信託法 第127条(信託管理人の費用等及び報酬)
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- 信託管理人は、その事務を処理するのに必要と認められる費用及び支出の日以後におけるその利息を受託者に請求することができる。
- 2.信託管理人は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める損害の額について、受託者にその賠償を請求することができる。
- 一信託管理人がその事務を処理するため自己に過失なく損害を受けた場合当該損害の額
- 二信託管理人がその事務を処理するため第三者の故意又は過失によって損害を受けた場合(前号に掲げる場合を除く。)当該第三者に対し賠償を請求することができる額
- 3.信託管理人は、商法第五百十二条の規定の適用がある場合のほか、信託行為に信託管理人が報酬を受ける旨の定めがある場合に限り、受託者に報酬を請求することができる。
- 4.前三項の規定による請求に係る債務については、受託者は、信託財産に属する財産のみをもってこれを履行する責任を負う。
- 5.第三項の場合には、報酬の額は、信託行為に報酬の額又は算定方法に関する定めがあるときはその定めるところにより、その定めがないときは相当の額とする。
- 6.裁判所は、第百二十三条第四項の規定により信託管理人を選任した場合には、信託管理人の報酬を定めることができる。
- 7.前項の規定による信託管理人の報酬の裁判があったときは、当該信託管理人について信託行為に第三項の定め及び第五項の報酬の額に関する定めがあったものとみなす。
- 8.第六項の規定による信託管理人の報酬の裁判をする場合には、受託者及び信託管理人の陳述を聴かなければならない。
- 9.第六項の規定による信託管理人の報酬の裁判に対しては、受託者及び信託管理人に限り、即時抗告をすることができる。
この条文の基本情報
信託管理人の費用等及び報酬とは何ですか?
定義信託管理人の費用等及び報酬とは、信託法第127条に定められた規定で、「信託管理人は、その事務を処理するのに必要と認められる費用及び支出の日以後におけるその利息を受託者に請求することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第127条(信託管理人の費用等及び報酬)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第127条の条文原文は「信託管理人は、その事務を処理するのに必要と認められる費用及び支出の日以後におけるその利息を受託者に請求することができる。」で始まります。
- 信託法第127条は第一款 信託管理人に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第127条の前の条は信託法第126条です。
- 信託法第127条の次の条は信託法第128条です。
- 信託法第127条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第127条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第127条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/127
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法127条は、信託管理人が受託者に費用・損害賠償・報酬を請求できると定める。報酬は信託行為の定め等がある場合に限られ、支払いは信託財産の範囲に限定される。
Q · 信託管理人を引き受けたら、費用や報酬は誰がどこから払ってくれるの?
定めがなければ原則無報酬。費用は信託財産から
信託法127条により、信託管理人は必要な費用とその利息、過失なく受けた損害の賠償を受託者に請求できます。報酬は、商法512条の適用がある場合か信託行為に報酬の定めがある場合に限られ、額は定めがなければ相当の額となります。ただし受託者の支払責任は信託財産に属する財産の範囲に限られ(4項)、受託者の個人資産には及びません。裁判所が選任した信託管理人については、裁判所が報酬を定めることができます(6項)。
解説
信託管理人の財布は、受託者本人ではなく「信託財産」だけにつながっている。本条4項によると、費用の償還も損害の賠償も報酬も、受託者は信託財産に属する財産の範囲でしか払う責任を負わない。信託財産が尽きていたり、不動産しか残っておらず換金できなかったりすれば、立て替えた費用は戻ってこない。さらに報酬は、もらえないのが原則である。もらえるのは次の三つの場合に限られる。信託行為(信託契約や遺言)に報酬の定めがある場合、商法512条が適用される場合(商人が営業の範囲内で他人のために行為をしたとき)、裁判所が選任して報酬を決めた場合である。弁護士や司法書士は一般に商人にあたらないと解されている。そのため、契約書に一行もなければ、専門家でも無償で働くことになりかねない。引き受ける側も頼む側も、報酬額、算定方法、費用の支払い元を信託行為に書き込んでおけば、後の争いの大半はなくせる。
法的な位置づけ
信託法第127条は、信託管理人の費用償還請求権、損害賠償請求権および報酬請求権を定める規定である。報酬は商法512条の適用がある場合または信託行為に定めがある場合に限り認められ、額は定めがなければ相当額とされる。受託者の支払責任は信託財産に属する財産に限定され、裁判所選任の場合は裁判所が報酬を定めることができる。
手順
- 1.就任前に信託行為の報酬・費用条項を確認 信託契約書または遺言を取り寄せ、信託管理人の報酬を受ける旨、報酬額または算定方法、費用の支払い方法が書かれているかを確認する。あわせて信託財産に現金がどれだけあるかも確認する
- 2.立て替えた費用を記録する 事務処理のために支出した費用の領収書を保管し、支出日・目的・金額を一覧表にまとめる。利息は支出の日以後について請求できるため、支出日の記録が重要になる
- 3.受託者に書面で請求する 費用・利息・損害額・報酬の内訳を示し、信託財産から支払うよう受託者に書面で請求する。支払いの財源は信託財産に限られるため、換価や支払時期についても協議する
- 4.裁判所選任なら報酬の裁判を申し立てる 裁判所が選任した信託管理人で報酬の定めがない場合は、裁判所に報酬を定めるよう申し立てる。陳述の機会に作業時間や業務内容の資料を提出する。決定に不服がある場合は告知から2週間以内に即時抗告する
よくある質問 AI による整理
Q1信託管理人には誰がなれる?
