信託法 第47条
クイックジャンプ
- 前条第二項の検査役は、その職務を行うため必要があるときは、受託者に対し、信託事務の処理の状況並びに信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況について報告を求め、又は当該信託に係る帳簿、書類その他の物件を調査することができる。
- 2.前条第二項の検査役は、必要な調査を行い、当該調査の結果を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録(法務省令で定めるものに限る。)を裁判所に提供して報告をしなければならない。
- 3.裁判所は、前項の報告について、その内容を明瞭にし、又はその根拠を確認するため必要があると認めるときは、前条第二項の検査役に対し、更に前項の報告を求めることができる。
- 4.前条第二項の検査役は、第二項の報告をしたときは、受託者及び同条第一項の申立てをした受益者に対し、第二項の書面の写しを交付し、又は同項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供しなければならない。
- 5.受託者は、前項の規定による書面の写しの交付又は電磁的記録に記録された事項の法務省令で定める方法による提供があったときは、直ちに、その旨を受益者(前条第一項の申立てをしたものを除く。次項において同じ。)に通知しなければならない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
- 6.裁判所は、第二項の報告があった場合において、必要があると認めるときは、受託者に対し、同項の調査の結果を受益者に通知することその他の当該報告の内容を周知するための適切な措置をとるべきことを命じなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第47条は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第47条の条文原文は「前条第二項の検査役は、その職務を行うため必要があるときは、受託者に対し、信託事務の処理の状況並びに信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況について報告…」で始まります。
- 信託法第47条は第三節 受託者の責任等に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第47条の前の条は信託法第46条です。
- 信託法第47条の次の条は信託法第48条です。
- 信託法第47条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第47条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第47条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/47
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法47条は、裁判所が選任した検査役が受託者に報告を求め帳簿・書類を調査し、その結果を裁判所に報告する手続を定める。写しは受託者と申立人に交付される。
Q · 信託の検査役が選ばれたら、具体的に何をしてくれるの?
受託者の帳簿を直接調べ、結果を裁判所と申立人に報告する
信託法47条により、46条2項で選任された検査役は、受託者に信託事務の処理状況・信託財産・信託財産責任負担債務の状況について報告を求め、帳簿や書類を調査できます。調査結果は書面または電磁的記録で裁判所に報告され、写しが受託者と申立人に交付されます。受託者は他の受益者へ直ちに通知する義務を負い(信託行為に別段の定めがあればそれに従う)、裁判所は必要に応じて周知措置を命じなければなりません。
解説
受託者に「帳簿を見せて」と頼んでも「税理士に任せてあるから」とかわされる。この壁を裁判所の権限で越えるのが、46条で選任される検査役である。検査役は裁判所が選ぶ第三者で、必要があれば受託者に報告を求め、帳簿・書類その他の物件を直接調べることができる。対象は、信託事務の処理状況、信託財産、そして信託財産責任負担債務(信託財産で払うべき借金や債務)の状況だ。調査結果は書面、または法務省令で定める電磁的記録にまとめて裁判所に提出される。その写しは受託者と、申立てをしたあなたにも渡る。自力では手に入らなかった中立者の調査記録が、そのまま次の一手の材料になるわけだ。さらに受託者は、申立てをしていない他の受益者に、報告書の写しが届いた旨を直ちに通知しなければならない(信託行為に別段の定めがあれば、その定めに従う)。裁判所は必要と認めれば、調査結果を周知するよう受託者に命じなければならない。受託者だけが見ていた帳簿の中身を、受益者側も確かめられるようにする仕組みである。
法的な位置づけ
信託法47条は、同法46条2項により裁判所が選任した検査役の調査権限と報告手続を定める規定である。検査役は受託者に対し、信託事務の処理状況、信託財産および信託財産責任負担債務の状況について報告を求め、帳簿・書類その他の物件を調査できる。調査結果は裁判所に報告され、その写しは受託者と申立人たる受益者に交付される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.自分の立場と信託契約を確認する 信託契約書で自分が受益者に当たるか、信託監督人が置かれているか、受益者への通知について別段の定めがあるかを確認する。帰属権利者にすぎない場合は申立人になれない可能性がある
- 2.報告請求・閲覧請求を書面で出し記録を残す 信託法36条の報告請求、38条の帳簿閲覧等請求を内容証明郵便などの書面で受託者に送り、拒否や不十分な回答を保存する。これが不正を疑うに足りる事由の資料になる
- 3.裁判所に検査役の選任を申し立てる 信託法46条1項に基づき、不正行為や重大な法令・信託行為違反を疑うに足りる事由を示して検査役の選任を申し立てる。調査対象の期間や口座を絞ると予納金の負担を抑えやすい
- 4.報告書の写しを受け取り内容を精査する 検査役の報告後に交付される写し(47条4項)を弁護士とともに確認する。不明瞭な点があれば、裁判所による追加報告の要求(47条3項)を上申する
- 5.損失てん補請求や解任申立てにつなげる 報告書で判明した事実をもとに、信託法40条の損失てん補請求や58条の解任申立てを準備する。消滅時効の起算点(民法166条、信託法43条)にも注意する
よくある質問 AI による整理
Q1信託の検査役とは何ですか?
