第二百四十四条の規定は、この章の罪について準用する。
要点刑法 255 条は、横領の罪に親族相盗例(244 条)を準用する規定。配偶者・直系血族・同居の親族間の横領は刑が免除されるが、犯罪自体は成立し民事責任は残る。
Q · 同居の親のお金を使い込んだら、刑法 255 条で本当に無罪になるの?
刑は免除されうるが犯罪は成立し、民事責任は残る
刑法 255 条は横領の罪に親族相盗例(244 条)を準用します。配偶者・直系血族・同居の親族間の横領は、横領罪が成立しても刑が免除されます。ただし免除されるのは『刑』であって『犯罪の成立』ではないため、不当利得返還や損害賠償などの民事責任は残ります。別居の親族は親告罪にとどまり、家庭裁判所が選任した成年後見人には親族相盗例は適用されません(最決平成 24 年 10 月 9 日)。
たった一行だが、効果は重い。「第二百四十四条の規定は、この章の罪について準用する」。第38章は横領の罪、つまり横領(252条)、業務上横領(253条)、遺失物等横領(254条)を定める章だ。そして244条は「親族相盗例」と呼ばれ、配偶者・直系血族・同居の親族の間で犯した財産犯は刑を免除し、それ以外の親族の間では告訴がなければ起訴できない(親告罪)とする特例である。255条はこの特例を横領にも当てはめる。つまり、同居する親の通帳から金を引き出して使い込んでも、配偶者・直系血族・同居親族の間なら、形式上は横領罪が成立しても刑が免除される。あなたが「家族の金は家族の金」と感じているその感覚を、法律も一部だけ追認している。ただし境界線は容赦ない。別居の親族、内縁、そして家庭裁判所が選んだ後見人には、この盾は一切届かない。
刑法 255 条は親族相盗例の準用を定める規定であり、横領の罪の章(横領罪・業務上横領罪・遺失物等横領罪)について刑法 244 条を準用する。これにより、配偶者・直系血族・同居の親族の間の横領は刑が免除され、その他の親族間では告訴がなければ起訴できない親告罪となる。
配偶者・直系血族・同居の親族の間の財産犯について刑を免除し、その他の親族の間では親告罪とする刑法の特例です。刑法 244 条が本体で、255 条が横領の罪に準用します。
刑法 244 条(親族相盗例)を、横領罪(252 条)・業務上横領罪(253 条)・遺失物等横領罪(254 条)に準用しています。横領の章全体に親族間の特例が及びます。
成立します。親族相盗例が免じるのは『刑』であって『犯罪の成立』ではありません。犯罪は成立するため、民事上の返還義務(不当利得・損害賠償)はそのまま残ります。
適用されません。親族相盗例の『配偶者』は法律上の婚姻に基づく配偶者を指し、内縁関係は含まれません。内縁の相手の財物を横領すれば横領罪がそのまま処罰されます。
『刑』が免除されるだけで、『罪』は成立します。一身的処罰阻却事由と理解されており、犯罪としては成立するため共犯処理や民事責任の判断には影響しません。
刑の免除は配偶者・直系血族・同居の親族に限られます。それ以外の親族(別居の兄弟姉妹など)は刑免除ではなく親告罪にとどまり、告訴があれば起訴されます。
できます。免除されるのは刑事の刑罰だけで、民事の不当利得返還請求(民法 703 条以下)や損害賠償、遺産分割での精算は別途可能です。刑事と民事は分けて考えます。
適用されます。刑法 251 条が詐欺・恐喝の章に 244 条を準用しています。横領は 255 条、詐欺恐喝は 251 条という形で、財産犯の各章ごとに準用規定が置かれています。
横領罪(252条)自体は成立します。ただし255条が準用する244条1項により、同居の直系血族間なので『刑が免除』されます。犯罪は成立するが処罰されない、という構造です。民事上の返還義務は別に残ります。業界裏話ヒント:刑が免除されても、他の相続人から不当利得返還請求や遺産分割で争われれば、使った金は結局返すことになる。『刑事は安全だから』と使い込むと、民事で全額追われる側に回る
許されません。最高裁平成24年10月9日決定は、家庭裁判所から選任された成年後見人である親族には親族相盗例(255条・244条)を適用しないとしました。後見人は公的な財産管理者であり、業務上横領罪(253条)で実刑もありえます。業界裏話ヒント:親族後見人の使い込みは『経済的虐待』として近年厳しく扱われ、家裁の後見監督も強化されている。『親の金だから』という感覚で手を出すと、後見人という立場ゆえに最も重く処罰される側になる
できます。別居の親族は244条1項の『刑免除』の対象外で、244条2項の準用により『親告罪』となります。告訴すれば起訴可能です。ただし告訴期間は犯人を知った日から6か月(刑訴235条)。業界裏話ヒント:相続争いでは、この6か月の告訴期間を知らないまま民事交渉を続けるうちに期間が切れ、刑事カードを失うケースが本当に多い。刑事の可能性を残したいなら、まず期間内に告訴状を準備しておくのが定石
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象となる犯罪 | 255 条:横領罪・業務上横領罪・遺失物等横領罪 | — |
| 条文の役割 | 横領の章へ 244 条を準用する規定 | — |
| 親族間の効果(共通) | 同居直系血族等は刑免除、別居親族は親告罪 | — |
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