信託法 第117条(議決権の不統一行使)
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- 受益者は、その有する議決権を統一しないで行使することができる。この場合においては、受益者集会の日の三日前までに、招集者に対しその旨及びその理由を通知しなければならない。
- 2.招集者は、前項の受益者が他人のために受益権を有する者でないときは、当該受益者が同項の規定によりその有する議決権を統一しないで行使することを拒むことができる。
この条文の基本情報
議決権の不統一行使とは何ですか?
定義議決権の不統一行使とは、信託法第117条に定められた規定で、「受益者は、その有する議決権を統一しないで行使することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第117条(議決権の不統一行使)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第117条の条文原文は「受益者は、その有する議決権を統一しないで行使することができる。」で始まります。
- 信託法第117条は第二款 受益者集会に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第117条の前の条は信託法第116条です。
- 信託法第117条の次の条は信託法第118条です。
- 信託法第117条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第117条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第117条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/117
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法117条は、受益者が議決権を統一せずに行使できると定める。受益者集会の三日前までに招集者へ旨と理由の通知が必要で、他人のために受益権を持つ者でなければ招集者は拒める。
Q · 受益者集会で、自分の議決権を賛成と反対に分けて投票できる?
できる。ただし三日前までに旨と理由の通知が必要
信託法117条1項により、受益者は議決権を統一しないで行使できます。その場合、受益者集会の日の三日前までに、招集者へ不統一行使する旨とその理由を通知しなければなりません。さらに同条2項により、その受益者が他人のために受益権を有する者(顧客資産の名義人など)でなければ、招集者は不統一行使を拒むことができます。自分のためだけに受益権を持つ個人が票を割る場合、拒まれる可能性がある点に注意が必要です。
解説
一人の受益者が持つ議決権を「賛成六割、反対四割」のように割って投じることは、法律上認められている。信託法117条1項がそれを正面から許しているからだ。ただし条件が二つある。受益者集会の日の三日前までに、招集者(集会を呼び集める人、多くは受託者)へ「割って投じること」と「その理由」を通知すること。そして2項により、あなたが他人のために受益権を持つ者(顧客の資産を預かる信託銀行や名義人など)でなければ、招集者はこの割れた投票を拒むことができる。言い換えれば、不統一行使は「背後に意見の違う複数の人がいる者」のための仕組みであり、個人が保険をかけるように票を割る道具ではない。この区別を知らないまま当日に票を割ろうとすれば、通知期限切れで弾かれる。知っていれば、背後の顧客全員の意思を一票ずつ正確に届けられる。
法的な位置づけ
議決権の不統一行使とは、受益者集会において一人の受益者が有する複数の議決権の一部を賛成、残りを反対に投じるなど、統一せずに行使することをいう。信託法117条は、集会日の三日前までに招集者へその旨及び理由を通知することを要件とし、他人のために受益権を有する者でない受益者については招集者に拒否権を認めている。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.招集通知の受領日に期限を確定する 受益者集会の招集通知を受け取ったら、集会日から逆算して三日前の通知期限をカレンダーに登録する。集会日当日は期間に算入しない前提で、到達まで余裕を持たせる
- 2.背後の権利者へ賛否を照会する 顧客や背後の権利者に議案ごとの賛否を照会し、議決権数ベースで賛成・反対・棄権の内訳を集計する
- 3.不統一行使の旨と理由を書面で通知する 招集者宛てに、議決権を統一しないで行使する旨と、その理由(例:顧客ごとに指図が異なる)を記載した通知を送る。到達を証明できる方法を選ぶ
- 4.招集者の受否回答を確認し当日に行使する 招集者から拒否の連絡があれば、根拠が1項(期限・理由)か2項(他人のための保有でない)かを確認する。受け入れられたら集会当日に内訳どおり行使し、記録を保存する
よくある質問 AI による整理
Q1議決権の不統一行使とは?
一人の受益者が持つ議決権を、一部は賛成・一部は反対というように分けて投じることです。信託法117条が受益者集会での不統一行使を認めています。
Q2不統一行使の通知はいつまで?
受益者集会の日の三日前までに招集者へ通知する必要があります。集会日当日は算入しないため、余裕を持って到達させるのが安全です。
Q3不統一行使の通知に理由は必要?
必要です。信託法117条1項は「その旨及びその理由」の通知を求めています。顧客ごとに指図が異なるなど、具体的な理由を書面で示します。
Q4招集者は不統一行使を拒否できる?
受益者が他人のために受益権を有する者でないときは拒めます(117条2項)。名義人として顧客の受益権を持つ場合は、この拒否権は及びません。
Q5個人の受益者でも票を割れる?
法律上は通知すれば行使を申し出られますが、自分のために受益権を持つだけの個人なら、招集者は117条2項に基づき拒否できます。
Q6信託の不統一行使と株主総会の不統一行使は同じ?
構造はほぼ同じで、会社法313条も三日前通知と理由、他人のための保有でない場合の拒否を定めています。信託法117条は受益者集会版です。
Q7不統一行使を拒まれたら決議を争える?
要件を満たしたのに不当に拒まれた場合、決議の効力を争う余地があります。通知の到達日・内容と保有関係の資料を残し、弁護士に相談します。
Q8受益証券発行信託でも不統一行使はできる?
受益者集会の規定が適用される場面では、名義人が背後の投資家の意見の割れ方を反映するため本条を使う余地があります。信託行為の定めも確認が必要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1うちの家族信託、受益者が三人いるんですけど、受益者集会ってそもそもあるんですか?
