信託法 第218条(限定責任信託の名称等)
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- 限定責任信託には、その名称中に限定責任信託という文字を用いなければならない。
- 2.何人も、限定責任信託でないものについて、その名称又は商号中に、限定責任信託であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。
- 3.何人も、不正の目的をもって、他の限定責任信託であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない。
- 4.前項の規定に違反する名称又は商号の使用によって事業に係る利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある限定責任信託の受託者は、その利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
この条文の基本情報
限定責任信託の名称等とは何ですか?
定義限定責任信託の名称等とは、信託法第218条に定められた規定で、「限定責任信託には、その名称中に限定責任信託という文字を用いなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第218条(限定責任信託の名称等)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第218条の条文原文は「限定責任信託には、その名称中に限定責任信託という文字を用いなければならない。」で始まります。
- 信託法第218条は第一節 総則に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第218条の前の条は信託法第217条です。
- 信託法第218条の次の条は信託法第219条です。
- 信託法第218条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第218条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第218条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/218
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法218条は、限定責任信託にその名称中へ「限定責任信託」の文字の使用を義務付け、それ以外の者による誤認されるおそれのある名称の使用を禁じる規定である。
Q · 「限定責任信託」って名前は、誰でも自由に付けていいの?
登記した限定責任信託だけが名乗れ、偽称や紛らわしい名称は禁止
信託法218条1項により、限定責任信託は名称中に「限定責任信託」の文字を用いなければなりません。2項は限定責任信託でないものが誤認されるおそれのある文字を名称・商号に使うことを禁じ、3項は不正の目的で他の限定責任信託と紛らわしい名称を使うことを禁じます。4項により、利益を侵害された受託者は侵害の停止・予防を請求できます。名称を見れば、責任財産が信託財産に限られることが分かる仕組みです。
解説
請求書の宛名欄に「株式会社」と並んで「○○限定責任信託」と書かれている。たった6文字だが、取引先としての性質がまるで違うことを示している。限定責任信託(信託法216条以下)とは、受託者(財産を預かって運用する人)が信託の取引で負った債務について、信託財産だけで責任を負う仕組みである。受託者個人の預金や自宅には、原則として手が届かない。218条1項がこの文字を名称に入れるよう義務付けているのは、取引相手が「回収できるのは信託財産だけ」という事実を名前で見抜けるようにするためだ。逆に言えば、限定責任信託でない者がこの文字を名乗ることも禁じられ(2項)、不正の目的で他の限定責任信託と紛らわしい名称を使えば、受託者から差止めを請求される(3項・4項)。名前は飾りではない。責任の範囲を外に知らせる表示なのだ。あなたが売る側でも貸す側でも、相手の名称に入っているこの6文字を見落とすと、未払いが出たとき取り立てられる財産の範囲を読み違えることになる。
法的な位置づけ
信託法218条は、限定責任信託の名称に関する規定であり、限定責任信託に名称中への「限定責任信託」の文字の使用を義務付けるとともに、限定責任信託でないものによる誤認表示および不正の目的による紛らわしい名称・商号の使用を禁止し、侵害を受けた受託者に差止請求権を付与する。責任財産が信託財産に限られることを名称で公示する機能を持つ。
手順
- 1.取引先の名称を確認する 見積書・発注書・契約書の当事者欄に「限定責任信託」の文字があるかを確認する。受託者名と信託の名称が併記されているかもチェックする
- 2.登記事項証明書を取り寄せる 法務局で限定責任信託の登記事項証明書を取得し、名称・受託者・事務処理地など登記内容と名乗っている名称が一致するかを照合する
- 3.取引条件にリスクを織り込む 回収できるのは原則として信託財産のみであることを前提に、前払い、保証人、担保、支払サイトの短縮などを交渉する
- 4.紛らわしい名称を見つけたら証拠を保全する 自らが受託者である限定責任信託と紛らわしい名称が使われている場合、誤送金・問い合わせ等の誤認事例と相手の商号・ウェブサイトを日付入りで保存し、内容証明郵便や差止請求を検討する
よくある質問 AI による整理
Q1限定責任信託とは?
