刑事訴訟法 第37条の4
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裁判官は、被疑者に対して勾留状が発せられ、かつ、これに弁護人がない場合において、精神上の障害その他の事由により弁護人を必要とするかどうかを判断することが困難である疑いがある被疑者について必要があると認めるときは、職権で弁護人を付することができる。ただし、被疑者が釈放された場合は、この限りでない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第37条の4は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第37条の4の条文原文は「裁判官は、被疑者に対して勾留状が発せられ、かつ、これに弁護人がない場合において、精神上の障害その他の事由により弁護人を必要とするかどうかを判断することが困難であ…」で始まります。
- 刑事訴訟法第37条の4は第四章 弁護及び補佐に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第37条の4の前の条は刑事訴訟法第37条の3です。
- 刑事訴訟法第37条の4の次の条は刑事訴訟法第37条の5です。
- 刑事訴訟法第37条の4には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第37条の4 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第37条の4(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/37_4
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法37条の4は、勾留中で弁護人がなく、精神上の障害等で弁護人の要否を判断できない疑いがある被疑者に、裁判官が職権で弁護人を付せると定める。釈放されれば適用外。
Q · 認知症や精神障害で本人が弁護士を頼めないとき、国選弁護人はつかないの?
勾留中なら裁判官が職権で付けられます
通常の被疑者国選弁護は本人の請求が必要ですが(刑事訴訟法37条の2)、精神上の障害その他の事由で「弁護人が必要かどうかの判断すら困難」な被疑者には、刑事訴訟法37条の4により裁判官が職権で弁護人を付すことができます。前提は勾留状が発せられ、かつ弁護人がいないこと。ただし被疑者が釈放された場合は適用外です。本人が請求できないからこそ、診断書や通院歴を当番弁護士・裁判所に届け、判断困難の事情を可視化することが職権発動の鍵になります。
解説
認知症の父が、スーパーで商品をポケットに入れたまま店を出て、窃盗の疑いで逮捕され、勾留状まで出た。父は自分が何を疑われているのかも、弁護士を頼むという発想も持てない。こういうとき、通常の国選弁護制度は役に立たない。国選弁護人は原則として本人が請求しなければつかないからだ。だが刑事訴訟法37条の4は、その穴を埋める。精神上の障害その他の事由で「弁護人が必要かどうかの判断すら困難」な被疑者については、裁判官が頼まれなくても職権で弁護人をつけられる。本人が助けを求められないからこそ、裁判所の側が動く。ただし、釈放されればこの保護は消える。勾留されている今この瞬間だけが、この条文が動く時間だ。
法的な位置づけ
刑事訴訟法37条の4は職権による被疑者国選弁護を定める規定であり、勾留状が発せられかつ弁護人がない被疑者について、精神上の障害その他の事由により弁護人を必要とするか判断することが困難な疑いがあり、裁判官が必要と認めるとき、本人の請求がなくとも職権で弁護人を付すことを認めるものである。請求を原則とする37条の2の例外として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.勾留状が出ているかを真っ先に確認 37条の4は「勾留状が発せられ」が要件。逮捕だけの段階では動かないため、まず勾留状が出ているかを家族・支援者が確認する。勾留されていれば本条の適用窓口が開いている
- 2.本人の精神状態を示す資料を集める 診断書、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、通院歴・服薬記録など、本人が弁護人の要否を判断できないことを裏づける資料を可能な限り集める。この可視化が職権発動の材料になる
- 3.当番弁護士を呼んで状態を伝える 逮捕直後でも1回無料で呼べる当番弁護士制度を利用し、本人が判断困難であることと収集した資料の存在を伝える。専門家に状況を渡すのが最も速い一手
- 4.裁判所・検察官に判断困難の事情を届ける 弁護人がつかない場合、本人の精神状態を示す情報を裁判所・検察官に届け、刑事訴訟法37条の4による職権での国選弁護人選任を促す。情報が届くのが早いほど空白の時間が短くなる
よくある質問 AI による整理
Q1職権国選弁護とは何ですか?
本人の請求がなくても裁判官が職権で弁護人を付ける制度です。刑事訴訟法37条の4が根拠で、勾留中かつ弁護人がなく、精神上の障害等で要否の判断が困難な被疑者が対象です。
Q2認知症の親が逮捕されたら弁護士はどうやって頼みますか?
