信託法 第78条(前受託者の相続人等又は破産管財人による新受託者等への信託事務の引継ぎ等)
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前条の規定は、第五十六条第一項第一号又は第二号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合における前受託者の相続人等及び同項第三号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合における破産管財人について準用する。
この条文の基本情報
前受託者の相続人等又は破産管財人による新受託者等への信託事務の引継ぎ等とは何ですか?
定義前受託者の相続人等又は破産管財人による新受託者等への信託事務の引継ぎ等とは、信託法第78条に定められた規定で、「前条の規定は、第五十六条第一項第一号又は第二号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合における前受託者の相続人等及び同項第三号に掲げる事由により受託者の任務…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第78条(前受託者の相続人等又は破産管財人による新受託者等への信託事務の引継ぎ等)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第78条の条文原文は「前条の規定は、第五十六条第一項第一号又は第二号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合における前受託者の相続人等及び同項第三号に掲げる事由により受託者の任務…」で始まります。
- 信託法第78条は第五款 受託者の変更に伴う権利義務の承継等に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第78条の前の条は信託法第77条です。
- 信託法第78条の次の条は信託法第79条です。
- 信託法第78条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第78条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第78条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/78
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法78条は、受託者の死亡・後見開始等では相続人等に、破産では破産管財人に、77条の計算・承認請求・引継ぎ義務を準用する。受益者が1か月異議を述べないと承認とみなされる。
Q · 家族信託の受託者が亡くなったら、相続人は信託の後始末をしないといけないの?
必要。相続人等が計算・承認請求・引継ぎを担う
信託法78条により、受託者が死亡した場合、その相続人等は77条の義務を準用されます。新受託者等が就任したら遅滞なく信託事務の計算を行い、受益者に承認を求め、新受託者等に事務を引き継がなければなりません。信託財産そのものは遺産に入りませんが、手続上の義務は相続人等に及びます。受益者が1か月以内に異議を述べなければ承認したものとみなされ、不正の行為がない限り、引継ぎに関する責任は免除されたものとみなされます。
解説
家族信託で父の不動産を託された長男が急死した。悲しみの中で、長男の妻と子は、自分たちが「信託の後片付け」の義務を負ったことにまず気付かない。信託法78条は、前条(77条)の計算・承認・引継ぎのルールを、次の二者にもそのまま当てはめる。一つは、受託者が死亡した場合の相続人、または後見開始・保佐開始の審判を受けた場合の成年後見人・保佐人(法律上まとめて「前受託者の相続人等」と呼ぶ)。もう一つは、受託者が破産した場合の破産管財人である。新受託者等が就任すると、これらの者は遅滞なく信託事務の計算を行い、受益者に承認を求め、新受託者等に事務を引き継がなければならない。ここで効いてくるのが77条3項である。受益者が計算の承認を求められてから1か月以内に異議を述べなければ、承認したものとみなされる。承認されると、引継ぎに関する責任は免除されたものとみなされる(不正の行為があった場合を除く)。つまり、帳簿を作った側には沈黙が追い風になり、受け取った側にとっては1か月の放置がそのまま権利の目減りになる。どちらの立場で読むかで、取るべき行動は正反対になる
法的な位置づけ
信託法78条は、受託者の任務が死亡または後見開始・保佐開始の審判によって終了した場合の前受託者の相続人等と、破産手続開始の決定によって終了した場合の破産管財人について、前受託者の計算・承認請求・引継ぎ義務と、承認による責任免除を定める77条を準用する規定である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.信託財産と個人財産を切り分ける 前受託者の相続人等または破産管財人は、信託口座、信託不動産の契約書、鍵などを、遺産や破産財団と混ぜずに区分して保管する。遺産分割協議の財産目録に信託口座が入っていないかも確認する
- 2.信託事務の計算書を作る 前受託者の在任中の収入と支出、信託財産の現況を整理し、根拠資料を添えた計算書を作る
- 3.受益者に承認を求める 新受託者等が就任したら遅滞なく、受益者(受益者が複数なら全員、信託管理人がいれば信託管理人)に計算書を送り承認を求める。送付日を記録として残す
- 4.受益者は1か月以内に確認して異議を述べる 受益者は承認を求められた日を記録し、1か月以内に内容を照合する。疑問があれば書面で異議を述べる。期限内に異議を述べなければ承認したものとみなされる
- 5.新受託者等へ事務を引き継ぐ 新受託者等に通帳、契約書、鍵、帳簿を引き渡し、受領書を受け取って引継ぎを完了させる
よくある質問 AI による整理
Q1信託法78条とは?
