信託法 第142条(新受益者代理人の選任等)
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- 第六十二条の規定は、前条第一項において準用する第五十六条第一項各号の規定により受益者代理人の任務が終了した場合における新たな受益者代理人(次項において「新受益者代理人」という。)の選任について準用する。この場合において、第六十二条第二項及び第四項中「利害関係人」とあるのは、「委託者又は受益者代理人に代理される受益者」と読み替えるものとする。
- 2.新受益者代理人が就任した場合には、受益者代理人であった者は、遅滞なく、その代理する受益者に対しその事務の経過及び結果を報告し、新受益者代理人がその事務の処理を行うのに必要な事務の引継ぎをしなければならない。
この条文の基本情報
新受益者代理人の選任等とは何ですか?
定義新受益者代理人の選任等とは、信託法第142条に定められた規定で、「第六十二条の規定は、前条第一項において準用する第五十六条第一項各号の規定により受益者代理人の任務が終了した場合における新たな受益者代理人(次項において「新受益者…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第142条(新受益者代理人の選任等)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第142条の条文原文は「第六十二条の規定は、前条第一項において準用する第五十六条第一項各号の規定により受益者代理人の任務が終了した場合における新たな受益者代理人(次項において「新受益者…」で始まります。
- 信託法第142条は第三款 受益者代理人に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第142条の前の条は信託法第141条です。
- 信託法第142条の次の条は信託法第143条です。
- 信託法第142条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第142条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第142条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/142
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法142条は、受益者代理人の任務終了時の後任選任に受託者選任の62条を準用し、指定者への催告・委託者と受益者の合意・裁判所選任の順で決めると定める。
Q · 家族信託の受益者代理人が亡くなったら、後任はどうやって決めるの?
契約の指定者→委託者と受益者の合意→裁判所の順で決まる
信託法142条1項は、受託者の後任選びを定める62条を受益者代理人にも準用します。まず信託行為で後継者が指定されていればその人に就任の諾否を催告し、指定がないか就任しなければ委託者と受益者の合意で選びます。合意が困難なときは、委託者または代理される受益者の申立てにより裁判所が選任します。前任者は2項により、遅滞なく受益者への報告と新代理人への引継ぎをしなければなりません。
解説
家族信託の契約書に「受益者代理人:長男」と書いて安心している家庭は多い。だが長男が先に亡くなったら、誰が次を決めるのか。信託法142条は、受託者の後任選びのルール(62条)をそのまま受益者代理人にも使うと定める。後任の決め方は三段階である。①信託契約で後任が指定されていればその人に就任するか確認を求める(催告)。②指定がなければ委託者と受益者の合意で選ぶ。③話がまとまらなければ、委託者または代理されている受益者が裁判所に申し立てる。落とし穴は自益信託(親が委託者兼受益者)に潜んでいる。親が認知症なら②の「合意」ができず、③の裁判所ルートしか残らない。さらに2項は、前任者に事務の経過と結果を報告し、引継ぎをする義務を課している。後任が決まっても書類と情報が渡らなければ、仕組みは空回りする。契約書に後任を一行書いておくかどうかで、数か月の空白が生じるか否かが決まる
法的な位置づけ
信託法142条は、受益者代理人の任務が終了した場合における新受益者代理人の選任について、新受託者の選任に関する同法62条を準用し、裁判所への申立権者を委託者または受益者代理人に代理される受益者に限定する規定である。あわせて、前任の受益者代理人に対し、代理する受益者への事務の経過・結果の報告と新受益者代理人への事務引継ぎを義務づける。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.任務終了の事実と信託契約書の後継者条項を確認 受益者代理人の死亡・辞任などの任務終了事由(信託法141条)を確認し、信託契約書(公正証書)に後継の受益者代理人の定めがあるかを読む
- 2.指定された後継者に就任の諾否を催告 後継者の定めがある場合、相当の期間を定めて就任するかどうかを書面で催告する。期間内に確答がなければ就任しなかったものとみなされる
- 3.委託者と受益者の合意で後任を選ぶ 指定がない、または就任しない場合は委託者と受益者の合意で新受益者代理人を選ぶ。本人の判断能力が欠ける場合は成年後見人の選任を含めて専門家と検討する
- 4.合意できなければ地方裁判所に選任を申し立てる 協議の状況等から必要があるとき、委託者または代理される受益者が、受託者の住所地を管轄する地方裁判所(信託法263条)に新受益者代理人の選任を申し立てる
- 5.前任者側へ報告と引継ぎを書面で請求 新受益者代理人は就任当日に、前任者(死亡時は書類の保管者)へ事務の経過・結果の報告と引継ぎを書面で求め、受領記録を残す
よくある質問 AI による整理
Q1受益者代理人とは何ですか?
