信託法 第266条(法人である受託者の合併等についての公告の手続等の特例)
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- 会社法その他の法律の規定によりある法人が組織変更、合併その他の行為をするときは当該法人の債権者が当該行為について公告、催告その他の手続を経て異議を述べることができることとされている場合において、法人である受託者が当該行為をしようとするときは、受託者が信託財産に属する財産のみをもって履行する責任を負う信託財産責任負担債務に係る債権を有する債権者は、当該行為についてこれらの手続を経て異議を述べることができる債権者に含まれないものとする。
- 2.会社法その他の法律の規定による法人の事業の譲渡に関する規定の適用については、第三条第三号に掲げる方法によってする信託は、その適用の対象となる行為に含まれるものとする。ただし、当該法律に別段の定めがあるときは、この限りでない。
この条文の基本情報
法人である受託者の合併等についての公告の手続等の特例とは何ですか?
定義法人である受託者の合併等についての公告の手続等の特例とは、信託法第266条に定められた規定で、「会社法その他の法律の規定によりある法人が組織変更、合併その他の行為をするときは当該法人の債権者が当該行為について公告、催告その他の手続を経て異議を述べることがで…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第266条(法人である受託者の合併等についての公告の手続等の特例)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第266条の条文原文は「会社法その他の法律の規定によりある法人が組織変更、合併その他の行為をするときは当該法人の債権者が当該行為について公告、催告その他の手続を経て異議を述べることがで…」で始まります。
- 信託法第266条は第二節 公告等に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第266条の前の条は信託法第265条です。
- 信託法第266条の次の条は信託法第267条です。
- 信託法第266条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第266条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第266条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/266
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法266条は、受託者の合併等で信託財産のみが引当ての債権者を異議手続から除き、自己信託を事業譲渡規制の対象に含める。ただし他法に別段の定めがあれば例外。
Q · 取引先の信託銀行が合併するけど、信託財産だけが引当ての債権者でも異議を出せるの?
出せない。信託財産は合併後も分別され守られるため
信託法266条1項により、受託者が信託財産に属する財産のみをもって履行責任を負う債権の債権者は、受託者の合併・組織変更等の債権者異議手続で異議を述べることができる債権者に含まれません。信託財産は受託者の固有財産から独立しており、合併後の法人が受託者の任務を引き継ぐため(同法56条)、引当てが変わらないからです。受託者の固有財産にも請求できる債権者は、通常どおり異議を述べられます。
解説
信託銀行が合併すると、新聞や官報の片隅に「債権者異議申述公告」が載る。ただ、その公告を見て異議を出せる債権者と出せない債権者がいて、線は法律で引かれている。信託法266条1項は、信託財産だけを引当て(回収の当てにできる財産)とする債権を持つ人を、受託者の合併・組織変更などの異議手続から外している。冷たく見えるが、理屈ははっきりしている。信託財産は受託者自身の財産から切り離されている(23条・25条の倒産隔離)。合併しても受託者の任務を新しい法人が引き継ぐだけで、信託財産の中身は減らない。守られている者に拒否権はいらない、という作りである。一方2項は、会社が自分の事業を自分自身に信託する「自己信託」(3条3号)を事業譲渡と同じに扱う。株主総会の特別決議(会社法467条)などを避けて通れないようにするためだ。名義を移さずに事業を切り出す裏口を、ここで塞いでいる。
法的な位置づけ
信託法266条は、法人受託者の組織再編と自己信託に関する特例規定である。第1項は、受託者が信託財産に属する財産のみをもって履行責任を負う債権の債権者を、組織変更・合併等の債権者異議手続の対象から除外する。第2項は、自己信託を法人の事業の譲渡に関する規定の適用対象に含める。
よくある質問 AI による整理
Q1信託法266条とは?
法人受託者の合併等で信託財産のみが引当ての債権者を異議手続から外し(1項)、自己信託を事業譲渡規定の対象に含める(2項)特例規定です。
Q2信託財産責任負担債務とは?
受託者が信託財産に属する財産をもって履行する責任を負う債務です。範囲は信託法21条1項が定め、そのうち信託財産のみが引当てとなるものが266条1項の対象です。
Q3責任財産限定特約とは何ですか?
受託者の責任を信託財産の範囲に限る旨を債権者と合意する特約です(信託法21条2項4号)。合意すると受託者の固有財産には請求できなくなります。
Q4自己信託はどうやって設定する?
