この章の罪の未遂は、罰する。
要点刑法250条は、詐欺・恐喝の罪(246条〜249条)の未遂を処罰する規定。財物を得る前でも、欺く・脅す行為に着手すれば未遂が成立する。
Q · 詐欺や恐喝に失敗してお金を受け取れなかったら、罪にならないの?
お金を得ていなくても詐欺・恐喝の未遂で処罰される
刑法250条により、詐欺(246条)・電子計算機使用詐欺(246条の2)・準詐欺(248条)・恐喝(249条)の未遂はすべて処罰されます。受け子が現金を受け取る前、脅迫者が金を出させる前でも、人を欺く・脅す行為に着手した時点で未遂が成立します。43条で刑を減軽できる余地はありますが、これは任意的減軽で、裁判官が必ず減らすとは限りません。特殊詐欺では未遂でも実刑となる例が珍しくありません。
アルバイト感覚で「荷物を受け取って渡すだけ、日当3万円」という SNS の求人に応募した。指定された家のインターホンを押した瞬間、私服の警官に囲まれる。現金はまだ一円も手にしていない。それでも、あなたは詐欺未遂の現行犯で逮捕される。刑法250条は、第37章「詐欺及び恐喝の罪」に属するすべての罪、つまり詐欺(246条)、電子計算機使用詐欺(246条の2)、準詐欺(248条)、恐喝(249条)について、未遂を罰すると定める。たった一行だが、この一行があなたの常識を覆す。多くの人は「失敗したのだから罪にならない」と思っている。法律はそう考えない。だまそうとして人を欺く行為に着手した時点、金を出させようと脅した時点で、結果が出ていなくても処罰の射程に入る。確かに43条で刑を減軽できる余地はある。だが任意的、つまり裁判官が減らすかどうかを決めるだけで、未遂だから当然軽くなる保証はどこにもない。
刑法250条は、詐欺及び恐喝の罪の章(246条から249条)に属する各罪について未遂の処罰を定める規定である。刑法44条は未遂を罰するには各本条の定めを要するとし、本条がその根拠となる。実行の着手があれば、財物・財産上の利益の取得という結果が発生していなくても未遂罪が成立する。
詐欺の実行に着手したが財物・利益を得られなかった場合をいいます。刑法246条と250条により処罰され、人を欺く行為に着手した時点で成立します。
自分の意思で犯行をやめたのが中止未遂で刑が必要的に減免されます(43条但書)。外的事情で失敗したのが障害未遂で減軽は任意的です。
詐欺の法定刑は10年以下の拘禁刑で未遂も同じ枠です。組織性・反復性が重く見られ、未遂でも実刑判決が出る例が珍しくありません。
詐欺・恐喝の法定刑は10年以下のため公訴時効は7年です(刑訴250条2項4号)。起算点は犯罪行為が終わった時点となります。
成立します。被害者が既に通報し『だまされたふり』をしている段階から加担した受け子にも、判例は詐欺未遂の共同正犯を認めています。
被害者に嘘を告げて財物の交付を求める行為に着手した時点です。電話で嘘をついた、受け取りのため自宅を訪れた段階で着手が認められます。
応募のみでは通常未遂になりませんが、受け子として現場に向かいインターホンを押すなど実行に着手すれば、詐欺未遂で逮捕されえます。
成立します。相手を畏怖させて財物・利益を交付させようとする行為に着手すれば、相手が払わなくても恐喝未遂(249条+250条)です。
詐欺未遂(246条+250条)として起訴されます。43条で刑を減軽できる余地はありますが、これは任意的減軽で、裁判官が減らすとは限りません。特殊詐欺は組織性・悪質性が重く見られ、未遂でも実刑になる例が多い。業界裏話ヒント:あなたが受け取りに行った相手が、実は既に警察に通報して『だまされたふり』をしていたケース(だまされたふり作戦)でも、判例は途中から加担した受け子に詐欺未遂の共同正犯を認めています(最決平成29年12月11日)。『途中から入っただけ』は免罪符にならない
恐喝未遂(249条+250条)が成立します。財物や利益を得られなくても、相手を畏怖させて金を出させようとする行為に着手した時点で未遂です。脅し文句が録音やメッセージに残っていれば、それが着手の証拠になります。業界裏話ヒント:『正当な債権の取り立て』のつもりでも、手段が社会通念を超えて威圧的だと恐喝になります。借金の取り立てで『家族にバラす』『職場に行く』と言った瞬間、正当な権利行使から恐喝未遂へ転落しうる。取り立ては内容証明や法的手続でやるのが安全
詐欺の故意(だまし取る金だという認識)がなければ詐欺罪は成立しません。だからこそ捜査の最大の争点は『知っていたか』に集中します。ただし『知らなかった』と言えば必ず通るわけではなく、報酬の異常な高さ、身分を隠す指示、不自然な受け渡し方法などから故意が推認されます。業界裏話ヒント:取調べの初期段階での供述が決定的です。一度『うすうす怪しいと思った』と言ってしまうと、未必の故意を認めたと評価されかねない。記憶が曖昧なことは曖昧なまま、弁護人が来るまで安易に認めないのが鉄則
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 結果の有無 | 250条(未遂):財物・利益を得ていない | — |
| 成立時点 | 欺く・脅す行為に実行の着手があった時点 | — |
| 刑の取扱い | 任意的減軽(43条本文、裁判官の裁量) | — |
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