信託法 第87条(信託の終了の特例)
クイックジャンプ
- 受託者が二人以上ある信託における第百六十三条第三号の規定の適用については、同号中「受託者が欠けた場合」とあるのは、「すべての受託者が欠けた場合」とする。
- 2.受託者が二人以上ある信託においては、受託者の一部が欠けた場合であって、前条第四項ただし書の規定によりその任務が他の受託者によって行われず、かつ、新受託者が就任しない状態が一年間継続したときも、信託は、終了する。
この条文の基本情報
信託の終了の特例とは何ですか?
定義信託の終了の特例とは、信託法第87条に定められた規定で、「受託者が二人以上ある信託における第百六十三条第三号の規定の適用については、同号中「受託者が欠けた場合」とあるのは、「すべての受託者が欠けた場合」とする。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第87条(信託の終了の特例)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第87条の条文原文は「受託者が二人以上ある信託における第百六十三条第三号の規定の適用については、同号中「受託者が欠けた場合」とあるのは、「すべての受託者が欠けた場合」とする。」で始まります。
- 信託法第87条は第六節 受託者が二人以上ある信託の特例に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第87条の前の条は信託法第86条です。
- 信託法第87条の次の条は信託法第88条です。
- 信託法第87条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第87条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第87条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/87
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法87条は、受託者が二人以上の信託では全員が欠けて一年経過した場合に信託が終了すると定める。一部が欠け任務を誰も行わず新受託者不在が一年続いた場合も終了する。
Q · 共同受託者の一人が亡くなったら、家族信託はいつ終わるの?
全員欠けるか、引継ぎなしの空白が一年続けば終わる
信託法87条1項により、受託者が二人以上ある信託では、受託者不在による終了(163条3号)は全員が欠けて新受託者が一年就任しない場合に限られます。一人が欠けても、原則として残った受託者がその任務を引き継ぎます(86条4項本文)。ただし契約で「引き継がない」と定めていた場合、新受託者が就任しないまま一年が過ぎると、他の受託者が残っていても信託全体が終了します(87条2項)。
解説
家族信託で「長男と長女の二人を受託者に」と決めた家庭は、一人が亡くなっても信託は安全だと考えている。だいたいは正しい。信託法87条1項により、受託者が二人以上いる信託では、受託者がいない状態が一年続いて信託が終わる(163条3号)のは「全員が欠けた」場合に限られるからだ。落とし穴は2項にある。信託契約書に「一人の任務が終わっても、残った受託者はその任務を引き継がない」という定め(86条4項ただし書)を入れていた場合はどうなるか。欠けた受託者の仕事を誰もしておらず、新しい受託者も就任しないまま一年が過ぎると、もう一人の受託者が元気でも信託全体が終わってしまう。「二人体制の安心」が本当に効くかどうかは、契約書の一文と、一年という期限への意識で決まる。
法的な位置づけ
信託法87条は、受託者が二人以上ある信託の終了に関する特例規定である。1項は163条3号の終了事由を全受託者が欠けた場合に限定し、2項は一部の受託者が欠け、信託行為の別段の定めによりその任務が他の受託者に承継されず、新受託者が就任しない状態が一年間継続した場合にも信託が終了する旨を定める。
よくある質問 AI による整理
Q1受託者が死亡したら信託は終了する?
直ちには終了しません。単独受託者なら新受託者が一年就任しない場合に終了し(163条3号)、共同受託なら原則として残った受託者が任務を引き継ぎます。
Q2信託 受託者不在 一年 いつから数える?
受託者が欠けた状態が始まった時点から数えます。死亡なら死亡日、後見開始なら審判の効力発生時が目安です。気付いた日からではない点に注意が必要です。
Q3新受託者の選任方法は?
まず信託行為(契約書)に定めた方法に従います。定めがない場合は委託者と受益者の合意で選任し、それも難しければ利害関係人が裁判所に申し立てます(62条)。
Q4受託者が認知症になったら信託はどうなる?
受託者が後見開始の審判を受けるとその任務は終了します(56条1項)。共同受託なら原則として他の受託者が引き継ぎますが、引き継がない定めがあれば一年の期限が始まります。
Q5共同受託者の任務の分担はできる?
できます。信託行為で財産ごとに担当を分ける定めを置くことは可能です。ただし分担と同時に引き継ぎを否定すると、87条2項の終了リスクを抱えることになります。
Q6信託が終了したら財産はどうなる?
清算手続に入り(175条)、債務弁済後の残余財産は契約で定めた残余財産受益者または帰属権利者に給付されます(182条)。指定がなければ委託者側に帰属します。
Q7家族信託 受託者 二人 メリットは?
一人が欠けても信託が止まらず、すぐに終了しない点です(87条1項)。ただしその効果は、残った受託者が任務を引き継ぐ設計になっている場合に限られます。
Q8信託終了を防ぐ契約書の書き方は?
「受託者の一人が欠けたときは他の受託者が全任務を行う」と明記するか、予備の受託者(第二受託者)を指定しておくのが基本です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1共同受託者だった兄が亡くなりました。信託はもう終わりですか?
すぐには終わりません。信託法86条4項本文により、原則として残った受託者が兄の権利義務と任務を当然に引き継ぎます。終わるのは、契約で引き継ぎを否定していて、新受託者が就任しないまま一年が過ぎた場合です(87条2項)。実務のポイント:受託者ごとに担当財産を分ける設計の契約では、この「引き継がない」趣旨の定めが入っていることがあります。条項の見出しではなく、本文で確認すること
Q2一年過ぎたら、信託の財産はどこに行くんですか?
