のタイミング | 尋問前にあらかじめ検察官が請求 | 尋問中に証人本人が随時援用 証人尋問開始後に検察官が請求 |
| 主体 | 検察官請求 → 裁判所決定 | 証人本人の判断 検察官請求 → 裁判所決定 |
| 効果 | 証言拒絶不可・使用免責付与(不起訴ではない) | 自己負罪証言を拒否できる 157条の2と同じ使用免責を尋問途中から付与 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾は汙點證人について刑の減軽・免除を定める。日本の使用免責が証拠能力の制限であるのに対し、台湾は刑事責任そのものの減免に重心がある点で構造が異なる。
ドイツは捜査協力者に対し刑の減軽・免除で報いる制度であり、証言強制と引き換えの使用免責とは仕組みが異なる。証言拒絶権(§ 55 StPO)は維持される。
日本の157条の2が母型とした制度。連邦法は use immunity(使用免責)を採り、Kastigar 判決が transactional immunity(行為免責)まで不要で使用免責で足りると判示した。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 勤め先がカルテルや談合の疑いで捜査を受けている。会議に同席したあなたは、自分も処分されるのが怖くて何も話さないつもりだった。だが検察官が免責を請求し裁判所が認めれば、あなたは自己に不利な証言でも拒めなくなる。黙秘で乗り切る作戦が、入口で崩れる
- もし、特殊詐欺グループの末端で受け子をしていたあなたに、検察から証人尋問の呼出しが来たら? あなたは「黙っていれば自分の罪は隠せる」と考える。しかし免責決定が出れば証言を強制され、出頭期日まで残された時間で、自分の弁護人をつけるかどうかを決めなければならない
- 暴力団員が幹部の指示を法廷で証言する。免責がついている。だが免責は不起訴ではない、その男は別の証拠で起訴されうる
- 友人が青ざめた顔で相談してくる。「証人尋問の通知が来た、自分が関わった話も聞かれそうだ、断れるのか」。あなたが146条と157条の2の関係を知っていれば、断れる場合と強制される場合の境界を、その場で示せる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 呼出状が来たら、自分が「証人」として呼ばれたのか確認し、自己の刑事責任に触れる事項を聞かれそうかを洗い出す2. 該当しそうなら、証人としての立場とは別に、自分自身のための弁護人を確保する(証人に弁護人は付かないが、自己の刑事事件の相談は可能) 3. 免責請求が出ているか、出ていれば免責の範囲を弁護士と確認4. 尋問では嘘は偽証罪、拒否は証言拒絶罪になるため、正確な記憶のみを述べる準備をする
訴えられた側:1. 検察側証人に免責が付いているか、公判前整理手続の段階で確認する2. 免責証人は責任転嫁の誘因を持つため、反対尋問で供述の変遷、利害関係、裏付けの有無を突く3. 免責された証言とその派生証拠が、本人に不利に使われない範囲を超えてあなたに不利に流用されていないかを精査4. 客観的記録との矛盾など、信用性を弾劾する証拠を準備する
時効(請求できる期限):免責の請求は、本条(157条の2)では証人尋問の前にあらかじめ行う必要がある(尋問開始後の請求は157条の3による)。免責証言の証拠能力を争うなら、公判での証拠調べの段階で異議を述べること。民事のような特定の消滅時効はないが、手続上の主張は各段階の期限を逃すと封じられる
学説
通説:使用免責は、自己負罪証言とその派生証拠を本人に不利に使わない限り、憲法38条1項の自己負罪拒否特権を実質的に害さないため合憲とされる。検察官請求+裁判所決定という二段構えが濫用防止の歯止めとして評価される。
改正沿革 AI による整理
- 平成28年(2016年)改正、平成30年(2018年6月1日)施行 刑事免責制度として新設。それまで日本には法律上の免責制度がなく、最高裁(最大判平成7年2月22日、ロッキード事件)も免責には立法が必要と判示していた。本条は使用免責を採用し、検察官の請求と裁判所の決定により、自己負罪拒否特権を外して証言を強制する仕組みを整えた
改正の年表
- 1.平成28年(2016年) 新設:刑事訴訟法等改正(いわゆる司法取引・証拠収集等改革)により刑事免責制度を新設。157条の2(尋問前の請求)と157条の3(尋問開始後の請求)を整備し、使用免責を採用した。
- 2.平成30年(2018年) 改正:2018年6月1日に施行。日本で初めて法律上の刑事免責制度が運用開始となった。
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