受託者の不正が疑われるとき、受益者の申立てで裁判所が選任する第三者の調査人です(信託法46条)。47条に基づき受託者の帳簿等を調べ、裁判所に報告します。
Q2信託の検査役は何を調査できますか?
信託事務の処理状況、信託財産、信託財産責任負担債務の状況について受託者に報告を求め、帳簿・書類その他の物件を調査できます(信託法47条1項)。
Q3検査役の報告書は受益者も見られますか?
申立てをした受益者には、報告書の写しの交付または電磁的記録による提供が行われます(信託法47条4項)。受託者にも同じく交付されます。
Q4申立てをしていない受益者にも調査結果は知らされますか?
受託者は写しを受け取ったら、他の受益者へ直ちにその旨を通知する義務があります(47条5項)。信託行為に別段の定めがあればそれに従います。
Q5検査役の報告が不十分なときはどうなりますか?
裁判所は内容を明瞭にし、または根拠を確認するため必要と認めるとき、検査役に追加の報告を求めることができます(信託法47条3項)。
Q6検査役の選任はどこの裁判所に申し立てますか?
信託法上の非訟事件として、原則は受託者の住所地を管轄する地方裁判所です。具体的な管轄と必要書類は申立て前に裁判所へ確認してください。
Q7検査役の報告書は裁判で使えますか?
報告書の写しは、受託者への損失てん補請求(40条)や解任申立て(58条)を検討する際の基礎資料として活用することが想定されています。
Q8裁判所が調査結果の周知を命じるのはどんなときですか?
報告後、裁判所が必要と認めるときは、受託者に調査結果を受益者へ通知するなど周知のための適切な措置をとるよう命じなければなりません(47条6項)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1検査役を頼むとお金がかかるんですか? 誰が払うんでしょう?
検査役の報酬は、裁判所が定めて信託財産から支払う枠組みになっている(46条)。ただし実務では、申立ての段階で申立人に予納金を求められることがある。実務のポイント:予納金の額は調査範囲の広さに左右されやすい。「この期間の、この口座」と調査対象を絞って申し立てると、負担を抑えやすくなる(運用は管轄裁判所に確認を)
Q2受託者が検査役に協力しなかったら、どうなるんですか?
