要点刑法 252 条の横領罪は、自己が占有する他人の物を横領した者を五年以下の拘禁刑に処す。返還の意思があっても、自分のものとして処分した時点で成立する。
Q · 会社のお金を一時的に借りて給料日に戻すつもりでも、横領になるんですか?
なります。返す意思があっても成立します
刑法 252 条により、自己が占有する他人の物を横領すると五年以下の拘禁刑に処せられます。横領は、権限を超えて他人の物を自分のものとして処分した時点で成立し、後で返したかどうかは犯罪の成否を左右しません。経理など業務として占有する立場なら、刑が二倍重い業務上横領罪(253 条)に格上げされます。疑われた場合は、起訴前の全額弁済と示談が不起訴の可能性を残す最大の手段です。
会社の金庫から五万円を抜き、週末に競馬で増やして月曜の朝に戻す。「ちょっと借りただけ、誰も損していない」。その理屈は法廷で一秒も持たない。横領罪が裁くのは「物が戻ったかどうか」ではなく、「あなたが、預かっただけの他人の物を、自分のものであるかのように扱った瞬間」だからだ。あなたが知っておくべき核心は三つ。第一に、横領は委託信任関係、つまり「信じて預けた」という関係を裏切る犯罪であること。第二に、成立の鍵は不法領得の意思、すなわち権限を超えて自分のものとして処分する意思であり、後で返すつもりでも成立しうること。第三に、第2項は意外な落とし穴で、差押えなどで公務所から保管を命じられた自分の物を勝手に処分すれば、それが自分の所有物でも横領になる。預かる側に回った瞬間、あなたの財布の中の常識は通用しなくなる。
刑法 252 条の横領罪は、自己が占有する他人の物を不法に領得する犯罪である。委託信任関係に基づき占有する他人の物を、権限を超えて自分のものとして処分する不法領得の意思の発現により成立する。占有移転を伴わない点で窃盗罪と区別され、第 2 項は公務所から保管を命じられた自己の物の横領も同様に処罰する。
刑法 252 条が定める犯罪で、自己が占有する他人の物を横領する罪です。委託に基づき預かった物を、権限を超えて自分のものとして処分した時点で成立し、五年以下の拘禁刑に処せられます。
窃盗は他人が占有する物を奪う罪、横領はすでに自分が占有する他人の物を領得する罪です。物の占有が誰にあるかが区別の決め手で、預かった物を着服すれば横領、他人の物を持ち去れば窃盗です。
横領罪は長期五年の拘禁刑にあたるため、公訴時効は 5 年です(刑事訴訟法 250 条 2 項)。起算点は横領行為が終わった時で、継続的な使い込みでは最後の行為時から数えるのが原則です。
なります。刑法 252 条 2 項は、公務所から保管を命じられた自己の物を横領した場合も処罰すると定めます。所有権が自分にあっても、自由に処分できる権利と一致しないため横領です。
権限がないのに、所有者でなければできないような処分をする意思です。横領罪の成立に必要で、後で返すつもりでも、確定的に自分のものとして扱う意思が表れれば認められます。
金額や被害回復の有無により異なります。被害額が大きく弁済もない場合は初犯でも実刑がありえます。起訴前に全額弁済と示談ができれば、起訴猶予による不起訴の可能性が高まります。
物を自分のものにすれば横領、任務に背いて財産上の損害を与えれば背任です。同じ行為がどちらにも当たりうるため、どちらで起訴するかは検察官の判断に委ねられ、刑も変わります。
委託関係のない占有離脱物を領得した場合は、横領罪ではなく遺失物等横領罪(刑法 254 条)になります。法定刑は一年以下の拘禁刑等と軽く、落とし物の着服がこれに当たります。
なります。横領は、権限を超えて他人の物を自分のものとして処分した時点で成立し、その後返したかどうかは犯罪の成否を左右しません(252 条)。返還は量刑や示談で大きく評価されるだけです。業界裏話ヒント:とはいえ実務では、起訴される前に被害を全額弁済し、被害者から許しを得ていると、起訴猶予で不起訴になる割合がかなり高い。横領事件は被害回復のスピードが前科の有無を分けるので、疑われた瞬間から弁済と示談に全力を注ぐのが定石です
占有が「業務として」のものかどうかで分かれます。経理担当など反復継続して他人の財産を預かる立場なら業務上横領(253 条)で、法定刑は 10 年以下と単純横領(252 条、5 年以下)の二倍重い。業界裏話ヒント:検察は迷ったら重い業務上横領で起訴しがちです。弁護側が『その物を業務として占有していたわけではない』と業務性を切り崩せれば 252 条に下がり、刑の上限が半分になる。起訴罪名は確定ではなく、争える余地がある
客観的には横領に当たりえますが、配偶者・直系血族・同居の親族の間の横領には親族相盗例(255 条が準用する刑法 244 条)が適用され、刑が免除されます。つまり兄が同居していれば刑事処罰は原則できません。業界裏話ヒント:抜け道として、別居の親族なら親告罪扱いで告訴により処罰可能になり、また成年後見の申立てで兄から財産管理権を取り上げる、不当利得・不法行為で民事返還を求める、という民事ルートは残ります。刑事で止まっても、財産を守る手は別にある
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 行為の客体 | 自己が占有する他人の物(252 条) | — |
| 主体・占有の性質 | 委託に基づき占有する者 | — |
| 法定刑 | 五年以下の拘禁刑 | — |
| 区別の決め手 | 物を自分のものとして領得したか | — |
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