信託法 第255条(会計監査人の第三者に対する責任)
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- 会計監査人設置信託において、会計監査人がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該会計監査人は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
- 2.会計監査人設置信託の会計監査人が、第二百五十二条第一項の会計監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項について虚偽の記載又は記録をしたときも、前項と同様とする。ただし、会計監査人が当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
- 3.前二項の場合において、当該損害を賠償する責任を負う他の会計監査人があるときは、これらの者は、連帯債務者とする。
この条文の基本情報
会計監査人の第三者に対する責任とは何ですか?
定義会計監査人の第三者に対する責任とは、信託法第255条に定められた規定で、「会計監査人設置信託において、会計監査人がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該会計監査人は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第255条(会計監査人の第三者に対する責任)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第255条の条文原文は「会計監査人設置信託において、会計監査人がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該会計監査人は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を…」で始まります。
- 信託法第255条は第十章 受益証券発行限定責任信託の特例に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第255条の前の条は信託法第254条です。
- 信託法第255条の次の条は信託法第256条です。
- 信託法第255条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第255条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第255条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/255
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法255条は、会計監査人設置信託の会計監査人が悪意・重過失により第三者に与えた損害を賠償する責任を定める。報告の重要事項に虚偽記載があれば無過失の立証責任は監査人側に移る。
Q · 信託の監査報告を信じて損をしたら、監査法人に直接賠償を請求できる?
悪意・重過失か、報告書の虚偽記載があれば請求できる
信託法255条1項により、会計監査人設置信託の会計監査人は、職務上の悪意又は重大な過失によって第三者に生じた損害を賠償する責任を負います。さらに2項により、会計監査報告の重要な事項に虚偽の記載があった場合は、会計監査人の側が注意を怠らなかったことを証明しない限り責任を免れません。責任を負う会計監査人が複数いれば連帯債務者となるため(3項)、そのうち一人に全額を請求できます。
解説
「監査済み」という四文字は、数字が正しいという保証ではない。それでも、この印を押した者に責任を取らせる道は法律の中にある。受益証券発行限定責任信託は、受託者の個人財産(受託者自身が持っている財産)を守るために、債権者が差し押さえられる財産を原則として信託財産だけに絞った仕組みである。信託の財布が空になれば、債権者も受益証券の買い手も行き場を失うように見える。そこで本条は、会計監査人(公認会計士または監査法人)に別の責任を負わせた。職務に悪意または重大な過失(プロなら絶対に見落とさない水準のミス)があれば、第三者に直接賠償しなければならない。さらに、会計監査報告の重要な事項に虚偽の記載があった場合は、証明する責任が入れ替わる。被害者が過失を証明するのではなく、会計監査人の側が「注意を怠らなかった」と証明できない限り責任を免れない。信託の財布が空でも、請求先はもう一つ残っている。
法的な位置づけ
信託法255条は、会計監査人設置信託における会計監査人の第三者に対する損害賠償責任を定める規定である。職務上の悪意又は重大な過失を要件とする一般的責任(1項)、会計監査報告の重要事項の虚偽記載について立証責任を会計監査人側に転換した責任(2項)、複数の責任者間の連帯債務(3項)の三層で構成され、会社法429条と同型の構造をもつ。
よくある質問 AI による整理
Q1会計監査人設置信託とは?
信託の計算書類を外部の会計監査人(公認会計士または監査法人)が監査する信託です。受益証券発行限定責任信託では、一定規模以上で設置が問題になります。
Q2信託の会計監査人 第三者責任 要件は?
1項は職務上の悪意または重大な過失が要件です。2項は会計監査報告の重要事項の虚偽記載が要件で、監査人が無過失を証明しない限り責任を負います。
Q3監査法人を訴えるには何を証明すればいい?
2項構成なら、会計監査報告の重要事項が虚偽であったこと、損害、因果関係を示せば足ります。過失がなかったことは監査人側が証明しなければなりません。
Q4受益証券の購入者は監査人に請求できる?
