要点刑法 244 条の親族相盗例は、配偶者・直系血族・同居の親族間の窃盗罪等の刑を免除する。ただし犯罪は成立し、別居の親族との間は親告罪となる。
Q · 家族のお金を盗んだら、罪に問われないの?
犯罪は成立するが、同居の親族間なら刑は免除される
刑法 244 条 1 項により、配偶者・直系血族・同居の親族との間で犯した窃盗罪等は、犯罪は成立するものの刑が免除されます。逮捕や捜査の対象にはなり得ますが、最終的に刑罰は科されません。これらの親族以外の親族(別居の兄弟など)との間では親告罪となり、告訴がなければ起訴されません。ただし成年後見人による使い込みには本条は準用されず(最決平成 20.2.18)、業務上横領として処罰されうる点に注意が必要です。
家族のサイフから一万円を抜いた。同居の弟のゲーム機を勝手に売り払った。法律上、これは立派な窃盗罪である。だが刑法244条があなたを救う。配偶者、親子(直系血族)、同居の親族との間の窃盗は、犯罪は成立するが「その刑を免除する」。つまり警察沙汰になり、起訴されたとしても、最終的に刑罰は科されない。ただし誤解してはいけない。これは無罪ではなく、犯罪が成立した上での「処罰阻却」だ。さらに落とし穴がある。同居していない親族(別居の兄弟、おじ、いとこ)との窃盗は刑の免除ではなく「親告罪」、つまり被害者が告訴しなければ起訴されないだけで、告訴されれば普通に処罰される。そして最大の罠は、認知症の親の財産を管理する成年後見人になった瞬間、たとえ実の子でもこの条文の盾が外れることだ。
親族相盗例とは、刑法 244 条が定める、一定の親族間の窃盗罪等につき刑を免除しまたは親告罪とする特例である。配偶者・直系血族・同居の親族との間では刑が免除され、それ以外の親族との間では告訴がなければ公訴を提起できない。犯罪の成立自体は否定されず、刑罰権の発動のみが制限される点に特徴がある。
刑法 244 条が定める、一定の親族間の窃盗罪等について刑を免除しまたは親告罪とする特例です。配偶者・直系血族・同居の親族との間は刑が免除されます。
「法は家庭に入らず」という政策思想に基づきます。家族内の財産のやり取りに国家刑罰権が踏み込むと家庭の平和が壊れるため、近しい親族間は刑を免除しています。
親族の範囲は民法 725 条が基準で、6 親等内の血族・配偶者・3 親等内の姻族です。そのうち実際に生活を共にしている者が「同居の親族」にあたります。
適用されません。本条の「配偶者」は法律上の婚姻関係にある者を指し、内縁関係には及ばないと解されています。婚姻届の有無が処罰の分かれ目になります。
免除されません。成年後見人は公的な財産管理責任を負うため、実子であっても 244 条は準用されず(最決平成 20.2.18)、業務上横領となりえます。
使えます。刑法 251 条が詐欺・恐喝に、255 条が横領に 244 条を準用します。盗品等の罪には 257 条が別途特例を定めています。
別居の親族との窃盗は親告罪で、告訴できるのは犯人を知った日から 6 か月以内です(刑事訴訟法 235 条 1 項)。この期間を過ぎると起訴できなくなります。
親族でない共犯には親族相盗例は適用されません(244 条 3 項)。同じ窃盗でも、親族は刑を免除され、非親族の共犯は通常どおり処罰されます。
逮捕・捜査される可能性はあります。窃盗罪自体は成立するからです。ただし配偶者・親子・同居の親族との間なら、刑法244条1項で最終的に刑が免除されます。業界裏話ヒント:刑が免除されても「犯罪を犯した事実」は消えず、完全な無罪放免ではありません。免除はあくまで法律上の話で、壊れた家族の信頼が戻るかは別問題。繰り返せば、守ってくれるのは条文だけになる
あなたが家庭裁判所に選任された成年後見人であれば、刑法244条の親族特例は適用されません(最決平成20.2.18)。後見人は公的な財産管理責任を負うため、親族であっても免除されず、使い込みは業務上横領(刑法253条)になりえます。業界裏話ヒント:後見人になる前なら244条で守られた行為が、就任した瞬間に重罪化します。親の財産管理を頼まれたら、後見制度を使うかどうかは慎重に。レシートと使途の記録が、後であなたを守る唯一の証拠になります
別居の兄弟は『同居でない親族』にあたり、刑の免除ではなく親告罪です(刑法244条2項)。あなたが告訴すれば起訴され、通常どおり処罰されます。ただし告訴できるのは犯人を知った日から6ヶ月以内(刑事訴訟法235条1項)。業界裏話ヒント:この6ヶ月という期限を知らず、家族会議で穏便にと粘っているうちに期間が過ぎ、訴追できなくなるケースが多い。刑事で攻めるなら期限を意識し、その間も民事請求の準備を並行して進めるべきです
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象となる続柄 | 配偶者・直系血族・同居の親族(244 条 1 項) | — |
| 法的効果 | 犯罪は成立するが刑を免除 | — |
| 告訴の要否 | 告訴の有無を問わず起訴・処罰されない | — |
| 根拠条文 | 刑法 244 条 1 項 | — |
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