信託法 第59条(前受託者の通知及び保管の義務等)
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- 第五十六条第一項第三号から第七号までに掲げる事由により受託者の任務が終了した場合には、受託者であった者(以下「前受託者」という。)は、受益者に対し、その旨を通知しなければならない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
- 2.第五十六条第一項第三号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合には、前受託者は、破産管財人に対し、信託財産に属する財産の内容及び所在、信託財産責任負担債務の内容その他の法務省令で定める事項を通知しなければならない。
- 3.第五十六条第一項第四号から第七号までに掲げる事由により受託者の任務が終了した場合には、前受託者は、新たな受託者(第六十四条第一項の規定により信託財産管理者が選任された場合にあっては、信託財産管理者。以下この節において「新受託者等」という。)が信託事務の処理をすることができるに至るまで、引き続き信託財産に属する財産の保管をし、かつ、信託事務の引継ぎに必要な行為をしなければならない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その義務を加重することができる。
- 4.前項の規定にかかわらず、第五十六条第一項第五号に掲げる事由(第五十七条第一項の規定によるものに限る。)により受託者の任務が終了した場合には、前受託者は、新受託者等が信託事務の処理をすることができるに至るまで、引き続き受託者としての権利義務を有する。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。
- 5.第三項の場合(前項本文に規定する場合を除く。)において、前受託者が信託財産に属する財産の処分をしようとするときは、受益者は、前受託者に対し、当該財産の処分をやめることを請求することができる。ただし、新受託者等が信託事務の処理をすることができるに至った後は、この限りでない。
この条文の基本情報
前受託者の通知及び保管の義務等とは何ですか?
定義前受託者の通知及び保管の義務等とは、信託法第59条に定められた規定で、「第五十六条第一項第三号から第七号までに掲げる事由により受託者の任務が終了した場合には、受託者であった者(以下「前受託者」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第59条(前受託者の通知及び保管の義務等)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第59条の条文原文は「第五十六条第一項第三号から第七号までに掲げる事由により受託者の任務が終了した場合には、受託者であった者(以下「前受託者」という。」で始まります。
- 信託法第59条は第二款 前受託者の義務等に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第59条の前の条は信託法第58条です。
- 信託法第59条の次の条は信託法第60条です。
- 信託法第59条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第59条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第59条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/59
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法59条は、破産・辞任・解任等で任務を終えた前受託者に、受益者への通知と、新受託者等が事務を処理できるまでの財産保管・引継ぎを義務づける規定である。
Q · 家族信託の受託者が辞めたら、その日から何もしなくてよくなるの?
いいえ、後任が動けるまで保管・引継ぎ義務が残ります
信託法59条により、辞任・解任などで任務を終えた前受託者は、受益者に通知したうえで、新受託者等が信託事務を処理できるようになるまで信託財産を保管し、引継ぎに必要な行為をしなければなりません。委託者と受益者の同意による辞任(57条1項)なら、受託者としての権利義務がそのまま残ります。解任などの場合に前受託者が財産を処分しようとすれば、受益者はやめるよう請求できます(59条5項)。
解説
受託者が辞めたら、その瞬間に家族信託の管理は空白になる。多くの人はそう思っているが、信託法59条はその「空白」を許さない。破産・解散・辞任・解任・信託行為で定めた事由により任務が終わった前受託者は、まず受益者に通知しなければならない。破産のときは、破産管財人にも信託財産の中身と所在を伝える義務がある。後任が仕事を始められるまでは、財産を保管し、引継ぎに必要なことをし続けなければならない。見落とされやすい分かれ目がある。委託者と受益者の同意で辞任した場合(57条1項)、前受託者は後任が動けるようになるまで受託者としての権利義務をそのまま持ち続ける。それ以外の終了事由なら、できるのは保管と引継ぎだけであり、財産を処分しようとすれば受益者は「やめろ」と請求できる。「辞めた」の一言で責任は消えない。どんな理由で辞めたかによって、前受託者に残る権限の大きさが変わるのである。
法的な位置づけ
信託法59条は、受託者の任務が破産・解散・辞任・解任・信託行為所定の事由により終了した場合における前受託者の義務を定める規定である。受益者への通知、破産時の破産管財人への信託財産内容の通知、新受託者等が事務処理可能となるまでの財産保管と引継ぎ義務、同意辞任時の権利義務の存続、および受益者の処分差止請求権を規定する。
手順
- 1.任務終了の事由を確定する 受託者の任務が破産・解散・辞任(同意辞任か許可辞任か)・解任・信託行為所定の事由のどれで終わったかを、辞任届・同意書・解任通知・信託契約書で確認する。事由によって前受託者に残る権限と適用される項が変わる
- 2.受益者への通知を書面で行う 前受託者は任務終了の旨を受益者に通知する。信託行為に別段の定めがあればそれに従う。後日の紛争に備え、内容証明郵便など送付記録が残る方法を選ぶ
- 3.財産目録と帳簿を整え保管を続ける 新受託者等が事務を処理できるまで、信託口座・不動産・有価証券などの信託財産を保管し、入出金をすべて帳簿化する。解任等の場合は処分行為を控える
- 4.新受託者の選任を進める 信託行為の定めまたは委託者・受益者の合意で新受託者を選任する。合意ができない場合は利害関係人として裁判所に選任を申し立てる(62条4項)。1年の空白で信託が終了する点に注意する
- 5.計算と引継ぎを完了させる 新受託者等の就任後、前受託者は遅滞なく信託事務の計算を行い受益者の承認を求め、引継ぎを行う(77条)。不動産については受託者変更の登記も手配する
よくある質問 AI による整理
Q1前受託者とは何ですか?
