要点刑法161条の2は、人の事務処理を誤らせる目的で権利義務・事実証明に関する電磁的記録を不正に作る行為を処罰する。私的記録は五年以下、公的記録は十年以下と重い。
Q · 上司に頼まれて会社のデータを書き換えただけでも、犯罪になるんですか?
原則として犯罪です。実行した本人も罰せられます。
人の事務処理を誤らせる目的で、権利義務や事実証明に関する電磁的記録を真実に反して作れば、刑法161条の2の電磁的記録不正作出罪が成立します。私的記録なら五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金、公務所が作るべき公的記録なら十年以下と加重されます。上司の指示があっても、データを書き換えた本人が実行者として処罰され、指示者も共犯となります。不正記録を知りながらシステムに通して使う供用や、その未遂も処罰対象です。
経理担当のあなたが、上司の一言で会計ソフトの売上数字を一行書き換える。人事部のあなたが、退職予定者の評価データをこっそり修正する。ポイントサイトの運営者が、特定アカウントの残高を水増しする。紙の契約書に偽のサインを書けば偽造罪、それは誰でも知っている。だが画面の中のデータをいじる行為が、それと同じ犯罪になると知っている人は驚くほど少ない。刑法161条の2は、人の事務処理を誤らせる目的で、権利義務や事実証明に関する電磁的記録(コンピュータが処理する電子データ。会計記録、勤怠記録、残高データなど)を不正に作った者を、五年以下の拘禁刑または五十万円以下の罰金で罰する。役所が作るべき記録(住民票データ、登記の電子記録など)なら刑は倍の十年。しかも自分で作らなくても、不正なデータと知りながらシステムに通して使えば、作った者と同じ刑だ。未遂でも罰せられる。あなたが日常的に触っている社内システムのデータは、その一行が、刑事事件の境界線になりうる。
刑法161条の2が定める電磁的記録不正作出罪は、人の事務処理を誤らせる目的で、権利義務又は事実証明に関する電磁的記録を権限なく真実に反して作出する行為を処罰する規定である。紙の文書偽造罪の電子版にあたり、公務所が作るべき記録に係る場合は刑が加重され、不正記録の供用及びその未遂も処罰の対象となる。
人の事務処理を誤らせる目的で、権利義務や事実証明に関する電子データを真実に反して作る犯罪です。刑法161条の2が根拠で、紙の文書偽造罪の電子版にあたります。
私的記録なら五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金、公務所が作るべき公的記録なら十年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金です。供用も同一刑で処罰されます。
公務所や公務員が作るべき記録(住民票データや登記の電子記録など)が公電磁的記録で、刑が十年以下に加重されます。それ以外の私的な記録は五年以下です。
公訴時効は法定刑で変わり、私的記録の罪(五年以下)は犯罪終了時から五年、公的記録の罪(十年以下)は七年です(刑事訴訟法250条)。最新の改正をご確認ください。
事務処理を誤らせる目的で電子データを書き換えれば刑法161条の2、それで財産を得れば電子計算機使用詐欺(246条の2)、システムへの不正侵入を伴えば不正アクセス禁止法も問題になります。
161条の2は不正なデータを作る行為そのものを罰します。246条の2はその不正データで財産上の利益を得る点を罰します。両者は連鎖して成立することがあります。
不正に作られた電磁的記録と知りながら、人の事務処理を誤らせる目的でシステムに通して使う行為です。作った本人と同一の刑に処され、未遂も罰せられます(161条の2第3項・4項)。
供用罪(第3項)の未遂は第4項で明文処罰されます。不正データをサーバーにアップロードしたが処理前に止まった段階でも立件されうるため、注意が必要です。
実行したあなた自身が私電磁的記録不正作出(161条の2第1項)の実行者になりえます。指示した上司も共犯または共同正犯として責任を負いますが、それであなたの実行行為が消えるわけではありません。業界裏話ヒント:実務では「指示の記録があるか」で立場が大きく変わる。指示メールを残していれば、量刑で従属的役割と評価され、起訴猶予になることもある。逆に口頭指示だけで証拠がないと、あなた一人が矢面に立たされる。頼まれた仕事ほど記録を残すのが鉄則
なりません。第三項の供用罪は「不正に作られた電磁的記録であることを知りながら」使った場合に限られ、しかも『人の事務処理を誤らせる目的』が必要な目的犯です。知らずに使えば、その目的も故意もないので不可罰です。業界裏話ヒント:問題は「知っていた」の立証。受け取ったデータに不審点があり、それを認識しながら使い続けた事実がログやメールに残ると、未必の故意が認定されうる。怪しいと思った時点で確認・指摘した記録を残すことが、自分を守る
権限のある人が、正当な根拠に基づいて誤りを訂正するのは「不正に作る」にあたらず、犯罪になりません。罪の核心は『人の事務処理を誤らせる目的』で、真実に反するデータを作る点にあります。業界裏話ヒント:ただし自分に有利なように、権限なく、根拠なく書き換えれば一発でアウト。境界線は『真実か虚偽か』と『正当な権限と目的があるか』の二つ。正当な訂正なら、その根拠資料を必ず添付・保存しておくと、後で疑われても説明がつく
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象(客体) | 電磁的記録(電子データ):会計・勤怠・残高データ等 | — |
| 保護法益 | 電磁的記録に対する公共の信用 | — |
| 成立の核心 | 人の事務処理を誤らせる目的で真実に反する記録を作出 | — |
| 法定刑(基本) | 五年以下の拘禁刑(公的記録は十年以下) | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。