信託法 第173条(新受託者の選任)
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- 裁判所は、第百六十六条第一項の規定により信託の終了を命じた場合には、法務大臣若しくは委託者、受益者、信託債権者その他の利害関係人の申立てにより又は職権で、当該信託の清算のために新受託者を選任しなければならない。
- 2.前項の規定による新受託者の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
- 3.第一項の規定により新受託者が選任されたときは、前受託者の任務は、終了する。
- 4.第一項の新受託者は、信託財産から裁判所が定める額の費用の前払及び報酬を受けることができる。
- 5.前項の規定による費用又は報酬の額を定める裁判をする場合には、第一項の新受託者の陳述を聴かなければならない。
- 6.第四項の規定による費用又は報酬の額を定める裁判に対しては、第一項の新受託者に限り、即時抗告をすることができる。
この条文の基本情報
新受託者の選任とは何ですか?
定義新受託者の選任とは、信託法第173条に定められた規定で、「裁判所は、第百六十六条第一項の規定により信託の終了を命じた場合には、法務大臣若しくは委託者、受益者、信託債権者その他の利害関係人の申立てにより又は職権で、当該信…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第173条(新受託者の選任)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第173条の条文原文は「裁判所は、第百六十六条第一項の規定により信託の終了を命じた場合には、法務大臣若しくは委託者、受益者、信託債権者その他の利害関係人の申立てにより又は職権で、当該信…」で始まります。
- 信託法第173条は第一節 信託の終了に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第173条の前の条は信託法第172条です。
- 信託法第173条の次の条は信託法第174条です。
- 信託法第173条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第173条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第173条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/173
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法173条は、166条の終了命令後に裁判所が清算のための新受託者を必ず選任すると定める。選任に不服申立てはできず、報酬は信託財産から支払われる。
Q · 裁判所が信託の終了を命じたら、その後の清算は誰がやるの?
裁判所が選んだ新受託者が清算し、報酬は信託財産から出る
信託法173条により、裁判所は166条1項の終了命令を出した場合、法務大臣・委託者・受益者・信託債権者などの申立てまたは職権で、清算のための新受託者を必ず選任します。選任の裁判には不服申立てができず、選任された時点で前受託者の任務は終わります。新受託者は信託財産から裁判所が定める費用の前払と報酬を受け、その額に即時抗告できるのは新受託者だけです。
解説
信託には、裁判所の命令で強制的に終わらせる非常ボタンがある。信託法166条の「公益の確保のための信託の終了を命ずる裁判」である。173条は、そのボタンが押された後の後始末を誰が担うかを決めている。裁判所は、法務大臣・委託者・受益者・信託債権者などの申立てか、職権で、清算のための新受託者を必ず選任しなければならない。選任された瞬間、問題を起こした元の受託者の任務は終わる(3項)。押さえておくべき点は三つある。第一に、選任の裁判には誰も不服を申し立てられない(2項)。第二に、新受託者の費用と報酬は信託財産から先に支払われる(4項)。受益者のあなたに戻る残余財産は、その分だけ減る。第三に、報酬額に即時抗告できるのは新受託者だけで、受益者にはその道がない(6項)。口を出せる窓は、額が決まる前にしか開いていない。
法的な位置づけ
信託法173条は、公益の確保のための信託終了命令(同法166条1項)が発せられた場合における清算受託者の選任を定める規定である。裁判所は申立てまたは職権により新受託者を選任する義務を負い、選任の裁判は不服申立ての対象とならない。新受託者は信託財産から裁判所が定める費用の前払および報酬を受ける。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.終了命令の有無と確定状況を確認する 信託法166条1項の終了命令が出たか、確定しているかを裁判所の通知や事件記録で確認する。173条の手続はこの命令が前提となる
- 2.新受託者選任を申し立て、候補者情報を添える 受益者・委託者・信託債権者などの利害関係人として新受託者の選任を申し立てる。財産の中身に通じた専門家の候補者と信託財産の概要を書面で添える。選任後は争えないため、この段階が意見を届ける実質唯一の機会になる
- 3.選任後、新受託者へ債権・受益権の資料を提出する 選任の通知を受けたら、信託債権の内容や受益権を証明する資料を速やかに新受託者へ提出する。弁済・給付の順序は177条以下の清算ルールに従う
- 4.報酬額の決定前に上申書を出す 裁判所が新受託者の陳述を聴いて費用・報酬額を定める前に、財産規模や作業量に関する資料を上申書として提出する。受益者は決定後に即時抗告できないため、事前の提出が重要になる
よくある質問 AI による整理
Q1信託法173条とは何を定めた条文?
