信託法 第230条(債務の弁済の制限)
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- 限定責任信託の清算受託者は、前条第一項の期間内は、清算中の限定責任信託の債務の弁済をすることができない。この場合において、清算受託者は、その債務の不履行によって生じた責任を免れることができない。
- 2.前項の規定にかかわらず、清算受託者は、前条第一項の期間内であっても、裁判所の許可を得て、少額の債権、清算中の限定責任信託の信託財産に属する財産につき存する担保権によって担保される債権その他これを弁済しても他の債権者を害するおそれがない債権に係る債務について、その弁済をすることができる。この場合において、当該許可の申立ては、清算受託者が二人以上あるときは、その全員の同意によってしなければならない。
- 3.清算受託者は、前項の許可の申立てをする場合には、その原因となる事実を疎明しなければならない。
- 4.第二項の許可の申立てを却下する裁判には、理由を付さなければならない。
- 5.第二項の規定による弁済の許可の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
この条文の基本情報
債務の弁済の制限とは何ですか?
定義債務の弁済の制限とは、信託法第230条に定められた規定で、「限定責任信託の清算受託者は、前条第一項の期間内は、清算中の限定責任信託の債務の弁済をすることができない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第230条(債務の弁済の制限)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第230条の条文原文は「限定責任信託の清算受託者は、前条第一項の期間内は、清算中の限定責任信託の債務の弁済をすることができない。」で始まります。
- 信託法第230条は第二節 計算等の特例に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第230条の前の条は信託法第229条です。
- 信託法第230条の次の条は信託法第231条です。
- 信託法第230条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第230条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第230条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/230
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法230条は、限定責任信託の清算受託者が債権申出期間内に債務を弁済することを禁じる規定。遅延の責任は免れず、少額・担保付き債権は裁判所の許可で弁済できる。
Q · 限定責任信託が清算に入ったら、支払期日が来ても払ってもらえないの?
原則払えないが、遅延損害金は発生し、許可による例外もある
信託法230条1項により、限定責任信託の清算受託者は、債権申出期間(229条1項、二か月以上)内は債務を弁済できません。ただし同項後段により不履行の責任は免れないため、遅延損害金は発生し続けます。少額債権、信託財産上の担保権で担保される債権など、他の債権者を害するおそれがない債権は、清算受託者が裁判所の許可を得れば期間内でも弁済できます(同条2項)。
解説
請求書の支払期日は来ていて、相手も「払うお金はある」と言う。それでも法律上、正当に払ってもらえない状況がある。限定責任信託は、債権者が回収に使える財産が信託財産だけに限られ、受託者個人の財産には手を出せない特殊な信託である。この信託が清算に入ると、清算受託者は債権申出期間が終わるまで、原則として一円も弁済できない。申出期間は官報で公告され、二か月を下ることができない(信託法229条1項)。理由は単純だ。回収に使える財産が限られている以上、先に来た人から払えば、後から名乗り出た債権者の取り分が消える。ただし、見落とされやすい一文がある。払えなくても、不履行の責任は消えない。待たされた期間の遅延損害金は、あなたの請求額に上乗せされていく。さらに、少額の債権や担保付きの債権は、裁判所の許可があれば期間中でも払ってもらえる。待つしかない債権と、許可を得て先に回収できる債権。この線引きを知っているかどうかで、二か月間の資金繰りが変わる。
法的な位置づけ
信託法230条は、限定責任信託の清算における債務弁済の制限を定める規定である。清算受託者は債権申出期間内の弁済を原則として禁止される一方、債務不履行による責任は免れない。少額債権、信託財産上の担保権で担保される債権その他他の債権者を害するおそれがない債権については、裁判所の許可により例外的に弁済が認められる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.官報公告と申出期限を確認する 取引先から清算開始の通知が届いたら、官報で債権申出の公告日と申出期限を確認し、カレンダーに登録する。個別の催告が届いているかもあわせて確認する
- 2.債権の申出書を作成・提出する 契約書・請求書・納品書などの根拠資料をそろえ、元本と遅延損害金を分けて記載した申出書を申出期限内に清算受託者へ提出する。配達記録が残る方法で送る
- 3.弁済許可の対象かを確認し、疎明資料を渡す 自分の債権が少額か、信託財産上の担保権で担保されているかを確認する。該当すれば清算受託者に弁済許可の申立てを求め、原因事実を疎明できる資料をこちらで用意して渡す
- 4.期間満了後に遅延損害金を含めて請求する 債権申出期間が満了しても弁済がなければ、本来の弁済期の翌日から起算した遅延損害金を含めて請求する。配当案に遅延損害金が計上されているかを必ず確認する
よくある質問 AI による整理
Q1限定責任信託とは何ですか?
