信託法 第212条(受益証券発行信託の受託者の義務の特例)
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- 受益証券発行信託においては、第二十九条第二項ただし書の規定にかかわらず、信託行為の定めにより同項本文の義務を軽減することはできない。
- 2.受益証券発行信託においては、第三十五条第四項の規定は、適用しない。
この条文の基本情報
受益証券発行信託の受託者の義務の特例とは何ですか?
定義受益証券発行信託の受託者の義務の特例とは、信託法第212条に定められた規定で、「受益証券発行信託においては、第二十九条第二項ただし書の規定にかかわらず、信託行為の定めにより同項本文の義務を軽減することはできない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第212条(受益証券発行信託の受託者の義務の特例)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第212条の条文原文は「受益証券発行信託においては、第二十九条第二項ただし書の規定にかかわらず、信託行為の定めにより同項本文の義務を軽減することはできない。」で始まります。
- 信託法第212条は第四節 関係当事者の権利義務等の特例に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第212条の前の条は信託法第211条です。
- 信託法第212条の次の条は信託法第213条です。
- 信託法第212条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第212条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第212条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/212
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法212条は、受益証券発行信託では信託行為で受託者の善管注意義務を軽減できず、指名された第三者に関する通知・措置義務も免除できないと定める。
Q · デジタル証券の約款に「受託者の注意は自己の財産と同程度でよい」とあったら、それで決まりなの?
受益証券発行信託なら、その軽減条項は効力を持たない
信託法212条1項により、受益証券発行信託では、29条2項ただし書にもとづいて信託行為で善管注意義務を軽減することができません。約款に「自己の財産と同一の注意」と書かれていても、受託者は善管注意義務を負ったままです。また同条2項により、指名された外部業者の不適任・不誠実を知った受託者は、受益者への通知や委託の解除などの措置義務を約款で免除されません。
解説
普通の信託なら、信託行為(信託を設定する契約や遺言)に「受託者は自己の財産に対するのと同一の注意で足りる」と一行書けば、受託者の善管注意義務(その道のプロとして当然払うべき注意のレベル)を引き下げられる。信託法29条2項ただし書がそれを認めているからだ。ところが受益証券発行信託では話が変わる。受益権が証券になり、市場で見知らぬ投資家の手に渡っていくこの信託では、その一行が効かない。212条1項が、注意義務を軽くすることを禁じている。2項はさらにもう一つの抜け道を塞ぐ。信託行為や委託者・受益者の指名で決まった外部業者が不適任・不誠実だと受託者が知った場合、受託者は受益者への通知や委託の解除など必要な措置をとらなければならない(35条3項ただし書)。本来なら信託行為でこの義務を外せるが(35条4項)、受益証券発行信託では外せない。金の現物 ETF や不動産セキュリティトークンを買うあなたは、分厚い約款を読み込まなくても、この最低ラインだけは法律で保証されている。ただし保証されるのはこの二点だけで、それ以外は約款次第である。
法的な位置づけ
信託法212条は、受益証券発行信託における受託者の義務の特例を定める規定である。1項は、信託行為の定めにより善管注意義務を軽減することを禁止する。2項は、指名された第三者の不適任・不誠実を知った受託者の通知・解除等の措置義務を信託行為で免除できるとする35条4項の適用を排除する。
よくある質問 AI による整理
Q1受益証券発行信託とは?
受益権を表示する受益証券を発行する旨を信託行為で定めた信託です(信託法185条以下)。受益権が有価証券として市場で流通する点が特徴です。
Q2信託法212条は何を禁止している?
受益証券発行信託で、信託行為による善管注意義務の軽減と、指名第三者に関する通知・措置義務の免除の二つを禁止しています。
Q3善管注意義務とは?
その職業・地位にある者に通常期待される程度の注意義務です。信託法29条2項本文が受託者にこの義務を課しています。
Q4セキュリティトークンの受託者責任は誰が負う?
信託型のセキュリティトークンでは、信託銀行などの受託者が信託法上の義務を負います。受益証券発行信託なら212条の最低ラインが適用されます。
Q5信託の約款で受託者を免責できる?
通常の信託ではある程度可能ですが、受益証券発行信託では注意義務の軽減と指名業者に関する通知・措置義務の免除は無効です(信託法212条)。
Q6受託者の損失てん補責任の時効はいつまで?
債務不履行の損害賠償請求権の例により、知った時から5年、行使できる時から10年が目安です(信託法43条)。受益者には特則があります。
Q7信託法212条は投資信託にも適用される?
適用対象は受益証券発行信託です。投資信託は主に投資信託及び投資法人に関する法律が規律するため、商品の法形式を目論見書で確認する必要があります。
Q8受託者の注意義務を重くする特約は有効?
有効です。212条1項が禁じているのは軽減だけで、信託行為で善管注意義務より重い義務を定めることは妨げられません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1約款に『受託者の注意は自己の財産と同じ程度でいい』って書いてあったんだけど、もう文句言えないの?
受益証券発行信託であれば、その条項は効力を持たない。信託法212条1項が、29条2項ただし書による注意義務の軽減を禁じているからだ。受託者は善管注意義務を負ったままである。実務のポイント:まず確認すべきなのは、自分が買った商品が受益証券発行信託かどうかである。目論見書の「信託の種類」欄に書いてあり、同じ「信託」でも投資信託や私募の信託受益権では結論が変わる
Q2保管を任されてた外部業者がやらかしたら、受託者には責任ないんじゃないの?
