信託法 第143条(受益者代理人による事務の処理の終了等)
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- 受益者代理人による事務の処理は、信託の清算の結了のほか、次に掲げる事由により終了する。ただし、第一号に掲げる事由による場合にあっては、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
- 一委託者及び受益者代理人に代理される受益者が受益者代理人による事務の処理を終了する旨の合意をしたこと。
- 二信託行為において定めた事由
- 2.前項の規定により受益者代理人による事務の処理が終了した場合には、受益者代理人であった者は、遅滞なく、その代理した受益者に対しその事務の経過及び結果を報告しなければならない。
- 3.委託者が現に存しない場合には、第一項第一号の規定は、適用しない。
この条文の基本情報
受益者代理人による事務の処理の終了等とは何ですか?
定義受益者代理人による事務の処理の終了等とは、信託法第143条に定められた規定で、「受益者代理人による事務の処理は、信託の清算の結了のほか、次に掲げる事由により終了する。ただし、第一号に掲げる事由による場合にあっては、信託行為に別段の定めがある…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第143条(受益者代理人による事務の処理の終了等)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第143条の条文原文は「受益者代理人による事務の処理は、信託の清算の結了のほか、次に掲げる事由により終了する。ただし、第一号に掲げる事由による場合にあっては、信託行為に別段の定めがある…」で始まります。
- 信託法第143条は第三款 受益者代理人に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第143条の前の条は信託法第142条です。
- 信託法第143条の次の条は信託法第144条です。
- 信託法第143条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第143条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第143条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/143
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法143条は、受益者代理人の事務処理が信託の清算結了、委託者と受益者の合意、信託行為所定の事由で終了すると定める。委託者不在なら合意による終了はできない。
Q · 受益者代理人がついた信託で、代理をやめてもらうにはどうすればいい?
清算結了・委託者と受益者の合意・信託行為の事由の三つだけ
信託法143条1項によれば、受益者代理人による事務の処理が終わるのは、信託の清算の結了、委託者と代理される受益者の合意、信託行為に定めた事由のいずれかがあったときです。ただし委託者が亡くなっているなど現に存しない場合、合意による終了は使えません(3項)。終了した後、元代理人は遅滞なく事務の経過と結果を受益者に報告する義務を負います(2項)。
解説
受益者代理人を置いた信託では、受益者本人がほとんどの権利を自分で行使できなくなる(信託法139条4項)。財産を受け取るのは本人なのに、受託者と交渉するのも帳簿を確認するのも代理人である。この状態を終わらせる出口は、本条によれば三つしかない。信託の清算が終わること、委託者と受益者が「代理をやめる」と合意すること、信託行為(信託契約書や遺言)にあらかじめ書いた事由が起きること。つまり、代理人をクビにすれば済むわけではない。代理人が辞任しても死亡しても、それは「人」が抜けただけである。「受益者代理人を置く」という仕組み自体は残り、新しい代理人が選ばれうる(142条)。仕組みそのものを止めるのが本条の「事務の処理の終了」だ。もう一つ大事な点がある。委託者がすでに亡くなっていれば、合意による終了の道は塞がる(3項)。家族信託で親が委託者なら、親の死亡と同時に一番手軽な出口が消える。だから、契約書を作る段階で終了事由を書き込んでおくかどうかが分かれ目になる。
法的な位置づけ
信託法143条は、受益者代理人による事務の処理の終了事由を定める規定である。信託の清算の結了のほか、委託者と代理される受益者の合意、および信託行為で定めた事由を終了原因とし、終了後の元受益者代理人に経過・結果の報告義務を課す。委託者が現に存しない場合、合意による終了は適用されない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.信託行為の終了事由を確認する 信託契約書または遺言を取り寄せ、受益者代理人の終了事由や合意による終了に関する別段の定めがあるかを確認する。
- 2.委託者の存否と受益者の判断能力を確認する 委託者が現に存するかを確認する。存しなければ合意による終了は使えない(3項)。受益者に判断能力の不安がある場合は、成年後見の申立てを先に検討する。
- 3.終了の合意書を作成する 委託者と代理される受益者が、受益者代理人による事務の処理を終了する旨を書面で合意する。日付・署名・押印を入れ、受託者と受益者代理人に通知する。
- 4.元受益者代理人に経過と結果の報告を求める 事務終了後、元受益者代理人は遅滞なく、代理した受益者に事務の経過と結果を報告する(2項)。報告がなければ書面で請求し、記録を保存する。
よくある質問 AI による整理
Q1受益者代理人とは何ですか?
受益者のために信託上の権利を代わりに行使する者です。信託行為で指定され(信託法138条)、置かれると受益者本人は一部の権利を除いて自ら行使できなくなります(139条4項)。
Q2受益者代理人の事務はいつ終わりますか?
信託の清算の結了、委託者と受益者の合意、信託行為に定めた事由のいずれかが生じたときです(信託法143条1項)。
Q3受益者代理人の終了に受託者の同意は必要ですか?
条文上、合意の当事者は委託者と代理される受益者です。受託者の同意は要件とされていません。ただし信託行為に別段の定めがあればそれに従います。
Q4委託者が死亡したら受益者代理人はどうなりますか?
代理の仕組みは続きます。委託者が現に存しない場合、合意による終了は適用されないため(3項)、残る出口は清算結了か信託行為所定の事由です。
Q5受益者代理人の終了報告はいつまでにする?
「遅滞なく」とされ、具体的な日数の定めはありません(2項)。実務上は終了後速やかに書面で報告し、送付記録を残すのが安全です。
Q6受益者代理人の終了事由は契約書に書ける?
書けます。信託行為において定めた事由は終了原因になります(1項2号)。委託者の死後でも働く出口として設計段階で入れておく価値があります。
Q7受益者代理人が終了すると受益者は何ができる?