受益者のために、受益者の権利に関する一切の裁判上・裁判外の行為をする代理人です。信託行為の定めにより選任され(信託法138条)、高齢の受益者の家族信託でよく置かれます。
Q2受益者代理人の任務が終わるのはどんなとき?
死亡、後見開始、破産手続開始、辞任、解任などです。信託法141条が受託者の任務終了事由(56条1項各号)を準用しています。
Q3受益者代理人の後任が決まるまで何日かかる?
法定の期限はありません。指定者への催告で「相当の期間」を置き、合意や裁判所の選任に進めば数か月かかることもあります。
Q4後継の受益者代理人が返事をしないときは?
相当の期間を定めて就任の諾否を催告し、期間内に確答がなければ就任しなかったものとみなされます(62条3項準用)。次の選任手続に進めます。
Q5委託者がすでに亡くなっている場合、後任は誰が決める?
62条の準用により、委託者が現に存しない場合は受益者のみで後任を合意する扱いになると解されます。受益者が判断能力を欠くと結局困難になります。
Q6受益者代理人の空席中、受託者は自由に動ける?
受託者の義務は続きますが、監視役が不在になります。受益者本人が権利を行使する建前でも、判断能力が乏しければ実質的な監督が止まります。
Q7前任の受益者代理人が引継ぎを怠ったらどうなる?
2項の報告・引継ぎは「遅滞なく」行うべき法定義務です。怠って受益者や新代理人に損害が生じれば、損害賠償責任を問われる可能性があります。
Q8受益者代理人は辞めたら何もしなくていい?
いいえ。退任後も、代理していた受益者への事務の経過・結果の報告と、新受益者代理人への引継ぎが義務として残ります(信託法142条2項)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1受益者代理人だった叔父が亡くなったんですけど、叔父の家族が引継ぎしなきゃいけないんですか?
142条2項の報告・引継ぎ義務は「受益者代理人であった者」に課されており、相続人に同じ義務がそのまま及ぶかは条文上明確でない。ただし叔父の手元に残った信託関係の書類の返還を求めることは十分できる。実務のポイント:死亡のケースでは、遺品整理で書類が捨てられるのが最大のリスクである。葬儀直後のタイミングで、信託関係の書類は保管してほしいと一言頼んでおくだけで、後の手続が大きく変わる
Q2後任を裁判所に決めてもらうことってできるんですか? どこに申し立てるんですか?
