信託法 第46条(検査役の選任)
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- 受託者の信託事務の処理に関し、不正の行為又は法令若しくは信託行為の定めに違反する重大な事実があることを疑うに足りる事由があるときは、受益者は、信託事務の処理の状況並びに信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができる。
- 2.前項の申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、検査役を選任しなければならない。
- 3.第一項の申立てを却下する裁判には、理由を付さなければならない。
- 4.第一項の規定による検査役の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
- 5.第二項の検査役は、信託財産から裁判所が定める報酬を受けることができる。
- 6.前項の規定による検査役の報酬を定める裁判をする場合には、受託者及び第二項の検査役の陳述を聴かなければならない。
- 7.第五項の規定による検査役の報酬を定める裁判に対しては、受託者及び第二項の検査役に限り、即時抗告をすることができる。
この条文の基本情報
検査役の選任とは何ですか?
定義検査役の選任とは、信託法第46条に定められた規定で、「受託者の信託事務の処理に関し、不正の行為又は法令若しくは信託行為の定めに違反する重大な事実があることを疑うに足りる事由があるときは、受益者は、信託事務の処理の状…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第46条(検査役の選任)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第46条の条文原文は「受託者の信託事務の処理に関し、不正の行為又は法令若しくは信託行為の定めに違反する重大な事実があることを疑うに足りる事由があるときは、受益者は、信託事務の処理の状…」で始まります。
- 信託法第46条は第三節 受託者の責任等に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第46条の前の条は信託法第45条です。
- 信託法第46条の次の条は信託法第47条です。
- 信託法第46条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第46条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第46条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/46
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法46条は、受託者の不正や重大な違反を疑うに足りる事由があるとき、受益者が裁判所に検査役の選任を申し立てられると定める。裁判所は原則として選任義務を負う。
Q · 受託者が帳簿を見せてくれないとき、受益者は裁判所に調査を頼めるの?
不正を疑う事由があれば検査役の選任を申し立てられる
信託法46条1項により、受託者の不正行為や法令・信託行為への重大な違反を「疑うに足りる事由」があれば、受益者は裁判所に検査役の選任を申し立てられます。違反の証明までは不要です。申立てが不適法でない限り裁判所は選任しなければならず(2項)、選任の裁判に受託者は不服を申し立てられません(4項)。検査役の報酬は信託財産から支払われます(5項)。
解説
受託者を信じて財産を預けた。その信頼が揺らいだとき、受益者にできるのは「説明してほしい」と頼むことだけではない。信託法46条によれば、受託者に不正があるか、法令や信託行為(信託契約や遺言で決めた信託のルール)への重大な違反がある。そう「疑うに足りる事由」があれば、受益者は裁判所に検査役を選ぶよう申し立てられる。検査役とは、裁判所が選ぶ中立の調査人で、実務では弁護士が多い。注目すべきは第2項である。申立てが不適法でない限り、裁判所は検査役を「選任しなければならない」。裁判所の裁量で断れる書き方になっていない。さらに、選任の裁判に受託者は不服を申し立てられず、検査役の報酬は信託財産から支払われる。帳簿を見せず、通帳のコピーしか出さない受託者が相手でも、自腹で探偵を雇う必要はない。裁判所の権威を背負った調査人を送り込めるのである。違反を証明する必要はなく、「疑い」の段階で動ける。ここが要点である。
法的な位置づけ
信託法46条は受益者による検査役選任申立てを定める規定であり、受託者の不正行為または法令・信託行為に違反する重大な事実を疑うに足りる事由がある場合に、裁判所が選任する検査役に信託事務の処理状況、信託財産および信託財産責任負担債務の状況を調査させる手続である。選任の裁判には不服申立てができず、報酬は信託財産から支払われる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.信託契約書で自分の地位を確認する 信託契約書(または遺言)を読み、自分が現時点で受益者か、信託監督人や受益者代理人が置かれているかを確認する。申立権者が誰かで以降の手順が変わる
- 2.報告請求・帳簿閲覧を書面で求める 信託法36条の報告請求、38条の帳簿等閲覧請求を内容証明郵便などの書面で行い、回答・拒否・無視の経過をすべて保存する
- 3.「疑うに足りる事由」を時系列で整理する 通帳の入金額と賃料相場の差、報告の不提出、利益相反取引の疑いなど、不正や重大な違反を疑わせる具体的事実を日付順にまとめ、裏付け資料を添付する
- 4.管轄の地方裁判所に選任を申し立てる 受託者の住所地を管轄する地方裁判所(信託法262条)に検査役選任の申立書を提出する。予納金の要否と金額は事前に裁判所へ確認する
- 5.財産流出の恐れがあれば差止めを並行検討 受託者が信託財産を売却・移転しそうな兆候があれば、検査役の申立てと並行して信託法44条の差止請求を検討する
よくある質問 AI による整理
Q1信託の検査役とは何ですか?
