信託法 第220条(登記の効力)
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- この章の規定により登記すべき事項は、登記の後でなければ、これをもって善意の第三者に対抗することができない。登記の後であっても、第三者が正当な事由によってその登記があることを知らなかったときは、同様とする。
- 2.この章の規定により登記すべき事項につき故意又は過失によって不実の事項を登記した者は、その事項が不実であることをもって善意の第三者に対抗することができない。
この条文の基本情報
登記の効力とは何ですか?
定義登記の効力とは、信託法第220条に定められた規定で、「この章の規定により登記すべき事項は、登記の後でなければ、これをもって善意の第三者に対抗することができない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第220条(登記の効力)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第220条の条文原文は「この章の規定により登記すべき事項は、登記の後でなければ、これをもって善意の第三者に対抗することができない。」で始まります。
- 信託法第220条は第一節 総則に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第220条の前の条は信託法第219条です。
- 信託法第220条の次の条は信託法第221条です。
- 信託法第220条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第220条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第220条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/220
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法220条は、限定責任信託の登記事項は登記後でなければ善意の第三者に対抗できず、不実の登記をした者はその不実を善意の第三者に主張できないと定める。
Q · 限定責任信託の受託者交代や定めの廃止を登記していなかったら、取引相手に主張できる?
原則できない。登記前の事項は知らない相手に主張不可
信託法220条1項により、限定責任信託に関して登記すべき事項は、登記をした後でなければ善意の第三者に対抗できません。受託者の交代や限定責任信託の定めの廃止を登記しないまま取引すれば、事情を知らない相手方にはその変更を主張できないのが原則です。逆に登記後は、災害で登記所が使えなかったなど正当な事由がない限り、相手方は「知らなかった」と言えなくなります。
解説
取引先の名刺に「限定責任信託」と書いてあったら、その相手が払えなくなったとき、あなたが差し押さえられる財産は信託財産だけになる。受託者が個人で持つ家や預金には手が出せない(信託法217条)。こうした信託の中身を外部に示す唯一の公式な窓が登記であり、本条はその窓の効力を決めている。第1項によれば、登記すべき事項(受託者の交代、限定責任信託の定めの廃止など)は、登記をしていない限り、事情を知らない(善意の)第三者に主張できない。ただし登記した後でも、災害で登記所が使えなかったといった「正当な事由」で知り得なかった第三者には、やはり主張できない。この「正当な事由」は、同じ構造をもつ商業登記の規定では客観的な障害に限ると狭く解されており、「忙しくて確認しなかった」は通らない。第2項は逆方向の歯止めである。うそと知りながら、または不注意で事実と違う内容を登記した者は、「本当は違う」と言って善意の第三者から逃げることはできない。つまり、登記簿を確認した側は守られ、確認しなかった側は「知らなかった」と言っても通りにくい。登記事項証明書(登記簿の写し)を取るのは、手数料数百円の、最も安い保険である。
法的な位置づけ
信託法220条は、限定責任信託に関する登記の効力を定める規定である。登記すべき事項は登記前には善意の第三者に対抗できず、登記後も正当な事由により登記を知り得なかった第三者には対抗できない。さらに、故意又は過失により不実の事項を登記した者は、その事項が不実であることを善意の第三者に対抗できない。
手順
- 1.契約前に登記事項証明書を取得する 「信託」と名の付く相手と基本契約を結ぶ前に、法務局またはオンライン請求で限定責任信託の登記事項証明書を取得し、限定責任信託の登記の有無、受託者、登記日を確認する
- 2.責任範囲に応じて取引条件を交渉する 限定責任信託と判明した場合、回収先が信託財産に限られることを前提に、保証人、前払い、担保設定などの条件を初回発注前に交渉する
- 3.相手方の説明と登記の食い違いを記録する 相手方の口頭説明やメールが登記内容と異なる場合、その時点のメール・議事録を保存し、日付を整理しておく。後の紛争で不実登記(220条2項)や受託者責任(224条)の主張の基礎となる
- 4.受託者側は変更登記を取引前に済ませる 受託者の交代や限定責任信託の定めの廃止など登記事項に変更が生じたら、新規の取引交渉に入る前に変更登記を申請する。未登記の期間は善意の第三者に変更を主張できない
よくある質問 AI による整理
Q1限定責任信託とは何ですか?
信託財産だけで信託債務を弁済し、受託者の固有財産には強制執行が及ばない信託です。信託行為での定めと登記がそろって初めて効力を生じます(信託法216条・217条)。
Q2限定責任信託の登記事項は何ですか?