原則として誰でもなれますが、未成年者や当該信託の受託者である者はなれません(信託法124条)。受託者を監督する立場なので、受託者と兼ねることはできません。
Q2信託管理人は裁判所に選んでもらえる?
信託行為に定めがない場合や、指定された人が引き受けない場合には、利害関係人の申立てにより裁判所が選任できます(信託法123条4項)。その場合は裁判所が報酬も定められます。
Q3信託管理人が立て替えた費用に利息はつく?
つきます。信託法127条1項により、支出の日以後の利息も請求できます。利率は民法404条の法定利率(現行年3%、定期的に見直し)によるのが一般的な理解です。
Q4信託管理人が仕事中にけがをしたら補償される?
事務処理のため自己に過失なく損害を受けた場合、その損害額を受託者に請求できます(信託法127条2項1号)。ただし支払いは信託財産の範囲に限られます。
Q5第三者のせいで信託管理人が損害を受けたら?
第三者の故意・過失による損害は、その第三者に請求できる額を受託者にも請求できます(127条2項2号)。加害者が支払えない場合のリスクを信託財産が引き受ける仕組みです。
Q6信託管理人の費用請求に時効はある?
本条固有の期間制限はなく、民法166条の一般消滅時効(知った時から5年、行使できる時から10年)が適用されます。領収書と支出日の記録は必ず残しておきましょう。
Q7裁判所が信託管理人の報酬を決めるとき意見は言える?
言えます。報酬の裁判をする前に、裁判所は受託者と信託管理人の陳述を聴かなければなりません(127条8項)。作業量や信託財産の状況を示す資料を出す機会です。
Q8裁判所の報酬決定は信託契約の定めと同じ扱い?
同じ扱いです。127条7項により、報酬の裁判があると、信託行為に報酬を受ける旨と報酬額の定めがあったものとみなされます。以後は契約上の報酬と同様に請求できます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1家族信託で信託管理人を頼まれたんだけど、報酬ってもらえるの?
信託契約書に報酬の定めがなければ、原則としてもらえない(信託法127条3項)。例外は、商人が営業の範囲内で引き受けた場合(商法512条)と、裁判所が選任して報酬を決めた場合だけである。実務のポイント:契約書の雛形には信託監督人の報酬欄はあっても、信託管理人の報酬欄がないことがある。署名前に条文番号と金額が入っているか確認しておくこと
Q2立て替えたお金、受託者の個人口座からでも返してもらえる?
返してもらえない。本条4項により、受託者の支払責任は信託財産の範囲に限られる。実務のポイント:信託財産が不動産だけだと、支払いの順番を待つうちに年単位でお金が戻らないことがある。就任時に「費用は事前に信託財産から前払いを受ける」という運用を受託者と書面で合意しておくと、自腹を切らずに済む
Q3裁判所が決めた報酬が高すぎる。受託者として何かできる?