裁判所が選任する中立の調査人で、信託事務の処理状況や信託財産・債務の状況を調べ、結果を裁判所に報告します(信託法46条・47条)。
Q2検査役選任の申立てはどこの裁判所にしますか?
信託法262条により、原則として受託者の住所地を管轄する地方裁判所に申し立てます。管轄は事前に裁判所で確認しておくと安全です。
Q3「疑うに足りる事由」とはどの程度の事実ですか?
不正の証明までは不要で、入金額と賃料相場の食い違いや報告拒否など、不正や重大な違反を合理的に疑わせる具体的な事実があれば足ります。
Q4検査役の申立てを裁判所に断られることはありますか?
不適法として却下される場合を除き、裁判所は選任しなければなりません(46条2項)。却下する場合は理由を付す必要があります(3項)。
Q5検査役の選任に受託者は反論できますか?
選任の裁判に対して受託者は不服を申し立てられません(46条4項)。ただし報酬額を定める裁判には即時抗告ができます(7項)。
Q6家族信託で受益者になる予定の人も申し立てられますか?
申立人は「受益者」です。将来の受益者が現時点で受益権を持つかは信託契約の定め次第なので、まず契約書で受益者の地位を確認する必要があります。
Q7検査役の調査結果はどう使われますか?
調査結果は裁判所に報告され(47条)、受託者の解任申立て(58条4項)や損失てん補請求(40条)の証拠の土台として使えます。
Q8検査役の申立てに期限はありますか?
申立て自体に期限の定めはありません。ただし調査の先にある損失てん補請求などは時効の問題があるため、疑いを持ったら早めの準備が重要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1家族信託の契約書に「受益者は受託者の管理に口出ししない」って書いてあるんですけど、検査役は頼めないんですか?
頼める。信託法92条は、検査役選任の申立権を含む受益者の基本的な権利を、信託行為で制限できないと定めている。そうした条項は、少なくともこの権利については効力を持たない。実務のポイント:民事信託の契約書ひな形には受託者の裁量を広げる条項が多く、受益者がそれを「権利を手放した」と思い込んで黙ってしまう例がある。92条の列挙を一度読めば、手放していない権利がどれか分かる
Q2検査役って誰がなるんですか?費用はどれくらいかかります?
実務では、裁判所が選んだ弁護士が就くことが多い。報酬は裁判所が定め、信託財産から支払われる(46条5項)。ただし申立ての時点で、裁判所から予納金の納付を求められる運用がある。実務のポイント:報酬が信託財産から出る以上、実質的には受益者の取り分が目減りする。財産が小規模なら、まず38条の帳簿閲覧で足りないかを検討し、検査役は最後のカードとして取っておくほうが合理的な場面も多い
間違えやすい点 AI による整理
- 「不正の証拠をつかんでから裁判所へ行く」という発想は、順番が逆である。証拠を握っているのは受託者のほうで、受益者には集められない。だからこそ検査役の制度がある。条文が求めているのは不正の証明ではなく「疑うに足りる事由」である。たとえば入金額と賃料相場の食い違いや、報告の拒否など、疑いを合理的に説明できる具体的な事実があればよい
- 検査役は「調べて終わり」と軽く見られがちだが、調査の結果は裁判所に報告される(47条)。その報告は、受託者の解任申立て(58条4項)や損失てん補請求(40条)の証拠の土台になる。調査報告書は、その後に続く紛争すべての出発点になるほど重い
- 受益者の側から見ると、報酬は信託財産から出るので「タダ」に見える。しかし信託財産は、本来あなたが受け取るはずの利益の源泉である。つまり検査役の報酬は、結局は受益者の取り分を削って支払われる。しかも報酬額の裁判に即時抗告(不服を申し立てる手続)ができるのは受託者と検査役だけで(7項)、受益者は含まれない。小さな信託ほど、費用に見合うかを計算しておく必要がある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 制度の性格 | 信託法46条:裁判所が選任した検査役が自ら調査 | 信託法38条:受益者が受託者に帳簿等の閲覧を請求 信託法36条:受託者に信託事務の状況の報告を請求 |
| 要件 | 不正・重大な違反を疑うに足りる事由 | 受益者による請求(拒絶事由の定めあり) 委託者・受益者による請求 |
| 情報の出所 | 検査役が帳簿・財産状況を直接調べる | 受託者が保管する帳簿等 受託者が作成・提出する報告 |