検査役には、受託者に報告を求め、帳簿などを調べる権限がある(47条1項)。協力を拒んだ事実は、裁判所への報告に反映されうる。実務のポイント:受託者の拒否は、それ自体が任務違反を疑わせる有力な材料になる。58条4項の解任申立てでは、「隠した」という事実が、使い込みの金額以上に効いてくることがある
間違えやすい点 AI による整理
- 家族信託で親の財産を管理する兄を調べたいと考える子どもの多くは、問いの前提でつまずいている。契約書で単に「帰属権利者」と指定されているだけなら、信託が続いている間は通常は受益者に当たらず、46条の申立人になれない可能性が高い(残余財産受益者なら受益者に当たる)。最初に確認すべきは、自分の契約書上の肩書きである
- 検査役が入れば不正が暴かれて終わる、と考えるのは浅い。検査役の仕事は調査と報告までで、財産を取り戻す権限も、受託者を交代させる権限もない。報告書を受け取ったあと、損失てん補請求(40条)や解任申立て(58条)を自分で動かさなければ、調査に使った時間と費用だけが消えていく
- 受託者の側からは「家族なのに疑われた」という感情の問題に見える。だが法律から見れば、受益者が監督権を正当に使っているにすぎない。受益者の検査役選任申立権は、信託行為で制限できない権利とされている(92条)。「家族だから」と協力を渋るほど、その態度が報告書に残っていく
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 誰が調べるか | 信託法47条:裁判所が選任した検査役(中立の第三者) | 信託法38条:受益者自身が帳簿を閲覧・謄写 信託法46条:検査役の選任そのもの(調査権限は47条) |
| 発動の要件 | 46条で検査役が選任されていること | 受益者からの請求(受託者に拒否事由がある場合あり) 不正行為・重大な違反を疑うに足りる事由+受益者の申立て |
| 調査の深さ | 報告要求+帳簿・書類その他の物件の調査 | 帳簿等の閲覧・謄写にとどまる 選任手続のみで、調査は行わない |
| 結果の扱い | 裁判所へ報告、写しを受託者・申立人へ交付、他の受益者へ通知 | 受益者の手元資料になる 検査役の報酬を裁判所が定める |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾では営業信託・公益信託以外の信託は法院の監督に服し、利害関係人や検察官の申立てで法院が検査を行い検査人を選任できる。裁判所主導の調査という点で日本の検査役制度に近い
中国では委託者・受益者に信託財産の管理運用状況を知る権利と帳簿閲覧等の権利を認めるが、日本のような裁判所選任の検査役制度は置かれていない
米国統一信託法典は受託者の情報提供・報告義務を中心に据え、受益者は裁判所に会計報告等を求める救済を利用する。第三者調査人よりも受託者自身の報告義務に重心がある
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 兄が受託者になった家族信託で、父の賃貸アパートの家賃収入がどこへ流れているのか見えない。通帳を見せてと頼んでも、いつもはぐらかされる。こういうときはどうなる? 受益者である父、または父の成年後見人が検査役の選任を申し立てれば、検査役が兄に報告を求め、帳簿や書類を直接調べられる
- あなたが受託者で、裁判所から検査役選任の連絡が届いた。検査役からの報告要求に応じなければ、その事実自体が裁判所への報告書に書かれうる。
- 受託者が来月、信託不動産を売る予定だ。売却代金がほかの資金と混ざれば、流れを追うのは格段に難しくなる。売却前に差止請求(44条)を検討しつつ、検査役の選任申立てを急ぐ必要がある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 契約書で、自分が受益者か、信託監督人が置かれているかを確認する。2. 36条の報告請求と38条の閲覧請求を書面で出し、回答を保存する。3. 拒否や不審な点が残れば、46条に基づき裁判所へ検査役の選任を申し立てる。4. 報告書の写しが届いたら、弁護士とともに40条の損失てん補、58条の解任申立てを検討する
訴えられた側:1. 37条で作成義務のある帳簿や、通帳・契約書類を時系列で整えておく。2. 検査役の報告要求や調査には誠実に応じる。拒否すれば不利な記載につながりうる。3. 報告書の写しを受け取ったら、他の受益者へ直ちに通知する(47条5項、信託行為の別段の定めを確認)。4. 指摘された点への説明資料を早めに用意し、弁護士に相談する
時効(請求できる期限):検査役の調査そのものに法定期限はない。ただし受託者は、報告書の写しの交付などを受けたら「直ちに」他の受益者へ通知する義務を負う(47条5項)。調査結果を使った損失てん補請求などには、一般消滅時効(民法166条、知った時から5年、行使できる時から10年)が適用される。受託者の責任については、時効の起算点に信託法43条の特則がある(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 旧信託法を全面的に改める新信託法の制定で、検査役の調査・報告の手続を定める条文として置かれた。その後の改正の有無は人的な検証が必要
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:旧信託法を全面的に改める新信託法(平成18年法律第108号)の制定により、検査役の調査権限と報告手続を定める規定として置かれた。その後の改正の有無は要確認
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める