受託者が信託事務で負った債務について、信託財産のみを責任財産とする信託です。信託行為で定め、登記をすることで限定責任信託としての効力が生じます(信託法216条)。
Q2限定責任信託の名称はどう付ける?
名称中に「限定責任信託」の文字を必ず入れます(218条1項)。例えば「○○限定責任信託」のように、取引相手が一目で分かる形にします。
Q3限定責任信託の登記はどこで確認できる?
法務局で登記事項証明書を取得すれば、名称・受託者・事務処理地などの登記事項を確認できます(信託法232条)。契約前の与信確認に有効です。
Q4限定責任信託でないのに名乗ると違法?
違法です。218条2項は、限定責任信託と誤認されるおそれのある文字を名称・商号に用いることを禁じており、過料の対象となり得ます。
Q5信託法218条の差止請求は誰ができる?
事業に係る利益を侵害され、または侵害されるおそれがある限定責任信託の受託者です(4項)。条文上、請求権者は受託者とされています。
Q6信託法218条の「不正の目的」とは?
他の限定責任信託と誤認させて取引上の利益を得ようとする意図などを指すと解されます。会社法8条の同じ文言と同様に解釈されるのが一般的です。
Q7限定責任信託と取引するときの注意点は?
回収対象が原則として信託財産に限られるため、登記事項証明書で状況を確認し、前払い・保証・担保などの条件を契約前に検討します。
Q8限定責任信託と合同会社の違いは?
どちらも個人の責任が限定されますが、合同会社は法人、限定責任信託は法人格のない信託で、受託者が信託財産を管理し取引します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1限定責任信託の受託者に代金を払ってもらえないとき、受託者個人の財産は差し押さえられますか?
原則として差し押さえられない。限定責任信託では信託財産だけが責任財産になる(216条)。ただし、受託者が職務で悪意または重過失により損害を与えた場合は、受託者個人にも責任を追及できる(224条)。実務のポイント:受託者が取引時に限定責任信託であることを示していなければ、限定責任をあなたに主張できない(219条)。契約書や発注書にその旨が書かれているか、まず確認すべきである
Q2自分のファンド名に「限定責任信託」って入れたら信用されそうなんですが、ダメですか?
限定責任信託として登記していないなら、218条2項違反になる。過料の対象であり(信託法271条、最新の改正状況をご確認ください)、勧誘の場面では虚偽表示を疑われる材料にもなる。実務のポイント:この6文字は「受託者個人は払わない」という意味なので、事情に詳しい投資家にはむしろ警戒される。信用を高める言葉ではない
Q3似た名前を勝手に使われています。商標を取っていないと止められませんか?
相手に不正の目的があり、あなたの事業上の利益が侵害されている、または侵害されるおそれがあれば、受託者は218条4項に基づいて差止めや予防を請求できる。実務のポイント:争いの焦点は「不正の目的」の立証になる。相手があなたの名称を知っていたことを示す証拠、たとえば過去の取引や問い合わせの痕跡を、早い段階で保存しておくと勝負が決まりやすい
間違えやすい点 AI による整理
- 「信託」という言葉が付いていれば、受託者個人も責任を負ってくれると思われがちだが、限定責任信託ではまったく逆である。名称に入っている6文字は「受託者個人は原則として払わない」という宣言にあたる。安心材料ではなく、警戒すべき合図として読むべきである
- 名称の規制は形式的なルールで、違反しても実害はないと軽く見られている。実際には、受託者が限定責任信託であることを相手方に示さずに取引すれば、限定責任をその相手方に主張できなくなる(219条)。名称と明示を怠った瞬間、守られるはずだった受託者の個人財産が責任財産に戻る。表示の手を抜いた代償は、受託者自身が払うことになる
- 「似た名前を使われたら商標登録がないと止められない」という問いは、そもそも前提がずれている。不正の目的による誤認名称の使用には、218条4項が受託者に直接の差止請求権を与えている。商標権がなくても、名称規制という別ルートで止められる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 信託法218条:限定責任信託の名称表示と誤認名称の禁止 | 信託法219条:取引時に限定責任信託であることを明示する義務 信託法216条:限定責任信託の要件と効力 |
| 違反・不備の効果 | 過料の対象となり得る、不正目的の誤認名称には差止請求 | 明示しなければ限定責任を相手方に主張できない 登記がなければ限定責任信託としての効力が生じない |
