要点刑法 62 条は、正犯を幇助した者を従犯として処罰すると定める。見張りや資金提供など犯行を容易にする行為が対象で、従犯の刑は正犯より必ず減軽される(63 条)。
Q · 犯人を手助けしただけで、自分は何も盗んでいなくても罪になるの?
手を下さなくても、犯行を助ければ従犯として処罰される
刑法 62 条により、正犯を幇助した者は従犯として処罰されます。幇助とは犯行を物理的・精神的に容易にする行為で、道具や資金の提供、見張り、情報提供のほか「やれよ」と背中を押す精神的幇助も含みます。自分は一発も殴っていない、一円も奪っていなくても処罰の対象になりえます。ただし従犯の刑は正犯より必ず減軽され(63 条)、成立には幇助の故意と、行為が正犯の実行を容易にしたという因果性が必要です。
犯人に逃走用の車を貸した。詐欺と薄々気づきながら自分の口座を渡した。万引きの計画を聞いて店の見張りに立った。これらに共通するのは、あなた自身は一発も殴っていない、一円も奪っていないという点だ。それでも刑法62条は「正犯を幇助した者は、従犯とする」と定める。実行行為を手伝った者、つまり犯行を物理的・精神的に容易にした者は、従犯として処罰される。重要なのは、幇助は道具や金の提供のような物理的なものに限らず、「やれよ」と背中を押す精神的な後押しまで含むという点だ。さらに62条2項は、従犯を唆した者にも従犯の刑を科す。たしかに従犯の刑は正犯より必ず減軽される(63条)。しかし「手を下していない」という安心は、刑法の前では通用しない。
刑法 62 条にいう従犯とは、正犯の実行行為を幇助した者をいう。幇助とは、正犯による特定の犯罪の実行を物理的または精神的に容易にする行為であり、道具・資金・情報の提供のほか、見張りや助言・激励も含まれる。従犯の成立には幇助の故意と、幇助行為が正犯の実行を容易にしたという因果性を要する。
正犯の実行行為を幇助した者をいいます(刑法 62 条)。自ら実行行為を行わず、道具・資金・情報の提供や見張りなどで犯行を容易にした者が該当します。
共同正犯(60 条)は実行を分担し正犯として扱われ減軽されません。従犯は実行を手助けしただけで、刑は正犯より必ず減軽されます(63 条)。この区別で量刑が大きく変わります。
道具や金の提供のような物理的援助だけでなく、「やれよ」と励まして正犯の決意を強める行為も幇助に当たることをいいます。状況次第で一言が精神的幇助と評価されます。
正犯が一定の犯罪を実行することを認識し、それを助ける認識をいいます。事情を知らず物を貸したなど故意がなければ従犯は成立しません。
ソフトやサービスの提供のような中立的行為は、違法利用の可能性を認識しているだけでは足りないとされます(Winny 事件・最決平成 23.12.19)。提供態様や認識の程度で判断されます。
従犯が処罰されるには正犯が少なくとも実行に着手している必要があります。正犯が実行に至らなければ、幇助行為だけで従犯として処罰されるのは原則困難です。
従犯固有の公訴時効はなく、加担した正犯の罪の法定刑を基準に時効期間が定まります(刑訴 250 条)。起算点は犯罪行為が終わった時です(刑訴 253 条)。
幇助行為が正犯の実行を現実に容易にしたという関係をいいます。自分の関与がなくても犯行が同じように成立したと言えれば、容易にしたとまで評価できず幇助に当たらない余地があります。
本当に「知らなかった」なら幇助の故意がなく従犯は成立しません。ただし実務では「詐欺に使われるかもと薄々分かっていたのでは」と未必の故意を問われやすい。さらに口座の譲渡自体が犯罪収益移転防止法違反になることもあります。業界裏話ヒント:捜査機関は「普通そんな話に応じるはずがない」という経験則で未必の故意を推認してくる。最初の取調べで「絶対に犯罪とは思わなかった」理由を具体的に語れるかが分水嶺で、曖昧な供述は後で故意の証拠にされる
見張りは典型的な幇助(62条)です。ただし計画を一緒に立てて役割分担していたなら「共同正犯」(刑法60条)として正犯扱いになり、減軽されません。従犯か共同正犯かで刑の重さが大きく変わります。業界裏話ヒント:弁護側は「頼まれて立っていただけ」と従犯にとどめ、検察側は「不可欠な役割を果たした」と共同正犯へ引き上げようとする。同じ見張りでも、この綱引きの結果で執行猶予か実刑かが分かれる
刑法63条で必ず減軽されます。有期の拘禁刑なら長期も短期も2分の1に、死刑は無期または10年以上の拘禁刑に、無期は7年以上の拘禁刑に減軽されます(刑法68条の減軽方法)。ただし元の罪が重ければ減軽後も重いままです。業界裏話ヒント:「従犯=必ず執行猶予」ではない。減軽は法定刑の枠を下げるだけで、その枠内のどこに落とすかは関与の度合い次第。早期に犯行から離脱した、利益を受けていない、といった事情を量刑資料として積み上げるのが実務
理論的には情報提供による幇助の余地がありますが、成立には(1)その情報が特定の犯行を容易にしたという因果性、(2)犯行を助ける認識(故意)が必要です。不特定多数への一般的な投稿で故意・因果性を立証するのは容易ではありません。業界裏話ヒント:問題は「誰の何の犯行を助ける認識があったか」。特定の相手とやりとりして犯行を後押しした場合は故意が認定されやすく、独り言のような投稿とは扱いが全く違う。DMでの個別のやりとりは決定的な証拠になる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 関与の態様 | 従犯(62 条):正犯の実行を手助けする | — |
| 正犯か共犯か | 共犯(従犯)として扱われる | — |
| 刑の重さ | 正犯の刑を必ず減軽(63 条) | — |
| 典型例 | 見張り、道具・口座・情報の提供、激励 | — |
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