信託の目的、限定責任信託の名称、受託者の氏名・住所、信託事務処理地などが登記事項です(信託法232条)。変更や定めの廃止も登記が必要です。
Q3登記の「正当な事由」とは何ですか?
同種の商業登記規定では、災害による交通途絶や登記簿の滅失など客観的な障害に限ると解されています。病気・出張・多忙といった主観的事情は含まれないのが通説です。
Q4不実の登記の責任は過失でも負いますか?
負います。信託法220条2項は「故意又は過失によって」不実の事項を登記した者を対象とし、単なる確認漏れでも、その不実を善意の第三者に主張できなくなります。
Q5限定責任信託の受託者の個人財産は差し押さえられますか?
原則として差し押さえられません(信託法217条)。ただし受託者に悪意・重過失による任務懈怠があれば、224条により受託者個人が第三者に損害賠償責任を負います。
Q6信託法220条と会社法908条の違いは?
構造はほぼ同じで、会社法908条は会社の登記、信託法220条は限定責任信託の登記に適用されます。会社登記の判例・学説が本条の解釈の手がかりになります。
Q7善意の第三者とは誰のことですか?
登記すべき事項や登記の不実について事情を知らない第三者のことです。法律上の「善意」は道徳的な意味ではなく「知らない」という意味で使われます。
Q8登記していない事項でも主張できる場合はありますか?
相手方がその事実を知っていた(悪意)場合は、登記がなくても主張できます。本条1項が保護するのは善意の第三者に限られるためです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1登記なんて見てなかったんだけど、それでも相手は限定責任信託だって主張できるの?
原則として主張できる。登記された事項は、その存在を知らなかった第三者にも対抗できるのが本条1項の構造であり、例外は「正当な事由」で知り得なかった場合に限られる。実務のポイント:同種の商業登記規定では、正当な事由は災害による交通途絶など客観的な障害に限ると解され、確認を怠っただけの場合は認められない。救済の道を探すなら、219条の明示義務が果たされていたかを争う方が現実的である
Q2受託者が変わったのに登記がまだって、前の人と結んだ契約はどうなるの?
受託者の変更が未登記であり、あなたが変更を知らなかった(善意だった)なら、変更を理由にした主張をあなたは退けられる(本条1項前段)。実務のポイント:争いになったとき、決め手になるのは「いつ変更を知ったか」の証拠である。相手から変更を知らせるメールが届いた日以降は、もう善意とは言えない。届いた通知の日付は必ず保存しておく
Q3名前を貸しただけで、登記の手続は全部他人がやった。自分にも責任があるの?
本条2項は「不実の事項を登記した者」を対象とする。ただし会社登記では、登記に承諾を与えた者にも同趣旨の規定を類推適用した最高裁判例がある(最判昭和47.6.15)。信託登記にも同じ論理が及ぶかは実務上、解釈が分かれうる。実務のポイント:名義を貸したと気付いた時点で、自分から更正や抹消の手続を求めた記録を残す。放置していた期間の長さが、承諾していたと評価される材料になる
間違えやすい点 AI による整理
- 登記をすれば誰に対しても無敵になると考えがちだが、第1項後段には逆転の例外がある。登記後でも、正当な事由で知らなかった第三者には主張できない。ただし同種の商業登記規定の解釈では、正当な事由は交通の途絶や登記簿の滅失といった客観的な障害に限られ、病気や出張は含まれないとされる。この例外の狭さを知らずに「自分は知らなかった」と頼るのは危うい
- 第2項の重さが過小評価されている。「登記は役所の手続にすぎず、中身がずれていても後で直せばいい」と考えるかもしれない。しかし、故意だけでなく単なる過失による不実の登記でも、その内容を信じた善意の第三者には「本当は違う」と言えなくなる。書類のちょっとした確認漏れが、本来負わなくてよい責任へと姿を変える
- 問いの立て方そのものがずれていることがある。限定責任信託かどうかを相手に確認しても、それだけでは足りない。限定責任信託の効力は、信託行為での定めと232条の登記がそろってはじめて生じる(216条)。相手の口頭説明や契約書の文言ではなく、登記事項証明書で確かめるのが正しい手順である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 信託法220条:登記の対抗力と不実登記の効果 | 信託法216条:限定責任信託の成立(登記が効力要件) 信託法219条:取引相手方への明示義務 |
| 登記がないとどうなるか | 登記事項を善意の第三者に対抗できない | そもそも限定責任信託の効力が生じない 登記の有無とは別に、取引時の明示が求められる |
| 保護される者 | 登記を信頼した、または事情を知らない第三者 | 信託債権者全般(責任財産の範囲を明確化) 限定責任信託の受託者と取引する相手方 |
