信託法 第197条(受益者の請求によらない受益権原簿記載事項の記載又は記録)
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- 受益証券発行信託の受託者は、次の各号に掲げる場合には、法務省令で定めるところにより、当該各号の受益権の受益者に係る受益権原簿記載事項を受益権原簿に記載し、又は記録しなければならない。
- 一受益証券発行信託の受益権を取得した場合において、当該受益権が消滅しなかったとき。
- 二前号の受益証券発行信託の受益権を処分したとき。
- 2.受益証券発行信託の受託者は、信託の変更によって受益権の併合がされた場合には、併合された受益権について、その受益権の受益者に係る受益権原簿記載事項を受益権原簿に記載し、又は記録しなければならない。
- 3.受益証券発行信託の受託者は、信託の変更によって受益権の分割がされた場合には、分割された受益権について、その受益権の受益者に係る受益権原簿記載事項を受益権原簿に記載し、又は記録しなければならない。
- 4.前三項の規定は、無記名受益権については、適用しない。
この条文の基本情報
受益者の請求によらない受益権原簿記載事項の記載又は記録とは何ですか?
定義受益者の請求によらない受益権原簿記載事項の記載又は記録とは、信託法第197条に定められた規定で、「受益証券発行信託の受託者は、次の各号に掲げる場合には、法務省令で定めるところにより、当該各号の受益権の受益者に係る受益権原簿記載事項を受益権原簿に記載し、又は記…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第197条(受益者の請求によらない受益権原簿記載事項の記載又は記録)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第197条の条文原文は「受益証券発行信託の受託者は、次の各号に掲げる場合には、法務省令で定めるところにより、当該各号の受益権の受益者に係る受益権原簿記載事項を受益権原簿に記載し、又は記…」で始まります。
- 信託法第197条は第二節 受益権の譲渡等の特例に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第197条の前の条は信託法第196条です。
- 信託法第197条の次の条は信託法第198条です。
- 信託法第197条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第197条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第197条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/197
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法197条は、受益証券発行信託の受託者が自己の受益権を取得・処分したときや、信託変更で受益権を併合・分割したときに、請求がなくても受益権原簿へ記載する義務を定める。
Q · 信託の受益権が併合されたけど、受益者が何も請求しなくても台帳は書き換わるの?
請求がなくても受託者が自ら記載する義務がある
信託法197条2項・3項により、信託の変更で受益権が併合・分割された場合、受益証券発行信託の受託者は、併合・分割後の受益権について受益権原簿記載事項を自ら記載・記録しなければなりません。受託者が自己の受益権を取得して消滅させなかった場合や、それを処分した場合も同様です(1項)。受益者の請求による記載(198条)とは別の、受託者の自発的義務です。ただし無記名受益権には適用されません(4項)。
解説
株主名簿で「会社が自分で書き換える」場面は会社法132条に定められている。同じ仕組みが信託にも移されている。受益証券発行信託は、受益権(信託から利益を受け取る権利)を株券のような証券にして流通させる信託で、誰が受益者かは受益権原簿という台帳で管理される。ふつうは受益権を買った人が受託者に書き換えを請求する(198条)。ところが次の場面では、請求する人がいない。受託者が自分の信託の受益権を買い取って消滅させずに持っているとき、それを他人に処分したとき、信託の変更で受益権を併合(まとめる)または分割(割る)したとき。そこで本条は、こうした場面で受託者が自分から台帳に記載する義務を負うと定めた。これを知っていれば、「請求がなかったので反映していない」という受託者の言い訳はその場で通らなくなる。ただし無記名受益権は、台帳の仕組みの外にある。
法的な位置づけ
信託法197条は、受益証券発行信託において、受託者が受益者の請求によらずに受益権原簿記載事項を記載・記録すべき場面を定める規定である。対象は、受託者による受益権の取得(消滅しない場合)とその処分、信託の変更による受益権の併合・分割であり、無記名受益権は適用除外とされる。株主名簿に関する会社法132条に対応する規律である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.記載義務が生じる事由を特定する 受託者による受益権の取得(消滅しない場合)、その処分、信託変更による併合・分割のどれに当たるかを確認する。対象が無記名受益権なら本条は適用されない(4項)
- 2.受託者側:変動を台帳更新の自動トリガーにする 自己取得・処分の約定や、併合・分割の効力発生日を業務フローに登録し、受益権原簿システムの更新作業と紐づける。更新日と根拠資料を記録に残す
- 3.受益者側:書面交付を請求して記載内容を照合する 併合・分割の効力発生後、配当基準日をまたぐ前に、受託者へ受益権原簿記載事項を記載した書面の交付を請求し(187条)、口数・氏名を自分の記録と照合する
- 4.記載漏れ・誤記があれば書面で訂正を求める 照合で不一致が見つかったら、本条違反を指摘して書面で訂正を求める。配当や議決権で実害が出ている場合は、損失てん補(40条)を視野に信託実務に詳しい弁護士に相談する
よくある質問 AI による整理
Q1受益権原簿とは何ですか?