本人が請求できなくても、診断書や通院歴を当番弁護士・裁判所に届けて状態を伝えれば、刑事訴訟法37条の4による裁判官の職権付与を促せます。まず当番弁護士を呼ぶのが現実的です。
Q3被疑者国選弁護は逮捕段階でもつきますか?
原則は勾留が前提です。37条の4も「勾留状が発せられ」が要件で、逮捕のみの段階では動きません。逮捕直後は無料の当番弁護士制度を利用します。
Q4職権で弁護人をつけてもらうのにお金はかかりますか?
国選弁護は国の負担が原則です(資力要件あり)。家族が私選弁護人を頼む場合は自己負担となります。費用面でも職権付与は被疑者に有利です。
Q5釈放されたら職権国選弁護はどうなりますか?
37条の4はただし書きにより、被疑者が釈放された場合は適用外になります。起訴後は被告人国選弁護(36条)の別ルートがあり、私選弁護人はいつでも頼めます。
Q6成年後見人がいれば刑事弁護人は自動でつきますか?
つきません。成年後見は財産管理等の権限で、刑事手続の弁護人とは別問題です。後見人がいても、弁護人は37条の4などの手続で別途確保する必要があります。
Q7知的障害がある人が逮捕されたとき家族は何をすべきですか?
勾留状の有無を確認し、療育手帳や診断書を集め、当番弁護士を呼んで本人が判断困難であることを伝えます。その情報が37条の4の職権発動の引き金になります。
Q8職権国選弁護はいつまでに動きますか?
勾留期間内です。被疑者勾留は原則10日、延長で最長20日(刑事訴訟法208条)。釈放されると根拠が消えるため、勾留中が唯一の時間枠です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1国選弁護人って逮捕されたら自動でつくんじゃないんですか?
自動ではつきません。原則は本人の請求が必要で(37条の2)、請求がなければ弁護人なしで取調べが進むこともあります。ただし精神障害などで請求の判断すらできない被疑者には、37条の4で裁判官が職権でつけられます。実務のポイント:この職権発動は『判断困難の疑い』を裁判所が認識して初めて動く。家族が本人の診断書や通院歴を早く届けるほど、空白の時間が短くなる。待っているだけでは、最も必要な人ほど漏れやすい
Q2家族が代わりに弁護士を頼むのと、この職権でつくのと、どっちがいいんですか?
私選弁護人を家族が頼めば費用は自己負担、職権による国選なら原則は国の負担です(資力要件あり)。本人が判断困難な場合、まず職権付与を促しつつ、急ぐなら当番弁護士を呼ぶのが現実的。実務のポイント:当番弁護士は逮捕直後でも呼べて初回無料、そのまま国選や私選に引き継げる。『誰が頼むか』で悩むより、まず当番弁護士を呼んで状況を専門家に渡すのが一番速い
Q3勾留中につかなかった弁護人は、釈放されたらもう手配できないんですか?
37条の4の職権付与は釈放されると適用外になります(ただし書き)。ただし起訴されれば被告人国選弁護(36条)の別ルートがあり、不起訴や釈放後でも私選弁護人は自由に頼めます。実務のポイント:釈放イコール安心ではない。在宅のまま捜査が続き、後で起訴されるケースもある。釈放後も油断せず、必要なら私選弁護人や法テラスの法律相談につなぐ
間違えやすい点 AI による整理
- 「国選弁護人は逮捕されれば自動でつく」と思われがちだが、原則は本人の請求が必要であり、請求できない人は弁護人なしで取調べを受けることになる。37条の4はその例外として、判断できない人にだけ職権付与の道を開いている
- 「障害があれば当然手厚く守られる」と漠然と信じている人は、その守りが『勾留中だけ』という時間制限付きであることを知らない。釈放されれば職権付与の根拠は消える。守りはあるが、その射程が思うより狭い、その深刻さに気づいていない
- 「家族が代わりに弁護士を頼めばいい」という発想そのものが、半分ずれている。家族が私選弁護人を頼むのは自由だが費用負担の問題がある。本当に問うべきは『本人が請求できない状態を、どう裁判所に認識させるか』であって、誰が代わりに動くかではない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 弁護人選任の起点 | 37条の4:裁判官の職権(本人の請求不要) | 37条の2:被疑者本人の請求 36条:被告人の請求(起訴後) |
| 適用の前提 | 勾留状+弁護人なし+要否の判断が困難な疑い | 勾留状+本人の請求+資力要件 公訴提起後+本人の請求+資力要件 |
| 対象者の状態 | 精神上の障害その他の事由で請求の判断ができない被疑者 | 自ら請求できる被疑者 自ら請求できる被告人 |