できる余地があります。会計監査報告を信頼して受益証券を購入し損害を受けた場合、第三者として本条に基づく賠償請求の対象になりえます。
Q5信託の監査人への賠償請求 いつまで?
本条に固有の時効規定はなく、一般には民法166条の消滅時効が問題になります。不法行為の時効との関係は解釈が分かれうるため、早めの対応が安全です。
Q6監査人が複数いる場合、誰に請求できる?
本条3項により責任を負う会計監査人は連帯債務者となるため、そのうち一人に損害の全額を請求できます。負担割合は監査人同士の内部問題です。
Q7限定責任信託でも誰かに責任を問える?
問えます。受託者の責任財産は信託財産に限られますが、会計監査人の第三者責任(255条)や受託者の第三者責任(224条)は別の請求ルートとして残ります。
Q8監査人が責任を免れる方法はある?
1項では相手が悪意・重過失を立証できなければ責任を負いません。2項では監査基準に沿った手続を尽くしたことを監査調書等で証明すれば免責されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1監査法人を訴えたいんだけど、ちょっとした見落としでも責任を取らせられる?
1項は悪意または重大な過失が要件なので、軽い見落としでは足りない。ただし会計監査報告の重要事項に虚偽の記載がある場合は2項が使え、監査人の側が注意を怠らなかったことを証明しない限り責任を負う。実務のポイント:「監査がずさんだった」という主張から入る原告は多いが、報告書のどの一行が事実と違うかを特定して2項に乗せた側が、証明の負担で圧倒的に有利になる
Q2信託の財産がもう残ってないなら、受託者にも請求できないの?
限定責任信託では、信託の債務の引当ては原則として信託財産に限られる。ただし受託者自身に悪意または重過失があれば、受託者も第三者への責任を負う(224条)。会計監査人の責任(255条)とは別の請求先になる。実務のポイント:受託者と会計監査人を同時に相手にすると、実務上、両者が互いに責任を押し付け合う構図になりやすく、どちらかが先に和解に動く動機が生まれやすい
Q3会計監査人が二人いたら、半分ずつしか請求できないの?
できる。本条3項により、責任を負う会計監査人は連帯債務者になるため、どちらか一人に全額を請求できる(民法436条)。どちらがいくら負担するかは監査人同士の内部の問題で、請求する側が気にする必要はない。実務のポイント:共同監査では、資力と賠償責任保険の手厚い大手の側に請求を集中させるのが定石で、回収の確実性が大きく変わる
間違えやすい点 AI による整理
- 「限定責任信託なら、誰も個人として責任を取らない」と思われがちだが、限定されるのは受託者が信託の債務を払う範囲にすぎない。会計監査人が第三者に負う責任は、信託財産とは別の回路として生きている
- 会計監査人の側は「重過失さえなければ大丈夫」と考えやすい。たしかに1項は悪意または重過失を要件にしている。しかし2項の虚偽記載の類型では、要件は軽い過失まで下がり、しかも自分で無過失を証明しなければならない。監査調書が薄ければ、この証明はほぼ不可能になる
- 監査人から見れば、監査契約の相手は受託者だけで、第三者とは何の契約もない。法律から見れば、会計監査報告は外部の人が信頼するために作られる書類であり、その信頼そのものが保護の対象になる。契約がないから安全だという感覚と、法律の評価との落差が、監査人を最も深く傷つける
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 責任を負う者 | 信託法255条:会計監査人(公認会計士・監査法人) | 信託法254条:会計監査人(信託財産に対する責任) 信託法224条:限定責任信託の受託者 |
| 賠償を受ける者 | 第三者(受益証券の購入者・信託債権者など) | 信託財産(損失のてん補) 第三者 |
| 主観的要件 | 1項は悪意・重過失、2項は虚偽記載+監査人側が無過失を立証 | 任務懈怠 職務上の悪意・重過失(虚偽記載類型あり) |
| 複数責任者の扱い | 他の会計監査人と連帯債務(3項) | 条文の構造に従い連帯して責任を負う 受託者間の連帯を別途規定 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾には限定責任信託の会計監査人制度はないが、財務報告不実について会計師の賠償責任を定め、過失責任と比例責任を組み合わせている点が比較対象となる