受託者が死亡、後見開始・保佐開始、破産によって任務を終えたとき、相続人等または破産管財人に、77条の計算・承認請求・引継ぎの義務を準用する規定です。
Q2前受託者の相続人等とは誰のこと?
受託者の相続人です。相続人に法定代理人がいる場合はその法定代理人を指します。受託者に成年後見人または保佐人がいる場合はその者です(信託法60条1項)。
Q3受託者が破産したら信託財産はどうなる?
信託財産は破産財団に属しません(信託法25条1項)。ただし計算と新受託者等への引継ぎは、破産管財人が78条に基づいて行います。
Q4信託の計算書には何を書く?
法律に書式の定めはありません。実務では、在任期間中の収入と支出、信託財産の現況、未払いの債務を整理し、通帳の写しや領収書を添えるのが一般的です。
Q5相続放棄すれば信託の引継ぎ義務はなくなる?
放棄した人は初めから相続人でなかったものとみなされます(民法939条)。そのため相続人等には当たらないと考えられますが、財産を現に占有していれば保存義務(民法940条)が残る場合があります。
Q6受託者が認知症になったら家族信託はどうなる?
後見開始または保佐開始の審判を受けると、受託者の任務は終了します(56条1項2号)。その後は成年後見人・保佐人が、計算と新受託者等への引継ぎを担います。
Q7受益者が承認すると前受託者の責任はすべて消える?
消えません。免除されたものとみなされるのは引継ぎに関する責任だけです。不正の行為があれば免除されず、在任中の任務違反の責任は別の論点として残ります。
Q8新受託者が決まるまで信託財産は誰が管理する?
相続人等は、新受託者等が事務を処理できるようになるまで、財産を保管し、引継ぎに必要な行為をする義務を負います(60条)。裁判所が信託財産管理者を選任する手続もあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1受託者だった夫が死んだんですが、信託の財産って私が相続するんですか?
相続しない。信託財産は受託者の固有財産から切り離されているため、遺産には入らない。ただし信託法78条により、相続人は計算・承認の請求・新受託者等への引継ぎという義務を負う(77条を準用)。実務のポイント:遺産分割協議の財産目録に信託口座を誤って載せてしまう例がある。協議書に署名する前に、夫名義の口座のうち「信託口」や信託専用口座を必ず目録から外して確認しておくこと
Q2計算書が届いたけど、忙しくて放っておいたらどうなりますか?
求められた時から1か月以内に異議を述べないと、承認したものとみなされる(77条3項、78条で準用)。承認されると、引継ぎに関する責任は免除されたものとみなされる。ただし不正の行為があった場合は免除されない。実務のポイント:不正を後から立証するのは、異議を述べるよりはるかに難しい。中身を精査しきれなくても、期限内に「計算の内容について異議を留保する」と書面で送っておけば、時間を稼げる
間違えやすい点 AI による整理
- 「信託財産は亡くなった受託者の遺産ではないのだから、相続人には関係ない」と思われがちである。信託財産が相続財産に入らないのは正しい。だが78条により、計算・承認の請求・引継ぎという手続上の義務は相続人等に降りてくる。財産は受け継がないが、後始末の手間は受け継ぐ
- 受益者の多くは「計算書に何も言わなければ、とりあえず保留になる」と考えている。実際は逆で、1か月黙っていれば承認したものとみなされ(77条3項)、引継ぎに関する責任は免除されたものとみなされる。沈黙は保留ではなく同意である。この深刻さを知らないまま期限を過ぎる受益者は少なくない
- 受託者の立場から見れば、相続人等による計算は「亡くなった人の帳簿を家族が整理する事務作業」にすぎない。法律から見れば、承認によって責任が免除されるかどうかの分岐点である。ただし免除されるのは引継ぎに関する責任であり、前受託者が在任中にした任務違反の損失てん補責任(40条)まで当然に消えるかは別の論点として残る。この線引きを読み違えると、相続人は「承認をもらったから安心」と誤信し、受益者は「承認したからもう何も言えない」と誤信する
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 義務を負う者 | 78条:前受託者の相続人等・破産管財人 | 77条:前受託者本人 60条:前受託者の相続人等・破産管財人 |