139条4項の行使制限が外れ、受益者本人が受託者に対して帳簿閲覧などの権利を自ら行使できるようになります。
Q8合意による終了を契約で禁止できますか?
できます。1項ただし書により、合意による終了(1号)については信託行為に別段の定めがあればその定めに従います。
この条文についての質問 AI による整理
Q1親はもう亡くなってるんですけど、兄の受益者代理人をやめさせる方法ってないんですか?
委託者が亡くなっていると、合意による終了(143条1項1号)は3項によって使えない。残る出口は、信託行為に定めた終了事由、または信託の清算の結了である。実務のポイント:代理人「個人」の解任は別ルートで探れる。任務違反があれば、裁判所に解任を申し立てる道がある(141条が準用する規定。条番号は要確認)。仕組みは残るが、兄を外して後任の選任を求めることはできる
Q2受益者代理人の仕事が終わったら、報告書って何を書けばいいんですか?
本条2項は「事務の経過及び結果」の報告を求めている。在任中に行使した権利、受託者との協議内容、同意・承認した事項、支出した費用が中心になる。実務のポイント:形式は法定されていないが、後の紛争で唯一の防御資料になるのは、この報告書と添付記録である。メールや議事録の写しを時系列で付けておくと、責任追及を受けたときに一枚で反論できる
間違えやすい点 AI による整理
- 「受益者代理人が辞めれば元に戻る」と考えるのは前提の取り違えである。辞任や死亡で終わるのは代理人個人の任務(141条)であり、受益者代理人という仕組みは残る。新しい代理人が選任されれば(142条)、本人は引き続き自分で権利を行使できない。本人が権利を取り戻すには、本条の終了事由が必要になる
- 合意による終了ができることは知られていても、その合意に誰が要るかまでは知られていない。必要なのは「委託者」と「代理されている受益者」の両方である。受益者が重度の認知症なら、本人は有効な合意ができず、成年後見人を立てる話になる。受託者や代理人本人の同意で足りると思い込み、話し合いだけで済ませると、法的には何も終わっていない
- 代理人の側から見れば「終わった仕事」でも、法律から見れば、報告を済ませるまでは義務が続いている。本条2項は、代理した受益者への経過と結果の報告を義務づけている。この報告を怠ると、在任中の判断すべてに説明責任を果たしていないとして、損害賠償の追及を招く足場になりうる(責任の成否は個別事情による)
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 終了するもの | 信託法143条:受益者代理人による事務の処理(代理の仕組み自体) | 信託法164条:信託そのもの 信託法142条:終了するのは代理人個人の任務で、後任の選任が問題になる |
| 合意の当事者 | 委託者と代理される受益者 | 委託者と受益者 合意による終了の規定ではない |
| 委託者が現に存しない場合 | 合意による終了は適用されない(3項) | 合意による信託終了は適用されない(164条4項) 委託者の存否と関係なく、後任選任の問題が残る |
| 終了後の義務 | 元受益者代理人が遅滞なく経過と結果を報告(2項) | 清算手続に移行 新受益者代理人による事務の継続 |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾信託法には受益者代理人の制度がなく、受益人保護は信託監察人が担う。機能は近いが、終了事由の構造は日本と同一ではない
受益者の代理(representation)を一般的に規律する。日本のように代理の仕組み全体の終了事由を列挙する構造ではない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 認知症の母のために組んだ家族信託で、長男が受益者代理人に就いている。次男は「兄が母の代理として受託者と馴れ合っている」と疑い、代理をやめさせたい。だが委託者の父はすでに他界している。合意による終了は使えない。残るのは、信託行為に書かれた終了事由があるかどうかだけだ
- もし信託行為に「受益者が成年に達したときは受益者代理人の事務は終了する」と書いてあったら、どうなる? 20歳になった日、あなたは代理人を通さず受託者に直接、帳簿の閲覧や説明を求められるようになる(現行の成年年齢は18歳である。契約書の「成年」がどちらを指すかは文言で確認すること)
- 受益者代理人だったあなたの任務が、合意で終わった。翌月、元受益者から「この3年間に何をしていたのか説明しろ」という内容証明が届く。報告をまだしていなかった。2項の「遅滞なく」は、すでに過ぎているかもしれない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 信託行為(契約書・遺言)を取り寄せ、受益者代理人の終了事由が書かれているか確認する2. 委託者が存命なら、委託者と受益者の合意書(日付・署名入り)で終了させる。受益者に判断能力の不安があれば、先に成年後見の申立てを検討する3. 終了後は元代理人に、2項に基づく経過と結果の報告を書面で求める4. 代理人に善管注意義務違反(140条)が疑われるなら、報告内容を証拠に、信託に強い弁護士へ相談する
訴えられた側:1. 受益者代理人だった者は、終了と同時に、在任中の判断・受託者とのやり取り・費用の記録を整理する2. 「遅滞なく」報告するため、終了日から数週間を目安に、代理した受益者へ経過と結果を書面で送る3. 受益者が多数なら、送付記録を残す4. 終了が合意の場合は、委託者が存命だったか、受益者本人の意思能力に問題がなかったかを確認する。終了の有効性が後で争われるのを防ぐためである
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はない。報告義務は終了後「遅滞なく」履行する(2項)。報告義務違反や任務懈怠による損害賠償には一般消滅時効(民法166条、権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年)が適用される
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 受益者代理人制度の創設に伴い新設された(平成19年(2007年)9月30日施行)。その後の改正の有無は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法全部改正(平成18年法律第108号)により受益者代理人制度とともに新設。平成19年(2007年)9月30日施行。その後の改正の有無は要確認
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