| 適用の限界 | 釈放されれば適用外(ただし書き) | 勾留が続く限り維持 判決確定まで維持 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は強制辯護事件で裁判所が指定辯護人を付す。心智障礙等で陳述能力が十分でない被告も対象で、本人の請求を要しない点が本条と共通する
韓国は障害等により変護人の要否を判断しにくい被告人について、本人の請求や資力にかかわらず裁判所が職権で国選弁護人を選任する。趣旨が本条に近い
ドイツは『必要的弁護(notwendige Verteidigung)』に該当する事件で、被疑者の請求がなくても裁判所が職権で Pflichtverteidiger を選任する。精神状態により防御困難な場合も含む
米国は資力のない被告人に弁護人選任を受ける憲法上の権利を認める。精神的能力に関しては Dusky 基準など別の競合性審査と組み合わせて運用される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 認知症の母が万引きで現行犯逮捕され、勾留状が出た。母は取調べの意味も、弁護士という存在も理解できない。家族が国選弁護を請求しようにも、原則は本人請求。そこで37条の4が動く。裁判官が母の状態を見て職権で弁護人をつけられる。家族が裁判所にその事情を伝えられるかどうかが分かれ目になる
- 知的障害のある弟が、よく分からないまま事件に巻き込まれ、被疑者として勾留された。弟は「弁護士を呼びますか」と聞かれても意味が分からず首を振る。この「分からない」こそ、条文の言う『弁護人を必要とするか判断困難』に当たる
- もし、精神疾患で入退院を繰り返している家族が突然逮捕され、勾留されたら、誰が弁護人を手配するのか。本人は無理、あなたが代理で請求できるのか。実はあなたが直接請求するより、本人の状態を裁判所、検察官、当番弁護士に伝えて職権発動を促す道がある
- 被疑者勾留は延長を含め最長20日前後。その間に職権で弁護人がつかなければ、本人は何も判断できないまま取調べが進む。しかも釈放されればこの条文は適用外。残された時間がわずか数日というケースもある
- あなた自身が強い不安や精神的混乱の中で逮捕され、目の前で何が起きているか整理できない状態に置かれたとする。弁護人を頼むという判断ができない。その状態こそ、裁判官が職権で動く前提になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 勾留状が出ているか確認する(逮捕だけでは本条は動かない、勾留が前提)。2. 本人の精神状態を示す資料(診断書、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、通院歴)を集める。3. 当番弁護士制度(逮捕直後に1回無料)を呼び、本人が判断困難であることを伝える。4. 弁護人がつかない場合、その情報を裁判所、検察官に届け、職権による国選弁護人の選任(37条の4)を促す。本人が動けない分、周囲が状態を可視化することが鍵
訴えられた側:1. 強い不安や混乱で判断できない状態でも、まず『弁護士を呼んでほしい』の一言だけは出す努力をする。2. 出せなくても、家族、支援者、福祉関係者に勾留の事実を知らせてもらう。3. 取調べでは黙秘権がある、無理に供述しない。4. 障害や疾患があるなら、その事実を弁護人や裁判所に伝えてもらう。本人が請求できない状態こそが、裁判官の職権発動の前提になる
時効(請求できる期限):本条は勾留中に限られる(ただし書きにより釈放されれば適用外)。被疑者勾留は原則10日、延長で最長20日(刑事訴訟法208条)。この勾留期間内に職権付与が判断される。釈放された瞬間に根拠が消えるため、勾留中が唯一の時間枠
学説
通説:37条の4は、弁護権の実質的保障(憲法34条・31条)を、請求能力を欠く被疑者にまで及ぼすための後見的介入と理解される。本人の手続的自律を尊重しつつ、『勾留中』『判断困難の疑い』という限定を付すことで、国家の過度な介入に歯止めをかけた限定的後見と位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 新設:被疑者国選弁護制度の導入に伴い、37条の2〜37条の4が新設。請求による被疑者国選を原則としつつ、請求の判断が困難な被疑者への職権付与を37条の4で手当てした。
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