要点刑法 26 条の 2 は、執行猶予中の罰金刑、保護観察の遵守事項違反、前の執行猶予の発覚を事由として、裁判所が刑の全部の執行猶予を裁量で取り消せると定める規定である。
Q · 執行猶予って、何をしたら取り消されるの?
罰金刑・遵守事項違反・前科発覚の三つが裁量的取消しの事由です
刑法 26 条の 2 は、執行猶予の裁量的取消しの三事由を定めます。第一に猶予期間内に更に罪を犯し罰金に処せられたとき、第二に保護観察付きで遵守事項を守らずその情状が重いとき、第三に猶予の言渡し前に他罪で執行猶予を受けていた事実が発覚したときです。重要なのは「取り消すことができる」という裁量的取消しである点で、必ず取り消される 26 条と違い、本人や弁護人が更生状況などを主張して争う余地が残されています。
執行猶予の判決を受けて、その場では胸をなでおろした人は多い。だが大きな誤解がある。執行猶予は「無罪放免」でも「リセット」でもない。猶予期間という名の試用期間であり、刑法 26 条の 2 はその試用期間中にあなたの足元が崩れる三つの落とし穴を定めている。第一に、猶予期間内に新たな罪を犯して罰金刑になったとき。第二に、保護観察付きの猶予で遵守事項を破り、その情状が重いとき。第三に、猶予の言渡し前に別の罪で拘禁刑の執行猶予を受けていたことが後から発覚したとき。決定的なのは、これらが「取り消すことができる」という裁量的取消しである点だ。26 条の必要的取消し(猶予中の犯罪で実刑になれば必ず取り消される)と違い、ここには裁判所の判断の余地がある。つまり、あなたや弁護人が「取り消すべきでない」と主張し、争う隙間が残されている。罰金で済んだから安全、と思った瞬間が一番危ない。
刑法 26 条の 2 は、刑の全部の執行猶予の裁量的取消しを定める規定である。猶予期間内の罰金刑、保護観察の遵守事項違反でその情状が重いとき、又は猶予の言渡し前に他の罪で拘禁刑の執行猶予を受けていた事実の発覚を取消事由とし、必要的取消し(26 条)と異なり、取消しの可否を裁判所の裁量に委ねる点に特徴がある。
猶予されていた刑の執行を現実に行うため、執行猶予の言渡しを失効させる処分です。取消しには必要的(26 条)と裁量的(26 条の 2)があります。
反則金で済む軽微な違反は原則影響しませんが、過失運転致傷などで罰金刑になると、26 条の 2 第 1 号により裁量的取消しの対象になりえます。
原則として猶予期間内です。期間が無事経過すると刑の言渡し自体が効力を失う(刑法 27 条)ため、満了日が事実上の時間的限界になります。
猶予されていた元の刑が現実に執行されます。新たな罪の刑とは別個に服することになり、二つの刑を負う可能性があります。
検察官が裁判所に請求します。請求するか否かにも検察官の裁量があり、軽微な事案では請求を見送ることもあります(刑訴 349 条)。
猶予期間を無事に経過すると、刑法 27 条により刑の言渡しが効力を失います。以後、その刑を理由に収容されることはなくなります。
罰金刑も前科として記録されます。さらに執行猶予中の人にとっては、26 条の 2 第 1 号による猶予取消しの引き金にもなりえます。
略式手続による罰金でも『罰金に処せられたとき』に該当し、裁量的取消しの事由になりえます。略式だから安全ということはありません。
絶対ではありません。刑法 26 条の 2 第 1 号は「取り消すことができる」という裁量的取消しで、必ず取り消す 26 条とは別物です。裁判所が更生状況や事件の軽重を総合判断します。業界裏話ヒント:検察官が取消請求を出すかどうかにも裁量があり、軽微な罰金事案では請求自体を見送ることもある。だからこそ新事件の段階で弁護人がつき、悪質でないと示せるかが効いてくる。請求が出てから動くより、処分が固まる前から動いた方が勝率が高い
一回の違反で即取消しにはなりにくいです。26 条の 2 第 2 号は「遵守事項を遵守せず、その情状が重いとき」と限定しており、違反の継続性や態度の悪質さが評価されます。業界裏話ヒント:危ないのは「一回くらい」と軽視して連絡を絶つこと。保護司との関係が切れた状態が続くと、それ自体が「情状が重い」と評価されやすい。逆に、違反後すぐに保護観察所へ連絡し立て直す姿勢を見せれば、取消しを避けられる余地が大きく広がる
はい。猶予が取り消されると、猶予されていた元の刑が現実に執行され、新たな罪の刑とは別個に服することになります(併合罪として処理される範囲を除く)。執行猶予の身軽さを失う代償は大きいのです。業界裏話ヒント:この「二つの刑が一度に来る」リスクこそ、執行猶予中の人が軽い事件でも徹底的に争うべき理由。弁護士は元の刑の重さと新事件の軽さを天秤にかけ、たとえ新事件で不利な条件をのんでも罰金・不起訴を取りに行く戦略を組むことがある
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 取消しの性質 | 26 条の 2:裁量的取消し(取り消すことができる) | — |
| 主な事由 | 猶予中の罰金刑/遵守事項違反で情状が重い/前の執行猶予の発覚 | — |
| 裁判所の裁量 | あり(更生状況・情状を総合考慮して可否を判断) | — |
| 本人が争う余地 | 意見陳述により『取り消すべきでない』と主張できる | — |
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