信託法 第215条(委託者の権利の特例)
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- 受益証券発行信託においては、この法律の規定による委託者の権利のうち次に掲げる権利は、受益者がこれを行使する。
- 一第三十六条の規定による報告を求める権利
- 二第五十八条第四項(第百三十四条第二項及び第百四十一条第二項において準用する場合を含む。)、第六十二条第四項(第百三十五条第一項及び第百四十二条第一項において準用する場合を含む。)、第六十三条第一項、第七十四条第二項、第百三十一条第四項、第百五十条第一項、第百六十五条第一項、第百六十六条第一項、第百六十九条第一項又は第百七十三条第一項の規定による申立権
- 三第六十二条第二項、第百三十一条第二項又は第百三十八条第二項の規定による催告権
- 四第百七十二条第一項、第二項又は第三項後段の規定による閲覧、謄写若しくは交付又は複製の請求権
- 五第百九十条第二項の規定による閲覧又は謄写の請求権
この条文の基本情報
委託者の権利の特例とは何ですか?
定義委託者の権利の特例とは、信託法第215条に定められた規定で、「受益証券発行信託においては、この法律の規定による委託者の権利のうち次に掲げる権利は、受益者がこれを行使する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第215条(委託者の権利の特例)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第215条の条文原文は「受益証券発行信託においては、この法律の規定による委託者の権利のうち次に掲げる権利は、受益者がこれを行使する。」で始まります。
- 信託法第215条は第四節 関係当事者の権利義務等の特例に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第215条の前の条は信託法第214条です。
- 信託法第215条の次の条は信託法第216条です。
- 信託法第215条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第215条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第215条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/215
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法215条は、受益証券発行信託では委託者の報告請求権・申立権・催告権・閲覧請求権を受益者が行使すると定める。委託者は原則として行使できない。
Q · 受益証券発行信託では、委託者の監視の権利は誰が使うの?
受益者が使う。委託者自身は原則として行使できない
信託法215条により、受益証券発行信託では、委託者の権利のうち36条の報告請求権、受託者解任(58条4項)や信託変更(150条1項)などの裁判所への申立権、催告権、所定書類の閲覧・謄写等請求権、受益権原簿の閲覧・謄写請求権(190条2項)を受益者が行使します。受益権が市場で流通し、損失リスクを負うのが証券保有者だからです。ただし213条により、信託行為で一部の権利に保有割合要件が付される場合があります。
解説
証券口座の保有銘柄に「信託」の二文字が入っているなら、本条はあなたに関係する。受益証券発行信託とは、信託の受益権を証券やデジタル記録にして、市場で売買できるようにした仕組みである。金の現物型上場信託や不動産のセキュリティトークンの一部がこの仕組みを使っている。通常の信託では、受託者(財産を預かって管理する信託銀行など)を見張る権利を、財産を出した委託者も持っている。本条はその一部を、受益者が行使するものと定めた。対象は、信託事務の報告を求める権利(36条)、受託者の解任や信託の変更・終了などを裁判所に求める申立権、帳簿類や受益権原簿の閲覧請求権である。これらの多くは受益者ももともと持っている。だから本条の実質は、委託者の手から監視のスイッチを外すことにあると理解されている。証券化では、委託者は資産を売り終えた側であり、損失を負うのは証券を買った投資家だからだ。一口でも持っていれば、信託銀行に説明を求める資格はあなたの側にある。
法的な位置づけ
信託法215条は、受益証券発行信託に関する特例規定であり、同法上の委託者の権利のうち、報告請求権、裁判所への各種申立権、催告権、所定書類の閲覧・謄写等請求権および受益権原簿の閲覧・謄写請求権について、受益者が行使する旨を定める。列挙された権利について、委託者による行使は原則として排除されると解されている。
よくある質問 AI による整理
Q1受益証券発行信託とは何ですか?
信託の受益権を証券やデジタル記録にして、市場で売買できるようにした信託です。信託行為で受益証券を発行する旨を定めて組成します(信託法185条)。
Q2信託法36条の報告請求とは?
受託者に対し、信託事務の処理状況と信託財産・信託財産責任負担債務の状況について報告を求める権利です。受益証券発行信託では215条により受益者が行使します。
Q3受益権原簿とは何ですか?