| 取引相手にとっての意味 | 名称を見て責任財産の範囲を推定できる | 個別取引の場面で責任限定を告知される 責任財産が信託財産に限られる根拠 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾には限定責任信託制度はない。会社の名称に種類の表示を求める規定や、信託業と誤認される名称の使用制限が同種の公示機能を担う
韓国も2011年の信託法全部改正で有限責任信託を導入しており、日本と類似の制度設計をとる。条番号・名称規制の細部は要確認
ドイツでは有限責任会社の商号に責任形態の表示を義務付けており、有限責任を名称で公示する発想は共通する
米国では法定信託により受益者・受託者の有限責任が認められる。名称表示の規律は日本ほど明確ではない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 太陽光発電設備の保守を請け負い、発注元は「○○ソーラー限定責任信託 受託者 △△」。半年後に代金300万円が未払いになった。受託者個人に請求しようとしたが、責任の範囲は信託財産に限られる。契約前に名称を読み込んでいれば、前払いか保証を条件にできた
- もし、自分の投資スキームの名前を格好よく見せたくて「○○限定責任信託ファンド」と名乗ったら、どうなる? 限定責任信託の登記をしていなければ、218条2項違反である。過料の対象になるうえ、勧誘相手への説明内容まで疑われる
- あなたが運営する限定責任信託と一文字違いの名称を、別の業者が使い始めた。顧客が問い合わせ先を間違え、すでに2件の取引が先方に流れている。週明けの商談までに、差止めを求める内容証明郵便を出したい
- 取引先から「うちは限定責任信託なので」と言われ、意味が分からないまま契約書に判を押した。
- 友人の不動産オーナーから「信託を使えば借金が自分に来ないって本当?」と相談された。答えは、限定責任信託の要件を満たし登記した場合に限り、しかも悪意や重過失がない場合に限る、である(224条)
取るべき行動
被害を受けた側:1. 不正の目的で自分の限定責任信託と紛らわしい名称を使われた場合は、誤認事例(誤送金、間違い電話、顧客の証言)を日付入りで記録する2. 相手の商号登記やウェブサイトを保存する3. 内容証明郵便で使用中止を求め、応じなければ218条4項に基づく差止請求訴訟や仮処分を検討する。損害が出ていれば民法709条で賠償も請求する4. 取引先が限定責任信託で未払いが出た場合は、受託者に悪意・重過失がなかったか(224条)と、限定責任信託であることの明示があったか(219条)を確認する
訴えられた側:1. 名称の使用中止を求められたら、まず自分の名称が限定責任信託と誤認されるおそれがあるかを客観的に検証する2. 「不正の目的」がなかったことを示す材料(命名の経緯、先行使用の時期、業種の違い)を整理する3. 限定責任信託の登記をしていないのに名称に同じ文字を入れているなら、争うより速やかに名称を変更するほうが過料リスクを含めて安上がりである4. 自分が受託者なら、名称と取引時の明示(219条)の両方がそろっているか点検する
時効(請求できる期限):差止請求自体に特定の時効はないが、侵害が続く限り請求できる。損害賠償は民法724条により、損害および加害者を知った時から3年、不法行為時から20年。それ以外の債権には一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される
学説
一般的理解:本条は会社法6条から8条の商号規制にならい、受託者の有限責任という特権の代わりに名称による公示を求め、取引相手が責任範囲を予測できるようにする趣旨と解される
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 限定責任信託制度の創設に合わせて新設された。施行後の文言改正の有無は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法(平成18年法律第108号)の全部改正により、限定責任信託制度の創設とともに新設。施行後の文言改正の有無は要確認
- 信託法 第216条限定責任信託の要件と責任限定
- 信託法 第219条取引時の明示義務と主張制限
- 信託法 第224条悪意重過失時の受託者個人責任
- 信託法 第232条限定責任信託の登記事項
- 信託法 第271条名称規制違反への過料(現行効力を要確認)
- 会社法 第8条不正目的の誤認商号の禁止と差止の同型規定
- 信託業法 第14条信託会社の商号使用規制
- 不正競争防止法 第3条混同惹起行為への差止請求
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