公正証書その他の書面または電磁的記録で、自己が一定の財産を信託目的に従い管理・処分する旨の意思表示をする方法によります(信託法3条3号、4条3項)。
Q5債権者異議手続の期間はいつまで?
公告・催告で定められた期間内で、会社法上1か月を下回ることはできません(会社法789条2項など)。期間を過ぎると異議を述べられなくなります。
Q6受託者の固有財産にも請求できる債権者は異議を出せる?
出せます。266条1項が除外するのは信託財産のみを引当てとする債権者だけで、固有財産にも及ぶ債権者は通常どおり異議手続の対象です。
Q7信託銀行の合併公告はどこで確認できる?
官報や日刊新聞紙、電子公告で確認できます。知れている債権者には個別催告もありますが、266条1項の対象となる債権者には催告がない場合があります。
Q8自己信託 事業譲渡 違法になる?
自己信託自体は適法ですが、事業譲渡規定が適用されるため、重要な事業なら株主総会の特別決議等を欠くと効力を争われるおそれがあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1信託財産だけが引当ての債権って、受託者が合併したら回収しにくくなりませんか?
原則としてそうはならない。信託財産は受託者自身の財産から独立していて、合併後の法人が受託者の任務を引き継ぐ(信託法56条)。引当てが変わらない以上、異議で守るべき利益がない、というのが266条1項の考え方である。実務のポイント:本当に気をつけるべきなのは合併そのものより、合併後に信託事務がまとめられ、分別管理(34条)が緩む局面だ。報告を受けられる体制を契約の段階で押さえておく
Q2自己信託なら事業譲渡じゃないから、株主総会はいらないですよね?
必要である。266条2項は、会社法などの事業譲渡の規定を適用するときに、自己信託も対象に含めると定めている。重要な事業であれば会社法467条の特別決議が必要になり、反対株主には469条の買取請求権が認められる。他の法律に別段の定めがある場合だけは例外となる。実務のポイント:自己信託は公正証書などで効力が生じる(信託法4条3項)が、公正証書があっても会社法上の承認手続を済ませた証明にはならない。手続の抜けは、後から株主に突かれる
Q3限定責任信託の相手と取引しています。その受託者会社が合併したら、こっちは何もできないんですか?
異議手続の上では何もできない。限定責任信託では受託者の債務が原則として信託財産だけを引当てとする(信託法217条)ため、266条1項で異議を述べられる債権者から外れる。実務のポイント:限定責任信託は登記によって効力が生じる(216条)。取引の前に登記事項を確認し、信託財産の規模と中身を把握しておけば、合併があっても慌てる必要はない
間違えやすい点 AI による整理
- 「債権者なら誰でも合併に異議を出せる」と思われがちだが、信託財産だけが引当ての債権者は対象から外れる。ただし、受託者自身の財産にも請求できる通常の信託債権者まで外れるわけではない。自分の債権がどちらなのかを契約書で確かめずにいると、本来出せた異議を出し損ねる
- 「異議を出せないと損をするのでは」という問いの立て方がそもそもずれている。信託財産だけが引当ての債権者が注目すべきなのは合併そのものではない。合併後の法人が受託者の任務をきちんと引き継ぐか(信託法56条)、信託財産が分けて管理され続けるか(34条)である。見るべき場所が違う
- 経営者からすると、自己信託は名義の移転も対価のやり取りもいらない手軽な事業の切り出し方に見える。だが法律から見れば、2項によって事業譲渡と同じ扱いになる。重要な事業を特別決議なしに譲渡した場合は無効とするのが判例の立場であり(最判昭和61.9.11)、自己信託でも同じ問題が持ち上がりうる。手軽さを優先した判断が、後から行為そのものを崩しかねない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 信託法266条:受託者の合併等の異議手続と自己信託の事業譲渡扱い | 信託法56条:法人受託者の合併時の任務承継 信託法217条:限定責任信託の受託者責任の限定 |
| 債権者への影響 | 信託財産のみが引当ての債権者は異議を述べられない | 合併後の法人が受託者の任務を引き継ぎ、信託は継続する 信託財産責任負担債務は原則として信託財産のみが引当て |
| 前提となる仕組み | 信託財産の独立性(倒産隔離)を前提に手続を簡素化 | 受託者の交代による信託の断絶を防ぐ 登記により効力が生じる(信託法216条) |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾は合併時の債権者通知・異議を公司法で定め、信託財産の独立性を信託法で定める。信託財産限定の債権者を異議手続から外す明文の特例は確認できない