受託者が信託の債務について信託財産のみで責任を負う信託です(信託法217条)。限定責任信託の定めと登記が必要で、受託者個人の財産には原則請求できません。
Q2限定責任信託の清算で支払いが止まるのはいつまで?
清算受託者が官報で公告した債権申出期間が満了するまでです。この期間は二か月を下ることができません(信託法229条1項・230条1項)。
Q3清算中の限定責任信託から少額なら払ってもらえる?
裁判所の許可があれば可能です(信託法230条2項)。条文に金額基準はなく、他の債権者を害するおそれがないかで個別に判断されます。
Q4弁済許可の申立てには何が必要?
申立ての原因となる事実の疎明が必要です(3項)。清算受託者が二人以上いる場合は、その全員の同意によって申し立てなければなりません(2項後段)。
Q5弁済許可の申立てが却下されたらどうなる?
却下の裁判には理由が付されます(4項)。期間内の先行弁済はできず、債権申出期間の満了後に通常の清算手続の中で弁済を受けることになります。
Q6限定責任信託の清算公告はどこで見られる?
債権申出の公告は官報に掲載されます(信託法229条1項)。インターネット版官報で直近分を確認でき、取引先名で定期的に確認すると見落としを防げます。
Q7知れている債権者には個別に連絡が来る?
来ます。清算受託者は官報公告に加え、知れている債権者には各別に催告しなければなりません(信託法229条1項)。届かない場合は自ら申し出るべきです。
Q8限定責任信託の債務を受託者個人に請求できる?
原則できません。限定責任信託では受託者は信託財産のみをもって履行責任を負います(信託法217条)。ただし受託者に悪意・重過失がある場合の責任規定は別にあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1清算中だから払えないって言われたけど、待たされた分の利息はもらえないんですか?
もらえる。信託法230条1項後段により、清算受託者は不履行で生じた責任を免れない。約定利率がなければ法定利率(民法404条)による遅延損害金が付く(最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:受託者が出してくる配当案には、遅延損害金が計上されていないことがある。申出書に元本と遅延損害金を分けて書いておけば、漏れを指摘しやすい
Q2担保を取っている債権なら、期間中でも先に払ってもらえますか?
裁判所の許可があれば可能だ(230条2項)。担保の範囲内で払っても、ほかの債権者の取り分は減らないからである。ただし、許可を申し立てられるのは清算受託者で、債権者からは申し立てられない。許可されれば不服申立てはできず(5項)、却下されるときは理由が示される(4項)。実務のポイント:受託者は申立ての手間を嫌うことがある。疎明資料をこちらでそろえて渡すと、申立てが動きやすい
Q3許可を取らずに先に払ってしまったら、どうなるんですか?