| 費用負担 | 検査役の報酬は信託財産から(裁判所が決定) | 請求自体に裁判所費用は不要 請求自体に裁判所費用は不要 |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾では営業信託・公益信託を除く信託が法院の監督に服し、利害関係人や検察官の申立てで信託事務の検査や検査人の選任ができる。日本は受益者の申立権として構成している点が異なる
米国の統一信託法典は、受託者の違反に対して裁判所が会計報告を命じるなどの救済を広く定める。中立の調査人を選ぶ専用手続より、裁判所の救済メニューとして整理されている
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 認知症の父のために、長男が受託者になる家族信託を組んだ。父が亡くなった後に受益者となる予定の次女が、実家のアパートの家賃が通帳に入っていないことに気付いたら、どうなる? 次女が今の時点で受益者でなければ、原則として申立人にはなれない。最初に分かれ道になるのは、契約書で「誰が今の受益者か」「信託監督人がいるか」を確かめることだ
- あなたは兄弟から預かった賃貸マンションの受託者である。修繕工事を自分の会社に発注したところ、受益者の弟が「利益相反だ」と言い出した。31条が制限する利益相反行為に当たる取引なら、検査役申立ての材料になる。いったん選任されれば、受託者は不服を申し立てられない。申立書が裁判所に届く前の数週間が、自分から帳簿と承認記録を開示して疑いを晴らす最後のチャンスである
- 受託者が年に一度の報告を三年続けて出さない。催促のメールは既読のまま返事がない。これだけで直ちに検査役が選ばれるとは限らないが、37条の帳簿作成・報告義務の違反が積み重なれば、申立ての土台になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 信託契約書を読み、自分が今の時点で受益者か、信託監督人や受益者代理人がいるかを確認する2. 37条の報告と38条の帳簿閲覧を書面で請求し、回答も拒否もすべて保存する3. 通帳への入金額と賃料相場の差など、「疑うに足りる事由」を時系列に整理する4. 受託者の住所地を管轄する地方裁判所に検査役の選任を申し立てる(262条)。予納金が必要か、いくらかは事前に裁判所に確認する
訴えられた側:1. 帳簿・通帳・領収書をすぐに整え、37条の報告を自分から受益者に渡す2. 利益相反にあたりうる取引(31条)は、承認の記録や相場資料で正当性を説明する3. 選任の裁判には不服を申し立てられないため、47条の調査には全面的に協力する。報告内容に事実誤認があれば、反論の書面を準備する4. 報酬額が過大だと考えるなら、7項に基づき即時抗告で争う
時効(請求できる期限):特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。検査役の申立て自体に期限はない。ただし調査の先にある損失てん補請求(40条)には、信託法43条に起算点などの特則がある。報酬を定める裁判への即時抗告は、告知を受けた日から2週間以内(非訟事件手続法67条)(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 大正11年制定の旧信託法を全面的に置き換えた新信託法で、受益者による検査役選任申立ての規定が整備された。旧法の規定との対応関係、および平成23年(2011年)の非訟事件手続法制定に伴う整備で文言が変わったかどうかは、人による検証が必要
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法(平成18年法律第108号)の制定により、旧信託法を全面的に置き換える形で受益者による検査役選任申立ての規定が設けられた。平成19年(2007年)9月30日施行
- 信託法 第38条検査役より手前の帳簿等閲覧請求
- 信託法 第47条検査役の調査権限と裁判所への報告
- 信託法 第40条調査結果を基にした損失てん補責任
- 信託法 第92条申立権を信託行為で制限できない
- 信託法 第132条信託監督人による受益者の権利の代行使
- 会社法 第358条株式会社の業務執行検査役、同型の制度
- 信託業法 第42条信託会社への行政の立入検査(現行効力を要確認)
- 非訟事件手続法 第67条報酬裁判の即時抗告期間2週間
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