任務が終了した後の「受託者であった者」を指す信託法上の用語です。信託法59条1項で定義され、後任が動けるまで通知・保管・引継ぎの義務を負います。
Q2家族信託の受託者は途中で辞任できる?
委託者と受益者の同意があれば辞任できます(57条1項)。やむを得ない事由があれば裁判所の許可でも可能です。ただし辞任後も後任が動けるまで義務が残ります。
Q3受託者が辞任したら受益者に通知は必要?
原則必要です。信託法59条1項により前受託者は受益者に任務終了を通知しなければなりません。ただし信託行為に別段の定めがあればそれに従います。
Q4受託者 解任 その後 財産はどうなる?
解任された前受託者は、新受託者等が事務を処理できるまで財産を保管し引継ぎをする義務を負います。処分しようとすれば受益者は差止めを請求できます。
Q5受託者が破産したら信託財産はどうなる?
信託財産は受託者の破産財団に属しません(25条)。前受託者は破産管財人に信託財産の内容・所在や信託財産責任負担債務の内容を通知する義務を負います。
Q6前受託者が財産を勝手に売ったら違法?
解任などで権限が保管・引継ぎに限られる場合、処分は任務の範囲外です。受益者は59条5項で差止めを請求でき、損害があれば責任追及も考えられます。
Q7新しい受託者が決まらないとどうなる?
受託者が欠けたまま新受託者が就任しない状態が1年続くと、信託は終了します(163条3号)。利害関係人は裁判所に新受託者の選任を申し立てられます。
Q8受託者が亡くなったときも59条が適用される?
適用されません。個人受託者の死亡や後見・保佐開始は59条の対象外で、相続人や成年後見人等の通知・保管義務を定める60条が適用されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1兄が受託者を辞めたのに、まだ家賃を勝手に使ってるんです。止められますか?
辞任の形式によって答えが変わる。委託者と受益者の同意で辞任したのなら、後任が動けるまで兄はまだ受託者であり、家賃の管理も兄の職務である(59条4項)。この場合は40条の損失てん補などで責任を追及することになる。裁判所の許可による辞任や解任なら、許されるのは保管と引継ぎだけである。実務のポイント:辞任届や同意書の文言を見れば、どちらの形式かがわかる。最初にそれを確かめずに争うと、主張の土台が崩れる
Q2受託者の通知義務って、家族信託の契約で外しちゃってもいいんですか?
受益者への通知(1項)は、信託行為に別段の定めを置けば変更できる。ただし保管・引継ぎの義務(3項)は加重しかできず、軽くすることはできない。実務のポイント:通知を外すと、受益者である高齢の親が受託者の交代を知らないまま、空白期間に財産が動く事態が起こりうる。外すよりも、通知先に兄弟などの第三者を加えるほうが、紛争を防ぐ効果ははるかに大きい
Q3受託者だった会社が倒産しました。預けていた財産は戻ってきますか?