受益証券発行信託で、受益者の氏名・住所や受益権の内容を記録する台帳です。受託者が作成し(信託法186条)、権利関係を確かめる基礎になります。
Q2受益証券発行信託とは何ですか?
受益権を表示する受益証券を発行する旨を定めた信託です。受益権を株券のように流通させることができ、上場信託などで使われています。
Q3受益権の併合とは何ですか?
信託の変更によって、複数の受益権を一つにまとめることです。たとえば10口を1口にする場合、受託者は併合後の受益権を原簿に記載する義務を負います(197条2項)。
Q4受託者が自分の受益権を買ったら消滅しますか?
取得しただけで当然に消滅するとは限りません。消滅しなかった場合、受託者は自ら受益権原簿に記載・記録しなければなりません(197条1項1号)。
Q5受益権原簿の書き換えは誰が請求する?
受益権を取得した人が受託者に請求するのが原則です(198条)。ただし受託者自身の取得・処分や併合・分割のときは、請求がなくても受託者が記載します。
Q6受益権原簿の記載漏れは違法ですか?
本条の記載義務に違反します。漏れによって受益者に損失が生じれば、受託者の任務違反として損失のてん補を求められる余地があります(40条)。
Q7無記名受益権も原簿に記載されますか?
本条の受託者による記載義務は無記名受益権には適用されません(197条4項)。無記名受益権では、証券の所持が権利行使の基礎になります。
Q8信託法197条は会社法のどの規定に似ている?
株主の請求によらない株主名簿の記載を定めた会社法132条に対応します。会社が自己株式を処分した場合などの仕組みを、信託の受益権に移したものです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1信託の受益権を持ってるだけなんですが、台帳に自分の名前がちゃんと載ってるか確認できますか?
できる。受益者は、受託者に対して自分の受益権原簿記載事項を記載した書面の交付を請求できる(信託法187条)。併合・分割のあとは本条2項・3項により受託者が記載し直す義務があるので、その結果を書面で確かめられる。実務のポイント:書面の交付請求は問い合わせ窓口への電話より証拠力がはるかに強い。のちに損失てん補を求めるとき、受託者がいつ誤りを知り得たかを示す起点になる
Q2受託者が自分で受益権を買うのって、利益相反じゃないんですか?