166条で裁判所が信託の終了を命じた後、清算を担う新受託者を裁判所が選任する手続を定めた条文です。選任は裁判所の義務とされています。
Q2清算のための新受託者の選任は誰が申し立てできる?
法務大臣、委託者、受益者、信託債権者その他の利害関係人が申し立てできます。申立てがなくても裁判所は職権で選任できます(173条1項)。
Q3新受託者の選任に不服申立てはできる?
できません。173条2項が選任の裁判に対する不服申立てを明文で排除しています。人選に意見を言えるのは選任前の段階に限られます。
Q4新受託者が選ばれたら元の受託者はどうなる?
選任された時点で前受託者の任務は当然に終了します(173条3項)。別途の解任手続は不要で、以後は信託財産を処分する権限がありません。
Q5清算受託者の報酬はいくら?
法定の金額はなく、裁判所が新受託者の陳述を聴いたうえで額を定めます(173条4項・5項)。財産規模や作業量が考慮されるとみられます。
Q6清算受託者の報酬決定に受益者は即時抗告できる?
できません。即時抗告ができるのは新受託者に限られます(173条6項)。受益者は決定前に資料を上申するのが現実的な対応です。
Q7信託の終了命令はどんな場合に出る?
不法な目的で信託がされた場合や、受託者が法務大臣の書面警告後も権限逸脱や刑罰法令違反を継続・反復した場合など、公益確保が必要な場面です(166条)。
Q8信託の清算で受益者にお金は戻ってくる?
清算費用と信託債権者への弁済が先に行われ、残った財産が残余財産として給付されます。新受託者の報酬分だけ受益者の取り分は減ります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1親のための家族信託でも、裁判所に強制終了させられることってあるんですか?
166条の終了命令は公益の確保が要件である。不法な目的で設定された信託か、受託者が法務大臣の書面警告を受けた後も、権限の逸脱や刑罰法令に触れる行為を継続・反復した場合に限られる。通常の家族信託ではまず起きない。実務のポイント:家族内の揉め事で実際に使われるのは、受託者解任(58条)と特別の事情による終了命令(165条)である。173条の清算受託者が登場する場面とは入口が違う
Q2清算の新受託者の報酬って誰が払うんですか? 高すぎたら文句は言えますか?
報酬は信託財産から支払われ、額は裁判所が決める(173条4項)。決定に即時抗告できるのは新受託者だけで、受益者にはその権利がない(6項)。実務のポイント:受益者が額に影響を与えられるとすれば、決定前に財産規模や作業の難易度を示す上申書を出すことくらいである。決定後に争う手段はほぼないため、黙って待つほど残余財産は削られる
間違えやすい点 AI による整理
- 「問題のある受託者を外すには、別に解任の申立てが必要だ」と考えるのは、問いの立て方そのものがずれている。166条で終了命令が出た信託では、新受託者が選任された時点で前受託者の任務が自動的に終わる(173条3項)。打つべき手は解任の手続ではなく、新受託者選任の申立てと、その候補者についての情報提供である
- 受益者から見れば、信託財産は「自分のためのお金」である。しかし清算の局面では、法律はまず信託債権者への弁済と清算費用を優先する器として扱う。新受託者の報酬は信託財産から先に出て、その額に受益者は即時抗告すらできない(6項)。この視点の違いに気付かないまま清算の終わりを待つと、残余財産の通知を見て初めて目減りに気付くことになる
- 「選任の裁判には不服申立てができない」という2項は知っていても、その意味まで考える人は少ない。誰が清算を担うかに意見を言える場面は、申立ての段階か選任前の上申に限られるということである。後から「あの人選は不適切だ」と争う方法は、事実上用意されていない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用場面 | 173条:166条の公益確保のための終了命令後の清算 | 62条:受託者の任務終了時の一般的な新受託者選任 166条:公益確保のための信託終了命令そのもの |
