水害の際に、水防用の物を隠匿し、若しくは損壊し、又はその他の方法により、水防を妨害した者は、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。
要点刑法 121 条の水防妨害罪は、水害の際に土嚢やポンプ等の水防用の物を隠匿・損壊し、または他の方法で水防を妨害した者を一年以上十年以下の拘禁刑に処する。罰金刑の選択肢はない。
Q · 洪水のとき、近所の共用の土嚢を自分の家に運んだら罪になる?
水防を妨げれば成立しうる。最低でも拘禁刑 1 年
刑法 121 条の水防妨害罪は、水害の際に土嚢・ポンプ・樋門などの水防用の物を隠匿・損壊し、その他の方法で水防を妨害した者を一年以上十年以下の拘禁刑に処します。罰金刑の選択肢はありません。動機が自宅防衛でも、市町村の組織的な水防活動を現に妨げれば成立しうる点が重要です。ただし組織的な水防活動がまだ始まっていない段階での私的な自衛なら、妨害の対象がなかったと争える余地があり、緊急避難(刑法 37 条)の主張も検討できます。
台風で近所の川が氾濫しそうになり、市の水防団が堤防に土嚢を積み始めた。あなたが自宅を守ろうと、その共用の土嚢を何袋か自分の家の前へ運んでしまった。悪気はない、家族を守りたかっただけだ。だがこの行為、刑法121条の水防妨害罪に当たりうる。条文はこう定める。水害の際に、水防用の物(土嚢、ポンプ、樋門など洪水を防ぐための設備や資材)を隠匿(隠す)し、損壊(壊す)し、その他の方法で水防(洪水から不特定多数の人命と財産を守る組織的な活動)を妨害した者は、一年以上十年以下の拘禁刑。注目すべきは下限が1年で、罰金で済む選択肢が一切ないことだ。なぜこんなに重いのか。洪水の現場で水防を妨げる行為は、一度に大勢の命を危険にさらすからだ。あなたが守ろうとした一軒の家の裏で、堤防の一区画が決壊すれば、町全体が水に沈む。
水防妨害罪は、刑法第 121 条が定める出水罪の一類型であり、水害の発生時に水防用の設備・資材を隠匿または損壊し、その他の方法で組織的な水防活動を妨害する行為を処罰する公共危険犯である。法定刑は一年以上十年以下の拘禁刑で、罰金刑の選択肢を欠く点に特徴がある。
水害の際に水防用の物を隠匿・損壊し、または他の方法で水防を妨害する罪です。刑法 121 条が定め、一年以上十年以下の拘禁刑に処されます。
土嚢、樋門、水門、排水ポンプ、その燃料など、洪水を防ぐための設備や資材が広く含まれます。組織的な水防活動で用いられる物が対象です。
ありません。法定刑は一年以上十年以下の拘禁刑のみで、下限が 1 年と重く、罰金で済む道がない点が大きな特徴です。
公訴時効は 7 年です(刑訴法 250 条 2 項、長期 10 年の拘禁刑に当たる罪)。起算点は妨害行為が終わった時です。
出水罪は水を氾濫させて建造物等を浸害する罪(刑法 119・120 条)、水防妨害罪はすでに行われている水防活動を妨げる罪(121 条)で、行為の方向が逆です。
水防活動が行われている最中に堤防を切れば、水防妨害罪に当たりうるほか、出水罪や水利妨害罪(123 条)の対象にもなり得ます。昔ながらの水争いでも重罪です。
増水時に水門を恣意的に操作して水防を妨げれば、刑法 121 条の水防妨害罪に当たりえます。水防の中核設備の操作妨害は典型例です。
成立には故意が必要で、水防用の物と知らずに動かしたなら故意を欠く可能性があります。過失の出水関連行為は別途 122 条が規律します。
なりえます。刑法121条は動機を問わず『水害の際に水防を妨害したか』を見ます。ただし市町村の組織的な水防活動が現に行われていることが前提で、誰もいない場所で自宅前に土嚢を積んだだけなら妨害に当たらない場合もあります。業界裏話ヒント:分かれ目は『公共の水防体制が動いていたか』。水防団の指揮下にある資材に手を出したか、自分で用意した資材を私的に使っただけかで、結論が180度変わります。現場で『これは誰の指揮で置かれた物か』を意識できるかが境界線です
水防法にも水防活動を妨げる行為への罰則がありますが、刑法121条は法定刑が格段に重く、下限が拘禁刑1年で罰金の選択肢がありません。同じ妨害でも、どちらの条文で立件されるかで刑の重さが大きく変わります(各法の最新の罰則はご確認ください)。業界裏話ヒント:悪質で危険性の高い妨害は刑法121条、現場での職務妨害的なものは水防法、という棲み分けの傾向があります。どちらで処理するかは検察の判断次第で、被疑者側はより軽い構成での処理を主張する余地があります
適用例は確かに少なく、長く『眠った条文』でした。しかし近年の極端気象で水防活動の機会が急増しており、いつ現実の事件になってもおかしくありません。条文自体は1907年の刑法制定時から存在し、削除されていません。業界裏話ヒント:適用例が少ない条文ほど、いざ立件されると前例が乏しく量刑相場が読みにくい。検察も裁判所も慎重になる一方、被告にとっては『初判例』のリスクと、軽い処分を勝ち取る交渉余地が同居します
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 行為の中核 | 121 条:行われている水防活動を妨害する | — |
| 主観要件 | 121 条:故意 | — |
| 法定刑 | 121 条:一年以上十年以下の拘禁刑(罰金なし) | — |
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