受託者が受益権を取得すること自体は、受益証券発行信託では想定された行為である。ただし取得した受益権が消滅しなかった場合と、それを処分した場合には、本条1項により台帳への記載が必要になる。取引の条件が受益者に不利なら、忠実義務(30条)や利益相反行為の制限(31条)の問題として別に検討する。実務のポイント:受託者が受益権の全部を固有財産で持つ状態が1年続くと信託は終了する(163条2号)。自己取得の量は、信託の存続そのものに関わる
間違えやすい点 AI による整理
- 「受益権原簿の書き換えは受益者が請求するもの」と思い込みがちだが、それは198条の場面にすぎない。受託者自身の取得・処分と、信託変更による併合・分割は、請求がなくても受託者が記載しなければならない。受益者が黙っていても免責されない
- 台帳の記載を事務手続の一つと軽く見るのは危険である。受益証券発行信託では、受益権原簿への記載が受託者などに権利を主張するための対抗要件(権利を相手に主張できる条件)につながる(195条)。記載が抜けると、議決権や配当を誰に帰属させるかで争いになる
- 問いの立て方そのものが違うことがある。「無記名受益権の場合、受託者はいつ記載するのか」と尋ねても答えはない。無記名受益権には本条が適用されず(4項)、証券を持っている人が権利者として扱われる。確認すべきなのは台帳ではなく証券の所在である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 記載のきっかけ | 197条:受託者の取得・処分、信託変更による併合・分割 | 198条:受益権を取得した者からの請求 195条:原簿記載が受益権譲渡の対抗要件につながる |
| 誰が動くか | 受託者が自発的に記載 | 取得者が請求し、受託者が記載 譲受人が記載を得て受託者等に対抗 |
| 無記名受益権 | 適用しない(4項) | 無記名受益権は別扱い(条文で要確認) 無記名受益権は証券の交付・所持で扱う |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾の信託法本体には受益証券発行信託の一般規定がなく、受益証券の発行と受益者の管理は証券化関連の特別法で扱われる
韓国も信託法に受益証券発行信託と受益者名簿の仕組みを持ち、日本の制度と構造が近い。具体的な条番号は要確認
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 上場している金の現物信託の受益権を持っている。信託の変更で10口を1口に併合すると通知があったが、自分の保有口数がどう記録されたか分からない。併合後の受益権を台帳に記載する義務は、あなたが請求しなくても受託者にある(197条2項)
- 受託者が市場で自己の受益権を買い集め、少しして第三者へまとめて売った。買主は「名義はいつ自分になるのか」と気をもんでいる。処分した時点で受託者は自分から記載しなければならない。期限を明示した文言はないが、放置すれば義務違反を問われうる
- あなたが受託会社の担当者だとしたら、受益権の分割を決めた信託変更の翌週、台帳システムを更新し忘れたらどうなる? 受益者の議決権数も配当計算もずれる。責任を負うのは受託者側である
取るべき行動
被害を受けた側:1. 信託変更の通知、取引報告書など、受託者による取得・処分または併合・分割を示す資料を保存する2. 受託者に受益権原簿記載事項を記載した書面の交付を請求し(187条)、口数と氏名を照合する3. 記載漏れや誤記があれば、本条違反として書面で訂正を求める4. 配当や議決権で実害が出ていれば、受託者の任務違反による損失てん補(40条)を検討し、信託実務に詳しい弁護士に相談する
訴えられた側:1. 受託者側なら、自己取得・処分・併合・分割を台帳更新の自動トリガーとして業務フローに組み込む2. 指摘を受けたら速やかに記載を補正し、補正日と根拠資料を残す3. 対象が無記名受益権なら、4項により本条は適用されないと反論できる4. 振替制度で扱われる受益権は特別法による取扱いがあるので、どちらのルールが適用されるかを先に確定する
時効(請求できる期限):本条に特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。記載義務には期限の明文がないため、遅滞なく行うのが実務上の前提である。記載懈怠は過料の対象になりうる(信託法270条、最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 受益証券発行信託制度の創設に伴い新設されたとみられる。旧信託法には受益証券発行信託の規定がなかった。その後の改正の有無は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法(平成18年法律第108号)の制定により、受益証券発行信託の制度とともに設けられた。旧信託法には受益証券発行信託の規定がなかった。その後の改正の有無は要確認
- 信託法 第198条受益者の請求による記載との対
- 信託法 第186条受益権原簿の作成と記載事項
- 信託法 第187条記載事項を記載した書面の交付請求
- 信託法 第195条受益権譲渡の対抗要件と原簿記載
- 信託法 第163条受託者が全受益権を1年保有で終了
- 社債、株式等の振替に関する法律 第127条の2振替受益権の特則の起点(現行効力を要確認)
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