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出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 収録時点 令和8年7月4日読了 8 分8 分8 分

信託法 第165条(特別の事情による信託の終了を命ずる裁判)

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  1. 信託行為の当時予見することのできなかった特別の事情により、信託を終了することが信託の目的及び信託財産の状況その他の事情に照らして受益者の利益に適合するに至ったことが明らかであるときは、裁判所は、委託者、受託者又は受益者の申立てにより、信託の終了を命ずることができる。
  2. 2.裁判所は、前項の申立てについての裁判をする場合には、受託者の陳述を聴かなければならない。ただし、不適法又は理由がないことが明らかであるとして申立てを却下する裁判をするときは、この限りでない。
  3. 3.第一項の申立てについての裁判には、理由を付さなければならない。
  4. 4.第一項の申立てについての裁判に対しては、委託者、受託者又は受益者に限り、即時抗告をすることができる。
  5. 5.前項の即時抗告は、執行停止の効力を有する。

この条文の基本情報

特別の事情による信託の終了を命ずる裁判とは何ですか?

定義特別の事情による信託の終了を命ずる裁判とは、信託法第165条に定められた規定で、「信託行為の当時予見することのできなかった特別の事情により、信託を終了することが信託の目的及び信託財産の状況その他の事情に照らして受益者の利益に適合するに至ったこ…」と規定しています。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 信託法第165条(特別の事情による信託の終了を命ずる裁判)は、日本の信託法に含まれる条文です。
  2. 信託法第165条の条文原文は「信託行為の当時予見することのできなかった特別の事情により、信託を終了することが信託の目的及び信託財産の状況その他の事情に照らして受益者の利益に適合するに至ったこ…」で始まります。
  3. 信託法第165条は第一節 信託の終了に置かれています。
  4. 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
  5. 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
  6. 信託法第165条の前の条は信託法第164条です。
  7. 信託法第165条の次の条は信託法第166条です。
  8. 信託法第165条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式信託法(平成十八年法律第百八号)第165条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108
  • 本サイト収録信託法(平成十八年法律第百八号)第165条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/165

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点信託法165条は、予見できなかった特別の事情で信託の終了が受益者の利益に適合することが明らかなとき、委託者・受託者・受益者の申立てにより裁判所が終了を命じられると定める。

Q · 家族信託を合意で解約できないとき、裁判所に終わらせてもらうことはできる?

予見外の事情で終了が受益者に明らかに有利なら可能

信託法165条により、委託者・受託者・受益者のいずれか一人の申立てで、裁判所が信託の終了を命ずることができます。要件は、①信託行為の当時予見できなかった特別の事情があること、②信託の目的や信託財産の状況などに照らし、終了が受益者の利益に適合することが明らかであることの二つです。裁判所は原則として受託者の陳述を聴き、決定には理由を付します。決定への即時抗告には執行停止の効力があります。

解説

家族信託の契約書は、親が元気なうちに「何十年先まで」を見越して書かれる。だが現実は設計図どおりに進まない。収益物件が老朽化して赤字を垂れ流す。受益者である母が施設に入り、信託不動産を誰も使わなくなる。委託者だった父が亡くなり、合意で解約する相手そのものがいなくなる。こうして信託が「守る仕組み」から「縛る檻」に変わったとき、最後に残る出口が本条である。委託者、受託者、受益者のうち誰か一人でも裁判所に申し立てれば、裁判所は信託の終了を命じることができる。ただし条件は二つある。信託を組んだ当時に予見できなかった特別の事情があること。そして、終了が受益者の利益に合うことが「明らか」であること。「そのほうが便利」程度では通らない。数字と経緯で、信託が檻になったことを証明できる側だけが、この扉を開けられる。

法的な位置づけ

信託法第165条は、特別の事情による信託の終了を命ずる裁判を定める規定である。信託行為の当時予見できなかった特別の事情により、信託の終了が信託の目的及び信託財産の状況その他の事情に照らして受益者の利益に適合することが明らかとなった場合に、委託者・受託者・受益者の申立てを受けて裁判所が終了を命ずる。

手順

  1. 1.信託契約書・遺言の終了条項を確認 信託契約書または遺言を読み、終了事由の定めや、164条の合意終了が使えるか(委託者が存命か、信託行為で制限されていないか)を確認する
  2. 2.受託者の帳簿を閲覧請求する 受益者として受託者に帳簿等の閲覧・謄写を請求し(38条)、赤字の推移や信託財産の目減りを数字で押さえる
  3. 3.予見できなかった特別の事情を時系列で整理 信託設定時の協議内容と、その後に生じた事情(物件の老朽化、受益者の施設入所、委託者の死亡など)を時系列表にまとめ、設定時に予見できなかったことを示す
  4. 4.地方裁判所に終了命令を申し立てる 合意終了(164条)や変更命令(150条)では解決しない理由を添え、受託者の住所地を管轄する地方裁判所に信託終了命令を申し立てる
  5. 5.決定後2週間以内に即時抗告を判断 決定の告知から2週間以内に即時抗告するかを決める。即時抗告には執行停止の効力があり、確定まで決定の効力は生じない

よくある質問 AI による整理

Q1信託の終了命令とは何ですか?

