刑事訴訟法 第468条
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- 正式裁判の請求が法令上の方式に違反し、又は請求権の消滅後にされたものであるときは、決定でこれを棄却しなければならない。この決定に対しては、即時抗告をすることができる。
- 2.正式裁判の請求を適法とするときは、通常の規定に従い、審判をしなければならない。
- 3.前項の場合においては、略式命令に拘束されない。
- 4.検察官は、第二項の規定により通常の規定に従い審判をすることとされた場合において、起訴状に記載された第二百七十一条の二第一項第一号又は第二号に掲げる者の個人特定事項について、必要と認めるときは、裁判所に対し、当該個人特定事項が被告人に知られないようにするための措置をとることを求めることができる。
- 5.前項の規定による求めは、第二百七十一条の二第一項の規定による求めとみなして、同条第二項の規定を適用する。この場合において、同項中「公訴の提起において、裁判所に対し、起訴状とともに」とあるのは、「速やかに、裁判所に対し」とする。
- 6.第四百六十三条第六項の規定は、前項において読み替えて適用する第二百七十一条の二第二項の規定による起訴状抄本等の提出について準用する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第468条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第468条の条文原文は「正式裁判の請求が法令上の方式に違反し、又は請求権の消滅後にされたものであるときは、決定でこれを棄却しなければならない。」で始まります。
- 刑事訴訟法第468条は第六編に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第468条の前の条は刑事訴訟法第467条です。
- 刑事訴訟法第468条の次の条は刑事訴訟法第469条です。
- 刑事訴訟法第468条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第468条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第468条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/468
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法468条は、略式命令への正式裁判請求が適法なら通常の公判で審判すると定める。審判は略式命令に拘束されず、不利益変更禁止が及ばないため刑が重くなる場合もある。
Q · 略式命令に納得できないとき、正式裁判を請求すれば刑は軽くなるの?
請求できるが、刑が重くなるリスクもある
刑事訴訟法468条により、正式裁判の請求が適法であれば通常の公判手続で審判されます(2項)。ただしこの審判は略式命令に拘束されず(3項)、控訴審にある不利益変更禁止(402条)が適用されません。そのため法定刑の範囲内であれば、略式命令より重い刑が言い渡される可能性もあります。請求の前に、その罪の法定刑の上限と勝算を弁護士に確認することが重要です。判決前なら取下げ(466条)という退路もあります。
解説
駐車場での小競り合いや軽い暴行で、ある日いきなり「略式命令、罰金三十万円」という書面が裁判所から届く。法廷に立った覚えもないのに、刑がもう決まっている。納得できず「正式裁判を請求すれば軽くなるはずだ」と考える人は多い。だが、ここに落とし穴がある。刑訴法468条3項は、正式裁判では裁判所が略式命令に拘束されないと定める。控訴審にある不利益変更禁止(402条)の規定が、ここには存在しない。つまり、あなたが正式裁判を求めた結果、法定刑の範囲内であれば、三十万円の罰金が増額され、罪によっては拘禁刑に振れる可能性すら理論上ある。告知を受けてから14日。この期間にあなたが本当に決めているのは「争うか、払うか」ではなく、「重くなるリスクを引き受けてでも、公開の法廷で言い分を通すか」だ。
法的な位置づけ
刑事訴訟法468条は、略式命令を受けた者が正式裁判を請求した場合の処理を定める手続規定である。不適法な請求は決定で棄却され(1項)、適法な請求は通常の公判手続により審判される(2項)。その審判は略式命令の内容に拘束されず(3項)、本来の刑事審理が尽くされる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.告知日から14日の期限を最初に記録する 略式命令が届いたら、まず告知を受けた日を確認し、翌日起算で14日の請求期限(刑訴法465条)を手帳やカレンダーに書き込む。一日でも過ぎると請求権が消滅する
- 2.その罪の法定刑の上限と下振れリスクを確認する 当番弁護士・法律相談などで、対象犯罪の法定刑の上限と、正式裁判で略式命令より重い刑になる現実的可能性を評価する。不利益変更禁止が及ばない前提で勝算を計算する
- 3.争うか受け入れるかを判断する 言い分が通る見込みが高く、下振れリスクが許容できるなら正式裁判を請求する。見込みが薄く重くなるリスクが大きい場合は、略式命令を受け入れる判断もありうる
- 4.正式裁判請求書を方式に従って提出する 請求は書面で行う。方式違反があると468条1項で入口棄却されるため、書式・記載事項を裁判所書記官に確認したうえで、期限内に管轄の裁判所へ提出する
- 5.審理途中で不利と見たら取下げを検討する 請求後、証拠状況が不利と分かった場合は、判決が言い渡される前に取下げ(466条)を行う。取り下げれば元の略式命令が確定し、それ以上重くなる事態を回避できる
よくある質問 AI による整理
Q1正式裁判の請求とは何ですか?
