要点刑法 162 条は、行使の目的で有価証券を偽造・変造し、又は虚偽の記入をする行為を 3 月以上 10 年以下の拘禁刑で処罰する。実害がなくても偽造した時点で既遂となる危険犯である。
Q · 手形や商品券の金額を書き換えただけで、実際に使っていなくても犯罪になるの?
なります。行使の目的で偽造・変造した時点で犯罪は完成します。
刑法 162 条は、行使の目的で有価証券を偽造・変造し、又は虚偽の記入をした者を 3 月以上 10 年以下の拘禁刑に処します。実害の発生は要件ではなく、誰も騙していなくても、まだ使っていなくても、行使の目的で偽造・変造した時点で既遂となる危険犯です。実際に流通させれば別途 163 条の行使罪が、財物を得れば 246 条の詐欺罪が加わり、牽連犯として重く処断されます。練習や見本で作っただけなら『行使の目的』を欠き、不可罰の余地があります。
金券ショップで買った商品券、フリマアプリで仕入れた図書カード、取引で受け取った約束手形。これらに共通するのは、すべて法律上の「有価証券」だという点だ。そして、その金額や名義を一文字でも書き換えた瞬間、あなたは刑法162条の世界に足を踏み入れる。この条文が罰するのは「他人を騙して損をさせたこと」ではない。偽物を作る、あるいは本物の数字を書き換える、その行為そのものだ。誰一人として騙されていなくても、まだ一円も損が出ていなくても、「行使の目的」つまり世の中で通用させるつもりで偽造・変造した時点で犯罪は完成する。法定刑は3月以上10年以下の拘禁刑。被害者は特定の誰かではなく、社会全体が証券を信用して取引できるという見えない共有財産そのものだ。だからこそ実害ゼロでも処罰される。あなたが手形や金券を扱う立場なら、踏んではいけない線は思っているより手前に引かれている。
刑法 162 条は有価証券偽造罪を定める規定である。行使の目的をもって、公債証書・官庁の証券・会社の株券その他の有価証券を偽造し若しくは変造し、又は有価証券に虚偽の記入をする行為を構成要件とし、実害の発生を要しない危険犯として、証券に対する社会の信用そのものを保護法益とする。
行使の目的で有価証券を偽造・変造し、又は虚偽の記入をする行為を罰する罪です(刑法 162 条)。証券に対する社会の信用を守るための危険犯で、実害がなくても成立します。
公訴時効は 7 年です。法定刑の長期が 10 年の拘禁刑のため、刑事訴訟法 250 条により 7 年とされ、起算点は偽造・変造を完了した時点です。
偽造は権限なく他人名義の証券を新たに作り出すこと、変造は真正に成立した証券の内容を権限なく改変することを指します。どちらも 162 条で同じ法定刑です。
法定刑は 3 月以上 10 年以下の拘禁刑です。初犯で被害弁償・示談が整えば執行猶予が付くこともありますが、詐欺罪と牽連犯になると実刑の可能性が高まります。
紙の乗車券型・引換券型チケットは有価証券になりうるため、行使の目的で自作すれば 162 条に触れる余地があります。冗談のつもりでも前科につながりかねません。
行使の目的があれば有価証券偽造罪(刑法 162 条)です。さらにその手形を使えば 163 条の偽造有価証券行使罪、財物をだまし取れば 246 条の詐欺罪が重なります。
偽造した証券を使って財物を得ると、偽造・行使・詐欺が牽連犯(刑法 54 条)として科刑上一罪となり、最も重い刑で処断されます。偽造単独より量刑は重くなります。
162 条は偽造・変造の完成によって既遂となる危険犯で、未遂処罰規定は置かれていません。完成すれば既遂、完成に至らなければ原則として不可罰です。
捕まりえます。刑法162条は『行使の目的』で偽造・変造した時点で既遂となる危険犯で、実際に使ったかどうかは問いません(使えば別途163条の行使罪が加わる)。書き換えた瞬間に犯罪は完成しています。業界裏話ヒント:実務で起訴・不起訴を分けるのは『行使の目的』の有無です。本物そっくりに作っても、流通させる意図がなかったと示せれば不可罰の余地が出る。取調べで安易に使い道を語ると、この防御線を自分から崩すことになる
なりません。電子マネーやポイント残高は『有価証券』ではなく『電磁的記録』なので、162条ではなく支払用カード電磁的記録不正作出罪(刑法163条の2)や電子計算機使用詐欺(刑法246条の2)が適用されます。業界裏話ヒント:紙の証券か電子データかで適用条文が変わり、法定刑も手続も別物になる。近年の偽造事件はほとんど電子側へ移っており、162条が真正面から出てくる場面はむしろ減っている。容疑の条文番号を最初に確認するのが鉄則
判例上、振出名義そのものを偽れば1項の『偽造』、真正な証券に内容虚偽の裏書などを書き込めば2項の『虚偽記入』とされます(刑法162条1項・2項)。どちらも法定刑は同じ3月以上10年以下の拘禁刑です。業界裏話ヒント:偽造か虚偽記入かは法定刑が同じでも、訴因の構成で防御の組み立てが変わる。検察がどちらで立件したかで争える事実関係の範囲が違ってくるので、起訴状の罪名表示を最初に精査する
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規制対象行為 | 162 条:有価証券の偽造・変造・虚偽記入 | — |
| 客体 | 公債証書・株券・手形・小切手・商品券等の有価証券 | — |
| 既遂時期 | 行使の目的で偽造・変造した時点(危険犯) | — |
| 法定刑 | 3 月以上 10 年以下の拘禁刑 | — |
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