自動的にはない。受益者が二人以上いる信託では、意思決定は全員一致が原則である(信託法105条1項)。信託行為で受益者集会による多数決を定めた場合に限って、受益者集会の規定(117条を含む)が使われる。実務のポイント:家族信託の契約書の多くは全員一致のまま作成される。一人が反対すると何も決まらない状態になるので、契約時点で「受益者集会を置くか、別の決め方にするか」を設計しておけば、将来のきょうだい間の膠着を避けられる
Q2期限の三日前を過ぎちゃったんですけど、もう票は割れないですか?
法定の通知期限(信託法117条1項)を過ぎているので、招集者は要件不備を理由に拒むことができる。ただ、法律は期限後の受け入れを禁止していないため、招集者が任意に応じる余地は残っているとも考えられる。実務のポイント:期限を過ぎてしまったら、理由を添えて招集者へすぐ相談する。受け入れてもらえない場合でも、代理人を複数立てる(114条の代理行使)など、背後の意思を反映する別の方法を検討する余地がある(実務上、扱いが分かれうる)
間違えやすい点 AI による整理
- 「議決権は一人一票で、まとめて賛成か反対かしか選べない」と思いがちだが、信託の受益者集会では受益権の価格に応じた議決権(信託法112条)を割って行使することが法律上認められている。ただし事前通知が条件であり、当日の思いつきでは使えない。
- 期限の三日前は知っていても、理由の通知まで要ると知らない人が多い。「不統一で行使します」だけでは足りず、なぜ割るのか(例:顧客ごとに指図が異なる)を併せて伝える必要がある。理由が書かれていない通知は、要件不備を指摘される余地を自分で作っているのと同じである。
- 受益者の側から見れば「自分の議決権をどう使おうが自由」だが、法律の側から見れば、他人のために受益権を持つ者でない限り、招集者が拒否権を握っている。自由に見える一票が、実は招集者の判断ひとつで統一を強いられる。この落差を知らないまま票を割る準備をすると、集会当日に戦略が崩れる。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する内容 | 信託法117条:一人の受益者が議決権を割って行使すること | 信託法114条:議決権を代理人に行使させること 信託法112条:受益者が有する議決権の数の基準 |
| 事前手続 | 集会日の三日前までに旨と理由を招集者へ通知 | 代理権を証明する書面等の提出 特段の手続なし(基準の定め) |
| 招集者の裁量 | 他人のために受益権を有する者でなければ拒否可 | 代理権の証明がなければ行使を認めない扱い 裁量なし |
| 実務で使う場面 | 名義人が顧客ごとに異なる賛否を反映するとき | 受益者本人が出席できないとき 各受益者の票の重みを算定するとき |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾信託法には受益者集会の同種規定はないが、公開発行会社で他人のために株式を保有する株主の分別行使を認める会社法上の規律が類似する
韓国商法は株主総会での議決権不統一行使に三日前通知と、他人のための保有でない場合の会社の拒否を定め、構造が近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 不動産信託受益権を顧客十数社のために保有している運用会社の担当者が、受益者集会の議案で顧客の賛否が真っ二つに割れていると気付いた。集会まであと五日。今日中に招集者へ「不統一行使する旨と理由」を書面で送らなければ、全体を賛成か反対のどちらかに寄せるしかなくなる。
- もし、家族信託で受益権を持つ個人の兄が「半分賛成、半分反対で出す」と通知してきたら、受託者である弟は受け入れる義務があるのか? 兄は自分のために受益権を持っているだけなので、弟は117条2項でこれを拒める。
- あなたが受託者として受益者集会を招集した側だとする。前日になって大口受益者から不統一行使の通知が届いた。三日前の期限を過ぎているので、法定の要件を満たしていない。受け入れるか拒むかを決め、その判断を議事録に残す必要がある。
取るべき行動
被害を受けた側:不統一行使を拒まれた受益者の場合:1. 自分が「他人のために受益権を有する者」(顧客資産の名義人、他の信託の受託者など)に当たるかを確認し、当たるなら預かり関係を示す資料をそろえる2. 通知が集会日の三日前までに招集者へ届いたか、理由を記載したかを見直す3. 要件を満たしているのに拒まれた場合は、異議を書面で残し、決議の効力を争うかどうか弁護士と検討する
訴えられた側:不統一行使を拒んだ招集者(受託者など)の場合:1. 通知の到達日と記載内容(不統一行使の旨と理由)を記録する2. その受益者が他人のために受益権を持つ者かを確認し、拒否の根拠が2項にあるのか、1項の期限・理由の不備にあるのかを区別して書面で回答する3. 判断の経緯を議事録(信託法120条)に残し、後で決議の公正さを問われたときに備える
時効(請求できる期限):受益者集会の日の三日前までに、招集者へ不統一行使の旨と理由を通知する(信託法117条1項)。期間計算では集会日当日を算入しないため、実務上は中三日を空ける解釈が一般的とされる。通知が到達した日を基準に余裕を持って送るのが安全である
学説
一般的理解:本条は会社法313条(株主総会における議決権の不統一行使)と同趣旨の規定と理解されており、他人のために受益権を有する者が背後の権利者の意思を反映できるようにする一方、招集者の集会運営上の負担に配慮して事前通知と拒否権を定めたものとされる
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 新信託法で受益者集会の制度が導入され、議決権の不統一行使に関する規定として本条が新設された(平成19年(2007年)施行)。その後の改正の有無は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法全部改正により受益者集会制度が導入され、議決権の不統一行使に関する規定として本条が設けられた(平成19年(2007年)施行)
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