信託財産は受託者の破産財団に属さないため(25条)、原則として債権者への配当には回らない。そのために前受託者は、破産管財人に信託財産の内容と所在、信託財産責任負担債務の内容などを通知する義務を負う(59条2項)。実務のポイント:問題になるのは分別管理が崩れていた場合である。信託口座と会社口座が混ざっていると、管財人との線引き交渉が長引く。受益者側も手元の明細を早めに管財人へ提出したほうがよい
間違えやすい点 AI による整理
- 受託者が辞めればその日から管理義務はなくなる、と考えるのは誤りである。57条1項の同意による辞任なら、後任が事務処理できるようになるまで受託者としての権利義務がまるごと残る(59条4項)。その他の事由でも、保管と引継ぎの義務は続く
- 前受託者の義務は知っていても、それが「信託行為でどこまで動かせるか」を知る人は少ない。受益者への通知義務(1項)と同意辞任後の権利義務の存続(4項)は信託契約で外したり変えたりできるが、保管・引継ぎ義務(3項)は加重できるだけで、軽くすることはできない。契約書のひな形を流用すると、この非対称を見落とす
- 「受託者の父が認知症になったら59条の出番だ」と考えるなら、問いの立て方がずれている。個人受託者の死亡と後見開始・保佐開始は59条の対象外であり、相続人や成年後見人等の通知・保管義務を定める60条の領域になる。適用条文を取り違えると、誰に何を求めるかが最初から狂う
- 受益者から見れば、前受託者は「もう関係ない人」に見える。法律から見れば、後任が動けるようになるまで財産を握っているのは前受託者であり、5項の差止請求も後任が事務処理を始めれば使えなくなる。この認識のずれが、空白期間の流出を招く
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる任務終了事由 | 信託法59条:破産・解散・辞任・解任・信託行為所定の事由(56条1項3〜7号) | 信託法60条:個人受託者の死亡・後見開始・保佐開始(56条1項1・2号) 信託法77条:新受託者等の就任後の計算と引継ぎ |
| 義務を負う者 | 前受託者本人(破産時は破産管財人への通知も) | 前受託者の相続人、成年後見人・保佐人 前受託者(またはその相続人等) |
| 義務の内容 | 受益者への通知、財産保管、引継ぎに必要な行為、同意辞任時は権利義務存続 | 受益者への通知、新受託者等が事務処理できるまでの財産保管・引継ぎ 計算を行い受益者の承認を求め、事務を引き継ぐ |
| 受益者の対抗手段 | 処分の差止請求(5項、新受託者等の事務処理開始まで) | 相続人等による処分の差止請求(60条) 承認しないことによる責任追及の余地 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾も受託人の辞任・解任と任務終了事由を定め、新受託人が事務を引き継ぐまでの管理継続を図る。日本法を参照した構造
中国は受託人の職責終止事由を列挙し、職責終止時に信託事務の報告と新受託人への信託財産・事務の移交手続を義務づける
前受託者は後任が受け入れるまで信託財産を保全する義務を負い、合理的期間内に財産を後任に引き渡すべきとされる。採用は州ごとに異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 父の不動産を管理する家族信託で、受託者の長男が「もう無理」と言い出した。母(受益者)と父(委託者)が辞任に同意した場合、後任が決まるまで長男は家賃の回収も修繕契約も続ける義務を負う。同意書に判を押した日が「解放の日」ではない
- 兄が受託者を解任されたのに、後任が決まる前に信託財産のアパートを売りに出そうとしているとしたら、受益者のあなたは何ができる? 59条5項に基づき、処分をやめるよう兄に直接請求できる。ただし新受託者が仕事を始めてしまえば、この請求権は使えなくなる
- 受託者を務める同族会社が破産した。前受託者は破産管財人に、どの財産が信託財産でどの債務が信託財産責任負担債務かを通知しなければならない。ここで線引きがあいまいなままだと、管財人が信託財産を会社の財産として換価しかねない
- 受託者を辞めたあなたが、引継ぎ前に信託口座の預金を「立て替えていた経費の精算」として自分の口座に移した。正当な費用償還の範囲を超えていれば、受益者から損失のてん補を請求されうる。辞めたあとの一手のほうが、在任中よりも厳しく見られる
- 受託者が辞めたまま、新しい受託者が決まらずに10か月が過ぎた。受託者が欠けた状態で新受託者が就任しないまま1年が過ぎると、信託そのものが終了する(163条3号)。残りは2か月。後任探しは今週中に始めなければ間に合わない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 受託者の任務がどの事由(破産・解散・辞任・解任・契約上の事由)で終わったのかを確定させる。適用される項が変わる2. 前受託者に財産目録と通帳の写しを書面で求め、保管状況を記録する3. 処分の兆しがあれば、新受託者の就任前に5項の差止請求を内容証明で送る4. 後任が決まらなければ、利害関係人として裁判所に新受託者の選任を申し立てる(62条4項)。1年の空白で信託は終了する
訴えられた側:1. 辞任の形式(同意か裁判所の許可か)を確認し、自分にどこまでの権限が残っているかを把握する2. 受益者への通知を書面で行い、送付記録を残す3. 引継ぎまでの入出金はすべて帳簿化し、処分行為は控える4. 後任が就任したら、遅滞なく計算と引継ぎを行い受益者の承認を得る(77条)。承認を得れば、原則として引継ぎに関する責任が免除される
時効(請求できる期限):59条自体に特定の時効はなく、義務違反による損害賠償には一般消滅時効(民法166条、知った時から5年、権利を行使できる時から10年)が適用される。5項の差止請求は、新受託者等が事務処理できるようになった時点で行使できなくなる。受託者が欠けたまま新受託者が就任しない状態が1年続くと、信託は終了する(信託法163条3号)
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全面改正(平成19年施行) 新信託法の制定により、前受託者の通知・保管・引継ぎ義務と受益者の差止請求を一条に整理した規定として置かれた。その後の改正の有無は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法の全面改正(平成18年法律第108号、平成19年施行)により、前受託者の通知・保管・引継ぎ義務、同意辞任時の権利義務の存続、受益者の処分差止請求を一条に整理して新設
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