信託法165条に基づき、裁判所が申立てを受けて信託の終了を命ずる裁判です。予見できなかった特別の事情と、終了が受益者の利益に明らかに適合することが要件です。

Q2家族信託は委託者が亡くなった後でも終了できる?

委託者がいないと164条の合意終了は使えません。ただし受託者や受益者が165条により裁判所へ終了を申し立てる道は残っています。

Q3信託終了の申立てはどこの裁判所にする?

信託法上の非訟事件は、受託者の住所地を管轄する地方裁判所の管轄です(信託法262条)。家庭裁判所ではない点に注意が必要です。

Q4信託終了命令への即時抗告はいつまで?

裁判の告知を受けた日から2週間以内です(非訟事件手続法67条1項)。抗告できるのは委託者・受託者・受益者に限られます(165条4項)。

Q5信託が終了したら財産は誰のものになる?

終了すると清算が始まり(175条)、残余財産は信託行為で指定された残余財産受益者や帰属権利者に渡ります(182条)。申立人に戻るとは限りません。

Q6信託終了で税金はかかる?

受益者以外の帰属権利者が残余財産を受け取ると、受益者から贈与・遺贈を受けたものとみなされ課税されることがあります(相続税法9条の2第4項)。

Q7受託者は信託終了の申立てに反論できる?

できます。裁判所は原則として受託者の陳述を聴かなければなりません(165条2項)。帳簿や収支見通しを示し、終了の必要がないことを主張できます。

Q8信託終了の申立てが却下されるのはどんな場合?

事情が設定時に予見できたもの、終了の利益が「明らか」といえない場合などです。不適法・理由がないことが明らかなら受託者の陳述なしで却下されます。

この条文についての質問 AI による整理

Q1家族信託って、家族のうち一人がやめたいと思っても解約できないんですか?

委託者と受益者が合意すれば、いつでも終了できる(164条1項)。ただし信託行為でこれが制限されていることも多く、委託者がもういなければこの道は閉じる(同条4項)。そこで本条により、委託者・受託者・受益者の誰か一人の申立てで、裁判所に終了を求められる。実務のポイント:164条には「信託行為の定め」を優先する規定(同条3項)があるが、165条にはない。契約書で解約を禁じていても、裁判所への申立てまでは塞げないと解されている

Q2「受益者の利益に適合するのが明らか」って、どこまで証明すればいいの?

終了したほうが望ましい、という程度では足りない。信託の目的や財産の状況などに照らして、明白であることが求められる(165条1項)。判断の基準となる裁判例はまだ少なく、実務上の判断は事案ごとに分かれている。実務のポイント:裁判所は「信託の目的がもう果たせないのか」を重く見る。受益者の生活を支える目的の信託なら、終了したほうが生活費を確保できることを示す収支表が、どんな主張書面よりも効く

Q3受益者が複数いて、一人だけ終了に反対している場合はどうなりますか?

申立ては受益者一人でもできる(165条1項)。ただし「受益者の利益」を受益者全体で見るのか、一人ひとりについて見るのかは、実務上解釈が分かれている。反対している受益者に明らかな不利益が出るなら、終了は認められにくい。実務のポイント:反対している受益者の取り分を清算時にどう確保するか(182条の帰属の扱いを含む)という案を最初から添えておくと、裁判所が抱く懸念を先回りして解消できる

間違えやすい点 AI による整理

  • 「信託を終わらせたい」と考える人の多くは、実は信託そのものではなく受託者に不満を抱いている。受託者が任務に違反して財産に損害を与えているなら、筋は終了ではなく解任(58条)である。問いを立て間違えると、「受益者の利益に明らかに適合する」という高い壁に無駄に挑むことになる
  • あなたにとって、終了は「財産が手元に戻る」ことである。法律から見れば、終了は清算の始まりにすぎない(175条)。残りの財産は、信託行為で指定された帰属権利者に渡る(182条)。それがあなたとは限らない。さらに受益者以外の人が受け取れば、贈与税や相続税の課税対象になりうる(相続税法9条の2第4項)
  • 「特別の事情」が要件であることは知られている。だが、その事情が「信託行為の当時予見することのできなかった」ものに限られる点の重さは、あまり知られていない。契約書に「賃料が下がった場合は…」と想定済みの事態は、予見できたと評価されうる。周到に作った信託ほど、この扉は狭くなる
比較の観点この条文ほかの条文
誰が動かすか165条:委託者・受託者・受益者の一人が申立て、裁判所が判断164条:委託者と受益者の合意(裁判所不要)
150条:委託者・受託者・受益者の申立て、裁判所が判断
要件予見不能な特別の事情+終了が受益者の利益に適合することが明らか当事者の合意があればいつでも可(委託者不在・信託行為の制限で閉じうる)
予見不能な特別の事情+信託事務の処理方法の定めが受益者の利益に適合しなくなった
効果信託は終了し清算へ(175条)信託は終了し清算へ(175条)
処理方法の定めを変更し、信託は存続
信託行為による制限制限を許す明文なし(契約で塞げないと解されている)信託行為に別段の定めがあればそれに従う(164条3項)
制限を許す明文なし