受益証券発行信託で、受益者の氏名・住所や受益権の内容などを記録する帳簿です。190条2項に基づく閲覧・謄写請求で、他の受益者を把握する手がかりになります。
Q4信託銀行(受託者)の解任を裁判所に申し立てられる?
受託者の任務違反で信託財産に著しい損害を与えたなど重要な事由があれば、58条4項により申し立てられます。受益証券発行信託では受益者が行使します。
Q5受託者の信託会社が破綻したらどうなる?
任務が終了した場合、新受託者の選任(62条4項)や信託財産管理命令(63条1項)を裁判所に申し立てる道があります。本条によりこれらも受益者が行使します。
Q6金の現物型ETFの保有者は信託法上の受益者?
受益証券発行信託として組成された銘柄であれば、保有者は信託法上の受益者です。投資信託法上の投資信託かどうかは目論見書や約款で確認が必要です。
Q7信託財産管理命令とは?
受託者の任務終了後、新受託者が選任されるまでの間、裁判所が信託財産管理者による管理を命じる処分です(63条1項)。管理の空白を防ぐための制度です。
Q8信託法215条で委託者の権利はすべてなくなる?
なくなるのは本条に列挙された権利の行使主体だけです。列挙されていない委託者の権利は本条の対象外で、信託行為の定めや他の規定に従って個別に判断されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1委託者って信託を作った本人でしょ? なんで口出しできなくなるの?
受益証券発行信託では受益権が市場で売買され、損失のリスクを負うのは証券の保有者だからである。資産を売り終えた原保有者が受託者の解任や信託の変更を主導できると、投資家の利益と衝突しうる。そのため本条は、監視権の行使を受益者に集めた。実務のポイント:証券化の案件では、原保有者が受託者を通じて資産に影響を及ぼせないことが、投資家に安心して買ってもらうための前提条件として重視される。本条はその制度的な裏付けの一つである
Q21口しか持ってない個人でも、信託銀行に報告を求められるの?
原則として求められる。36条の報告請求は受益者の地位に付く権利で、本条がその行使主体を受益者に定めている。ただし213条により、信託行為で一部の権利に保有割合の要件を付けることが認められている。実務のポイント:問い合わせ窓口への質問と、条文を明示した書面による請求とでは、受託者側の社内での扱いが変わることが多い。「信託法36条に基づく報告請求」と一行書くだけで、回答が法務部門を通る案件になる
Q3もう売っちゃった後に怪しいと気付いた。今から報告を請求できる?
売却した時点で受益者ではなくなるため、本条を通じて行使する報告請求や閲覧請求は原則として使えない。損害が出ている場合は、金融商品取引法上の開示責任など、別のルートで検討することになる。実務のポイント:受益者の権利は、疑いを持った時点ですぐ使うことに価値がある。少しでも残高を持ったまま調べるという判断が、後で取れる選択肢の数を左右する
間違えやすい点 AI による整理
- 委託者は信託を作った本人なので、いつでも受託者に口を出せると思われがちである。しかし受益証券発行信託では、本条に列挙された権利は受益者が行使するものとされている。委託者自身は原則として行使できないと解されている。原保有者が「自分の信託だ」と思って動くと、申立ての段階で門前払いされうる
- 「一口しか持っていない個人投資家に何ができるのか」という問いの立て方がそもそもずれている。報告請求などの権利は、保有口数に比例して配られるものではなく、受益者という地位に付いている。ただし213条により、信託行為で一部の権利に保有割合の要件を付けられる場合がある。問うべきは「何口持っているか」ではなく、「信託約款に何と書いてあるか」である
- 投資家から見れば、受益証券は売り買いする銘柄の一つにすぎない。法律から見れば、保有者は信託関係の当事者である。売却した瞬間に受益者ではなくなり、報告請求も閲覧請求も行使できなくなる。疑いを持ったまま先に売るのか、受益者のまま確かめるのか。その順序で、手元に残る選択肢がまったく変わる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 215条:委託者の一部権利を受益者が行使すると定める主体の付け替え規定 | 36条:報告請求権そのものを定める本体規定 213条:受益証券発行信託における受益者の権利行使制限の特例 |
| 権利行使者 | 受益者(列挙権利について委託者は原則行使不可) | 通常の信託では委託者・受益者 受益者(信託行為で保有割合要件を付けうる) |