即時抗告ができる。ただし申し立てられるのは受託者と信託管理人に限られ(本条9項)、期間は告知から2週間である。実務のポイント:決定の前に意見陳述の機会がある(本条8項)。その段階で信託収益の資料を出しておくほうが、決定後に抗告で覆すより格段に効く
間違えやすい点 AI による整理
- 「専門家に頼むのだから報酬は当然もらえる」と考えがちだが、本条3項の出発点は無償である。報酬を請求できるのは、信託行為に定めがある場合、商法512条が適用される場合、裁判所が報酬を決めた場合(6項・7項)に限られる。一般に商人ではないとされる士業は、この落とし穴に最も落ちやすい
- 「信託管理人は受益者の代理人のようなもの」という認識は、出発点がずれている。信託管理人は受益者が現に存在しないときに置かれるもので(信託法123条1項)、受益者が存在するときに置く受益者代理人とは別の制度である。代理する相手がまだいないので、費用や報酬で揉めても相談できる受益者がいない。だからこそ、事前に条項で決めておく必要性が格段に高い
- 立て替えた費用が戻るかどうかについては、請求権があることは知っていても、どこから払われるかまで考えている人は少ない。本条4項により責任財産は信託財産に限られる。受託者が個人資産で裕福でも、信託財産が空なら回収できない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象者 | 信託法127条:信託管理人 | 信託法48条:受託者 信託法54条:受託者 |
| 規律内容 | 費用・利息・損害賠償・報酬の請求 | 信託事務処理費用の信託財産からの償還 信託報酬の信託財産からの受領 |
| 報酬の要件 | 商法512条の適用または信託行為の定め(裁判所選任なら裁判所が決定可) | (費用償還の規定であり報酬は対象外) 商法512条の適用または信託行為の定め |
| 支払いの財源 | 受託者に請求するが、責任財産は信託財産に限定(4項) | 受託者が信託財産から自ら償還を受ける 受託者が信託財産から受ける |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では受益者不特定・未存在の場合などに信託監察人を置く。報酬は信託行為に定めがあればそれにより、なければ法院が職務の繁簡と信託財産の状況を斟酌して信託財産から相当額を与える
中国では公益信託について信託監察人の設置が求められる。私益信託で未存在の受益者のために監督者を置く一般規定は日本ほど整備されていない
フランスの fiducie では、設定者が自己の利益保全のため第三者(tiers protecteur)を指定できる。ただし未存在の受益者のための制度とは趣旨が異なる
米国の統一信託法典では、未出生の受益者などの利益を代表する者を裁判所が選任できる。報酬の扱いは州法と裁判所の裁量に委ねられることが多い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- まだ生まれていない孫のために祖父が信託を組み、あなたが信託管理人に就いた。十年後、受託者の帳簿を調べるために会計士を頼み、30万円を立て替えた。ところが信託財産は売れない山林だけで、預金はゼロ。受託者の個人口座に請求しても、払う責任はない(本条4項)
- 報酬の定めのない信託管理人を、もし弁護士として引き受けていたらどうなる? 弁護士は一般に商人とは扱われないので商法512条は使えず、信託行為に定めがなければ報酬請求権そのものが生じない。仕事をした後に気付いても手遅れである
- 受託者の側に立つ場面もある。裁判所が選任した信託管理人の報酬を月額で定める決定が届き、その額が信託収益に比べて重すぎると感じた。不服を申し立てる即時抗告の期限は告知を受けた日から2週間(非訟事件手続法67条)。期限を過ぎれば、その額が信託財産から毎月出ていく
- 信託財産の不動産を見回る途中、管理の不備で崩れた外壁に当たって怪我をした。自分に過失がなければ、その損害額は受託者に請求できる(本条2項1号)
取るべき行動
被害を受けた側:1. 立て替えた費用の領収書、支出日、目的を記録する。本条1項により支出日以後の利息も請求できる(民法404条の法定利率、現行3%。最新の改正状況をご確認ください) 2. 受託者に書面で請求し、信託財産から支払うよう求める3. 報酬の定めがない場合は、商法512条が適用されるか確認し、裁判所選任であれば報酬決定を申し立てる(本条6項) 4. 信託財産に現金がなければ、受託者と換価や支払時期を協議する
訴えられた側:受託者として請求を受けた場合:1. その費用が事務処理に「必要と認められる」ものか精査し、過大な部分は争う2. 支払いは信託財産からに限られ、個人資産で払う義務はないこと(本条4項)を確認する3. 裁判所の報酬決定に不服があれば、告知から2週間以内に即時抗告する(本条9項、非訟事件手続法67条) 4. 今後に備え、信託行為に報酬上限と費用負担のルールを定める変更を検討する
時効(請求できる期限):費用償還・損害賠償・報酬の請求に本条固有の時効はなく、一般消滅時効(民法166条、権利を行使できることを知った時から5年または行使できる時から10年)が適用される。裁判所の報酬決定に対する即時抗告は、告知を受けた日から2週間以内(非訟事件手続法67条)
学説
一般的理解:弁護士・司法書士などの士業は一般に商人にあたらないと解されているため、商法512条による報酬請求は難しい。信託管理人の報酬を確保するには、信託行為に報酬の定めを置くか、裁判所選任の場合に報酬の裁判を求めることになる
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 現行信託法(平成18年法律第108号)の制定に伴い、信託管理人の費用・報酬の規律が現行の条文構成で整備された。その後の非訟手続関係の整備による文言の改正の有無は要検証
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法の全部改正(平成18年法律第108号)により、信託管理人の費用・損害賠償・報酬の規律が本条として整備された。受託者の支払責任を信託財産に限定する4項、裁判所による報酬決定の6項から9項を含む
- 信託法 第123条信託管理人の選任、4項の裁判所選任
- 信託法 第125条信託管理人の権限、受益者の権利の行使
- 信託法 第126条信託管理人の善管注意義務・誠実公平義務
- 信託法 第48条受託者の費用償還、責任財産の対比
- 信託法 第54条受託者の信託報酬、報酬規律の対比
- 商法 第512条商人の報酬請求権、無償原則の例外
- 民法 第650条受任者の費用償還・損害賠償の一般原則
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