略式命令に不服がある人が、書面審理ではなく公開の公判で改めて審理を求める手続です。刑事訴訟法465条・468条が根拠で、告知から14日以内に行います。
Q2略式命令の正式裁判請求はいつまでにできますか?
略式命令の告知を受けた日の翌日から14日以内です(刑訴法465条)。一日でも過ぎると請求権は消滅し、468条1項で決定棄却されます。
Q3正式裁判を請求すると刑は重くなりますか?
重くなる場合があります。審判は略式命令に拘束されず(468条3項)、控訴審の不利益変更禁止が適用されないため、法定刑の範囲でより重い刑が出る道もあります。
Q4略式命令でも前科になりますか?
なります。略式命令も確定すれば有罪判決と同じく前科として記録されます。就職時の賞罰欄や一部資格の欠格事由に影響しうる点に注意が必要です。
Q5正式裁判の請求は取り下げられますか?
判決が言い渡される前であれば取下げできます(刑訴法466条)。取り下げると元の略式命令がそのまま確定します。形勢不利と見たときの退路になります。
Q6略式命令の罰金を払わないとどうなりますか?
確定後に納付しないと、検察庁からの督促を経て、最終的に労役場留置(換刑処分)に至る場合があります。正式裁判請求とは別の問題として進行します。
Q7正式裁判の請求が棄却されるのはどんなときですか?
請求が法令上の方式に違反する場合、または14日の請求権消滅後にされた場合です(468条1項)。中身を争う前に入口で決定棄却され、即時抗告のみ可能です。
Q8略式命令への異議はどう申し立てますか?
「異議」ではなく正式裁判の請求という形で行います。書面を裁判所に提出し、方式に違反すると棄却されるため、書式は事前に裁判所書記官に確認します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1略式命令って、正式裁判を求めたら絶対に軽くなりますよね?
そうとは限りません。控訴審にある不利益変更禁止(刑訴法402条)は、略式命令への正式裁判には適用されず、裁判所は略式命令に拘束されません(468条3項)。法定刑の範囲内であれば、より重い刑が出る道もあります。実務のポイント:弁護士は正式裁判を勧める前に必ず「下振れリスク」を計算します。勝てる見込みが高い事案でしか請求を勧めないのは、軽くなる可能性と重くなる可能性が同じ扉についているからです。「とりあえず争う」が最も危ない選択になる場面があります
Q2正式裁判を請求したけど、やっぱりやめたくなったら取り消せますか?
判決が言い渡される前であれば、正式裁判請求の取下げ(刑訴法466条)が可能です。取り下げれば、元の略式命令がそのまま確定します。実務のポイント:審理が進んで形勢不利と見えたとき、この取下げが事実上の安全弁になります。重い判決を食らう前に引き分けに戻せる退路があることを知っていれば、請求のハードルは下げつつ、最悪の結末は避けられる。ただし判決が出てしまえばこの手は使えないので、引き際の見極めが勝負です
間違えやすい点 AI による整理
- 「略式命令に文句があるなら正式裁判を求めればいい、最悪でも現状維持」と多くの人が信じている。だが控訴審の不利益変更禁止(402条)はここには適用されない。正式裁判では裁判所が略式命令に拘束されず(468条3項)、法定刑の範囲内なら、より重い刑が言い渡されうる。「最悪でも現状維持」という前提そのものが誤っている
- 正式裁判さえ請求すれば必ず審理してもらえると思われているが、そうではない。請求が法令上の方式に違反していたり、14日の期間が過ぎた後の請求だったりすれば、審理に入る前に決定で棄却される(468条1項)。中身を争う以前に、入口で弾かれる
- 略式命令は「裁判ではないから前科にならない」と誤解する人がいる。略式命令も有罪判決と同じく確定すれば前科として記録される。問題は深刻さの方で、争うのも前科を背負うのも、どちらも軽くはない。その重さを知った上で14日を使うかどうかだ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 468条:正式裁判請求の適否判断と審判(略式命令に非拘束) | 465条:正式裁判請求の方法・14日の請求期間 466条:正式裁判請求の取下げ(判決前の退路) |
| 不利益変更禁止 | 適用なし(3項により略式命令に拘束されず重くなり得る) | — — |
| 対照(控訴審) | 468条:歯止めなし | 402条:控訴審は不利益変更禁止あり(安全網) 461条:略式命令の対象は百万円以下の罰金・科料 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も簡易判決処刑手続を持ち、簡易判決に不服があれば通常手続の第一審として審判する。日本の正式裁判請求に近い構造。