韓国は外部監査人の第三者責任を外部監査法で一般的に定め、重要事項の不記載・虚偽記載を責任原因とする
米国では登録届出書の虚偽記載について会計士が責任を負い、相当な調査(due diligence)の抗弁を被告側が立証する構造で、本条2項の立証責任転換と発想が近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 購入した受益証券の信託が債務超過になり、清算に入った。監査済みの貸借対照表を信じて買ったあなたは、誰に損害を請求できるのか? 信託財産は空で、受託者の個人財産にも手が届かない。残る請求先は、会計監査報告に名前を連ねた監査法人である
- 監査法人のパートナーであるあなたは、繁忙期に受託者が出してきた資産評価の根拠資料を、薄いと感じながら確認を後回しにした。一年後、その評価が大きく崩れる。第三者は255条2項の「重要事項の虚偽記載」として訴えてくる。あなたの側が、注意を怠らなかったことを書類で証明しなければならない。監査調書がそれを証明する唯一の材料になる
- 信託向けの融資が焦げ付いた。融資を決めたときの判断材料は、監査済みの計算書類だった。回収先のリストに会計監査人を加える価値は十分にある
- 損害と、責任を負う監査人の両方を知ったのは、ほぼ5年前のことである。主観的起算点からの時効満了まで残り3か月となった。内容証明による催告で時効の完成を6か月猶予できる(民法150条)が、催告できるのは一回だけである。その6か月の間に訴えを起こさなければ、請求権は消える
取るべき行動
被害を受けた側:1. 判断の根拠にした計算書類と会計監査報告の写しを確保し、受け取った日と経緯を記録する2. 会計監査報告の記載のうち事実と食い違う箇所を特定し、2項(虚偽記載)の構成が使えるか検討する3. 会計監査人が複数いれば、資力の最も大きい者を選んで全額を請求する(3項、連帯債務) 4. 受託者の第三者責任(224条)を並行して追及できるかも検討し、時効が迫っていれば内容証明で催告する
訴えられた側:1. 監査調書・確認状・経営者確認書をすぐに保全し、改ざんを疑われる操作は一切しない2. 2項の請求には、監査基準に沿った手続を実施したことを調書で証明して無過失を主張する3. 1項の請求には、相手が重過失を証明できていない点を突く4. 損害との因果関係(第三者が本当に監査報告を信頼して判断したのか)を争う5. 他の会計監査人との内部負担割合を早めに整理し、賠償責任保険会社にすぐ通知する
時効(請求できる期限):特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。会社法429条の第三者責任を法定責任とした判例(最判昭和49.12.17)の考え方が本条にも及ぶと考えられるものの明文はなく、不法行為の時効(民法724条)との関係は実務上、解釈が分かれうる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説(会社法429条との同型解釈):本条は会社法429条と同じ構造をもつ規定であり、第三者保護のために特に設けられた法定責任と理解するのが一般的。一般不法行為責任(民法709条)との競合も認められると解される。
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 旧信託法を全部改正して新しい信託法を制定する際、受益証券発行限定責任信託の特例の一部として新設されたと考えられる。その後の改正の有無は人による確認が必要
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法の全部改正(平成18年法律第108号)により、受益証券発行限定責任信託の特例の一部として、会計監査人の第三者責任規定が新設された。
- 信託法 第248条会計監査人の設置とその要件
- 信託法 第249条会計監査人の資格(公認会計士等)
- 信託法 第252条会計監査報告の作成義務
- 信託法 第254条信託財産に対する損失てん補責任
- 信託法 第224条限定責任信託の受託者の第三者責任
- 会社法 第429条役員等の第三者責任、本条の同型規定
- 金融商品取引法 第21条公募時の監査証明者の虚偽記載責任
- 民法 第709条一般不法行為責任との競合
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