韓国は2011年の信託法全面改正で自己信託を導入した。組織再編との調整規定の詳細は要検証
ドイツは信託法典を持たず、Treuhand は判例法で規律される。合併時の債権者保護は組織再編法で一般的に定められる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先の信託会社が大手信託銀行に吸収合併されると公告が出た。あなたの売掛金には「信託財産のみを引当てとする」特約が付いている。異議を出したら、どうなる? 266条1項で異議手続の対象外なので、弁済や担保提供を求める根拠にはならない。見るべきなのは、合併後も信託財産が分けて管理され続けるかどうかである
- あなたは信託会社の法務担当で、合併の効力発生日まであと6週間しかない。個別に催告する債権者のリストを作るとき、266条1項を根拠に信託財産だけが引当ての債権者を外せば、事務量はかなり減る。ただし、受託者自身の財産にも請求できる信託債権者まで外してしまうと、手続の不備として合併の効力を争われる火種になる
- 社長が「株主総会なしで物流部門を自己信託で切り出そう」と言い出した。2項がある限り、その近道はない。
- 友人から相談された。家族経営の会社で、少数株主である叔父に知らせないまま主力事業が自己信託されたという。事業譲渡なら必要な特別決議を経ていないので、叔父にはその行為の効力を争う余地がある。急いで弁護士に相談するよう伝えるのが筋だ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 自分の債権が信託財産だけを引当てとするものか、受託者自身の財産にも及ぶものかを、契約書と信託法21条2項に照らして仕分ける2. 受託者自身の財産にも及ぶなら、公告・催告で示された異議期間内に書面で異議を述べ、弁済や担保の提供を求める3. 信託財産だけが引当てなら、異議ではなく、新しい受託者への任務の引き継ぎと分別管理の確認に力を注ぐ4. 株主として事業の自己信託に反対なら、総会前に反対を通知し、総会でも反対したうえで株式買取請求に進む
訴えられた側:1. 合併・分割をするときは、債権者リストを信託財産だけが引当ての債権者とそれ以外に分け、後者は漏れなく催告する2. 引当てが信託財産に限られる根拠(契約条項、限定責任信託の登記)を書面で保存し、異議を出されたときに示せるようにしておく3. 事業の自己信託を計画するなら、事業譲渡と同じ承認手続(会社法467条)と株式買取請求への対応を最初から組み込む4. 業法ごとに「別段の定め」がないかを確認する
時効(請求できる期限):債権者が異議を述べられる期間は公告・催告で定められ、1か月を下回ることはできない(会社法779条2項、789条2項、799条2項、810条2項)。事業の自己信託に反対する株主の株式買取請求は、効力発生日の20日前の日から前日までに行う(会社法469条5項)。委託者の債権者を害する自己信託に対して債権者が信託財産へ強制執行できるのは、自己信託の時から2年以内である(信託法23条4項)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:1項は、信託財産の独立性により信託財産のみが引当ての債権者は受託者の組織再編で害されないことを根拠に、異議手続の対象外とする趣旨と理解される。2項は、自己信託が実質的に事業の移転と同じ効果を持ちうることから、株主保護規定の潜脱を防ぐ趣旨とされる。
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法制定 旧信託法(大正11年)を全面的に見直した新信託法の中で、法人受託者の合併等の公告手続の特例として新設された。その後の改正の有無は人による検証が必要
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:旧信託法(大正11年法律第62号)を全面的に見直した新信託法(平成18年法律第108号)で、自己信託の導入とあわせて新設された。
- 信託法 第3条3号で自己信託の方法を定める
- 信託法 第21条信託財産限定の債務の範囲を画定
- 信託法 第56条法人受託者の合併時の任務承継
- 信託法 第217条限定責任信託での引当ての限定
- 信託法 第23条自己信託への委託者債権者の執行
- 会社法 第789条合併等の債権者異議手続、1項で対象を限定
- 会社法 第467条事業譲渡の特別決議、2項で自己信託に適用
- 会社法 第469条事業譲渡の反対株主の株式買取請求
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