医師が、公務所に提出すべき診断書、検案書若しくは死亡証書に虚偽の記載をし、又は公務所に提出すべき電磁的記録文書等であって、診断書、検案書若しくは死亡証書の全部若しくは一部として用いられるものに虚偽の記録をしたときは、三年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
要点刑法 160 条は、医師が公務所に提出すべき診断書・検案書・死亡証書に虚偽の記載をする行為を罰し、三年以下の拘禁刑または三十万円以下の罰金を科す。
Q · 医者が嘘の診断書を書いたら、いつでも刑法 160 条で罰せられるの?
役所提出用の診断書に限り罰せられます
刑法 160 条は、医師が「公務所に提出すべき」診断書・検案書・死亡証書に虚偽の記載をした場合に限り、三年以下の拘禁刑または三十万円以下の罰金で罰します。会社や学校に提出する診断書はこの条文の対象外です。日本の刑法は私文書の内容の嘘(無形偽造)を原則として罰しないため、医師の診断書だけが特別に例外とされています。また、公立病院の公務員医師が書けば虚偽公文書作成罪(156 条)となり刑が重くなります。
医者が嘘の診断書を書けば即犯罪、と多くの人は思っている。だが刑法 160 条が罰するのは、医師が、役所(公務所、つまり国や自治体の機関)に提出される診断書、検案書、死亡証書に嘘を書いた場合に限られる。あなたが会社に出すために医者に頼んで盛ってもらった診断書は、原則としてこの条文では裁けない。さらに重要なのは、これが医師にしか成立しない身分犯であること。そして同じ嘘の証明書でも、国公立病院の公務員である医師が書けば虚偽公文書作成罪(156 条)となり、刑が一気に跳ね上がる。私立の医師なら本条で三年以下。書いた医者の身分一つで、刑罰の重さが別世界に変わる。診断書が武器にも凶器にもなると気付いた瞬間、医療と法律が触れ合う細い境界線が見えてくる。
刑法 160 条は虚偽診断書作成罪を定める規定であり、医師が公務所に提出すべき診断書・検案書・死亡証書、またはこれらの全部もしくは一部として用いられる電磁的記録文書に、真実に反すると認識して虚偽の記載・記録をする行為を処罰の対象とする。主体を医師に限定する身分犯であり、故意犯である。
医師が公務所に提出すべき診断書・検案書・死亡証書に、嘘と分かっていて虚偽の記載をする犯罪です。刑法 160 条が根拠で、三年以下の拘禁刑または三十万円以下の罰金が科されます。
公訴時効は 3 年です(刑事訴訟法 250 条 2 項)。起算点は虚偽記載という犯罪行為が終わった時点です。なお、その診断書を行使すれば 161 条の別罪となり時効も別に進行します。
死亡証書(死亡診断書)も 160 条の対象です。死因を実際と違う病名で書けば虚偽診断書作成罪が成立し、それが保険金請求に使われれば詐欺罪(246 条)も重なる可能性があります。
障害年金や生活保護の申請、裁判所への証拠提出、公的機関への各種届出に用いる診断書などです。役所・裁判所・年金機構といった国や自治体の機関に出すものが該当します。
私立の医師が書けば虚偽診断書作成罪(160 条・3 年以下)、国公立病院の公務員医師が書けば虚偽公文書作成罪(156 条)となり、刑が大幅に重くなります。書いた医師の身分で適用条文が分かれます。
なります。作成だけでなく行使すれば 161 条が、不正受給に至れば詐欺罪(246 条)が重なります。書類は入口にすぎず、使った瞬間に事態が一段深くなります。
障害年金は公的機関へ提出するため、医師が等級を実態より重く偽れば 160 条違反です。頼んだ側も教唆犯(61 条)となり、受給すれば詐欺罪の共犯になりえます。
本罪は身分犯で、主体は「医師」に限られます。歯科医師は歯科診断書につき同様に扱われますが、看護師や事務職員が単独で作成主体になることは原則ありません。
160 条は『公務所に提出すべき』診断書に限られるので、会社提出用の診断書はこの条文では裁けません。しかも日本の刑法は私文書の内容の嘘(無形偽造)を原則罰しないため、医師が自分の名前で嘘を書いても私文書偽造罪にもなりません。業界裏話ヒント: ただしその診断書で傷病手当金や保険金を不正に得れば詐欺罪(246 条)に変わる。『書類自体は罪にならない』ことと『使えば罪になる』ことは別問題で、多くの人がここを混同して足をすくわれる。
問われます。医師が応じれば、頼んだ患者は虚偽診断書作成罪の教唆犯(刑法 61 条)として処罰されうる。さらにその診断書で公的給付や保険金を得れば詐欺罪(246 条)の共犯にもなります。業界裏話ヒント: 実務では、頼んだ患者より、応じた医師の方が重く扱われやすい。医師は専門家として書類の公的信頼を担う立場だからだ。だが患者側も『頼んだだけ』では済まない、ここを軽く見て後悔する人が後を絶たない。
罪になりません。160 条は故意犯であり、罰せられるのは医師が真実に反すると分かっていて書いた場合だけです。誤診や見立て違いは『虚偽』にあたりません。業界裏話ヒント: 弁護では『真実と異なる』ことと『虚偽』は別だと争う。医学的判断には幅があり、その幅の中の見解なら虚偽ではない。検察が立証すべきは結果のズレではなく、医師が嘘だと認識していたという内心であり、ここが防御の主戦場になる。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 犯罪の主体 | 160 条:私立の医師(身分犯) | — |
| 偽造の性質 | 160 条:無形偽造(自己名義で内容を偽る) | — |
| 法定刑 | 160 条:三年以下の拘禁刑または三十万円以下の罰金 | — |
| 対象文書 | 160 条:公務所提出用の診断書・検案書・死亡証書 | — |
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