韓国も약식명령への정식재판の청구を認める。なお2017年改正で略式命令より重い刑種への変更を制限する規定が設けられ、日本と異なり一定の歯止めがある。
ドイツの Strafbefehl(刑事命令)は日本の略式手続の母法。Einspruch(異議)により通常の公判に移行する点が正式裁判請求に対応する。
フランスの ordonnance pénale(刑事命令)も書面処理で、opposition(異議)により通常審理に移行する。軽微犯罪に限定される点が共通。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 通勤途中の接触トラブルで相手を押し、暴行罪で略式命令が届いた。罰金二十万円。やっていないと思っているあなたは正式裁判を請求したい。だがその前に、暴行罪の法定刑は二年以下の拘禁刑または三十万円以下の罰金。負ければ略式命令より重い結論が出る道もある。請求ボタンを押す前に、勝算と下振れリスクの両方を計算する必要がある
- もし、あなたに残された時間があと三日だったら? 略式命令の正式裁判請求は告知から14日(刑訴法465条)。この期限を一日でも過ぎれば、罰金は確定し、前科として記録される。請求権が消えた後に出した書面は、468条1項で問答無用に棄却される
- あなたが正式裁判を請求したが、審理が進むうちに「これは負けるし、もっと重くなりそうだ」と気づいた。まだ間に合う。判決が出るまでは請求の取下げ(466条)が可能で、取り下げれば元の略式命令が確定する。引き際を知っているかどうかで、結末が変わる
- 性犯罪や暴力事件の被害者として、加害者が正式裁判に移行した。あなたの氏名や住所が法廷で被告人に知られるのが怖い。2023年の改正で、検察官は裁判所にあなたの個人特定事項を秘匿する措置を求められるようになった(本条4項以下)。泣き寝入りせず、検察官にこの措置を求めるよう伝えられる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 略式命令が届いたら、まず告知日を起点に14日の期限(465条)を手帳に書き込む、一日でも過ぎれば請求権は消える2. その罪の法定刑の上限を調べる、または当番弁護士・法律相談で確認し、正式裁判で重くなる現実的可能性を評価する3. 言い分が通る見込みが高く、かつ下振れリスクが許容できるなら正式裁判を請求、見込みが薄いなら略式命令を受け入れる判断もある4. 請求は書面で、方式違反があると入口で棄却される(468条1項)ので、書式は裁判所書記官に確認する
訴えられた側:1. 正式裁判を請求した後、審理の中で証拠状況が不利と分かったら、判決が出る前に取下げ(466条)という選択肢を思い出す2. 取り下げれば元の略式命令が確定し、それ以上重くなる事態を回避できる3. 公開法廷での主張に勝算があるなら、不利益変更禁止がない前提で、それでも争う価値があるか弁護人と最終確認する4. あなたが被害者で個人情報の露出を恐れる立場なら、検察官に本条4項の秘匿措置を求めるよう申し入れる
時効(請求できる期限):正式裁判の請求は、略式命令の告知を受けた日から14日以内(刑訴法465条1項)。起算は告知日の翌日から計算する。この期間を過ぎた請求は、468条1項により決定で棄却される。棄却決定には即時抗告ができるが、争えるのは「期間内だったか」「方式に違反がないか」という入口の点に限られる
学説
通説・実務:468条3項により正式裁判の審判は略式命令に拘束されず、控訴審の不利益変更禁止(402条)は準用されない。よって被告人のみの請求でも略式命令より重い刑が可能であり、請求は勝算と下振れリスクを比較衡量して判断すべきとされる。
改正沿革 AI による整理
- 令和5年(2023年)改正、令和6年(2024年)2月15日施行 犯罪被害者等の個人特定事項の秘匿制度(271条の2)の創設に伴い、本条に4項から6項を新設。正式裁判への移行後も、検察官が被害者等の氏名・住所等を被告人に知られないようにする措置を裁判所に求められるようにした
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法の制定により、略式手続および正式裁判請求の処理規定として468条が置かれた。請求の適否判断(1項)、通常審判への移行(2項)、略式命令への非拘束(3項)の枠組みが整えられた。
- 2.令和5年(2023年) 改正:犯罪被害者等の個人特定事項の秘匿制度(271条の2)の創設に伴い4項〜6項を新設。令和6年2月15日施行。正式裁判移行後も検察官が被害者等の氏名・住所等の秘匿措置を裁判所に求められるようにした。
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