| 取引相手の実務対応 | 登記事項証明書で登記日・内容を確認 | 登記の存在自体を確認 明示の有無を契約書・メールで記録 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾には限定責任信託制度はないが、信託登記を第三者対抗要件とする点、会社登記事項を未登記では第三者に対抗できない点で共通の発想がある
韓国も商業登記について未登記事項の対抗不能と不実登記の効力を定め、日本と同じ二層構造をとる。2011年信託法改正で有限責任信託も導入された
法人の実際の状況と登記事項が一致しない場合、善意の相対人に対抗できないと定め、不実登記の効果に近い機能を持つ
ドイツ商法は商業登記の消極的・積極的公示力を定め、日本の商業登記効力規定の源流にあたる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 限定責任信託の受託者と3,000万円の工事請負契約を結んだ。半年後に支払が止まり、受託者の個人資産に差押えをかけようとしたが、登記簿には限定責任信託と明記されていた。登記がある以上、「知らなかった」は原則として通らない。最初の契約前に登記事項証明書を一通取っていれば、担保か保証人を求める交渉ができた
- 受託者が交代したのに変更登記が半年間放置されていた。その間、旧受託者が「受託者」を名乗って信託財産の取引を続けた。善意で取引した相手方に対しては、未登記の交代を盾に「その人はもう権限がない」と主張することは原則としてできない。不利益を負うのは、登記を怠った側である
- もし、知人に頼まれて書類に判を押し、事実と違う内容の登記がされていたら、どうなる? 第2項は「不実の事項を登記した者」に責任を負わせる規定だが、会社登記の分野では、自分で登記していなくても不実の登記に承諾を与えた者にまで同様の責任を類推した最高裁判例がある(最判昭和47.6.15)。名前を貸しただけ、では済まない可能性がある
- 信託の受託者として、限定責任信託の定めを廃止した。来週から新しい借入れの交渉が始まるのに、まだ変更登記を申請していない。登記がない間に取引した善意の相手方からは、廃止を前提とした主張を退けられるおそれがある。登記申請は交渉の前に済ませる
- 登記は確認した。それでも相手は「台風で登記所が閉まっていた」と言う。この言い分で逃げられるかどうかは、「正当な事由」の解釈で決まる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 登記事項証明書を直ちに取得し、限定責任信託の登記の有無、受託者、変更登記の日付を確認する2. 取引日と登記日を時系列で並べる。登記より前の取引で、あなたが善意だったなら、第1項により未登記事項の主張を退けられる可能性がある3. 登記内容が事実と違うなら、第2項を根拠に登記内容どおりの責任を主張する4. 受託者に悪意または重大な過失があれば、224条による受託者個人への損害賠償請求も検討する
訴えられた側:1. 受託者の交代や定めの廃止など登記事項に変更があれば、速やかに変更登記を申請する。未登記の期間は、そのまま主張できない期間になる2. 取引のたびに、限定責任信託の受託者として取引していることを相手に明示し(219条)、書面に残す3. 不実の登記を指摘されたら、故意も過失もなかったことを示す資料を集める。同時に、相手が善意だったかどうか、つまり事実を知っていたかどうかを争う
時効(請求できる期限):本条に特定の時効はない。本条で主張する債権には一般消滅時効(民法166条、債権者が権利を行使できることを知った時から5年、または権利を行使できる時から10年)が適用される。ただし変更登記の申請期限は個別規定で定められているため、実務では登記事項の変更後すぐに対応する必要がある(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説(会社法908条との同旨解釈):本条は会社法908条とほぼ同一の文言であり、商業登記の効力に関する判例・学説がそのまま参照される。1項後段の正当な事由は客観的障害に限定して狭く解される。
外観法理説:2項は、不実の外観作出に帰責性のある者に外観どおりの責任を負わせる権利外観理論の具体化であり、登記申請者以外の承諾者への類推適用の可否が論点となる。
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 限定責任信託制度の創設に伴い、登記の効力に関する規定として新設された。その後の改正の有無は要確認
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法全部改正(平成18年法律第108号)により限定責任信託制度が創設され、その登記の効力を定める規定として新設された。
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