230条1項違反となり、清算受託者は任務違反の責任を問われうる。悪意や重大な過失があれば、ほかの債権者に損害賠償責任を負う可能性もある(信託法224条、現行条文をご確認ください)。実務のポイント:受け取った債権者も安全ではない。後に破産手続へ移ると、破産法162条の偏頗行為否認で取り戻されることがある。偏頗行為否認とは、特定の債権者だけへの支払いを取り消す制度である
間違えやすい点 AI による整理
- 清算受託者の側は「法律で払えないのだから、待たせても債務不履行にはならない」と考えがちだ。だが1項後段は、不履行で生じた責任を免れないとはっきり書いている。弁済の禁止は支払いのタイミングを止めるだけで、遅延損害金の発生までは止めない
- 「どうすれば一番早く払ってもらえるか」という問い自体がずれている。期間中は、原則としてどの債権者も払ってもらえない。問うべきなのは次の二点である。期限内に確実に申し出たか。自分の債権が、少額や担保付きといった許可の対象に当たるか。
- 裁判所の許可で先に払ってもらえることは知られている。しかし、その許可にはほかの債権者が不服を申し立てられない(5項)という重さまでは、あまり知られていない。後から「不公平だ」と言われても覆らない。だからこそ、申立ての段階で清算受託者全員の同意(2項)と、理由となる事実の疎明(3項)が求められている。疎明とは、裁判官が「おそらくそうだろう」と思える程度に示すことをいう
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定内容 | 信託法230条:申出期間内の弁済禁止+許可による例外 | 信託法229条:債権申出の官報公告と知れている債権者への個別催告 会社法500条:株式会社清算中の申出期間内の弁済制限 |
| 対象 | 清算中の限定責任信託の清算受託者 | 清算中の限定責任信託の清算受託者 清算株式会社 |
| 期間 | 229条1項の期間内(二か月以上) | 期間を定める根拠規定(二か月を下ることができない) 債権申出期間内(二か月以上) |
| 例外 | 少額・担保付き等の債権は裁判所の許可で弁済可、許可に不服申立て不可 | 例外規定なし(公告・催告義務) 少額・担保付き等の債権は裁判所の許可で弁済可 |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾信託法には限定責任信託制度がない。会社清算では申報期限内の弁済が禁止され、担保付き債権は法院の許可で弁済でき、遅延の損害賠償責任も残る点で本条と構造が近い
韓国商法は会社清算において債権申告期間内の弁済を禁じつつ、遅延による損害賠償責任を免れないと定め、少額債権等の裁判所許可による弁済も認める点で本条と同構造
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 限定責任信託に納めた資材代金300万円の支払期日が、清算開始の翌週だったらどうなるか? 清算受託者は公告期間が終わるまで払えない。ただし、遅延損害金は期日の翌日から発生し続ける。督促の電話をかけるより先に、申出期限内に債権の申出書を出すことが優先になる
- あなたは、家族が設定した限定責任信託の清算受託者になった。物件の管理会社から「未払いの管理費8万円を払わなければ管理を止める」と言われている。少額債権として、裁判所に弁済の許可を申し立てる道がある。ただし清算受託者がほかにもいるなら、その全員の同意を取り付けてからでなければ申し立てられない
- 官報に載った債権申出期限まで、あと五日。個別の催告が届いていないなら、受託者があなたを「知れている債権者」として把握していない可能性がある。黙っていると、清算から除外されるおそれがある(除外の規定は現行条文をご確認ください)
取るべき行動
被害を受けた側:1. 官報の公告と個別の催告を確認し、申出期限内に債権の申出書を出す。元本と遅延損害金は分けて書く2. 自分の債権が少額か、担保付きかを確認し、該当すれば清算受託者に弁済許可の申立てを求める。疎明資料はこちらで用意する3. 担保権を持っているなら、担保権の実行という別ルートと、時間と費用を比べる4. 期間が終わっても支払いがなければ、遅延損害金も含めて請求する
訴えられた側:1. 期間中は、許可のない弁済を絶対にしない2. 支払いを急がなければならない少額債権や担保付き債権は一覧にし、清算受託者全員の同意を取ってから、疎明資料を付けて許可を申し立てる3. 遅延損害金を計上した配当計画を作る4. 許可なく弁済すると、任務違反として責任を問われ、後に破産手続になれば否認の対象になりうることを踏まえて行動する
時効(請求できる期限):債権申出期間は官報公告で定められ、二か月を下ることができない(信託法229条1項)。弁済の禁止はこの期間中に限られる。遅延損害金は本来の弁済期の翌日から発生し続ける。法定利率は年3%(民法404条、3年ごとに見直される。最新の改正状況をご確認ください)。債権そのものには一般の消滅時効(民法166条、知った時から5年、行使できる時から10年)が適用される
学説
通説:本条は、責任財産が信託財産に限定される限定責任信託において、清算段階の早い者勝ちを防ぎ債権者平等を確保するための規定であり、会社法500条と同趣旨と解される。不履行責任の存続により、待たされた債権者の損失は遅延損害金で填補される
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 新信託法の制定に伴い、限定責任信託の制度とともに設けられた。株式会社の清算における債務弁済の制限と同じ構造をとる。その後の非訟手続関連の整備で文言が改正されたかどうかは、人による確認が必要
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法全部改正(平成18年法律第108号)により、限定責任信託制度の創設とともに新設。株式会社の清算における債務弁済の制限と同じ構造をとる
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