第二条から前条までに規定するもののほか、この法律は、日本国外において、第二編の罪であって条約により日本国外において犯したときであっても罰すべきものとされているものを犯したすべての者に適用する。
要点刑法 4 条の 2 は、第 2 編の罪のうち条約が国外犯処罰を義務付けた犯罪について、国籍や犯行地を問わず日本国外で犯した者全員に日本刑法を適用する規定である。
Q · 外国人が外国で犯した罪を、日本の裁判所が裁くことってあるの?
条約対象の重大犯罪なら、外国人が外国で犯しても日本で裁ける場合があります
刑法 4 条の 2 により、刑法第 2 編の罪のうち、条約が『どの国も処罰せよ』と国外犯処罰を義務付けた犯罪については、犯人の国籍や犯行地、被害者の国籍を問わず、日本国外で犯したすべての者に日本刑法が適用されます。背景には『引き渡すか、自国で訴追するか(aut dedere aut judicare)』という国際刑事の原則があり、容疑者の身柄が日本にある限り、日本が処罰権を行使しうる余地が生まれます。属地主義(1 条)の例外であり、テロ等の重大犯罪に安全地帯を作らせないための世界主義の規定です。
犯罪は犯した場所の国の法律で裁かれる、それが世界の常識だ。だが刑法 4 条の 2 は、その常識に静かな穴を開ける。刑法第二編に並ぶ罪のうち、条約が『どの国も見逃さず処罰せよ』と各国に義務付けた犯罪については、日本国外で、しかも日本人でも被害者が日本人でもない場面であっても、犯した者すべてに日本の刑法が適用される。背景にあるのは『引き渡すか、自国で訴追するか(aut dedere aut judicare)』という国際刑事の大原則だ。国際社会が『これだけは安全地帯を作らせない』と決めた犯罪については、加害者の国籍も犯行地も問わず、その身柄が日本にある限り、日本が処罰の網をかけられる余地が生まれる。海外赴任や旅行先で重大事件に関わったとき、あなたを裁きうる国は一つとは限らない、その事実をこの一条が告げている。
刑法 4 条の 2 は条約による国外犯を定める規定であり、刑法第 2 編の罪のうち、条約により日本国外で犯した場合でも処罰すべきものとされる犯罪について、犯人の国籍・犯行地を問わず、日本国外で犯したすべての者に日本刑法を適用する旨を規定する。属地主義(1 条)・保護主義(2 条)・属人主義(3 条)とは異なり、国際社会の共通利益を保護する世界主義に立脚する。
条約が各国に処罰を義務付けた犯罪について、自国外で犯した者にも自国の刑法を適用する仕組みです。刑法 4 条の 2 が根拠で、犯人の国籍も犯行地も問いません。
国籍・犯行地・被害者を問わず、国際社会共通の利益を害する犯罪を各国が処罰できるとする原則です。属地主義や属人主義と並ぶ刑法の場所的適用範囲の考え方の一つです。
原則は裁けませんが、刑法 4 条の 2 が定める条約対象犯罪なら、外国人が外国で犯した場合でも日本刑法が適用され、身柄が日本にあれば訴追されうります。
属地主義(1 条)は日本国内で起きた犯罪を裁く原則、世界主義(4 条の 2)は条約対象犯罪を場所を問わず裁く例外です。原則と例外の関係にあります。
aut dedere aut judicare と呼ばれ、容疑者を他国に引き渡さないなら自国で訴追せよという国際義務です。4 条の 2 はこの義務を国内で担保します。
刑法第 2 編の罪のうち、条約が国外犯処罰を義務付けたものに限られます。テロや人質など多くは特別法が拾い、4 条の 2 は刑法本体を補充的にカバーします。
条文上は適用範囲に含まれますが、現実の処罰には身柄の確保が必要です。容疑者が入国・在留して身柄が日本にあるとき、訴追が現実味を帯びます。
2 条は保護主義、3 条は属人主義、4 条は公務員、4 条の 2 は条約による世界主義です。立脚する原理が違うため、事件ごとにどの条文が根拠かを精査します。
そうとは限りません。刑法 5 条は、外国で確定判決を受けても日本で同じ行為を処罰することを妨げないと定めています。ただし外国で刑の全部または一部の執行を受けたときは、日本での刑を減軽または免除できます。つまり『二重に裁かれうるが、執行は調整される』という建て付けです。業界裏話ヒント:実務では外国判決の存在は量刑で大きく考慮されますが、自動的に免責されるわけではありません。海外で前科がある事件では、その判決書と執行記録を早期に取り寄せ、5 条の減免を主張する材料にするのが定石です。
多くは刑法本体ではなく特別法で裁かれます。ハイジャックは航空機の強取等の処罰に関する法律、人質事件は人質による強要行為等の処罰に関する法律など、それぞれが独自の国外犯規定を持っています。4 条の 2 は、刑法第二編の罪のうち条約が国外犯処罰を求めるものを補充的に拾う規定です。業界裏話ヒント:どの法律で立件されるかで法定刑も国外犯の範囲も変わるため、国際事件では『刑法か特別法か』の見極めが弁護の第一歩になります。報道の『〜罪』という言葉だけで条文を特定しないことが重要です。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 立脚する原理 | 4 条の 2:世界主義(国際社会の共通利益) | — |
| 犯人の国籍 | 問わない(外国人を含む全員) | — |
| 適用の鍵 | 条約が国外犯処罰を義務付けているか | — |
| 被害者の国籍 | 問わない | — |
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