業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の拘禁刑に処する。
要点刑法 253 条の業務上横領罪は、業務上預かった他人の物を横領した者を十年以下の拘禁刑に処する。単純横領罪より刑が重く、流用した時点で既遂となる。
Q · 会社のお金を「後で返すつもり」で一時的に使ったら、横領になりますか?
預かった物を使い込んだ時点で既遂です
刑法 253 条の業務上横領罪は、業務上預かった他人の物を横領した時点で成立します。後で全額返しても罪は消えず、流用したその瞬間に既遂に達します。問われるのは最終的に返したかではなく、預かった物を自分の物として処分する意思(不法領得の意思)が外部に現れたかどうかです。ただし全額弁償と被害者との示談は量刑に強く影響し、初犯で被害が回復していれば執行猶予の可能性が高まります。
会社の経理担当が運転資金に手をつけた。マンション管理組合の理事長が管理費を自分の口座へ移した。士業の事務所が顧客の預り金を別の支払いに回した。一見バラバラに見えるこれらは、すべて刑法253条、業務上横領罪という同じ網の中にいる。あなたが押さえるべき核心は二つ。第一に、単純横領罪(252条)の最高刑5年に対し、「業務上」という三文字が付くだけで刑は10年へと倍化する。仕事として反復継続的に他人の財産を預かる者は、その厚い信頼ゆえに重く罰せられる。第二に、この罪は「使い込んだ瞬間」に既に完成している。後で補填するつもりでも、ほんの一時的な流用でも、預かった物を自分のものとして処分する意思(不法領得の意思)が外に現れた時点で犯罪は成立する。「返すつもりだった」は成立を覆さない、量刑をいくらか下げる材料にとどまる。
刑法 253 条の業務上横領罪は、業務として自己の占有する他人の物を横領する行為を処罰する規定である。単純横領罪の加重類型であり、反復・継続して他人の財産を管理する地位にある者が、その委託信任関係に背いて目的物を不法に領得した場合に成立し、法定刑は十年以下の拘禁刑とされる。
業務として他人の財産を預かる者が、その物を自分の物として処分する罪です(刑法 253 条)。経理担当者や会計係など、反復継続して金銭を管理する立場の人が対象になります。
公訴時効は 7 年です(刑事訴訟法 250 条、法定刑の長期が 10 年のため)。起算点は犯罪行為が終わった時で、継続的な使い込みは最後の行為時から数えます。
被害額が大きく、被害弁償ができていない場合は初犯でも実刑が現実的です。逆に全額弁償と示談が成立すれば執行猶予や不起訴の可能性が高まります。
金額の下限はありません。一円でも預かった他人の物を不法に領得すれば成立します。ただし被害額は量刑や起訴・不起訴の判断に大きく影響します。
できます。業務上横領は親告罪ではありませんが、被害弁償と示談の成立は検察官の起訴判断と量刑を大きく左右します。早期の弁償ほど和解の窓は広くなります。
監査・決算時の帳簿不一致、内部通報、取引先からの問い合わせ、口座記録の照合などです。発覚前に弁償・自首を相談できるかで結果が分かれます。
業務として物を預かる立場かどうかが分かれ目です。業務上(253 条)は十年以下、単純横領(252 条)は五年以下で、上限が倍違います。
懲戒解雇となる可能性が高く、刑事責任とは別に民事の損害賠償請求も並行します。士業・公務員なら懲戒処分(業務停止・除名)も同時に進行します。
横領(253条)は預かった「物・金銭」を自分のものにする罪、背任(247条)は任務に背いて本人に財産上の損害を与える罪です。会社の金を私的に使えば横領、不当な融資や担保設定で会社に損害を出せば背任になりやすい。業界裏話ヒント:両方に当たりうる場合、検察は立証しやすい方を選びます。物の流れが帳簿で追える事案は横領、損害の評価が必要な事案は背任、という傾向がある。どちらで起訴されるかで争点も弁護方針も変わるので、構成要件のどこを争えるか最初に見極める
問われます。業務上横領は流用した時点で既に成立しており、後の返済は成立を消しません(刑法253条)。ただし全額弁償と示談は量刑に強く影響し、初犯で被害が回復していれば執行猶予の可能性が高まります。業界裏話ヒント:会社は刑事告訴より民事回収を優先することが多く、被疑者が早期に弁償の意思を示すと刑事化を回避できるケースがある。返済は「無罪」ではなく「不起訴・執行猶予」を引き寄せる手段だと理解して動く
原則として免除されません。刑法255条は親族間の特例(244条)を横領に準用しますが、判例は横領した物の所有者と委託者の双方が親族である必要があるとします。会社は法人なので、社長が親や配偶者でも、会社の財産を横領すれば親族相盗例は適用されません。業界裏話ヒント:この「法人格の壁」を知らずに、家族経営だから大丈夫と油断して着服し、立件される例は少なくない。免除されるのは個人間で完結する横領に限られると考えておく
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 行為対象 | 業務上自己が占有する他人の物(253 条) | — |
| 法定刑 | 十年以下の拘禁刑 | — |
| 主体 | 業務として他人の物を占有する者 | — |
| 成立時点 | 不法領得の意思が発現した時(流用時に既遂) | — |
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