| 投資家にとっての意味 | 1口保有でも監視権の行使主体になる | 受託者に説明を求める具体的な武器 約款次第で一部権利に保有割合のハードルが付く |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾では信託法本体ではなく証券化特別法の中で受益証券と受益人会議を規律し、投資家側の意思決定・監督を制度化している
韓国は2011年の信託法全部改正で受益証券発行信託を導入しており、日本の新信託法と近い構造を持つ
米国では証券化ビークルとしてデラウェア州法上の制定法信託が多用され、投資家の権利は主に信託契約と証券法の開示規制で担保される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 不動産トークンを50万円分買って半年がたった。物件の稼働率が落ちたという噂があるのに、分配金の予想は据え置かれたままだ。信託銀行には何を聞けるのか? 36条の報告請求を使えば、信託事務の処理状況と信託財産の状況の説明を求められる。問い合わせフォームの質問とは、法的な重みがまったく違う
- あなたは、自社資産を信託に入れて受益証券を投資家に売った原保有者(オリジネーター)側の担当者である。受託者の管理に不満があり、社内で解任の申立てを提案した。しかし受益証券発行信託では、その申立権は受益者が行使するものとされている。委託者の名前では裁判所に行けない
- 受益者集会の招集通知が届いた。集会まで2週間足らず。他の受益者が誰なのか分からないなら、最初の一手は受益権原簿の閲覧請求である
- もし受託者である信託会社が破綻して、任務が終わったらどうなるのか? 受益者はただ待つしかないわけではない。新受託者の選任(62条4項)や信託財産管理命令(63条1項)を裁判所に申し立てる道がある。財産が誰にも管理されない空白期間を縮められるかどうかは、受益者がどれだけ早く動くかで決まる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 運用報告書、分配金の通知、目論見書、信託約款を保存する。特に約款の受益者の権利行使に関する条項(213条の保有割合要件の有無)を確認する2. 受託者に対し、36条に基づいて信託事務と信託財産の状況の報告を書面で求める3. 回答が不十分なら、帳簿類の閲覧や受益権原簿の閲覧(190条2項)で他の受益者とつながる4. 任務違反が疑われる場合は、受託者解任の申立て(58条4項)や信託変更の申立て(150条1項)を弁護士と検討する。いずれも受益者のまま行うこと
訴えられた側:1. 受託者の立場なら、報告請求には、信託事務と信託財産の状況という法定の範囲で誠実に答える。回答を拒んだ記録は、解任の申立てで「重要な事由」の材料になりうる2. 閲覧請求が信託約款上の要件を満たしているか確認する3. 委託者(原保有者)の立場なら、本条の権利は自分では行使できない前提で、受益者との窓口や信託行為上の合意による関与のルートを事前に設計しておく
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はない。報告請求や閲覧請求は、受益者である間はいつでも行使できるが、受益権を売却した時点で行使資格を失う。損害賠償など金銭の請求に進む場合は、一般消滅時効(民法166条:権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年)が適用される(最新の改正状況をご確認ください)
学説
一般的理解:受益証券発行信託では受益権が転々流通し経済的利害の中心が証券保有者に移るため、列挙された監督的権利は受益者が行使し、委託者は原則として行使できないと解されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 大正11年の旧信託法を全面的に置き換えた新信託法の制定に伴い、受益証券発行信託の特例の一つとして新設された。平成19年(2007年)施行。その後の改正の有無は人による検証が必要
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:大正11年の旧信託法を全面的に置き換えた新信託法(平成18年法律第108号)の制定に伴い、受益証券発行信託の特例の一つとして新設。平成19年(2007年)施行。
- 信託法 第36条信託事務の報告請求権の本体規定
- 信託法 第58条受託者解任の申立ての根拠
- 信託法 第185条受益証券発行信託の成立根拠
- 信託法 第190条受益権原簿の閲覧謄写請求
- 信託法 第213条受益者の権利行使制限の特例
- 金融商品取引法 第2条受益証券を有価証券と定義、開示規制へ接続
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