できる。62条4項の準用により、協議の状況などから必要があれば、委託者または代理される受益者の申立てで裁判所が選任する。信託の非訟事件は家庭裁判所ではなく、受託者の住所地を管轄する地方裁判所が原則となる(信託法263条)。実務のポイント:申立人になれるのは委託者と受益者に限られ、子どもは単独では申し立てられない。親が判断能力を欠く場合、先に成年後見人をつけることが事実上の前提になりやすい
間違えやすい点 AI による整理
- 「受益者代理人がいなくなれば、受益者本人が自分で権利を行使すればいい」と考えがちだが、家族信託の受益者は高齢や認知症で動けないことが多い。そもそも代理人を置いた理由そのものが、本人では対応できないことにある。空席は「本人に権利が戻る」ではなく「誰も見張らない期間」になる
- 後任選びの手続は知っていても、前任者の引継ぎ義務の重さを知らない人が多い。2項の報告と引継ぎは「遅滞なく」の法定義務であり、怠って新代理人や受益者に損害が出れば賠償責任を問われうる。辞めれば終わりではなく、辞めた後にもう一仕事残っている
- 「後任は家族で話し合えば決まる」という発想自体が前提を誤っている。142条1項が準用する62条の合意主体は、家族全員ではなく委託者と受益者である。長男や長女がどれだけ話し合っても、法的には合意の当事者になれない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律対象 | 信託法142条:新受益者代理人の選任と前任者の引継ぎ | 信託法62条:新受託者の選任(本条の準用元) 信託法141条:受益者代理人の任務終了事由 |
| 裁判所への申立権者 | 委託者または受益者代理人に代理される受益者に限定 | 利害関係人 (任務終了事由の規定であり申立ての定めではない) |
| 前任者の事後義務 | 受益者への報告+新受益者代理人への事務引継ぎ(2項) | 受託者の引継ぎは別条(77条以下)で規律 定めなし(142条2項が担う) |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾には受益者代理人の制度はなく、受益者保護の監督機関として信託監察人を置く。その辞任・解任時に裁判所が新信託監察人を選任できる点で機能的に対応する
フランスの fiducie では、委託者が自己の利益保護のため第三者を指定できるが、日本のような詳細な後任選任ルールは条文上置かれていない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、認知症の母のために置いた受益者代理人(叔父)が急逝したら、どうなる? 母は合意できず、委託者も母本人。契約書に後継者の定めがなければ、家庭裁判所ではなく地方裁判所への選任申立てという、多くの家族が想定していない手続に進むことになる
- あなたは三年間、父の信託で受益者代理人を務めてきたが、転勤で辞任した。後任の妹が就任した翌週、「通帳の動きと受託者とのやり取り、全部説明して」と連絡が来る。遅滞なく報告と引継ぎをするのは、あなたの法的義務である
- 契約書には後継の受益者代理人として従兄が指定されている。だが本人は返事をしないまま二か月。相当の期間を定めて催告し、それでも確答がなければ就任しなかったものとみなされ、次の手に進める
- 前任の代理人が引継ぎ資料を渡さないまま、受託者が来月、信託不動産の売却契約を結ぼうとしている。新代理人に残された時間は三週間。前任者への報告請求と、受託者への説明要求を同時に動かす必要がある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 信託契約書で後継の受益者代理人の定めを確認する2. 定めがあれば、その人に相当の期間を定めて就任の諾否を書面で催告する3. 定めがない、または断られた場合は委託者と受益者の合意を探る。本人が判断能力を欠くなら、成年後見人の選任か裁判所への新受益者代理人選任申立てを司法書士・弁護士と検討する4. 就任後すぐ前任者(相続人を含む)に報告と引継ぎを書面で請求する
訴えられた側:1. 前任の受益者代理人として辞任・退任したら、事務の経過と結果を時系列でまとめ、通帳写し・受託者との書面・報告書を整理する2. 新受益者代理人と受益者に遅滞なく報告し、引継ぎ書に受領署名をもらって記録を残す3. 報告内容に疑義を向けられたら、根拠資料を示して説明する。引継ぎの遅れや欠落は損害賠償の火種になる
時効(請求できる期限):後任選任と引継ぎには固有の時効期間はなく、報告・引継ぎは「遅滞なく」が基準である。催告は「相当の期間」を定め、期間内に確答がなければ就任しなかったものとみなされる(信託法62条3項準用)。裁判所の選任決定に対する即時抗告は告知から2週間(非訟事件手続法67条)。引継ぎ義務違反の損害賠償には一般消滅時効(民法166条、知った時から5年または権利行使可能時から10年)が適用される(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 旧信託法を全面的に改めた現行信託法の制定により、受益者代理人制度とともに本条が新設された(平成19年施行)。その後の改正の有無は要検証
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法の全部改正(平成18年法律第108号)により受益者代理人制度とともに新設。平成19年施行。その後の改正の有無は要検証
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