| 裁判所の関与 | 申立てまたは職権で選任する義務 | 利害関係人の申立てによる選任 法務大臣等の申立てにより終了を命じる |
| 前受託者の地位 | 新受託者選任の時点で任務が当然に終了 | 任務終了が選任の前提となる 終了命令により清算局面へ移行 |
| 不服申立て | 選任は不服申立て不可、報酬額は新受託者のみ即時抗告可 | 条文で定める者に限り争う余地あり(条文で要確認) 終了命令の裁判に対する手続は条文で要確認 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では受託者の解任後、委託者が新受託者を指定できない場合に、裁判所が利害関係人または検察官の申立てで新受託者を選任できる。公益確保のための終了命令と清算受託者を組み合わせた日本型の規定は見当たらない
中国では受託者の職責終了時、信託文書の定めに従い、定めがなければ委託者が新受託者を選任する。裁判所の職権選任を中心とする日本の173条とは構造が異なる
フランスの fiducie では、fiduciaire が義務を怠った場合、委託者・受益者等が裁判上で暫定 fiduciaire の選任や交代を求めることができる
米国の統一信託法典では受託者が欠けた場合、指定や合意で埋まらなければ裁判所が後任受託者を選任する。採用状況は州ごとに異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 「信託」をうたう高配当の出資話にお金を入れていたら、運営側が法務大臣から書面で警告を受けた後も違法な運用を続け、裁判所が信託の終了を命じた。そうなったら、あなたの出資金はどうなるのか? 清算は裁判所が選んだ新受託者が引き継ぎ、信託債権者への弁済が受益者への給付より先に行われる(177条、181条)。配当が戻ってくるかどうかは、新受託者に資料を出すスピードで差がつく
- 受託者として信託財産を管理してきたあなたに、新受託者選任の決定が届いた。その時点で任務は終わっており、以後に財産を動かせば権限のない処分になる。手元にある帳簿・通帳・契約書を、計算書と一緒に引き渡す準備を今日から始めることになる
- 清算の新受託者に選ばれた弁護士。報酬額の決定が想定の半分だった。不服を言えるのは告知を受けた日から2週間だけである
取るべき行動
被害を受けた側:1. 終了命令の裁判と、その確定の有無を確認する2. 受益者・信託債権者として新受託者選任を申し立て、候補者と財産の概要を書面で添える3. 選任後すぐ、新受託者に債権の内容や受益権の資料を提出する。弁済の順序は177条・181条で決まる4. 報酬額の決定前に、財産規模や作業量に関する上申書を出しておく
訴えられた側:1. 選任された時点で任務は終わっている(3項)。以後は財産を処分しない2. 信託事務の計算を行い、帳簿や財産を新受託者へ引き継ぐ(77条) 3. 損失填補責任(40条)を追及される場合に備え、警告後の行為記録を含めて資料を保存する4. 自分が立て替えた費用は、償還請求権(48条)として新受託者に主張する
時効(請求できる期限):新受託者選任の裁判には不服申立てができない(173条2項)。費用・報酬額の裁判に対する即時抗告は新受託者だけができ、期間は裁判の告知を受けた日から2週間(非訟事件手続法67条1項、最新の改正状況をご確認ください)。受益者側に法定の期限はないが、選任前と報酬決定前が実質的に意見を届けられる時期である
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 現行信託法の制定とともに、公益確保のための終了命令後の清算受託者選任規定として設けられた。旧信託法との系譜や、その後の非訟手続関係の改正の影響は人による検証が必要
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法の全部改正(平成18年法律第108号)により、公益確保のための終了命令後の清算受託者選任規定として設けられた。その後の改正の有無は e-Gov で要確認
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