| 義務の内容 | 計算、受益者への承認請求、新受託者等への引継ぎ(77条準用) | 計算、承認請求、引継ぎ(本則) 受益者への通知、信託財産の保管、引継ぎに必要な行為 |
| 発動する時期 | 新受託者等の就任後、遅滞なく | 新受託者等の就任後、遅滞なく 任務終了から新受託者等が事務を処理できるようになるまで |
| 責任免除 | 受益者の承認(1か月の沈黙を含む)で引継ぎに関する責任を免除。不正の行為は除く | 同左(本則) 免除規定なし |
他国ではどう定めているか 4 か国
受託人の死亡や破産などで任務が終了すると、相続人や破産管理人などが信託財産を保管し、移交に必要な措置を取る。受託人の変更時は結算書・報告書の承認で責任が解除され、不正当行為は除かれる。日本と構造がよく似ている
受託者が変更された場合に、信託事務の計算と新受託者への引継ぎを定める。前受託者の相続人などの関与については個別の確認が必要
受託人の職責が終了したとき、相続人・遺産管理人・後見人・清算人が信託財産を保管し、新受託人への移交に協力する。報告が認められれば責任が解除され、不正当行為は除かれる
受託者が欠けた場合の後任選任と、前受託者による信託財産の引渡し義務を定める。採用状況は州ごとに異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 受託者だった夫が亡くなり、家族信託の受益者である義母から「信託口座の通帳と賃貸物件の契約書を新しい受託者に渡して」と連絡が来た。相続人のあなたは、渡すだけでは足りない。在任中の収支を計算して受益者に示し、承認を求める義務まで引き継いでいる
- 受託者である兄が認知症で後見開始の審判を受けた。成年後見人に選ばれた司法書士が、兄の財産管理と並行して信託の計算書を作り、新受託者への引継ぎまで担う。兄個人の財産と信託財産を混ぜて整理すると、後で受益者から責任を問われる
- もし、あなたの賃貸マンションを信託で預かっていた不動産会社が破産したら、どうなる? 信託財産は破産財団に属さないが、引継ぎを担うのは破産管財人だ。管財人から計算書が届いたら、あと1か月で「承認したもの」とみなされる。今週中に中身を確認する
取るべき行動
被害を受けた側:受益者の立場なら:1. 相続人等または破産管財人から計算書が届いたら、受領日を記録する。そこから1か月で承認したものとみなされる2. 通帳、賃料収入、経費の領収書と照合し、不明な支出を洗い出す3. 疑問があれば期限内に内容証明郵便で異議を述べる4. 在任中の任務違反が疑われる場合は、損失てん補請求(40条)を別途検討し、弁護士に相談する
訴えられた側:前受託者の相続人等・破産管財人の立場なら:1. 信託財産と個人財産(または破産財団)を混ぜずに分けて保管する2. 信託口座の入出金と信託財産の現況を整理し、証拠を添えた計算書を作る3. 新受託者等が就任したら遅滞なく受益者に承認を求め、送付日を記録に残す4. 新受託者等へ通帳、契約書、鍵、帳簿を引き継ぎ、受領書をもらう
時効(請求できる期限):受益者が計算の承認を求められた時から1か月以内に異議を述べないと、承認したものとみなされる(信託法77条3項を78条で準用)。計算と引継ぎは新受託者等の就任後「遅滞なく」行う必要がある。損害賠償や損失てん補の請求には、一般消滅時効(民法166条:知った時から5年、権利を行使できる時から10年)が適用される(最新の改正状況をご確認ください)
学説
一般的理解:77条2項の承認により免除されるのは引継ぎに関する責任にとどまる。前受託者が在任中にした任務違反に基づく損失てん補等の責任(40条)まで当然に消滅するかは、別の論点として扱われる
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 旧信託法(大正11年法律第62号)を全面的に改めた現行信託法の制定により、前受託者の相続人等・破産管財人による計算・引継ぎの準用規定として本条が置かれた(平成19年(2007年)9月30日施行)
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法の全部改正(平成18年法律第108号)により、前受託者の相続人等・破産管財人に計算・承認・引継ぎの規律を準用する規定として新設された。平成19年(2007年)9月30日施行
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