信託が終了すると清算手続に入り(175条)、債務を払った後の残りは、契約で決めた残余財産受益者または帰属権利者に渡ります(182条)。指定がなければ、委託者やその相続人に帰属するとみなされます。実務のポイント:終了時の財産移転には相続税法9条の2による課税がありえます。一年の期限切れは手続だけの問題ではなく、税金の問題でもある(最新の改正状況をご確認ください)
間違えやすい点 AI による整理
- 「受託者を二人にしておけば、一人が亡くなっても信託は続く」と考えがちだが、それが成り立つのは86条4項本文のとおり残った受託者が引き継ぐ場合だけである。契約書に「引き継がない」という定めがあれば、欠けた受託者の担当部分は空白になり、一年経つと信託全体が終わる(87条2項)
- 一年という期間は知っていても、その重さまで分かっている人は少ない。信託が終わると、財産は清算を経て残余財産受益者や帰属権利者に移る(182条)。帰属権利者が誰かによっては、相続税・贈与税の課税関係が改めて生じうる(相続税法9条の2)。父の存命中に組んだ承継計画が、手続の放置だけで別の形に変わってしまう
- 「誰が欠けたら終わるのか」と考えること自体が的外れである。法律が見ているのは、欠けた受託者の任務を誰かが現に担っているかどうかだ。人数ではなく、任務に空白があるかどうかで判断されている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる場面 | 信託法87条:受託者が二人以上ある信託 | 信託法163条3号:受託者が欠けた信託一般(単独受託者が典型) 信託法86条4項:共同受託者の一部の任務終了時 |
| 法的効果 | 全員が欠けて一年、または一部欠け+引継ぎなし+新受託者不在が一年で信託終了 | 受託者が欠け新受託者が就任しない状態が一年継続で信託終了 残った受託者が任務を当然に行う(ただし書で別段の定め可) |
| 終了を避ける手段 | 全任務の引継ぎ条項、予備受託者の指定、期限内の新受託者選任 | 新受託者の選任(62条、裁判所への申立てを含む) 別段の定めを置かなければ自動的に承継される |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾にも共同受託人と新受託人選任の規定はあるが、本条のように「一部欠缺+一年継続」で信託全体が終了する明文の特例は確認できない
共同受託人の一人の職責が終止した場合、残りの受託人が処理を続けることを基本とする構造で、日本の86条4項本文に近い
共同受託者の一人が欠けても残りの受託者が職務を続け、空席は必ずしも補充を要しないとする。一年経過で信託が自動終了する仕組みはない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 父の不動産を管理する家族信託で、受託者は兄と妹。契約書では兄が賃貸物件、妹が預金と、受託者ごとに担当する財産を分けており、「一方が欠けても他方は引き継がない」と書かれていた。兄が急死したあと、家族は相続手続に追われて新しい受託者を選ばないまま十一か月が過ぎた。あと一か月で信託そのものが終了し、清算手続に入る
- もし共同受託者の一人が後見開始の審判を受けたら、信託はどうなる? その受託者の任務は56条1項によって終わる。契約書に別段の定めがなければ、残りの受託者が当然に引き継ぐ。別段の定めがあれば、一年のカウントが静かに始まる
- あなたは共同受託者の一人として、もう一人が亡くなったあと「信託は自分が続ければいい」と思い込んでいた。ところが契約書の定めで、亡くなった受託者が担当していた財産をあなたが管理する権限はなかった。新受託者の選任を一年放置した結果、受益者から「信託が終わったのは管理を怠ったせいだ」と責任を問われることになった
- 信託銀行が共同受託者の一人に入っていて、もう一方の受託者は個人。個人の受託者が亡くなっても、信託銀行が残っていれば信託はすぐには終わらない。ただし、それは契約書に「引き継がない」と書かれていない場合に限る
取るべき行動
被害を受けた側:1. 受益者として受託者の一人が欠けたと知ったら、まず信託契約書に86条4項ただし書の「別段の定め」があるかを確認する2. 定めがあれば、受託者が欠けた日から一年の期限を記録し、契約で定めた方法による新受託者の選任を急ぐ3. 契約に選任方法がない、または関係者で合意できない場合は、利害関係人として裁判所に新受託者の選任を申し立てる(62条) 4. その間の財産管理が心配なら、信託財産管理命令(63条)も検討する
訴えられた側:1. 残った共同受託者として、欠けた受託者の任務を自分が引き継ぐのかどうかを契約書で特定する2. 引き継がない定めがあれば、自分の担当部分の管理を続けながら、受益者に状況を書面で知らせ、新受託者の選任を提案する。その記録が後に善管注意義務(プロとして当然払うべき注意の程度)違反を問われたときの防御材料になる3. 期限が迫っていれば、自分から裁判所への申立ても検討する
時効(請求できる期限):受託者の一部が欠け、その任務を他の受託者が行わず、新受託者も就任しない状態が一年間続いた時点で信託は終了する(87条2項)。全受託者が欠けた場合も、新受託者が就任しない状態が一年続けば終了する(163条3号、87条1項)。起算点は欠けた状態が始まった時
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 新信託法(平成18年法律第108号)の制定により、受託者が二人以上ある信託の終了の特例として現行の規定が置かれた。旧信託法に対応する規定があったか、また制定後の改正の有無は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法(平成18年法律第108号)の制定により、受託者が二人以上ある信託の終了の特例として新設。平成19年(2007年)9月30日施行。旧信託法との対応関係および制定後の改正の有無は要確認
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める