他国ではどう定めているか 3 か国

台湾
信託法第16条・第63条・第64条

台湾は情事変更による管理方法の変更を裁判所に申し立てる制度と、委託者・受益者による終止を定める。日本の165条のような裁判所の終了命令に正面から対応する規定は確認できず、変更と合意終止が主な出口となる

韓国
신탁법 제100조

韓国も2011年の信託法全部改正で、予見できなかった特別の事情により終了が受益者の利益に適合することが明白な場合に、法院に終了を請求できる制度を置いており、日本と構造が近い

アメリカ
Uniform Trust Code § 412

米国統一信託法典は、設定者が予見しなかった事情により終了が信託目的の促進につながる場合、裁判所が信託を変更・終了できると定める。日本より「明らか」要件のような高いハードルは置かない

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • 父が組んだ家族信託で、長男のあなたが受託者になって8年。信託財産のアパートは築45年で空室が多く、修繕費が家賃収入を毎年上回り、受益者である母の生活費を削っている。父はすでに他界し、委託者の地位を誰が引き継いだのか契約書でははっきりしない。このため164条の合意終了が組めない。受託者であるあなた自身が、裁判所に終了を申し立てる側に回ることができる
  • もし障害のある息子のために遺言で組まれた信託が、息子の就職と結婚で役目を終えたら、どうなる? 遺言信託では、委託者の相続人は原則として委託者の地位を承継しない(147条)。合意で終わらせる相手がいない以上、受益者である息子自身が165条で裁判所に出口を求めることになる
  • 受益者である妹が、あなたが管理する信託の終了を裁判所に申し立てた。裁判所はあなたの陳述を必ず聴く(165条2項)。その場で出せる帳簿があるかどうかで流れが決まる
  • 終了を命じる決定が出た。不服があれば、告知を受けた日から2週間以内に即時抗告しなければならない(非訟事件手続法67条1項)。しかも即時抗告には執行停止の効力があるため(165条5項)、抗告されれば決定は確定まで動かない。残り14日で、申立人の側も受託者の側も段取りが変わる

取るべき行動

被害を受けた側:1. 信託契約書または遺言を読み、164条の合意終了が使えるか、終了事由が定められていないかを確認する2. 受託者に帳簿の閲覧を請求し(38条)、赤字の推移や財産の減り方を数字で押さえる3. 信託を組んだ当時は予見できなかった事情(災害、法改正、受益者の状況の変化など)を時系列で整理する4. 変更命令(150条)では足りない理由も添えて、受託者の住所地を管轄する地方裁判所に申し立てる

訴えられた側:1. 申立てがあれば、受託者には陳述の機会が保障される(165条2項)。帳簿、運用方針、今後の収支見通しを準備して臨む2. 主張された「特別の事情」が設定時に予見できたものなら、その証拠(設計時の協議記録、関連条項)を示す3. 終了ではなく変更(150条)で足りるという代替案を出すのも有効である4. 不利な決定が出たら、告知から2週間以内に即時抗告する。執行停止の効力により、確定までは現状が保たれる

時効(請求できる期限):申立て自体に期間の制限はなく、信託が続いている限りいつでも申し立てられる。決定に対する即時抗告は、裁判の告知を受けた日から2週間の不変期間内に行う必要がある(非訟事件手続法67条1項)。即時抗告ができるのは委託者、受託者、受益者に限られる(165条4項)

学説

一般的理解:合意による終了(164条)には信託行為の定めを優先する規定(同条3項)があるが、本条にはこれがないため、信託契約で解約を禁じていても裁判所への終了申立ては封じられないと解されている

改正沿革 AI による整理

  • 平成18年(2006年)信託法全部改正 旧信託法(大正11年法律第62号)にあった裁判所による信託解除の制度を、予見できない特別の事情と受益者の利益への適合を要件とする形に組み直し、受託者の陳述聴取、理由の付記、即時抗告とその執行停止効を整えた現行規定が置かれた(平成19年9月30日施行)。その後の改正の有無は要確認

改正の年表

  1. 1.平成18年(2006年) 新設:信託法(平成18年法律第108号)の制定により、旧信託法の裁判所による信託解除の制度を組み直し、予見不能な特別の事情と受益者の利益への明白な適合を要件とする終了命令として新設。受託者の陳述聴取、理由付記、執行停止効のある即時抗告を整備(平成19年9月30日施行)

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信託法の全文を見る所属する編章節を開く:第一節 信託の終了

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

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