指名された業者について受託者の選任・監督義務が外れることはある(35条3項)。それでも、受託者がその業者の不適任・不誠実を知った後は、受益者への通知や委託の解除などの措置をとる義務を負う。受益証券発行信託では、この義務を信託行為で免除できない(212条2項)。実務のポイント:争点になるのは、受託者が問題を「いつ知ったか」である。報道や当局の公表日と、受託者が受益者に通知した日の間隔が、責任追及の最大の材料になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「上場している信託なら、受託者の責任は全部法律でがちがちに固められている」と考えがちだが、212条が封じているのは注意義務の軽減と、指名業者についての通知・措置義務の免除の二つだけである。利益相反取引を信託行為であらかじめ許す定め(31条2項1号)などには、本条は手を付けていない。床があることと、壁や天井まで守られていることは違う
- 1項は「軽減」を禁じているだけで、義務を「加重」することは禁じていない。信託行為で善管注意義務より重い注意義務を定めることはできる。商品を比べるとき見るべきなのは、各商品の約款が最低ラインより上にどれだけ上乗せしているかである
- 受託者の側から見れば「約款で合意したのだから有効」でも、法律から見れば、受益証券を転売で手にした投資家はその約款の交渉にまったく関わっていない。交渉に参加していない者に不利な条件を押し付けられない、というのが本条の考え方である。この視点のずれに気付かないままひな型を流用すると、責任を限定したつもりの条項が裁判で丸ごと効力を失う
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 善管注意義務の軽減 | 信託法212条1項:受益証券発行信託では軽減不可 | 信託法29条2項ただし書:通常の信託では信託行為で軽減可 信託法31条2項1号:利益相反行為は信託行為で許容可(212条の射程外) |
| 指名第三者に関する通知・措置義務 | 信託法212条2項:35条4項を適用せず、免除不可 | 信託法35条3項ただし書:不適任・不誠実を知れば通知・解除等の措置義務 信託法35条4項:通常の信託では信託行為で上記義務を免除可 |
| 保護の対象と理由 | 交渉に関与しない転得投資家(受益証券の取得者) | 信託行為の当事者自治を尊重 受益者の承認等による柔軟な取引設計 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾信託法は受託人に善良なる管理者の注意義務を課す。受益証券を発行する証券化信託は不動産証券化条例・金融資産証券化条例が個別に規律する
韓国も2011年の信託法全部改正で受益証券発行信託を導入しており、日本の制度設計との類似性が指摘される
ドイツには一般的な信託法典がなく、投資ファンドの運用者の行為義務は資本投資法典(KAGB)が規律する
米国の統一信託法典は、信託条項でも排除できない強行的義務(誠実義務など)を列挙する。州によって採用状況は異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 不動産セキュリティトークンを100万円分買った。約款に「受託者は自己の財産と同一の注意をもって管理する」と書いてあるのに、後から気付いた。それでも受託者には善管注意義務が残る。その約款の一文は、212条1項の範囲では効力を持たない
- 信託銀行の商品設計担当として受益証券発行信託のスキームを組む側だったら、どうなるか。私募の信託で使ってきた「指名業者の監督・通知義務は負わない」というひな型をそのまま流用すると、2項でその条項は無効になる。社内の法務レビューで指摘されなければ、責任を限定したつもりのまま商品が発行されてしまう
- トークン化された信託で、資産の保管を委託していた業者の不正が報じられた。受託者は事前に知っていたのか。知っていたのに黙っていたなら、通知義務違反が問題になる
- 保有している受益証券の受託者について、再委託先の管理不備が公表された。受益者集会の招集通知の回答期限まであと10日しかない。それまでに、受託者が問題をいつ知ったのか、受益者に通知したのかを書面で問い合わせておかなければ、後で責任を追及する材料が残らない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 約款・目論見書・受託者からの通知書をすべて保存し、注意義務を軽くする条項や指名業者を免責する条項がないか確認する。あってもその部分は212条で効力がない2. 損失の原因が受託者の管理ミスか、再委託先の問題かを切り分ける3. 受託者に、問題を把握した時期と受益者への通知の有無を書面で照会する4. 損失てん補請求(40条)を検討する。受益者が多数いる商品なので、受益者集会など集団で動く手段も確認する
訴えられた側:1. 受託者の立場なら、発行済みの約款で効力を失う条項がないかを直ちに洗い出す2. 指名業者の不適任・不誠実を知った日時と、その後の対応(通知・解除・代替措置)を時系列で記録する3. 善管注意義務を尽くしたことを示す社内の検証記録・監査記録を確保する4. 開示書類の記載との整合性に問題があれば、金融商品取引法上の訂正の要否を弁護士と早期に検討する
時効(請求できる期限):受託者の損失てん補責任等(40条)の請求権は、債務不履行による損害賠償請求権の消滅時効の例による(43条1項)。権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年が目安となる。受益者が自分が受益者になったことを知るまでの扱いや長期の期間制限には特則がある(43条2項以下。最新の改正状況をご確認ください)
学説
立案担当者の説明に沿う一般的理解:受益証券発行信託では受益権が転々流通し、受益者が信託行為の内容に関与しないため、受託者義務の任意規定化に一定の限界を設けて受益者を保護する必要があるとされる。軽減のみを禁じ、加重は妨げない。
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 受益証券発行信託の制度を創設する第8章の一部として新設された(平成19年(2007年)施行)。その後の改正の有無については人による検証が必要である
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法全部改正により、受益証券発行信託の特例を定める第8章の一部として新設。平成19年(2007年)9月30日施行
- 信託法 第29条善管注意義務と信託行為による軽減の原則
- 信託法 第35条第三者委託時の選任監督義務と通知措置義務
- 信託法 第185条受益証券発行信託の定義と発行の定め
- 信託法 第40条任務懈怠による受託者の損失てん補責任
- 信託法 第31条利益相反行為の制限、本条の射程外
- 金融商品取引法 第2条受益証券発行信託の受益証券を有価証券と定義
- 信託業法 第28条信託会社に業法上の善管注意義務を課す
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